『Disney's クリスマス・キャロル』

この週末は、ブルーレイで『Disney's クリスマス・キャロル』を見た。

2009年のアメリカ映画。
監督は、『ベオウルフ/呪われし勇者』のロバート・ゼメキス
製作は、『ベオウルフ/呪われし勇者』のスティーヴ・スターキー。
主演は、『ダーティハリー5』のジム・キャリー
共演は、『未来世紀ブラジル』のボブ・ホスキンス、『ベオウルフ/呪われし勇者』のロビン・ライト・ペン
他にも、ゲイリー・オールドマンコリン・ファースなど、演技派の豪華キャストを揃えている。
本作は、『ベオウルフ/呪われし勇者』と同じで、要するに、モーション・キャプチャーを使ったCGアニメである。
役者は一人で何役も演じ分け、主演のジム・キャリーは、何と一人七役だ。
まあ、CGアニメだからこそ出来るのだろう。
カラー、シネスコ・サイズ。
華やかな音楽。
本を開くと、「第1節 マーレイの亡霊」。
ただし、目次が出るのはここだけ。
マーレイ(ゲイリー・オールドマン)の遺体が棺に入って横たわっている。
共同経営者のスクルージジム・キャリー)が書類にサイン。
スクルージはケチで、お布施を出し渋り、亡骸の瞼に置かれた冥銭を持ち去る。
ただし、こんなシーンは原作にはない。
外はクリスマス。
雪の街には様々な階層の人々がいる。
スクルージは事務所へ戻る。
7年後のクリスマス・イブ。
事務所で働く書記のボブ・クラチット(ゲイリー・オールドマン)は寒さにろうそくで手をあぶる。
スクルージの甥のフレッド(コリン・ファース)が訪ねて来る。
スクルージは「クリスマスなどくだらん!」と言い放つ。
クリスマスの意義を懇々と説くフレッド。
思わず、拍手をするボブ。
スクルージは「今度やったらクビだ!」とボブを怒鳴り付け、フレッドを追い返す。
そこへ、寄付のお願いにやって来た二人の紳士。
「貧乏人は救貧院へ行け」と、更には、「死ね」とまで言うスクルージ
当然、彼らも追い返す。
明日はクリスマスなので休みたいと言うボブを給料泥棒扱いするスクルージ
ここまでのセリフは原作に忠実である。
メイキング映像では、監督が「原作に忠実だ」と豪語していた。
こんなにゆったり進むと、後半はかなり駆け足だろうなと思っていたら、案の定、大幅な省略が始まる。
帰宅するスクルージ
家は、街中なのに、立派な屋敷である。
ドアにマーレイの顔が浮かぶ。
おののくスクルージ
広い屋敷で一人きりのクリスマス。
突然、鐘が一斉に鳴る。
マーレイの亡霊が現われる。
長い長いたくさんの鎖につながれている。
これは、この世での無慈悲な行いの結果だと言うマーレイ。
そして、同じような鎖がスクルージにもあるという。
マーレイは、もっと人に尽くすべきだったと後悔している。
これから、3人の精霊が現われるという。
これまで見た映画化作品では、精霊は同じ日に順番に現われることになっているが、本作では、1日に一人ずつ現われることになっている。
これは原作通りである。
そして、マーレイが去る。
しかし、上映時間が96分しかないので、すぐに一人目の精霊が現われる。
炎のような精霊。
スクルージと一緒に過去へ飛ぶ。
本作は、異様に飛行シーンが長い。
CG技術を目いっぱい見せたいのだろう。
昨今のCG映画全般に言えることであるが、技術を無駄遣いしているとしか思えない。
スクルージの故郷へ。
のどかな道を馬車が走っている。
学校の同級生が乗っている。
でも、学校ではいつも一人ぼっちのスクルージ少年。
すぐにスクルージは青年に成長する。
妹のファン(ロビン・ライト・ペン)が迎えに来る。
父親の許しを得られたのだという。
その後、妹は若くして亡くなる。
残された一人息子がスクルージの甥のフレッドだ。
スクルージ青年が奉公していたフェジウィッグ(ボブ・ホスキンス)の店へ。
クリスマスなので、「仕事は終わりだ」と宣言するフェジウィッグ。
女性達の賑やかなダンスが始まる。
そして、パーティー
スクルージ青年は、お気に入りの若い娘イザベル(ロビン・ライト・ペン)と踊り、恋に落ちる二人。
そこから、一気に物語を省略して、「私よりお金が大事なのね」とスクルージ青年に別れを告げるイザベル。
展開が早過ぎて、あらすじを見ているみたいだ。
「当時は若かったんだ」と述懐する現在のスクルージ
しかし、結局、イザベルは結婚の約束を解消する。
それを見ていた現在のスクルージは、「もう耐えられない」と、精霊の頭から火消し帽を被せて、精霊の姿を消す。
長い飛行の後、現在へ戻るスクルージ
とにかく、飛行シーンがやたら長い。
さあ、これからどうなる?
最初は確かに原作通りだが、その後は省略が甚だしいし。
子供向けに分かり易くしたつもりかも知れないが、原作の一番深い部分が犠牲になっている。
CG満載な上に、演出過剰で、とにかく、ジム・キャリーがずっと「ウォー!」とか「ギャー!」とかわめいている印象。
特に、ラスト近くの馬車に追い掛けられるシーンはヒドイ。
ジェットコースターのような単なるCG紙芝居を10分も20分も見せられる。
如何にもディズニー映画だ。
まあ、現代風だとは言える。
しかし、これでいいのか。
当然ながら、昨今の映画なので、エンドロールが異様に長い。
96分の上映時間のうち、一体どれだけが本編なのか。
監督は、これまでの映画では表現出来なかった部分を表現したと言っていたが、ディケンズが表現したかったのはこんな世界なのか。
細君は見終わって、「ドッと疲れが出た」と言っていた。
クリスマス・キャロル』の映画化を3本見たが、84年のジョージ・C・スコット主演版が、今のところ一番良く出来ているかな。

Jim Carreys A Christmas Carol Official Trailer