『夕陽のギャングたち』

この週末は、ブルーレイで『夕陽のギャングたち』を見た。

1971年のイタリア・スペイン・アメリカ合作映画。
監督は、『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』『ウエスタン』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の巨匠セルジオ・レオーネ
音楽は、『夕陽のガンマン』『アルジェの戦い』『続・夕陽のガンマン』『ウエスタン』『シシリアン』『エクソシスト2』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『アンタッチャブル』『ハムレット(1990)』の巨匠エンニオ・モリコーネ
主演は、『波止場』『史上最大の作戦』『ドクトル・ジバゴ』『夜の大捜査線』のロッド・スタイガー、『荒野の七人』『大脱走』『シャレード』『戦争のはらわた』のジェームズ・コバーン
MGM。
カラー、シネスコ
「革命とは贅沢な食事でも言葉の遊びでもない。刺繍の模様でもない。優雅さと丁寧さをもってなされるものでもない。革命とは暴力行為なのだ―毛沢東」という字幕。
本作の舞台は20世紀初頭の革命に揺れるメキシコである。
本作は、僕の大好きな革命がテーマだ。
ぼくの好きな映画を列挙すると、『戦艦ポチョムキン』『スパルタカス』『アルジェの戦い』『猿の惑星・制服』『レッズ』であるが、ここに本作を加える。
アリの群れに放尿するフアン・ミランダロッド・スタイガー)から始まる。
フアンは脂ぎった汚らしい身なりで、裸足である。
雷の音が聞こえてきた。
遠くから砂煙を上げながら近付いて来るリムジンのような馬車。
静かなテーマ曲。
フアンが馬車を停めようとするが無視される。
しかし、少し先で停まる。
「サン・フェリペまで頼みます。お袋が死んでしまって…」とフアン。
「失せやがれ!」
しかし、何かフアンを利用することを思い付いたようである。
「行きなアミーゴ。お前はうってつけだ」と馬車に乗せられる。
車内は見るからに上流階級の人達が豪勢な食事をしている最中だった。
汚らしい身なりのフアンがこの場にいると、強烈な違和感がある。
当然、フアンの席はなく、補助椅子に座らせられる。
連中は農民を見下している。
野獣だとかネズミだとか、極めて差別的である。
マデロ政権がどうとか、革命がどうとか、農地解放がどうとかの話しをしている。
この辺は、世界史をちゃんと勉強しなかった僕にはさっぱり分からないのだが。要するに、メキシコ革命の話しだ。
馬車が進むと、道端にメキシコ人の老人や子供達が寝そべっている。
「怠け者のメキシコ人め」と上流階級の一人が吐き捨てる。
と、次の瞬間、馬車を襲撃するメキシコ人。
何と、フアンは山賊で、このメキシコ人達はグルであり、馬車を待ち伏せしていたのであった。
彼らは、フアンの父親と息子達なのである。
フアンは、上流階級の婦人を小屋の中で犯す。
そして、連中を身ぐるみ剥がして素っ裸にして、ロープにつないで歩かせる。
人間、裸になれば、ブルジョワジープロレタリアートもない。
突然、馬車の前方で爆発が起きる。
煙の中から、バイクに乗ったジョン・マロリー(ジェームズ・コバーン)が現れる。
フアンは、銃でタイヤを撃ってバイクを停める。
ジョンはフアンに「火をくれ」と言い、タバコに火を点けたかと思いきや、馬車の中に投げ入れた。
爆発が起こり、馬車の屋根に穴が開く。
フアン達は一斉に銃をジョンに向ける。
ジョンはニヤリと笑って、自分のコートの内側を開く。
大量のダイナマイトが吊るされていた。
「私が死ぬと国の半分が吹っ飛ぶ。君らも道連れだ」とジョン。
フアンの脳裏に、「メサ・ヴェルデ国立銀行」が浮かぶ。
が、ジョンは「バイクを直せ」と命じる。
フアンはジョンを「花火屋」と呼ぶ。
ジョンのカバンの中から、アイルランドの新聞の切り抜きが出て来た。
ジョンの顔写真と共に、「ジョン・マロリー、賞金300ポンド」とある。
フアンはジョンと組んで銀行強盗をやろうと思い付く。
フアンの仲間達は、ジョンを殺して、爆薬だけ奪えばいいと言ったが、フアンは「素人じゃケガする」と言う。
実際、ダイナマイトが爆発して、一人が死んだ。
ジョンの目的地は銀山であった。
メサ・ヴェルデの銀行を一緒にやろうぜ。フアン&ジョンで」とフアンが持ち掛けるが、ジョンは興味がない。
フアンは字が読めないが、賞金の金額で、ジョンがどの程度の悪事をやらかしたかが分かった。
ジョンはアイルランド革命で戦った。
ジョンは、フアンの誘いに「やめとくよ」とにべもない。
フアンはジョンを引き止めるが、聞かないので、またバイクを撃つ。
バイクを壊されたジョンは、報復に馬車を爆破する。
ジョンが野宿していると、フアン達の声がする。
自分を殺しに来たと思ったジョンは、導火線を引いて、建物ごと爆破する。
しかし、巻き込まれたのは、ジョンが訪ねる予定だった銀山のオーナーと、政府軍の大尉だった。
これでジョンはお尋ね者だ。
「お前のせいで何もかもメチャクチャだ。」
仕方がないので、ジョンはフアンと組むことにする。
線路の上を馬で歩くフアンとジョン達。
汽車が近付いて来る。
避けて、汽車が走り去ると、ジョンがいない。
汽車に飛び乗ったのだろう。
ファン達も汽車に乗る。
客室に入って来た警官を、フアンが刺し殺す。
同室に居合わせた謎の紳士が手助けしてくれた。
彼は外科医のビィエガ(ロモロ・ヴァリ)であった。
メサ・ヴェルデ駅に到着。
駅前には軍隊が闊歩している。
市民が街中で銃殺されている。
総督のポスターがあちこちに貼られている。
ものものしい雰囲気で、フアンが幼い頃に見た街とは全く変わっていた。
銀行の前のレストランにフアンが入ってみると、ジョンが食事をしている。
このレストランの裏の部屋が革命軍のアジトになっていた。
ジョンに導かれてフアンも入ると、例のビィエガ医師がいて、多くの人達を前に、「革命を起きれば混乱が生じる。政府軍に攻撃を仕掛ける」などという相談をしている。
合言葉は「土地と自由を!」
フアンとジョンは銀行に押し入ることになった。
フアンの幼い息子が汽車のオモチャを引いて銀行の入り口の前へ。
何と、これが仕掛け爆弾であった。
爆発と同時に突入するフアンとジョン達。
政府軍と銃撃戦になる。
フアンは地下へ行くが、カネはどこにもなく、地下室の扉を壊して開けてみると、多数の人民が収容されていた。
実は、銀行は先月、メキシコ・シティに移っていた。
ジョンはフアンを革命のために利用したのである。
メサ・ヴェルデ国立銀行の建物は政治犯の収容所となっており、150人を救出したフアンは革命の英雄となった。
さあ、これからどうなる?
本作は、マカロニ・ウエスタンとは言うが、かなり異色の革命映画である。
興業的には失敗したらしいが、ものすごくスケールの大きな作品だ。
橋の爆破シーンなど、『戦場にかける橋』も凌駕するレベルである。
政治犯を大量に殺戮するシーンも凄まじい。
もっと評価されても良い作品である。

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