『スケッチ・ブック』を原書で読む(第2回)

The Author's Account of Himself(第1回)
(テキスト11ページ、1行目~)

THE AUTHOR’S ACCOUNT OF HIMSELF

author(名)著者、作家、著述家(通例女性も含む)
account(名)(順を追ってする詳しい)話(of)
of(前)(関係・関連を表わして)~の点において、~に関して、~について
himself(代)(再帰的に用いて)(前置詞の目的語に用いて)

I am of this mind with Homer, that as the snaile that crept out of her shel was turned eftsoones into a toad, and thereby was forced to make a stoole to sit on; so the traveller that stragleth from his owne country is in a short time transformed into so monstrous a shape, that he is faine to alter his mansion with his manners, and to live where he can, not where he would.

of(前)(of+名詞で形容詞句をなして)~の ・They're of an age. 彼らは同じ年齢です。
mind(名)(通例単数形で)意見、考え ・be of one(a, like)mind(二人以上の人が)意見が一致している ・I am of the same mind.(以前と同じ/人と同じ)
with(前)(一致・調和を表わして)~と
Homer(名)ホメロス古代ギリシアの詩人/IliadおよびOdysseyの作者)
that(接)(名詞節を導いて)(~)ということ/(同格節を導いて)(thatを略すことはない)
as ~ so ~ ~のように~、~と同じように~
snaile→snail(名)カタツムリ
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(~する(である))ところの/(主語として)
crept(動)creepの過去形・過去分詞
creep(自)(ものが)(とどまることなく)ゆっくりと(少しずつ)動く(進む)
out of(前)~の中から外へ、~の外へ(⇔into)
her(代)彼女の
shel→shell(名)貝殻
turn(他)(~に)変じる、転化する ・Tadpoles turn into frogs. おたまじゃくしはカエルに変わる。
eftsoons(古)(副)まもなく、すぐに(=soon afterward)
into(前)(変化・結果を表わして)~に(する、なる)(通例ある物が別の物に形や状態を変えることを表わす)
toad(名)ヒキガエル、ガマ(皮膚はいぼいぼで後ろ足の力はfrogほど強くなく、主に陸にすむ)
thereby(副)それによって
force(他)(人に)強いて(~)させる、(人に)(~することを)余儀なくさせる(しばしば受身で用い、「強制されて(~)する」の意と「(~)せざるをえない」の意とになる)(+目+to do)
stoole→stool(名)スツール(ひじ掛け・背のない腰掛け)
traveller(名)(英)放浪者、ジプシー
stragleth→straggles
straggle(自)(副詞句を伴って)だらだらと歩く(進む)
his(代)彼の
owne→own
country(名)(通例one's ~)本国、祖国、故国
in(前)(時間を表わして)~(のうち)に、~の間、~中 ・in a moment たちまち
short(形)(時間・過程・行為など)短い ・for a short time ほんのしばらく
time(名)(またa ~)(ある一定の長さの)期間、間 ・in a short time まもなく
transform(他)((~の)外見・性質などを)(~に)一変させる、変形(変容、変態)させる(into)
so(副)(程度・結果を表わして)(so ~ that ~で)(順送りに訳して)非常に~なので~
monstrous(形)奇怪な、巨大な、怪物のような
shape(名)(またa ~)姿、様子、なり
that(接)(副詞節を導いて)(so ~ thatの形で程度・結果を表わして)(非常に)~なので、~(する)ほど
faine→fain(古)(形)喜んで(~)して(to do)
alter(他)(家を)改造する
mansion(名)(古)住居
with(前)(同時・同程度・同方向などを表わして)~とともに、~と同時に
manner(名)(福)(社会・階級・時代などの)風習、慣習、習わし、生活様式
live(自)住む(場所を表わす副詞句を伴う)
where(接)~する(した)所に(へ、を)
not(副)(述語動詞・文以外の語句を否定して)~でなく
would(助動)(仮定法(叙述法)で用いて)(強い願望・選択を表わして)~したいと思う

LYLY’S EUPHUES

Lyly リリー John Lyly(1554?-1606)(イングランドの小説家・劇作家/散文物語Euphues: or the Anatomy of Wit(1529), Euphues and his England(1580))
Euphues(名)『ユーフェイーズ』(John LylyのEuphues: or the Anatomy of Wit(1579)およびEuphues and his England(1580)の2部からなる散文物語/華麗な文体が有名で、そこからeuphuism(虚飾体)という文芸用語が生まれた/内容には一貫した筋がなく、アテナイの優雅な青年Euphuesとその友人Philautusが登場して恋愛などについて処世訓を語る)

I was always fond of visiting new scenes, and observing strange characters and manners.

fond(形)(fond of ~で)(~を)好んで
of(前)(目的格関係を表わして)(形容詞に伴って)~を
visit(他)(場所を)訪れる、参観(参詣)する、見物に行く
new(形)よく知らない、不案内の、初めての ・visit a new place 初めての所を訪れる
scene(名)(舞台面を思わせるような)景色、風景、光景
observe(他)(~を)観察する
character(名)(修飾語を伴って)(~な)人、人物 ・a strange character 変わった人
manner(名)(複数形で)風習、習慣

Even when a mere child I began my travels, and made many tours of discovery into foreign parts and unknown regions of my native city, to the frequent alarm of my parents, and the emolument of the town-crier.

when(接)~する時に、~時(時を表わす副詞節をつくる)
mere(形)ほんの、単なる、まったく~にすぎない ・She's a mere child. 彼女はまだほんの子供だ。
my(代)私の
travel(名)(通例複数形で)遠方への旅行、外国旅行、漫遊
make(他)(目的語に動作名詞を伴って、動詞と同じ意味をなして)(~を)する、行なう(同じ意味の動詞より、この表現のほうが1回だけの行為であることが強調される)
tour(名)(視察・巡遊などの)(小)旅行、周遊、観光旅行、ツアー ・make a tour of ~を漫遊する
discovery(名)発見
foreign(形)知らない、慣れない
part(名)(複数形で)地方、地域
unknown(形)未知の、不明の、未詳の ・an unknown place 未知の場所
region(名)(しばしば複数形で)(明確な限界のない広大な)地方、地域
of(前)(部分を表わして)~の中の
native(形)出生地の、自国の、本来の ・one's native land 故郷
to(前)(限度・程度・結果などを表わして)~に至るまで、~するほどに
frequent(形)たびたびの、しばしばの、頻繁な
alarm(名)(危険に突然気づいて生じる)不安、恐慌
of(前)(目的格関係を表わして)しばしば動作名詞または動名詞に伴って)~を、~の
emolument(名)報酬、手当、俸給
town crier(名)(昔の)町の触れ役(=crier)(もと新規則・布告などを触れ回った役人)

As I grew into boyhood, I extended the range of my observations.

as(接)(時を表わして)~している時、~したとたんに
grow into ~ ~に成長する
boyhood(名)(またa ~)少年時代、少年期
extend(他)(事業・活動範囲などを)拡大する
range(名)(単数形で)(活動・知識・経験などの及ぶ)範囲、区域、広がり(of)
observation(名)観察、注目

My holiday afternoons were spent in rambles about the surrounding country.

holiday(形)休日の、休暇中の
spend(他)(時間を)費やす、かける
in(前)(行為・活動・従事を表わして)~して、~に従事して(+doing)
ramble(名)(あてのない)散歩(=walk)
about(前)(周囲を表わして)~のあたりに、~の近くに
surrounding(形)周囲の
country(名)(the ~)郊外、田園、農村地帯(=countryside)

I made myself familiar with all its places famous in history or fable. I knew every spot where a murder or robbery had been committed, or a ghost seen.

make(他)(~を)(~に)する(+目+補)
myself(代)(再帰的に用いて)(一般動詞の目的語に用いて)私自身を(に)
familiar(形)(人が)(ものに)熟知して、精進して(with)
with(前)(感情・態度の対象を導いて)~に対して、~に
all(形)(複数名詞の前に置いて)あらゆる、すべての、みな
its(代)それの、あれの、その
in(前)(範囲を表わして)~において、~内で
fable(名)伝説、説話、神話
spot(名)(特定の)場所、地点
where(副)(関係副詞)(制限的用法で)~する、~した(場所、場合など)(「場所」「場合」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)
murder(名)殺人 ・commit murder 殺人の罪を犯す
robbery(名)(通例暴力を用いたり、または大がかりな)泥棒、強盗、強奪(罪)・commit robbery 強盗を働く
commit(他)(罪・過失などを)犯す ・commit murder 人殺しをする
ghost(名)幽霊、亡霊、怨霊(おんりょう)(英米の幽霊は夜中の12時に現われ、ニワトリの声を聞いて姿を消すとされ、その姿は生前のままで足もある)

I visited the neighboring villages, and added greatly to my stock of knowledge, by noting their habits and customs, and conversing with their sages and great men.

neighboring(形)近所の、近隣の
add(自)(~を)増す(to)
greatly(副)(通例動詞・過去分詞・比較級形容詞を強調して)非常に、とても、大いに
to(前)(接触・結合・付着・付加を表わして)~の上に、~に加えて
stock(名)(知識などの)蓄積、薀蓄(うんちく)・increase one's stock of information 情報量をふやす
knowledge(名)学識、見聞、学問
by(前)(手段・方法・原因・媒介を表わして)(doingを目的語にして)(~すること)によって
note(他)(~に)注意して心に留める
their(代)彼ら(彼女ら)の
habit(名)(個人の)癖、習慣
custom(名)慣習、風習、慣例
converse(自)(人と)(~のことで)談話を交わす(with)
with(前)(接触・交際・結合などを表わして)~と
sage(名)賢人、哲人
great(形)(能力・価値・重要性など)偉大な、すぐれた、卓越した ・a great man 偉人
man(名)(修飾語句を伴って)(特定の仕事・性格などの)男性

I even journeyed one long summer’s day to the summit of the most distant hill, whence I stretched my eye over many a mile of terra incognita, and was astonished to find how vast a globe I inhabited.

even(副)(通例修飾する語句の前に置いて)(事実・極端な事例などを強調して)~でさえ(も)、~すら(名詞・代名詞も修飾する/修飾する語(句)に強勢が置かれる)
journey(自)旅をする、旅行する
one(形)(基数の1)(時を表わす名詞の前に用いて)ある ・one day(過去か未来の)ある日
long(形)(時間・行為など)長く感じられる、長ったらしい、退屈な ・Today was a long day. きょうは一日長く感じた。
summer(名)夏、夏季(天文学的には、夏至(げし)から秋分まで/通俗には北半球では6、7、8月、南半球では12、1、2月)
day(名)(副詞的に)~日 ・one day(過去の)ある日
to(前)(方向を表わして)(到達の意を含めて)~まで、~へ、~に
summit(名)(山の)頂、頂上、山頂
most(副)(主に2音節以上の形容詞・副詞の最上級を作って)最も、いちばん
distant(形)(距離的に)遠い、遠隔の ・a distant country 遠い国
whence(副)(関係副詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)(そして)そこから、その点から
stretch(他)(手足などを)伸ばす、差し伸べる(出す)
eye(名)注目、注視 ・fix one's eyes on ~に目を注ぐ、~をじっと見つめる
over(前)(動作動詞とともに)~を越えて(=across)
many(形)(many aに単数形の名詞・動詞を伴って/単数扱い)数々の、多数の
mile(名)マイル(距離の単位/1760 yards、約1.6 km)
of(前)(分量・内容を表わして/数量・単位を表わす名詞を前に置いて)~の
terra(名)大地
incognita(形)(女性が)匿名の、忍びの、微行の
astonished(形)驚いた、びっくりした(+to do)
find(他)(~が)(~であると)知る、感じる、わかる(+that)
how(副)(疑問詞)(感嘆文に転用して)(節を導いて)
vast(形)広大な、広漠とした
globe(名)地球
inhabit(他)(人・動物が)(場所に)住む、居住する

This rambling propensity strengthened with my years.

this(形)(指示形容詞)この/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)
rambling(形)ぶらぶら歩く、そぞろ歩きする
propriety(名)(~を好む)(生まれつきの)傾向、性質、(~しがちな)性癖
strengthen(自)強くなる、強まる
with(前)(同時・同程度・同方向などを表わして)~につれて ・with age 年をとるにつれて
year(名)(複数形で)年(とし)、年齢

Books of voyages and travels became my passion, and in devouring their contents, I neglected the regular exercises of the school.

voyage(名)(船・飛行機・宇宙船による)旅、船旅、航海、
travel(名)(通例複数形で)遠方への旅行、外国旅行、漫遊
become(自)(~に)なる(+補)
passion(名)(単数形で)熱愛(熱中)の対象
devour(他)(本などを)むさぼり読む
content(名)(複数形で)(書物・文書などの)内容
neglect(他)(義務・仕事などを)怠る、おろそかにする、顧みない
regular(形)(法律・慣例・標準などに合った)正規の、正式の
exercise(名)(複)(学位請求に必要な)修業課程

How wistfully would I wander about the pier-heads in fine weather, and watch the parting ships, bound to distant climes―with what longing eyes would I gaze after their lessening sails, and waft myself in imagination to the ends of the earth!

how(副)(疑問詞)(感嘆文に転用して)まあ何と、いかに
wistfully(副)<wistful(形)(手の届かないものなどに)哀しく思いをはせて、せつない、残念そうな
would(助動)(過去の習慣・動作などの反復においての回想を表わして)~したものだった、よく~した
wander(自)(副詞句を伴って)(あてもなく)歩き回る、さまよう ・wander about ほっつき歩く
pierhead(名)埠頭の突端
in(前)(環境を表わして)~の中で(を)
fine(形)(天気が)よく晴れた、快晴の、好天気の(=fair)・fine weather 快晴、晴天
parting(形)去り(暮れ)行く
bound(形)(船・列車・飛行機など)(~)行きで(to)
clime(名)(しばしば複数形で)地方、国
with(前)(道具・手段を表わして)~を用いて、~で ・with my own eyes 自分の目で
what(形)(疑問形容詞)(感嘆文に用いて)何という
longing(形)切替(熱望)する、あこがれの ・a longing look あこがれのまなざし
eye(名)(しばしば複数形で)目の表情、目つき、まなざし
gaze(自)(熱心にじっと)見つめる、熟視する
after(前)(関心を表わして)~のことを、~に関して
lessen(自)少なく(小さく)なる、減る
sail(名)(船の)帆
waft(他)(もの・音・においなどを)(風・波などが)漂わせる、ふわりと運ぶ(to)
in(前)(状態を表わして)~の状態に(で)
imagination(前)想像(の所産)・be in imagination 想像して
the ends of the earth 世界(地)の果て、最果ての地、遠隔の地

Further reading and thinking, though they brought this vague inclination into more reasonable bounds, only served to make it more decided.

further(形)(farの比較級)もっと程度の進んだ
reading(名)読書
thinking(名)考えること、思案、思考
bring(他)(~を)(ある状態に)もってくる、至らせる(into)
vague(形)(言葉・観念・感情など)漠然とした、あいまいな、はっきりしない(⇔distant)
inclination(名)(気質的な)傾向、性向
into(前)(変化・結果を表わして)~に(する、なる)(通例ある物が別の物に形や状態を変えることを表わす)
more(副)もっと、いっそう
reasonable(形)(思考・行動など)合理的な、理にかなった、筋の通った、正当な
bound(名)(複数形で)限度、範囲
only(副)(述語動詞を修飾して)ただ(かえって)~するばかりで
serve(自)(~に)役に立つ、間に合う(+to do)
decided(形)(人・性格など)漠然とした、断固とした

I visited various parts of my own country; and had I been merely a lover of fine scenery, I should have felt little desire to seek elsewhere its gratification: for on no country have the charms of nature been more prodigally lavished.

various(形)(複数名詞を伴って)さまざまな、いろいろな、個々別々の(=varied)
country(名)(通例one's ~)本国、祖国、故国
merely(副)単に(~にすぎない)
lover(名)(芸術などの)愛好者(of)
fine(形)雄大な、広々とした
scenery(名)(一地方全体の)風景、景色
should(助動)(仮定法で)(可能性・期待を表わして)きっと~だろう、~のはずである
feel(他)(喜び・悲しみ・怒りなどを)感じる、覚える
little(形)(不可算の名詞を修飾して)(aをつけないで否定的用法で)少ししかない、ほとんどない(⇔much)
desire(名)(~に求める)欲望、欲求(+to do)
seek(他)(人・ものなどを)捜す、捜し求める
elsewhere(副)どこかよそに(へ、で)
its(代)それの、あれの、その
gratification(名)満足すること、満足(感)
for(接)(通例コンマ、セミコロンを前に置いて、前文の付加的説明・理由として)という訳は~だから(=as、since)
charm(名)魅力、人を引きつける力
prodigally(副)、prodigal(形)豊富な
lavish(他)(~を)惜しまず(気前よく)与える
【参考文献】
The Sketch-Book of Geoffrey Crayon, Gent (Oxford World's Classics)』Washington Irving・著
スケッチ・ブック(上) (岩波文庫)』齊藤昇・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
リーダーズ・プラス』(研究社)
新英和大辞典 第六版 ― 並装』(研究社)

『サーカス』

この週末は、ブルーレイで『サーカス』を見た。

サーカス The Circus [Blu-ray]

サーカス The Circus [Blu-ray]

  • 発売日: 2016/12/22
  • メディア: Blu-ray
1928年のアメリカ映画。
監督・製作・脚本・音楽(サウンド版)・主演は、『キッド』『巴里の女性』『黄金狂時代』の大スター、チャールズ・チャップリン
共演は、『キッド』『巴里の女性』『黄金狂時代』のヘンリー・バーグマン、『黄金狂時代』のアラン・ガルシア、『黄金狂時代』のジョン・ランド。
チャップリンの主要な作品は大体見たことがあるつもりでいたが、本作は未見であった。
モノクロ、スタンダード。
ブランコをこぐ娘。
それに合わせて主題歌。
なお、ブルーレイに収録されているのは1970年のサウンド版で、チャップリン自身が音楽を付け、主題歌をうたっている。
画質は良い。
サーカス。
座長(アラン・ガルシア)に叱られる娘のマーナ。
「食事抜きだ」と告げられる。
座長はとにかく怒ってばかり。
しょげるピエロ。
泣くマーナ。
一方、放浪者(tramp)チャップリン見世物小屋を観に来ている。
たくさんの人がいる中、スリに盗んだ財布をポケットに入れられ、罪をなすりつけられる。
ホットドッグ屋の前で、赤ん坊が食べているホットドッグを勝手にかじるチャップリン
例のスリが隣にやって来るが、お廻りに捕まる。
チャップリンが例の財布からカネを出してホットドッグを買うと、財布の持ち主に見付かる。
全速力で逃げるチャップリン
見世物小屋へ。
ミラーハウスに迷い込むチャップリン
スリも入って来る。
お廻りに見付かる。
マネキン人形のフリをするチャップリン
お廻りに捕まる。
ミラーハウスで出口が分からない。
何とか外へ逃げ出すチャップリン
サーカス小屋へ。
先刻までピエロが追いかけっこをしていた回転するステージの上に乗り、お廻りと追いかけっこをするチャップリン
観客は大ウケ。
お廻りと座長が言い争い。
手品。
女性が椅子に座り、マントを掛けると消えて隣の箱の中から出て来るはずが、箱から出て来たのはチャップリン
観客は大ウケ。
お廻りとまた追いかけっこ。
チャップリンは、追われる原因になった財布をお廻りに返す。
一方、ピエロが踊ってもウケない。
チャップリンを出せ」と騒ぐ観客。
チャップリンは小屋の外で寝ている。
マーナは食事抜きのまま。
哀れに思った団員が食事を分けてやろうとするが、座長にバレる。
小屋の外で寝ていたチャップリンは座長に見付かる。
「仕事が欲しいか?」
明朝、チャップリンはサーカスのテストを受けることになった。
チャップリンが外でパンを食べていると、腹の減ったマーナがやって来る。
チャップリンが目を離したスキにパンを食べるマーナ。
チャップリンはマーナにパンを半分、分けてやる。
しかし、座長がそれを見付けて怒る。
チャップリンは、マーナにゆで卵をやる。
テストで踊るチャップリン
面白くない。
ウィリアム・テルをやれ」と言われ、団員が見本を見せる。
討たれる側の頭の上に載せたリンゴを、本人が食べてしまう。
チャップリンの番になり、リンゴをかじると、中に虫がいる。
仕方がないので、自分が持って来たバナナを食べるチャップリン
怒る座長。
「床屋のショーをやれ。」
クリームを顔面に塗りたくる団員達。
チャップリンは段取り通りにやらない。
座長は激怒し、チャップリンは追い出される。
この座長は、いかりや長介だな。
で、チャップリン志村けん加藤茶
ロバに追い掛けられるチャップリン
マーナがいる。
顔にクリームが付いたままのチャップリン
マーナがタオルを持って来る。
去って行くチャップリンに名残惜しそうなマーナ。
そして、またロバに追い掛けられる。
一方、サーカスでは小道具係が給料が出なくて辞めると言い出した。
座長は「代わりを探せ!」と怒鳴る。
チャップリンは、テントの穴から小屋の中を覗いている。
中にマーナがいる。
また捕まるチャップリン
小道具係の代わりに、たくさんの皿を持っていたが、またもやロバに追い掛けられる。
そのまま会場に現われると、観客は大ウケ。
手品の台を運んでいると、マジックの仕掛けのボタンを間違って押してしまう。
ハトやらアヒルやら子ブタちゃん(ブヒ!)やら大量の動物達が中から飛び出して来る。
マジックは台無しだが、観客は大ウケ。
座長は、「彼は人気者になるぞ。とりあえず雇っておけ」と言う。
サーカスは繁盛したが、マーナには辛い日々。
さあ、これからどうなる?
こうやって文章で書いても何も面白くないが、テンポの素晴らしいドタバタ喜劇である。
ドタバタ喜劇に人情を織り交ぜ、哀愁を帯びさせるのがチャップリン風。
放浪と失恋。
寅さんだな。
まあ、寅さんの方がチャップリンを真似ているのだろうが。
後半、ライオンの檻の中に入るチャップリン
更には、綱渡りもやる。
これらは全て、スタントも特撮もないらしい。
体を張ったチャップリンがスゴイ。
それから、本作には多数登場する動物達の演技が素晴らしい。
動物が出て来る映画を見ると毎度思うが、撮影は大変だっただろう。
特に、綱渡りをしているチャップリンに絡むおサルさん達が見事。
久し振りに、腹の底から大笑いした。
昔は旅回りのサーカスがあったんだろうな。
フェリーニの映画にもよく出て来るが。
移動の馬車の大群がスゴイ。
僕も子供の頃、家族で木下大サーカスを観に行った。
懐かしい。
しかし、チャップリンは何を撮っても笑いになるな。
動きで見せるから、セリフがなくても伝わるんだ。
本作では、コミカルに見せるために、コマ落としを多用しているのかな。
「♪こぎなさい 娘さん ブランコを
こぎなさい 空まで高く
地面を見てはいけないよ
もし虹を探すのなら
空を見上げて
もし虹を探すのなら
下を見ては見つからない
人生は悩み多く 人生はさまざま
陽の照る日もあれば
雨のふる日もある
こぎなさい 娘さん ブランコを
こぎなさい 空まで高く
地面を見てはいけないよ
もし虹を探すのなら
空を見上げなさい
決して 決して
下を見てはいけないよ」
『またフープをしくじったな。』
『許して、お義父様。』
『罰として今夜は食事をさせん。』
『客が笑うと思っているのか?』
『見ろ、客はいないぞ。』
見世物小屋を歩いて腹は減る。金はなくなる。」
『あなたのでしょ?』
『金を数えて。』
『全部ありますか?』
『さっきの金を出せ。』
『どうやって出るんだ?』
『つまらない!』
『失せろ!』
『あのひょうきん者は?』
『さっきの面白い奴を出せ。』
「その彼は…」
「ショーのあとの食事」
『お義父さんが怒るわ。』
『仕事がほしいか?』
『あすの朝、ここに来い。テストをしよう。』
「次の朝早く」
「おなかがへって」
『家に帰りなさい。』
『私の家はここよ。』
『ステッキを忘れた。』
「テスト」
『客を笑わせるんだぞ。』
『見てられない。』
ウィリアム・テルをやれ。』
『これをよく見て要領を覚えるんだ。』
『やってみろ。』
『床屋のショーをやれ。』
『俺がお前をなぐる。』
『お前がなぐれ!』
『見えません。』
『ちょっと待て。』
『まだ契約はしてない。』
『早く出て行け!』
『はじまるぞ!』
『中へ入りません?』
『行ってしまうの?』
『契約ができなかった。』
『タマゴをありがとう。』
「ショー」
「小道具係とのトラブル」
『俺たちへの給料は?』
『仕事にかかれ!』
『やめるよ。』
『奴らはやめました。』
『代わりを探せ。』
『仕事がほしいか?』
『ボタンにさわるな。』
『彼は人気者になるぞ。小道具係に雇っておけ。』
「サーカスは繁盛したが、小道具係は前と同じ。娘には、つらい日がつづいた。」
以下、後半。

Charlie Chaplin - The Circus (Trailer)

『スケッチ・ブック』を原書で読む(第1回)

日本の英語教育史における『スケッチ・ブック』

アメリカ文学史の最初に出て来るワシントン・アーヴィングの代表作『スケッチ・ブック』は、全34編からなる短編集です。
中でも有名な「リップ・ヴァン・ウィンクル」や「スリーピー・ホロウの伝説」は、映画化されたこともあるので、ご存知の方も多いでしょう。
『スケッチ・ブック』は、かつて英語教材としても大変よく読まれました。
角川文庫版『スケッチ・ブック』(初版:昭和28年)の「解説」は、次のように始まります。

日本において英語を学ぼうとする人にしてアーヴィング(Washington Irving)の名を知らない者はほとんどあるまい。それほどまでに彼の名がよく知られているゆえは、彼の著『スケッチ・ブック』(The Sketch Book)が英語の教科書として旧中学の四年または五年、遅くも旧高等学校の一年ごろに採用されていたからである。(中略)訳者も旧高等学校の一年において、「スケッチ・ブック」を教科書として用いられたのを覚えている。

旧制中学の4年、5年、旧制高校の1年というのは、ちょうど現在の高校1・2・3年に当たります。
訳者の田部重治(南日恒太郎の弟)が旧制第四高等学校(現・金沢大学)に入学したのは明治35(1902)年ですから、その頃には既に、『スケッチ・ブック』が英語の教科書として一般的に用いられていたということです。
それでは、日本の英語教育において『スケッチ・ブック』がどのように扱われて来たか、順を追って具体的に見て行きましょう。
『そしてワシントン・アーヴィングは伝説になった』(彩流社)には、次のようにあります。

アーヴィング作品が掲載されていた『ニュー・ナショナル・リーダーズ』、『ユニオン・リーダーズ』、『ロングマン』、『スウィントン・リーダーズ』などの英語教科書が日本に輸入されたのは明治十六年頃と言われる(中略)『スウィントン・リーダーズ』には『スケッチ・ブック』の中の「ウェスタミンスター寺院」が収められている。輸入教科書に続いて、明治二十年代初頭には日本国内でも各種の英語教科書や副読本の類が盛んに出版されるようになった。それらの中に収録されたアーヴィング作品は、「リップ・ヴァン・ウィンクル」をはじめとして「航海」、「イギリスの田舎生活」などであり、やはり短編集『スケッチ・ブック』中心の翻訳傾向は失われていない。
明治二十年に小諸義塾創設者の木村熊二は明治女学校で『スケッチ・ブック』を中心としたアーヴィング作品を講読の教材として使用している

また、『ワシントン・アーヴィングとその時代』(本の友社)によると、「明治二十年頃には神田の共立学舎での英語学習に『スケッチ・ブック』が教科書として使用されている」とのことです。
共立学舎は、主に大学予備門(後の第一高等中学校。現・東京大学教養学部)への進学のために英語を教える予備校の一つで、こうした予備校は他に、夏目漱石が学んでいた成立学舎や、斎藤秀三郎が教えていた国民英学会などがありました。
少し時代が前後しますが、「宮崎湖処子とワシントン・アービング」には、「福岡では金子堅太郎(1853―1943)がおり、彼は明治4年(1871)留学生として米国へ渡り、ハーヴァード大学に学び、明治11年(1878)帰国して東京神田の共立学舎で英語を教えた時アーヴィングのスケッチブックを教科書に使用した」とあります。
さらに、『修猷館の英語教育 明治編』(海鳥社)によると、明治24(1891)年に、それまで英語専修学校であった修猷館(現・福岡県立修猷館高校)が尋常中学になり、その第5年級の英語の教科書として、「アーウヰング、スケッチ、ブック」が挙げられているのです。
中学校だけでなく、『近代日本の英語教育史』(東信堂)によると、明治25(1892)年の和歌山県尋常師範学校(現・和歌山大学教育学部)の4学年、明治27(1894)年の千葉県尋常師範学校(現・千葉大学教育学部)などの師範学校でも教科書として用いられていました。
当時の師範学校の入学資格は、高等小学校4年(現在の中学2年)卒業以上、かつ17歳以上です。
師範学校は、年齢は随分違いますが、しばしば同じ県庁所在地の県立中学校と並んで、県下の最高学府でした。
だから、『坊っちゃん』に「中学と師範はどこの県下でも犬と猿の様に仲がわるいそうだ」とあるように、喧嘩が絶えなかったのですね。
しかしながら、週6~7時間の英語の授業時数が割り当てられていた中学校に対し、師範学校の授業時数は週にわずか2~3時間しかありませんでした。
それでも、中学校と同じ教科書を使っていたので、レベルが高く、進度もかなり速かったようです。
当時の和歌山師範学校の卒業生の回想を以下に引きます。

私は中学二年迄行ったが書物が全く読めないのですから殆んど閉口しました。(中略)師範へ入っても実は学課の半数位は何を学んだのか全く別りません。(中略)英語と云へば、一年生でナショナルリーダ第一第二の二巻、二年でスヰントンの万国史、三年でクライブ伝、四年でアーヴィングのスケッチブックと云ふ風に其程度が余りに一足飛で何にも判らない。殊に英文法英作文などは全然教はらない。

ここからも、文法を習得せずに長くて難しい英文を読もうとすることが如何に無謀であるかが分かります。
『英語教師 夏目漱石』(新潮選書)によると、漱石は明治28(1895)年、『坊っちゃん』の舞台になった愛媛県尋常中学校(現・愛媛県松山東高校)で『スケッチ・ブック』を教科書に使いました。
以下に生徒の回想を引用します。

夏目先生が来て、スケツチブツクを講義し初めると、不思議によくわかつて、英語の面白味が初めて感ぜられるやうになつた。先生は吾々に四五年を通じてスケツチブツクのヴオイエージとロスコーとブロークン・ハートの三章を講義された。

『英語教師 夏目漱石』には、『スケッチ・ブック』について、次のようにあります。

当時の中学校でよく使われ、確かに真鍋が四年次から習っていたゴールドスミスの『ウェイクフィールドの牧師』に比べて文章はやさしい。先に東京専門学校で『ウェイクフィールドの牧師』を教えていた漱石は、その経験を踏まえてより平易な教科書を選んだのであろうが、これは「やさしい教科書を選ぶべし」という漱石の英語教育論と合致している。

ウェイクフィールドの牧師』は、『英語天才 斎藤秀三郎』(日外アソシエーツ)によると、斎藤主宰の正則英語学校講義録(通信教育)では、受験科の読本として配当されていました。
受験科は、旧制中学5年レベルの上に位置付けられていたので、現在の高校3年に相当します。
『スケッチ・ブック』は、これよりも易しいということですから、やはり旧制中学レベルということでしょう。
参考までに、この講義録では、ラムの『シェイクスピア物語』(と思しき作品)が5年、『フランクリン自伝』(と思しき作品)が受験科に配当されているので、これでおおよそのレベルが推測出来るのではないでしょうか。
僕がかつて在籍していた学部の1986年度のシラバスを見ると、4年生の英文学研究VAという授業で『ウェイクフィールドの牧師』の講読が行われていました。
明治期とのレベルの違いに愕然とします。
ちなみに明治20年代当時、東京専門学校(現・早稲田大学)では、坪内逍遥が『スケッチ・ブック』を教えていました。
早稲田大学百年史 別巻I」によると、「東京専門学校文学科学科配当表(明治二十五年一月)」に、「ラセラス」(サミュエル・ジョンソン作)や「マーチヤントオブヴェニスヴェニスの商人)」と並んで「スケッチ・ブック」の名が見え、担当講師は坪内雄蔵(逍遥)とあります。
明治29(1896)年、文学科に付属していた専修英語科が独立して英語学部となりますが、この時の担当講師と使用された主なテキストは次の通りです。

英語学部は初め、文学士と神学修士の学位をもってアメリカから帰国した片山潜を主任にして発足したが、主任の役は間もなく宗教学者でいて修辞書や英作文を教える岸本能武太に交代した。この学部の担当講師は、片山が英語で社会学を教え、天野がジョン・スチュアート・ミルの経済学、高田は憲法、坪内はアーヴィングの『スケッチ・ブック』やチャールズ・ラムの『シェイクスピア物語』、増田はマコーレーの『ミルトン論』を教えた。

スゴイ時代ですね。
再び、漱石の生徒の回想を引きます。

先生の英語の教授法は、訳ばかりでは不可ない、シンタツクスとグラムマーを解剖して、言葉の排列の末まで精細に検覈しなければならぬと云ふので、一時間に僅に三四行しか行かぬこともあつた。そのため二年間にスケツチブツク三章しか読了しなかつたのである。

なお、漱石愛媛県尋常中学に1年間しか在籍していないそうなので、「二年間に」というのは誤りです。
ただ、1年間でも、『スケッチ・ブック』の3編しか進まないというのは、驚くほどゆっくりとしたペースでした。
最初の引用の「ヴオイエージ」(The Voyage)は、僕の手元にあるオックスフォード版のペーパーバックで6ページ、「ロスコー」(Roscoe)も同6ページ、「ブロークン・ハート」(The Broken Heart)は同5ページです。
漱石の訳読の授業時間数は不明ですが、仮に週1時間だとしても、1回の授業で教科書の半ページくらいしか消化しなかったことになります。
これは、「一時間に僅に三四行しか行かぬこともあつた」にも合致しますね。
ペーパーバックは1ページ当たり400~500語くらいですので、昨今の「英語は英語で」教えるという高校のリーダーの授業の方が、進度が速いかも知れません。
これだけ進度が遅かった理由は、引用にあるように、「シンタツクスとグラムマー」、つまり、構文と文法に細かく、語順にも十分気を配った上で解釈したからです。
一方、愛媛県尋常中学を去った後に赴いた熊本の第五高等学校(現・熊本大学)では、全く違った教え方をしました。
生徒の回想です。

松山中学時代には非常に綿密な教へ方で逐字的解釈をされたさうであるが、自分等の場合には、それとは反対に寧ろ達意を主とする遣方であつた。先生が唯すら/\音読して行つて、さうして「どうだ、分つたか」、と云つた風であつた。

これは、生徒の学力を考慮したものと考えられます。
漱石は、かつて発表した「中学改良策」の中で、「上級にあつては未だ訳読を済まさゞる場所にても容易なる部分は之を読み翻訳の手数を費やさずして直ちに洋書を理解する力を養ふべし」と述べており、五高では、まさにこれを実践したということですね。
基本的な文法や構文は中学段階で既に身に付いているはずだから、高等学校ではそれを基にして多読しろと。
伊藤和夫駿台予備学校元英語科主任)先生は、『伊藤和夫の英語学習法』(駿台文庫)の中で、「ゆっくり読んで分かる文章を練習によって速く読めるようにすることはできるが、ゆっくり読んでも分からない文章が速く読んだら分かるということはありえない」と仰っています。
僕が浪人していた頃(1990年代初頭)の駿台には、『英語構文演習』という基幹テキストがあり、関係代名詞やら接続詞やらで複雑に入り組んだ英文を、それこそ1時間に数行ずつくらいのペースで解析していました。
我々の時代には、英語の入試問題は既に長文化していましたが、漱石と伊藤先生は、「基本が大事」という点で、100年近くの時間の隔たりがあっても、全く一致しているのです。
ところが昨今は、「英語は英語で」という方針の下、中学・高校では文法を軽視、あるいは無視した授業が行われています。
文法を日本語で解説することは「悪」であり、英文を日本語に訳して意味の確認をすることもしません。
これで、どうやって正確な読解力を身に付けろと言うのでしょうか。
にも関わらず、先日の大学入試共通テストを見ても分かるように、英語の入試問題の長文化は留まるところを知りません。
これでは、伊藤和夫先生が前掲書で仰っているように、「ゆっくり読んでも分からない文章を速く読んでみたところで誤解と妄想におちいるだけ」です。
さて、漱石は、松山、熊本で教えた後、東京帝国大学(現・東京大学)の講師になります。
ここで、エリート中のエリートであるはずの帝大生の英文読解力の実態を知り、愕然としました。
学生の回想です。

今日からいよいよ夏目講師の『サイラス・マーナー』の訳読が始められた。そして私達は指名されると席を立つて、中学や高校の生徒のやうにリーディングをして、それから訳をつけさせられるのである。リーディングはかたつぱしから直されるので、当つた者は衆人環視の中で大きな恥辱を与へられる事になつた。私達は大学生から逆転して再び中学生に戻されたやうな屈辱を感じた。

漱石は、正確な発音や解釈が出来ることは英文学を学ぶ前提であり、まして、英文科の学生は大学卒業後に教師になるのが普通なのですから、こうした英語力は必須のものだと考えていました。
ところが、初めて大学で教えてみると、自分の時代よりも学生の英語力がかなり低下しています。
そこで、帝大と同時に教えていた第一高等学校(現・東京大学教養学部)では、一転して、語源を重視し、一語一語にこだわった、中学のような指導法に戻したのです。
翻って、明治時代の国家的エリートであった大学生とは比べるべくもない現代の大衆化した大学生が、こんなに英語の基礎を疎かにしていて、いいのでしょうか。
昨今の大学では、英文学どころか、学生に英文法の補習をしたり、中には、アルファベットから教え直したりしていることもあると聞きます。
英語力を身に付けるために、もちろん多読は大事でしょう。
しかし、それは、一文一文の意味を正確に把握出来る語彙や文法の基礎があってこそのものです。
このままでは、日本の英語教育は悲惨なことになります。
話しを『スケッチ・ブック』に戻しましょう。
「ハイブリディティとしての近代――ワシントン・アーヴィングと「日本近代文学」の成立」によると、明治30(1897)年には、開成尋常中学校(現・開成高校)5年級や、正則尋常中学校(現・正則高校)5年級でも、『スケッチ・ブック』が英語読本として使われていたという記録が残っています。
『スケッチ・ブック』を教えた文豪は、漱石だけではありません。
『そしてワシントン・アーヴィングは伝説になった』によると、芥川龍之介は大正5(1916)年に東京帝国大学を卒業した後、漱石らの推薦で横須賀の海軍機関学校の英語教師になりましたが、ここでアーヴィングの「リップ・ヴァン・ウィンクル」を好んで教材として使用したそうです。
旧制高校でも、『スケッチ・ブック』は英語教材としてよく使われました。
「大正後期における旧制高校の英語教科書について」によると、大正10(1921)年度の松本高等学校(現・信州大学)の1年級、山口高等学校(現・山口大学)の1年級、佐賀高等学校(現・佐賀大学)の2年級で、『スケッチ・ブック』が教科書に指定されています。
軍学校でも『スケッチ・ブック』は英語教材として使われていたようです。
『近代日本の英語教育史』によると、昭和12(1937)年の陸軍士官学校本科用の教科書『英語教程 巻一』には、『スケッチ・ブック』から「The Voyage」が収められています。
日米開戦が近付き、英語が適性語扱いされるようになった時代でも、『スケッチ・ブック』は読まれました。
同じく『近代日本の英語教育史』には、昭和14(1939)年に三重県師範学校(現・三重大学教育学部)の専攻科に入学した学生が、『スケッチ・ブック』の原書を独習したことが紹介されています。
戦後も、『スケッチ・ブック』は大学受験参考書や副読本の中で生き残り続けました。
朱牟田夏雄先生の名著として名高い、昭和34(1959)年初版発行の『英文をいかに読むか』(文建書房)には、様々な英文学作品から演習問題が選ばれていますが、その中に、『スケッチ・ブック』から「The Voyage」の一節もあります。
今では、この本が受験参考書とは到底信じられませんが、元になったのは「Student Times」の連載とのことですので、当時は高校生向けだったということです。
それから同じ年、あの旺文社が「英文学習ライブラリー」という英文学の対訳本のシリーズを出しましたが、その第1巻が『スケッチ・ブック』でした。
「はしがき」には、次のようにあります。

アーヴィングは、アメリカ文学史の最初にあらわれる作家である。イギリスで得た名声がそのままアメリカに伝わって、生前すでに古典だった。文章は上品だし、長くもないから、教室で教えるには一ばんふさわしい教材だった。ことに「スケッチ・ブック」は、多くの教師に愛用された。これはヨーロッパ大陸でも、同じである。「スケッチ・ブック」を教科書ふうに編んだものも数はおびただしい。
明治以来、この本はずいぶん読まれた。アメリカ帰りの人々が、この小品集を新しい日本文学のモデルにせよと説いた。(中略)
そのころは日本人で英語を学ぶ者は、必ずこの書物を手にしたといわれる。

僕は、この本をアマゾンの中古で買いましたが、巻末の余白に「兵庫県立豊岡高校」という書き込みがあるので、やはり高校の副読本として使われていたということですね。
戦後も1970年代までは、高校の教科書も大学入試問題も、英文学が非常に重視されていました。
それでは、戦前の旧制中学生から戦後の新制高校生まで英語教材として読んだ『スケッチ・ブック』の英文のレベルは、どの程度のものなのでしょうか。
ワシントン・アーヴィングの世界』(名著普及会)には、「殆ど一世紀にわたつて、「スケッチ・ブック」は世界中の英語を学ぶ者にとつての、最初の読本として使用された」とあります。
「最初の読本」ということは、原書講読の入門書ということですね。
ドイツ語で言えば『グリム童話』、ラテン語で言えば『ガリア戦記』に当たるということでしょうか。
斎藤兆史先生の『英語達人列伝』(中公新書)によると、新渡戸稲造は明治6(1873)年、発足したばかりの東京外国語学校に入学しますが、この頃の彼の英語力は文学作品を鑑賞するには十分でなく、ミルトンの『失楽園』を買って、余りにも手に余る難物であることを知り、アーヴィングの『スケッチ・ブック』の方を買えば良かったと後悔したとのことです。
『スケッチ・ブック(改訂版)』(研究社新訳注双書)の篠田錦策氏は、「はしがき」に、「この訳注の筆者が学生として教科書の中で初めてRip Van Winkleの原文を読むことになった時には、(中略)文章も平明で楽しく読めるから教室でのろのろと少しずつ読むのはもどかしく、自宅で辞書をたよりにまがりなりにもぐんぐん読んだ」と書いています。
しかし、この本の初版発行は昭和26(1951)年ですから、篠田氏は間違いなく、旧制の教育を受けているはずです。
かつて豊富なラインナップを誇った対訳本シリーズ「学生文庫」の1冊『スリーピー・ホロウの伝説』(南雲堂)の「はしがき」には、「ひどく洗練された流麗な文体をもち、かつ非常に語彙が豊富であるから、よく味読すれば、語学の習得にも資するところが多大であると思われる」とあります。
こちらも、「訳注者略歴」によると、訳注の田代三千稔氏は「大正13年東京大学英文科卒業」とあるので、旧制です。
同じく田代氏の訳注による『対訳アーヴィング』(南雲堂)の「はしがき」にも、「どの作品も洗練された流麗な文体をもち、かつ極めて詞藻に富み、語彙が豊かであるから、たんに文学作品としての鑑賞ばかりでなく、語学習得の書として、一度は必ず味読すべきものである」と、ほとんど同じことが書かれています。
この本の初版は昭和27(1952)年です。
それから、昭和41(1966)年に新版が出た、伝説の英語教師として名高い田中菊雄氏の『英語研究者のために』には、次のようにあります。

最初から難解なものに突き進むのも一つの勉強法であるが、とかく挫折のおそれがある。やはり飛躍せずに土台を堅めつつ徐々に進むのが最善の道である。何といっても最初はリーダーがよい。リーダーをつまらぬなどという考えを持たずに熱心に読むことが必要である。中学校・高等学校のリーダー数巻をりっぱに征服したならばもうたいていのものは読めるはずであるが、それでも前に述べた程度の書物に入るにはまだ力が足りない。ちょうどこの中間のボーダーライン(国境地帯)として読むべき書物としておすすめしたいのは、平易な小説・物語と、処世訓的論文である。前者にはコナン・ドイルの探偵小説、グリム、アンデルセンなどのおとぎばなし、『クオレ物語』、ラムの『沙翁物語』、キングズリの『希臘の英雄』、ハーンの『妖怪談』、アーヴィングの『スケッチ・ブック』などがよいと思う。後者にはマーデンの『プッシング・ツー・ザ・フロント』、スマイルズの『自助論』、ロード・エイヴバリー(Lord Avebury)の『ユース・オブ・ライフ』などがよろしい。この辺を越せば、もうどんな書物に立ち向かっても心配はないと思う。

田中氏は明治26(1893)年生まれ。
小学校を卒業後、独学で国立大学の教授にまで登り詰めた立志伝中の人です。
上に挙げられた作品は、いずれも戦前の中学・高校で英語教材としてよく読まれました。
学校のリーダーから本格的な文学作品の原書に移行する過程に読むべき「平易な」小説・物語の一つとして、『スケッチ・ブック』も挙げられています。
もっとも、田中氏が実際に修業時代に読んだのは、アメリカから直輸入の『ナショナル・リーダー』ですから、現在の中学・高校の英語のリーダーとは、大分レベルが違うでしょうが。
戦後教育を受けた者の目から見れば、どうでしょうか。
『そしてワシントン・アーヴィングは伝説になった』には、「英語の模範」であり、「平明典雅な文体」とあります。
著者の齊藤昇氏は昭和30(1955)年生まれですから、戦後ですね。
本当に、「平明」なのでしょうか。
では、『リップ・ヴァン・ウィンクル(ニュー・メソッド 英文対訳シリーズ36)』(評論社)の〈作品および作者紹介〉を見てみましょう。

Irvingの文体はかなりこったところもあり、単語にも相当むずかしいものが出てくるが、Rip Van Winkleはその中では最も読みやすいものの一つであるから、高校3年ぐらいの学力があれば容易に読破できよう。
*また余談ではあるが、The Sketch Book1冊を読めば、未知の単語を5,000ぐらいは覚えられると言われている。単語の力をつけたい人はぜひこれを1冊通読されるようおすすめしたい。

この本の初版発行は昭和38(1963)年ですから、今の高校生とは大分学力レベルが違うと考えられます。
『The Sketch Book』はオックスフォード版のペーパーバックで約350ページもありますから、5000語の単語を覚えるために、これを読破するような英語力のある高校生は、受験勉強なんか止めて、とっとと世界に羽ばたいた方が良いでしょう。
一方、英検3・4級レベルの読解教材である『リップ・バン・ウィンクル(やさしい英語で楽しむ世界名作シリーズ3)』(日本英語教育教会)の「『リップ・バン・ウィンクル』について」には、「原作の英文は“formal”(形式ばった)ものなので、読みにくいものである」とあります。
この本の初版発行は昭和59(1984)年です。
平成20(2008)年発行の『日本人は英語をどう学んできたか』(研究社)では、明治期の英語教育について、次のように書いています。

こうして旧制中学校の上級や高等学校では、さらに難解な作品を読むようになる。なかでもSamuel JohnsonのRasselas、MacaulayのLord Clive、SoutheyのThe Life of Nelsonなどの英雄伝記ものや、IrvingのThe Sketch Book、CarlyleやEmersonの論文集などが好まれた。今日の大学院レベルの英文を読んでいたのである。

『スケッチ・ブック』の英文は、「大学院レベル」なのだそうです。
文法無視の英語教育のせいで、英文科でも原書講読の授業が成立せず、英会話の練習やTOEIC対策に明け暮れているような現状では、無理もありませんね。
なお、僕が調べた限りでは、高知大学の文化学科の「アメリカ文学講読」という授業で、『スケッチ・ブック』の講読が行われていました。
年度は判りませんが、担当の山口義成氏は現在、金沢大学の教授で、職歴を見ると、2003~2018年まで高知女子大学・高地県立大学に勤務していたようなので、この間のどこかでしょう。
シラバスには、次のようにあります。

Washington Irving, "The Legend of Sleepy Hollow" (1820)を克明に読む。一つひとつの語義に注意を払うだけでなく、内容や時代背景に関わるような注釈をつけながら読み進める。最終的には、一冊の注釈本に仕上げることを目的とする。

スゴイですね。
現在では珍しい、極めて硬派な授業です。
履修年次は1~4年とあります。
と言う訳で、『スケッチ・ブック』の英文の難易度について、余りにも意見に幅があり過ぎるので、本当のところはどうなのかを知るために、自分で読んでみることにしました。

作者について

それでは、『スケッチ・ブック』の作者であるワシントン・アーヴィングについて、その生涯の概略を、少し長くなりますが、よくまとまっている開拓社の大学用テキスト『Rip Van Winkle』の「はしがき」から引用します。
なお、全くの余談ですが、彼の誕生日は僕と同じです(もちろん、生まれた年は違いますが)。

ワシントン・アーヴィング(Washington Irving)は、日本でいえば、徳川時代末期ごろの人である。1783年の4月3日にニューヨークで生まれている。アメリカ合衆国という国家が生まれかかっていたころのことであり、ワシントンという名前はのちに大統領となったワシントン将軍の名にちなんだものであった。父親はスコットランド人で、母親はイギリス人、その間に生まれた11人の子供の末子がワシントン・アーヴィングである。
そのころのアメリカ合衆国は、いわば、幼児期であり、オランダ色濃かったニューヨークの人口は3万に満たないほどのものであった。子供のアーヴィングは波止場で遊んだり、ハドソン河をさかのぼったりしながら、街燈はまだ石油ランプというような町で育った。この早熟多感な子供は体が弱く、教育はあまり受けなかった。16歳のときには法律事務所にはいったが、あまり気にそまず、19歳のころになると、兄の経営していた新聞(Morning Chronicle)に寄稿したりしている。筆名をJonathan Oldstyleといい、AddisonやSteeleを気どっていたものである。21歳になると、ヨーロッパへ渡っている。航海や転地によって健康を回復しようとしたのであった。1年半ばかりの間、フランスやイタリアなどで過ごし、ニューヨークへ帰ってから弁護士の免状を得た。が、けっきょく彼の興味は文筆に向かい、1807年には兄と友人と自分の3人でSalmagundiという雑誌を出している。AddisonのSpectatorをまねたもので、相当に好評をはくしたらしい。しかし、彼がいわば知名の人になったのはDiedrich Knickerbockerという仮名で出版したHistory of New York(1809)によってである。ニューヨークがまだNew Amsterdamの名で呼ばれていたころのオランダ移民に関するおもしろおかしい物語という種類のものであった。
1815年アーヴィングはイギリスへ渡り、兄の事業を手伝うことになった。そのときからけっきょく17年も在外生活がつづくことになるのであるが、事業は経営困難となり、彼自身は文筆に専念することとなった。
1817年、34歳のときには、Walter Scottを訪ねている。そして、1819年、36歳のころ、一連の随筆・紀行・物語を発表しはじめた。これがThe Sketch Book(1819-1820)である。アメリカにおいては7回にわたって分割出版(最後のものが1820年)され、イギリスではScottの世話で1820年The Sketch Book of Geoffrey Crayon, Gent. と題して出版された。ロンドンにおいても、ニューヨークにおいてもたいへんな成功で、英国の文人にも多くの知己をえた。外国では、まだ、アメリカ人が認められていなかったころのことである。
つづく数年の間を、彼はフランスやドイツで過ごし、Bracebridge Hall(1822)という英国の地方生活に関するもの、The Tales of a Traveller(1824)という物語集を発表している。1826年にはマドリッドを訪れ、米国公使館員として3年を過ごした。古いスペインに対する興味を覚えA History of the Life and the Voyages of Columbus(1828)、The Conquest of Granada(1829)、Voyages of the Companions of Columbus(1831)、The Alhambra(1832)などが出版されるに至っている。2年間(1829-1831)をさらに公使館員としてロンドンで送ってから、1832年、49歳のとき、17年ぶりで、ニューヨークへ帰った。すでにアメリカ文学界の大立物であった。居をハドソン河畔のTarrytownに構え、みずからSunnysideと名づけ、このはれやかな閑居で、都会のざわめきをよそに静かな余生を送ることとなった。
しかし、この静かな生活も、1842年には破られることになった。彼はスペイン公使に任命され、ふたたびマドリッドにおもむかなければならなかったからである。彼がアメリカへ帰ってきたのは1846年であり、63歳になっていた。晩年はLife of General Washington(1855-1859)という彼最大のそして最も長い作品の執筆に、主として、費やされた。彼は1859年11月28日“Sunnyside”の自宅で亡くなった。

作品について

続いて、『スケッチ・ブック』という作品について、『はじめて学ぶアメリカ文学史』(ミネルヴァ書房)に、極めて簡潔にまとめられているので、下に引いておきます。

彼の代表作は、「リップ・ヴァン・ウィンクル」(“Rip Van Winkle”)や「スリーピー・ホロウの伝説」(“The Legend of Sleepy Hollow”)を含む『スケッチ・ブック』(The Sketch Book, 1819-20)である。ハドソン川上流のキャッツキル山中で20年間も「冬眠」した男の話「リップ・ヴァン・ウィンクル」の中では、粗野なリップの妻が戯画的に誇張されており、またリップの20年間の不在の間に独立したアメリカの状況が、リップに違和感をもたらすように描かれている。
また、首のない騎士のかぼちゃのお化けに、全ての目論見をぶち壊される青年、イカボッド・クレーンの登場する「スリーピー・ホロウの伝説」には、民話を題材としながらも、アメリカ人の性急な「成功」への野心を皮肉るアーヴィングの心情が読みとれる。
これらの作品は、ユーモアに包まれてはいても、アメリカの現実に満足感を抱かず、古き良き時代をノスタルジックに追い求めるアーヴィングの心情を投影したものといえる。それゆえ、同時代のイギリスの批評家からは、「アメリカ生まれの最良のイギリス作家」と評されている。

また、『新版 アメリカ文学史』(ミネルヴァ書房)には、別の切り口で書かれているので、こちらも引用しておきます。

ワシントン・アーヴィングは、代表作『ジェフリ・クレイヨン氏のスケッチブック』(The Sketch Book of Geoffrey Crayon, Gent., 1819-20)で、9千ドルを得たといわれる。当時としては、アメリカはもちろんのこと、イギリスでもスコットを除けば、これほど人気のあった作家はいなかったのであり、文字通り文壇の大御所的存在であった。
なぜアーヴィングがこれほどに読まれたのだろうか。その原因の一つに、当時のアメリカ人のイギリスに対する意識の変化がある。『スケッチブック』の語り手クレイヨンにとって、イギリスは「子ども時代に聞かされて以来、長年ずっと思い描いてきたあらゆるものに満ちた約束の地」だったという。「約束の地」(創世記12:7)とは、アメリカ大陸をはじめて目にしたピューリタンたちが、この新世界を呼んだ言葉であったはずだが、それがいま、彼らが拒否し捨ててきた国イギリスに向かって使われているのである。あれから200年、ようやくアメリカ人がイギリスに対して抱くようになった郷愁にも似た親密感を、この作品は表わしていた。
もう一つの理由として、『スケッチブック』が当時のアメリカ社会が与える不安や抑圧から読者を解放してくれたことをあげねばならない。いうまでもなく1820年代のアメリカは、イギリスとの戦争もすんで、工業化、商業化へと走りだし、大きな変化の途上にあった。現実世界に生きる人々にはクレイヨンのいう「朽ち果てた古城のまわりを散策し、倒れかかった尖塔をみつめる」余裕などなかった。ロマンチックなイギリスの点描のみならず、口やかましい妻からのがれ、ひとりキャツキル山に遊ぶ気楽なリップ(“Rip Van Winkle”)、失敗こそすれ安逸な生活を目論んで金持ち娘を手に入れようとしたクレインの話(“The Legend of Sleepy Hollow”)は、禁欲的労働を説くピューリタン倫理からのしばしの解放を読者に味わわせてくれたに違いない。
(中略)しかし、こうした特徴は同時に、現代の読者にはもはや通用せず、かえって物足りなさを感じさせる。政治の大変革がおこったのもリップが山で寝ている間であったように、アーヴィングの世界では、結婚、死その他人間の生にかかわる重大事が正面切って扱われることはない。クレイヨンはそれらに巻き込まれることを避け、あくまでも「他人の幸不幸の傍観者にすぎない」気楽な独身者を通そうとする。アーヴィングが当時の大衆と深いところでつながっていた点を評価するにしても、同時代の他の作家たちと比べて見劣りがしてしまうのは、彼のこうした逃避的姿勢が作品に限界を与えるからである。

『スケッチ・ブック』のうち、「リップ・ヴァン・ウィンクル」については、『たのしく読めるアメリカ文学』(ミネルヴァ書房)にあらすじがまとめられているので、以下に引用します。

ニューヨークからハドソン川を上流へ遡ると、西岸に美しいキャッツキル山脈が見えてくる。まだイギリスの植民地だった頃、その麓の村にリップ・ヴァン・ウィンクルという恐妻家で、人の好い男が住んでいた。畑仕事や儲かる仕事は好きではなかったが、けっして怠け者というわけではなく、たとえ報いは少なくとも、釣りや猟や頼まれ仕事ならば喜んでするという男だった。だがおかげで女房にはどやされっ放しだった。
口うるさい女房から逃れるため、彼はしょっちゅう鉄砲を肩に森へ出かけていたが、ある秋の日のこと、リスを追いかけて森をさまよっているうちに、リップはキャッツキル山脈の奥深く入り込んでいた。日暮れが迫り、女房に叱られると思い、帰途に就こうとしたときだ。どこからか、「リップ・ヴァン・ウィンクル」と呼ぶ声が聞こえた。昔のオランダふうの身なりをした見知らぬ老人だった。酒樽を運ぶ手伝いをして欲しいという老人の依頼に、人の好いリップは怪訝に思いつつもついて行った。山間の窪地に着くと、同じような服装の一団がおり、運んできた樽の酒を飲み初めた。リップも勧められるままに飲み、やがて眠り込んだ。
目を覚ますと、そこは老人と出会った最初の場所だった。持っていた鉄砲は古錆び、連れてきた犬も見当たらない。鉄砲も犬もあの山中の一団に盗まれたと思い、その場所に引き返したが、何もなく、仕方なく村に戻ることにした。だがおかしなことに、戻った村は様子が一変し、見知らぬ人間ばかりだった。女房にどやされると思いつつ自分の家に行ってみたが、誰もおらず家は壊れかけていた。自分が一体誰なのかさえ分からなくなったとき、いまは母親となった自分の娘に出会い、女房も友人たちもすでに亡く、リップが失踪してからじつに20年の歳月が流れていたことを知らされたのだった。その間にアメリカは独立し、選挙だの民主主義だの、リップにはわけの分からぬ世界に変わっていた。だが徐々に新しい世界にも馴れ、村の長老として、独立戦争以前の昔を知る語り部としてリップはその余生を送ったのであった。

テキストについて

Oxford World's Classics版

The Sketch-Book of Geoffrey Crayon, Gent (Oxford World's Classics)

The Sketch-Book of Geoffrey Crayon, Gent (Oxford World's Classics)

初版は1996年。
アメリカ文学に分類される『スケッチ・ブック』ですが、イギリスでも、ほぼ同時期に出版されました。
岩波文庫版『スケッチ・ブック(下)』の「解説」によると、1819年に、まずアメリカで分冊の形で刊行され、翌年、それらをまとめた単行本がイギリスで出版されたのです。
僕は恥ずかしながら、アメリカで古典文学を出しているメジャーな版元を知りません。
そこで、このオックスフォード版を選びました。
アマゾンの本体では品切れになっているので、イギリスの出品業者からの取り寄せになります。
僕の場合は、2週間くらいで到着しました。
本文は約320ページで、『スケッチ・ブック』の全作品(34作)が収録されています。
他に、「Introduction」「Note on the Text」「Select Bibliography」「A Chronology of Washington Irving」「Appendix: Prospectus and Advertisement」「Irving's Notes」「Editor's Notes」を収録。
イギリスの版元なのでイギリス英語かと思いきや、neighbour(イギリス綴り)ではなくneighborと綴られているので、アメリカ英語ですね。
しかしながら、molderはmoulder(イギリス綴り)と綴られており、一方、travelerはtraveller(イギリス綴り)ではなく、また、humorもhumour(イギリス綴り)ではありません。
アメリカ独立から日が浅いので、現在のように、アメリカ綴りとイギリス綴りが明確に分離していなかったのでしょう。
なお、洋書を選ぶ時、アマゾンでタイトルを検索すると、膨大な件数がヒットします。
そこで、池袋のジュンク堂さんの9階へ行くと良いでしょう。
同じ作品でも、色々な出版社から出ている版が揃っているので、実際に手に取って比較が出来ます。
ちなみに、ペンギン・クラシックスからは『The Legend of Sleepy Hollow and Other Stories』というタイトルで発行されていますが、中身は『スケッチ・ブック』です。
こちらも、全34作が収録されています。
パフィン・クラシックス(ペンギンの児童向けレーベル)からは『Rip Van Winkle and Other Stories』というタイトルで出ていますが、こちらは、「Rip Van Winkle」「The Legend of Sleepy Hollow」を含む5作品しか載っていません。

翻訳について

岩波文庫

【上巻】

スケッチ・ブック(上) (岩波文庫)

スケッチ・ブック(上) (岩波文庫)

初版は2014年。
翻訳は齊藤昇氏。
上巻に収録されているのは、「著者自身を語る」「船旅」「ロスコウ氏をめぐって」「妻」「リップ・ヴァン・ウィンクル」「イギリス人文筆家のアメリカ観」「イギリスの田園生活」「ブロークン・ハート」「書物の作り方」「王室の詩人」「田舎の教会」「寡婦とその息子」「ロンドンの日曜日」「イーストチープの居酒屋ボアーズヘッド」「文学の変転」「田舎の葬式」「旅籠の厨房」「幽霊花婿」「ウェストミンスター寺院」の19編。
巻末には、「訳注」があります。
挿絵も豊富です。
現在、新刊で入手出来る唯一の翻訳です。
かつては、角川文庫、新潮文庫などからも翻訳が出ていましたが、いずれも絶版になっています。
また、これまでの翻訳はほとんどが抄訳でしたが、本版は全訳です。
新しい訳なので、非常に読み易くなっています。
古典文学、特に、シェイクスピアと聖書からの引用が多いです。
現在では考えられませんが、当時のアメリカは「辺境の地」でした。
本作は、よく「イギリスへの郷愁」と表現されますが、僕は、植民地アメリカの出身であるアーヴィングはイギリス本国にコンプレックスを抱いていたのではないかと思います。
「辺境のアメリカで認められても仕方がない、何としても本国で認められるぞ」と。
そのようなアーヴィングの思いが、行間からひしひしと伝わって来ます。
当時のアメリカには、未だまともな文学は存在していませんから、文学作品を読むにはイギリスから取り寄せるしかなかったというような時代です。
当然ながら、アメリカには文壇のようなものはなく、アーヴィングはイギリスに渡り、イギリスの文壇の仲間入りを果たそうとしました。
当時のイギリスは、ウォルター・スコットを始めとして、文学者の宝庫ですから。
ですから、アーヴィングを「最初のアメリカ文学」と言いますが、実態はイギリス文学なのではないでしょうか。
さて、実際に読んでみると、特にドラマチックな展開などはなく、何となく「いい話し」が集められています。
チャールズ・ラムの『エリア随筆』などもそうですが、当時は、こういうのが受けたのでしょう。

【下巻】

スケッチ・ブック(下) (岩波文庫)

スケッチ・ブック(下) (岩波文庫)

初版は2015年。
下巻に収録されているのは、「クリスマス」「駅馬車」「クリスマス・イヴ」「クリスマス・デイ」「クリスマス・ディナー」「アンティークのあるロンドンの風景」「リトル・ブリテン」「ストラットフォード・アポン・エイボン」「アメリカ・インディアンの特徴について」「ポカノケットのフィリップ」「ジョン・ブル」「わが村の誇り」「釣り師」「スリーピー・ホローの伝説」「あとがき」の15編。
巻末には、「訳注」と「解説」があります。
「解説」は概ね、訳者のアーヴィング関連の著書の内容をまとめたものです。
「本書の訳出に際しては原著の文意をできるだけ損なうことがないように、それぞれの場面や文脈にふさわしい最も適切な訳語を当てることに努めたのは当然のことながら、文章の読みやすさを考慮し、原文の意味に沿って適宜言葉を補うなどの配慮を心がけた次第である」とあるように、本書の訳文はかなり「意訳」されています。
原文と対照する際には注意が必要です。

注釈書について

『スケッチ・ブック』の注釈書で現在、日本で新刊として流通しているものはないようです。
数年前には、研究社小英文叢書の『リップ・ヴァン・ウィンクル』が普通に大型書店で入手出来ましたが、現在では、アマゾンでも品切れになっています。
やはり、最近はあまり読まれなくなっているのでしょうか。

参考文献について

『そしてワシントン・アーヴィングは伝説になった』

初版は2017年。
著者は、日本におけるアーヴィング研究の第一人者である齊藤昇氏(立正大学文学部・大学院文学研究科教授)。
現在、新刊で入手出来る唯一のアーヴィング研究書です。
アーヴィングの生涯を、作品の解説を織り交ぜながら、コンパクトに綴っています。
ウォルター・スコットを始め、同時代のイギリス本国の文学者と幅広く交流を持ち、そのおかげで、『スケッチ・ブック』で一躍名声を手に入れたのです。
しかし、その後のアーヴィングは、名士との交流を保つために借金を重ね、その穴埋めのために必死で作品を仕上げますが、ついに『スケッチ・ブック』を超えるものは現われませんでした。
彼は、アメリカの文学者ですが、その視線は常にイギリス本国を始めとするヨーロッパを向いていました。
その辺りの概略は、本書を読めば、よく分かります。
それから、最後の「アーヴィングと日本」の章が非常に興味深いです。
明治期から、アーヴィングはどのように日本で受け入れられて来たのかを詳細に綴っています。

映画化作品について

スリーピー・ホロウ

現在、『スケッチ・ブック』の映画化作品で、廉価版のブルーレイで入手可能な唯一のものです。
1999年のアメリカ映画。
監督はティム・バートン
製作総指揮は、『アメリカン・グラフィティ』の巨匠フランシス・フォード・コッポラ
主演は、『プラトーン』のジョニー・デップと、クリスティーナ・リッチ
共演は、『ディア・ハンター』のクリストファー・ウォーケン、『アマデウス』のジェフリー・ジョーンズ、『クリスマス・キャロル1984)』『愛と哀しみの果て』のマイケル・ガフ、『1941』のクリストファー・リー、『炎のランナー』『ガンジー』のリチャード・グリフィス
ティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演と言えば、『シザーハンズ』ですね。
確か、浪人中に映画館で観ました。
スリーピー・ホロウ』については、公開時に話題になっていたことは覚えています。
TVCMを何度も見たような。
結論から言うと、原作はワシントン・アーヴィングの「スリーピー・ホローの伝説」ということになっていますが、原作とは全く違う話しになっています。
設定すら違い、ほとんど登場人物の名前を借りただけです。
原作では、主人公イカボッド・クレインは教師ですが、映画では刑事。
原作では、イカボッドは教師として村人達から様々な恩恵を受け、それから、のどかなスリーピー・ホローの村の自然描写が続きます。
そして、イカボッドと村一番の豪農ヴァン・タッセル家の娘カトリナとの淡い恋。
村の青年ブロム・ボーンズとの恋の鞘当て。
首なし騎士の伝説はありますが、当の騎士はクライマックスにやっと出て来るだけです。
しかし、映画では、首なし騎士がのっけから首切り殺人を連発し、刑事であるイカボッドが事件の捜査をします。
首切り描写がジャンジャン出て来て、完全にホラーとして作られており、従って、原作とは全くの別物です。
原作を読む際の参考にと思って見ると、痛い目に遭うでしょう。
本作は、作られた時代と題材から、やたらとCGが使われています。
ただ、メイキング映像を見ると、意外と実物大セットもきちんと作って撮影されている大作だということが判りましたが。
主人公のイカボッドは当初、無神論者ということになっていますが、実際に首なし騎士を目の当たりにしてからは、すっかり迷信を信じるようになります。
ここが、どうにも納得が行きません。
だったら、別に彼が無神論者である必要はないではありませんか。
彼が迷信を科学的に解明する話しだと思っていたら、ここから急に方向転換します。
それから、刑事なのに、失神ばかりして、頼りない主人公です。
後半、話しは二転三転します。
目まぐるしいですが、面白くはありません。
最後に、種明かしがあります。
これも、別に面白くはありません。
はっきり言って、原作を何故こういう映画に仕立てる必要があったのか疑問です。
だったら、最初からオリジナル・ストーリーでも良かったでしょう。
まあ、原作はアメリカ人なら誰でも知っている話しらしいですから、タイトルだけ頂戴したのだと思います。
企画が貧困な近年の映画にありがちな話しです。
『ベオウルフ』や『クリスマス・キャロル』もそうでしたが、昨今の古典の映画化はヒドイですね。
アカデミー賞美術賞受賞。

それでは、次回以降は、例によって、僕の単語ノートを公開します。

【参考文献】
『スケッチ・ブック』田部重治・訳(角川文庫)
http://www.lib.pref.toyama.jp/attach/EDIT/000/000021.pdf
そしてワシントン・アーヴィングは伝説になった: 〈アメリカ・ロマン派〉の栄光 (フィギュール彩)』齊藤昇・著(彩流社
ワシントン・アーヴィングとその時代』齊藤昇・著(本の友社)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jeigakushi1969/1971/3/1971_3_162/_pdf/-char/ja
修猷館の英語教育 明治編』安部規子・著(海鳥社
近代日本の英語科教育史―職業系諸学校による英語教育の大衆化過程』江利川春雄・著(東信堂
坊っちゃん (岩波文庫)夏目漱石・著
英語教師 夏目漱石 (新潮選書)川島幸希・著(新潮選書)
英語天才 斎藤秀三郎: 英語教育再生のために、今あらためて業績を辿る竹下和男・著(日外アソシエーツ
1986年度 二文.pdf - Google ドライブ
別巻Ⅰ/第一編 第三章
伊藤和夫の英語学習法―大学入試 (駿台レクチャーシリーズ)伊藤和夫・著(駿台文庫)
https://www.wul.waseda.ac.jp/gakui/honbun/3636/22_chapter18.pdf
「大正後期における旧制高校の英語教科書について」井田好治・著
英文をいかに読むか』朱牟田夏雄・著(文建書房)
『スケッチ・ブック(旺文社英文学習ライブラリー①)』島田謹二・訳注(旺文社)
ワシントン・アーヴィングの世界』ヴァン・ウィック・ブルックス・著、石川欣一・訳(名著普及会)
英語達人列伝―あっぱれ、日本人の英語 (中公新書)斎藤兆史・著
スケッチ・ブック (研究社新訳注双書 (7))』篠田錦策・訳注(研究社)
スリーピー・ホロウの伝説(英和対訳・学生文庫24)』田代三千稔・訳注(南雲堂)
『対訳アーヴィング(現代作家シリーズ52)』田代三千稔・訳注(南雲堂)
英語研究者のために (講談社学術文庫)』田中菊雄・著
リップ・ヴァン・ウィンクル―「スケッチ・ブック」より (ニュー・メソッド英文対訳シリーズ (C-15))』龍口直太郎・著(評論社)
『リップ・バン・ウィンクル(やさしい英語で楽しむ世界名作シリーズ3)』中内正夫・訳注(日本英語教育教会)
日本人は英語をどう学んできたか 英語教育の社会文化史』江利川春雄・著(研究社)
アメリカ文学講読
山口 善成 - 金沢大学研究者情報
Rip Van Winkle安井稔・編注(開拓社)
はじめて学ぶアメリカ文学史 (シリーズ・はじめて学ぶ文学史 2)』板橋好枝、高田賢一・編著(ミネルヴァ書房
新版アメリカ文学史―コロニアルからポストコロニアルまで別府恵子、渡辺和子・編著(ミネルヴァ書房
たのしく読めるアメリカ文学―作品ガイド150 (シリーズ・文学ガイド)』高田賢一、野田研一、笹田直人・編著(ミネルヴァ書房

『スリーピー・ホロウ』

この週末は、ブルーレイで『スリーピー・ホロウ』を見た。

1999年のアメリカ映画。
監督はティム・バートン
原作はワシントン・アーヴィング
製作総指揮は、『アメリカン・グラフィティ』の巨匠フランシス・フォード・コッポラ
主演は、『プラトーン』のジョニー・デップと、クリスティーナ・リッチ
共演は、『ディア・ハンター』のクリストファー・ウォーケン、『アマデウス』のジェフリー・ジョーンズ、『クリスマス・キャロル1984)』『愛と哀しみの果て』のマイケル・ガフ、『1941』のクリストファー・リー、『炎のランナー』『ガンジー』のリチャード・グリフィス
ティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演と言えば、『シザーハンズ』だな。
確か、浪人中に映画館で観た。
スリーピー・ホロウ』については、公開時に話題になっていたことは覚えている。
TVCMを何度も見たような。
結論から言うと、原作はワシントン・アーヴィングの「スリーピー・ホローの伝説」ということになっているが、原作とは全く違う話しになっている。
設定すら違う。
登場人物の名前を借りただけだ。
原作では、主人公イカボッド・クレインは教師であるが、映画では刑事である。
原作では、教師として村人達から恩恵を受けるイカボッド。
それから、のどかなスリーピー・ホローの村の自然描写が続く。
そして、イカボッドと村一番の豪農ヴァン・タッセル家の娘カトリナとの淡い恋。
村の青年ブロム・ボーンズとの恋の鞘当て。
首なし騎士の伝説はあるが、当の騎士はクライマックスにやっと出て来るだけである。
しかし、映画では、首なし騎士がのっけから首切り殺人を連発し、刑事であるイカボッドが事件の捜査をする。
首切り描写がジャンジャン出て来て、完全にホラーとして作られている。
従って、原作とは全くの別物である。
原作を読む際の参考にと思って見ると、痛い目に遭う。
カラー、ワイド。
おどろおどろしい音楽が流れる。
遺言状に封印。
村長ピーター・ヴァン・ギャレットが乗った疾走する馬車。
カボチャの顔のカカシ。
首なしの男が馬車を操る。
ギャレットが飛び降りると、立ちはだかるカボチャのお化け。
首をはねられるギャレット。
ニューヨーク市、1779年」という字幕。
イカボッド・クレーン(ジョニー・デップ)捜査官が殺人事件の捜査をしている。
裁判所で、当時では考えられなかったであろうリベラルな主張を展開するイカボッド。
周囲は呆れ、市長から、スリーピー・ホロウの首切り殺人を調べるように命じられる。
馬車に乗ってスリーピー・ホロウに向かうイカボッド。
のどかで美しい自然の風景が続く。
イカボッドが村に到着するが、村人達は排他的である。
村一番の豪農バルタス・ヴァン・タッセル(マイケル・ガンボン)の屋敷を訪ねる。
中では、パーティーの真っ最中。
これが如何にもCGっぽい。
本作は、作られた時代と題材から、やたらCGが使われている。
タッセル家の娘カトリーナクリスティーナ・リッチ)がイカボッドの頬にキスをする。
カトリーナのボーイフレンドで、村の若者達のリーダー格であるブロム・ヴァン・ブラントは、これが面白くない。
イカボッドは、タッセル邸に宿泊することにする。
ギャレットの息子が殺された。
死体には首がない。
首なし騎士が首を奪い去って、地獄へ持ち帰ったと信じる村の人々。
この村には、首なし騎士の伝説があった。
首なし騎士は、独立戦争の時にイギリス側が送り込んだドイツ人傭兵で、誰よりも殺戮を好んだ。
首を切られ、20年後に蘇り、復讐に。
村人達は聖書しか信じない。
イカボッドは、この時代には珍しい無神論者で、科学的に捜査し、犯人をきっと捕まえると誓う。
その夜、またも首なし騎士が首切り殺人を。
翌朝、暴れ馬のガンパウダー(これは原作にも出て来る)に乗るイカボッド。
殺害現場に首なし遺体が横たわっている。
科学的に捜査をするイカボッド。
被害者の息子マスバス少年が「捜査を手伝わせて」とイカボッドに頼む。
捜査のために墓を掘り返すイカボッド。
村人達には、彼の行動が理解出来ない。
村人達に愛されていた原作の主人公とは違う。
未亡人の遺体を解剖するイカボッド。
腹には赤ん坊がいた。
犯人は異常者だと断定するイカボッド。
その夜、イカボッドは首なし騎士に追われる。
騎士は、火のついたカボチャをイカボッドに投げて来る。
しかし、実は中にブロムが入っていた。
イカボッドをからかうためのイタズラだったのだ。
イカボッドは、カトリーナと馬で森の中へ。
イカボッドの掌には、幼い時につけられたアザがある。
判事が迷信を信じている。
羊が逃げ、雷が鳴り、判事がイカボッドの目の前で首なし騎士に切られ、首を剣で刺して去る。
その光景を見て、イカボッドは失神する。
そして、母親の夢を見る。
無神論者のはずのイカボッドは、すっかり迷信を信じるようになっていた。
ここが、どうにも納得が行かないというか。
だったら、別に彼が無神論者である必要はない。
彼が迷信を科学的に解明する話しだと思っていたら、ここから急に方向転換。
悪夢を見るイカボッド。
しかし、目覚めた彼は、「恐怖は克服した」と言う。
「これから、首なし騎士の墓を見に行く。誰か付いて来る者は?」と問うと、マスバス少年が手を挙げる。
森の中の魔女の家を訪ねる二人。
マスバス少年を家の外へ追い出す魔女。
魔女がコウモリの首を切り落とし、生き血を絞る。
うわあ、コロナに感染しそうだ。
魔女の助言に従い、イカボッド達は森を西へ。
死人の木を目指す。
そこが首なし騎士のねぐらだという。
イカボッドがマスバス少年と馬を進めて行くと、何故か白馬に乗ったカトリーナがいる。
「お供をしたい」とカトリーナ
そして、死人の木へ。
イカボッドが木を切ると、血が飛び散る。
オエッ!
根元に、これまでの被害者のものと思しき幾つもの首が隠されている。
「この木は、あの世への入り口なんだ。」
それから、イカボッドが騎士の墓を掘り返すと、遺体の骨には首がない。
彼の首は盗まれたので、自分の首を探すために外界へ現れるのだと。
すると突然、木の根元から首なし騎士が飛び出す。
思い切りCG。
騎士を追うイカボッド。
消えた。
助産院にやって来る首なし騎士。
親子3人が首を切られる。
ブロムが駆け付け、騎士を撃つが、倒れてもよみがえる。
ブロムはイカボッドを助けるが、自らは首なし騎士にやられる。
しかし、首は切られていない。
イカボッドは、またも失神してしまった。
頼りない主人公だ。
さあ、これからどうなる?
この後、話しは二転三転する。
目まぐるしいが、面白くはない。
そして、種明かしがある。
これも、別に面白くはない。
はっきり言って、原作を何故こういう映画に仕立てる必要があったのか疑問。
だったら、最初からオリジナル・ストーリーでも良かっただろう。
まあ、原作はアメリカ人なら誰でも知っている話しらしいから、タイトルだけ頂戴したのだろう。
企画が貧困な昨今の映画にありがちな話しだ。
『ベオウルフ』とか『クリスマス・キャロル』とかもそうだが、昨今の古典の映画化はヒドイね。
余談だが、当時のニュー・ヨークは既にこんな大都市だったのか。
アカデミー賞美術賞受賞。

Sleepy Hollow (1999) Trailer #1 | Movieclips Classic Trailers

『フランクリン自伝』を原書で読む(第8回)

(テキスト7ページ、3行目~)

I disliked the trade, and had a strong inclination for the sea, but my father declared against it; however, living near the water, I was much in and about it, learnt early to swim well, and to manage boats; and when in a boat or canoe with other boys, I was commonly allowed to govern, especially in any case of difficulty; and upon other occasions I was generally a leader among the boys, and sometimes led them into scrapes, of which I will mention one instance, as it shows an early projecting public spirit, tho' not then justly conducted.

dislike(他)(~を)嫌う、いやがる
trade(名)職業、商売
have(他)(感情・考えなどを)(心に)抱いている
strong(形)(精神力・記憶力など)強い、強力な
inclination(名)(~したい)気持ち、意向、思い ・I have a strong inclination for sports. スポーツが大好きだ。
for(前)(対象)(感情・趣味・適性などの対象を表わして)~に対して(する)、~を理解する
my(代)私の
declare(自)(~に反対だと)宣言(断言、言明)する(against)
live(自)住む(場所を表わす副詞句を伴う)
near(前)(場所・時間などを表わして)~の近くに、~に近く
water(名)海
much(副)(tooや前置詞句を修飾して)大いに、非常に
about(前)(周囲を表わして)~のあたりに、~の近くに
learnt(動)learnの過去形・過去分詞
learn(他)(経験などによって)(~を)身につける、覚える(+to do)
early(副)(時間・時期的に)早く ・early in life まだ若い時に
well(副)上手に、うまく
manage(他)(機械などを)操縦する、扱う
when(接)~する時に、~時(時を表わす副詞節をつくる)
in(前)(乗り物など)に乗って
canoe(名)カヌー(paddleでこぐ小舟)
commonly(副)一般に、通例、よく
allow(他)(人・ものが)(~するのを)許す、(人・物に)(~)させておく(+目+to do)
govern(自)統治する、支配する、管理する
especially(副)特に、とりわけ
in case of ~ ~の場合には
difficulty(名)難しさ、困難
on(前)(日・時・機会を表わして)~に
occasion(名)(しばしばon ~ occasionの形で)(特定の事が起こった(起こる))時、場合、折
generally(副)普通(は)、通例、通常(=usually)
among(前)~の間に、~の中で、~に囲まれて(通例三者以上の場合に用いる)
lead(他)(~を)(~の状態・結果へ)導く(into)
into(前)(変化・結果を表わして)~に(する、なる)(通例ある物が別の物に形や状態を変えることを表わす)
scrape(名)(自ら招いた)難儀、面倒(=fix)
of(前)(関係・関連を表わして)~の点において、~に関して、~について
which(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)/(主格・目的格の場合)そしてそれは(を)
will(助動)(意志未来を表わして)(1人称の主語に伴い、発話時の話者の意志を表わし、約束・諾否・主張・選択などを示して)~するつもりである、~しようと思う
mention(他)(~のことを)(口頭または文書で話などのついでに)簡単に述べる、(~を)話に出す、(~に)言及する
instance(名)例、実例、事例、実証(of)
as(接)(原因・理由を表わして)~だから、~ゆえに
show(他)(感情・態度・気配などを)表わす、(好意・感謝などを)示す
early(形)(時期・季節・年代など)初期の ・an early age 若いころ(時、うち)
project(他)(~を)計画する、企画する
public spirit(名)公共心
tho'(接)=though
not(副)(述語動詞・文以外の語句を否定して)~でなく
justly(副)正しく、正当に、妥当に、公正に
conduct(他)(活動・仕事などを)行なう、実施する

There was a salt-marsh that bounded part of the mill-pond, on the edge of which, at high water, we used to stand to fish for minnows.

there(副)(thereは形式上主語のように扱われるが、動詞の後に通例不特定のものや人を表わす主語が続く/「そこに」の意味はなく、日本語ではthere isで「~がある」の意になる)/(beを述語動詞として)
salt marsh(名)塩性沼沢(地)、塩湿地、塩生草原(牧草地や製塩に利用)
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(~する(である))ところの/(主語として)
bound(他)(~の)境となる
part(名)(part of ~で)(~の)一部(分)(修飾語を伴わない場合はpart of ~のほうが普通/通例この句は後に単数名詞を従える時は単数扱い、複数名詞の時は複数扱いにする)
millpond(名)水車用貯水池
edge(名)端 ・on the edge of ~の端に
at(前)(時の一点を表わして)~に
high water(名)満(高)潮(時)(=high tide)(⇔low water)・at high water 満潮時に(で)
used(助動)(常にto doを伴って)(過去の習慣的行動を表わして)~するのが常であった、~する習わしだった
fish(自)魚を捕らえる、釣りをする ・fish for ~を釣る
for(前)(目的)(獲得・追求・期待の対象を表わして)~を得るために(の)、~を(求めて)
minnow(名)小魚、雑魚

By much trampling, we had made it a mere quagmire.

by(前)(手段・方法・原因・媒介を表わして)(doingを目的語にして)(~すること)によって
trample(自)(~を)踏みつける
make(他)(~を)(~に)する(+目+補)
mere(形)ほんの、単なる、まったく~にすぎない
quagmire(名)沼地、じめじめした土地

My proposal was to build a wharff there fit for us to stand upon, and I showed my comrades a large heap of stones, which were intended for a new house near the marsh, and which would very well suit our purpose.

proposal(名)提案
wharff→wharf(名)波止場、岸壁、埠頭(ふとう)(荷の積み降ろしのため船が横づけになる石や木でできた構造物)
fit(形)適当な、ふさわしい(⇔unfit)(+for+代名+to do)
show(他)(人に)(ものを)見せる、示す
comrade(名)僚友、仲間
large(形)(数・量・額など)多数の、多額の
heap(名)(通例a heap of ~またはheaps of ~で)たくさん、どっさり
of(前)(分量・内容を表わして/数量・単位を表わす名詞を前に置いて)~の
intend(他)(人・ものを)(ある目的に)向けようとする(通例受身で用い、「(~の)つもりである」の意になる)(for)
for(前)(目的)(用途・指定・適否を表わして)~向きに(の)、~用に(の)
marsh(名)沼地、湿地(帯)、沼沢地(帯)
suit(他)(気候・食物などが)(目的・好み・条件などに)合う、適する
our(代)我々の、私たちの
purpose(名)目的、意図

Accordingly, in the evening, when the workmen were gone, I assembled a number of my play-fellows, and working with them diligently like so many emmets, sometimes two or three to a stone, we brought them all away and built our little wharff.

accordingly(副)(接続副詞的に)よって、従って、それゆえに
in(前)(時間を表わして)~(のうち)に、~の間、~中 ・in the evening 晩に
when(副)(関係副詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)(~すると)その時
workman(名)作業員、職人
gone(形)(人が)いなくなった、行ってしまった
assemble(他)(ある目的で)(人を)集める、集合させる、召集する(=gather)
a number of ~ かなりの~
playfellow(名)遊び友だち(仲間)
work(自)働く、仕事をする
diligently(副)一生懸命に、精を出して、こつこつと
like(前)~のような、~に似た
so many ~ そんなにたくさんの
emmet(名)あり(=ant)
two(代)(複数扱い)二つ、2個(人)
three(代)(複数扱い)3つ、3個(人)
to(前)(対比を表わして)
all(代)(複数扱い)(同格にも用いて)だれも、みな
away(副)(通例動詞とともに用いて移動・方向を表わして)あちらへ、去って

The next morning the workmen were surprised at missing the stones, which were found in our wharff.

next(形)(時間が)(通例the ~)(過去・未来の一定時を基準にして)その次の、翌~
morning(名)(副詞的に)朝に、午前中に
surprised(形)驚いた、びっくりした(at)
at(前)(感情の原因を表わして)~に(接して)、~を見て、聞いて、考えて ・be surprised at ~に驚く
miss(他)(~が)ない(いない)のに気づく
find(他)(探して)(人・ものを)見つけ出す

Inquiry was made after the removers; we were discovered and complained of; several of us were corrected by our fathers; and, though I pleaded the usefulness of the work, mine convinced me that nothing was useful which was not honest.

inquiry(名)調査、取り調べ ・make an inquiry 調査を行なう
make(他)(目的語に動作名詞を伴って、動詞と同じ意味をなして)(~を)する、行なう(同じ意味の動詞より、この表現のほうが1回だけの行為であることが強調される)
after(前)(目的・追求を表わして)~のあとを追って、~を求めて、~を追求して
remover(名)移動者、移転者、転居者
complain(自)不平を言う、ぐちをこぼす
several(代)(複数扱い)いくつか、数個、数人、数匹
of(前)(部分を表わして)~の中の
correct(他)(子供などを)(矯正しようとして)(~のことで)しかる
plead(他)(~であると)弁解する、言い訳に言う
usefulness(名)<useful
of(前)(主格関係を表わして)(動作の行為者、作品の作者を表わして)~が、~の
mine(代)私のもの(さす内容によって単数または複数扱いとなる)
convince(他)(人に)(~を)確信させる(+目+that)
that(接)(名詞節を導いて)(~)ということ/(目的語節を導いて)
which(代)(関係代名詞)(制限的用法で)~する(した)(もの、事)(通例「もの」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(主格の場合)
honest(形)(顔・行為など)正直(誠実)さが表われた

I think you may like to know something of his person and character.

think(他)(~と)思う、考える(+that)
may(助動)(不確実な推量を表わして)~かもしれない、おそらく~であろう
like(他)(~を)好む、(~が)好きである(+to do)
something(代)(~の)いくらか、少し、いくぶん(of)
his(代)彼の
person(名)(通例単数形で)風采(ふうさい)

He had an excellent constitution of body, was of middle stature, but well set, and very strong; he was ingenious, could draw prettily, was skilled a little in music, and had a clear pleasing voice, so that when he played psalm tunes on his violin and sung withal, as he sometimes did in an evening after the business of the day was over, it was extremely agreeable to hear.

have(他)(部分・属性として)(特徴・性質・能力などを)もっている ・She has a sweet voice. 彼女は美しい声をもっている。(この構文では「彼女は美しい声をしている」「彼女は声が美しい」と訳すことができる)
excellent(形)優れた、一流の、すばらしい
constitution(名)構成、組織、構造(=structure)(of)
of(前)(of+名詞で形容詞句をなして)~の
middle(形)中位の、中間の、中流の、並の ・of middle height 中背の
stature(名)(人の)身長、背丈 ・be of short stature 背が低い
well(副)満足に、よく、申し分なく(⇔ill、badly)
set(他)(副詞句を伴って)立てる、のせる
strong(形)強健ま、強壮な、丈夫な(⇔weak)
ingenious(形)(人が)利口な、発明の才に富む
draw(自)(~で)絵を描く、製図する
prettily(副)きれいに、美しく、みごとに
skilled(形)熟練した、腕のいい ・He's skilled in music. 彼は音楽に熟練している。
little(副)(a ~で肯定的用法で)少し、少しは
in(前)(性質・能力・芸などの分野を限定して)~において、~が
clear(形)(音・声など)はっきりした、さえた
pleasing(形)愉快な、心地よい、満足な
so that(結果の副詞節を導いて)それで、そのため
play(他)(曲を)(楽器で)演奏する(on)
psalm(名)賛美歌、聖歌(特に旧約聖書の「詩篇」中の各篇を指す)
tune(名)曲
on(前)(方法・手段・器具を表わして)~で、~によって ・play a waltz on the piano ピアノでワルツをひく
violin(名)バイオリン ・play a piece on the violin バイオリンで曲を弾く
sung→sang
withal(古)(副)そのうえ、同時に
as(接)(譲歩を表わして)~だけれども、~ながらも(=though)
do(自)(代動詞としてbe以外の動詞の反復を避けるのに用いて)(同一の動詞(およびそれを含む語群)の反復を避けて)
after(接)(~した)後に(で)、~してから
business(名)(やるべき)仕事、職務、務め、本分
over(形)終わって、済んで、過ぎて
extremely(副)(強意的に用いて)とても、すこぶる(=exceedingly)
agreeable(形)快い、感じ(愛想)のよい(=nice/⇔disagreeable)

He had a mechanical genius too, and, on occasion, was very handy in the use of other tradesmen's tools; but his great excellence lay in a sound understanding and solid judgment in prudential matters, both in private and publick affairs.

mechanical(形)(人が)機械に明るい
genius(名)(a ~)(~に対する)特殊な才能、(~の)才
on occasion 折にふれて、時折(=occasionally)
handy(形)(手先が)器用で、手際がよくて、(使いこなすのが)上手で
use(名)(またa ~)使用(すること)、利用(法)(of)
of(前)(目的格関係を表わして)(しばしば動作名詞または動名詞に伴って)~を、~の
tradesman(名)(英)商人
tool(名)道具、工具 ・the tools of one's trade 商売道具
great(形)(能力・価値・重要性など)偉大な、すぐれた、卓越した
excellence(名)卓越(していること)、優秀
lie(自)(副詞句を伴って)(原因・力・本質などが)(~に)ある、存する(in)
sound(形)(理論・判断など)しっかりした、確実な根拠のある(=reliable)・sound judgment しっかりした判断
understanding(名)(またan ~)理解、会得
solid(形)堅実な、手堅い、安定した
judgment(名)判断(すること)、審査
in(前)(範囲を表わして)~において、~内で
prudential(形)(特に、業務などに)慎重な、細心な
matter(名)問題(=affair)
both(副)(both ~ and ~で相関接続副詞として)~も~も(両方とも)
private(形)私的な、個人に属する(⇔public)
and(接)(等位接続詞)(both ~ and ~で)(~も)~も
publick→public
affair(名)(漠然と)こと、出来事、事件(=matter)

In the latter, indeed, he was never employed, the numerous family he had to educate and the straitness of his circumstances keeping him close to his trade; but I remember well his being frequently visited by leading people, who consulted him for his opinion in affairs of the town or of the church he belonged to, and showed a good deal of respect for his judgment and advice: he was also much consulted by private persons about their affairs when any difficulty occurred, and frequently chosen an arbitrator between contending parties.

in(前)(行為・活動・従事を表わして)~して、~に従事して
latter(形)(the ~)(代名詞的に用いて)後者(単数名詞を受ける場合には単数扱い、複数名詞を受ける場合には複数扱い)
employ(他)(通例受身で)(~に)従事する(in)
numerous(形)(単数形集合名詞を伴って)多数から成る、大勢の(=large)・a numerous family 大家族
family(名)(またa ~)(一家の)子供たち ・He has a large family. 彼は子だくさんだ。
have to do(~)しなければならない
educate(他)養う
straitness(名)<strait(形)困難な、窮迫した
circumstance(名)(通例複数形で)(経済的・物質的な)境遇、暮らし向き
keep(他)(人を)引き留めておく
close to ~ ~に接して
remember(他)(~を)覚えている、記憶している(+doing)(過去の出来事に言及する時に用いて)
frequently(副)しばしば、たびたび、頻繁に
leading(形)主要な、主な
people(名)(複数扱い)(通例修飾語またはtheを伴って)(特定の場所・階級・団体・職業・民族などに属する)住民、人々
who(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)そしてその人は
consult(他)(専門家に)意見を聞く、助言を求める
for(前)(対象)(関連を表わして)~について(は)、~の場合には
opinion(名)意見、見解
church(名)(キリスト教の)教会(堂)、聖堂
belong(自)(~に)属する、(~の)ものである(to)
to(前)(付属・関連・関係を表わして)~の、~に(とっての)
good(形)(強意語として)(通例a ~)十分な
deal(名)(a good deal of ~で)かなり(ずいぶん)たくさんの~
respect(名)(またa ~)敬意、尊敬(⇔disrespect)(for)
much(副)(過去分詞を修飾して)大変に、非常に、大いに
their(代)彼ら(彼女ら)の
any(形)(疑問文・条件節で名詞の前に用いて)(可算の名詞の単数形につけて)何か(どれか)一つの、だれか一人の
difficulty(名)困難なこと、難事、難点
occur(自)(事が)(~に)起こる、生じる、発生する
choose(他)(もの・人を)選ぶ、選択する(+目+補)・We chose him our representative. 彼を我々の代表に選んだ。
arbitrator(名)仲裁人
between(前)(分配・共有・関係などを表わして)~の間で、共同で
contend(自)(人と)(~を求めて)争う、競う
party(名)(契約・紛争などの)関係者、当事者

At his table he liked to have, as often as he could, some sensible friend or neighbor to converse with, and always took care to start some ingenious or useful topic for discourse, which might tend to improve the minds of his children.

as ~ as one can できるだけ
sensible(形)(人・行動など)分別のある、思慮のある、賢明な、道理にかなった
converse(自)(人と)(~のことで)談話を交わす(with)
with(前)(接触・交際・結合などを表わして)~と
take care 注意する、気をつける/(+to do)・We took care not to be seen by anybody. 我々はだれにも見られないように注意した。
start(他)(~を)始める、開始する
topic(名)話題、話の種、テーマ、トピック
for(前)(目的・意向を表わして)~のために、~を目的として
discourse(名)談話、対話
might(助動)(主に間接話法の名詞節中で、時制の一致により)(不確実な推量を表わして)~かもしれない
tend(自)(もの・人が)(~する)傾向がある、(~し)がちである(+to do)
improve(他)(~を)改良する、改善する、進歩(上達)させる ・improve one's mind 精神(心)(の働き)を向上させる
【参考文献】
The Autobiography of Benjamin Franklin (Dover Thrift Editions)』Benjamin Franklin・著
フランクリン自伝 (中公クラシックス)』渡邊利雄・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
新英和大辞典 第六版 ― 並装』(研究社)

『裁かるるジャンヌ』

この週末は、ブルーレイで『裁かるるジャンヌ』を見た。

1928年のフランス映画。
監督はカール・Th・ドライヤー。
撮影は、『ギルダ』のルドルフ・マテ。
主演はルネ・ファルコネッティ。
僕が本作のタイトルを初めて知ったのは、小学校4年生の時、地元の図書館でキネマ旬報から出ていた『映画史上ベスト200シリーズ』という本で見た時だ。
あの有名な、峯岸みなみのような丸刈りのジャンヌの顔写真が強烈に印象に残った。
学生の頃は、早稲田通りにあったACTミニシアターで毎週、他の無声映画の名作と共に本作をオールナイトで上映していた。
僕はACTミニシアターの年間会員(1年間観放題)であったが、結局一度も観ることはなかった。
サイレント映画の最高峰」とも言われる本作を、「いつかは見なければ」と思っていたが、今回、ようやく見ることが出来た。
ジャンヌ・ダルクについては、高校の世界史で習ったはずだが、恥ずかしながら、全く覚えていない。
要するに、教会から異端とみなされ、それを認めなかったから、火あぶりになったんだな。
その前提を知らないと、全く話しが分からない。
モノクロ、スタンダード・サイズ。
画質は良い。
悲壮な音楽が流れる(僕が見たのは、2016年のサウンド版)。
ジャンヌ・ダルクの裁判」の詳細な資料が発見され、正確な記録だという字幕。
この資料が、実に細かい文字でびっしり書かれている。
彼女の真実の姿、教会権力との対決を描く。
足を鎖でつながれたジャンヌ・ダルク(ルネ・ファルコネッティ)。
髪の毛が短く、辻元清美にしか見えない。
本作は、顔のアップを多用している。
非常にインパクトがある。
登場人物の心理の動きを、表情から読み取れる。
これが、映画史上で本作が評価されている一番の理由だろう。
あと、カメラが自在に移動する。
で、いきなり裁判から始まる。
狭い裁判所の中なので、舞台を観ているようだ。
ジャンヌのことを嘲笑する異端審問官達。
全編を通して、目に涙を溜めたジャンヌの表情がスゴイ。
彼女は、自分が神の声を聞いたと主張している。
それを本気で信じている。
今考えると、頭のおかしな人である。
麻原彰晃と大差ない。
僕だけじゃなく、信仰心の薄い多くの日本人には理解出来ないだろう。
審問官は、事細かな内容を質問する。
質問というより、詰問である。
例えば、「お前が見た天使の姿はどうだったか」とか。
一人だけ、彼女に敬意を表して、ひざまずく者がいる。
しかし、審問官は、彼女の答えに「神への冒涜だ!」と怒り、つばを吐きかける。
余談だが、画質はレストアされているので非常に良いが、画面の四隅に光が当たっていない。
非常に重いトーンで、裁判のやり取り以外に説明はないから、音楽がないとキツイ。
僕は完全な無神論者なので、「信仰」というのは狂気だと思う。
「神はお前にどんな約束をした?」
「罪を認めさせろ!」という審問官の圧力。
その時、窓から差し込んで来た光が、窓の格子の陰をまるで十字架のように映し出す。
これが彼女の信仰心をより強く固めさせる。
裁判の記録は羽ペンで書かれるが、一字一字を書くのが大変そうだ。
昔の人が文章を書くというのは大変だったんだな。
ジャンヌの指輪が没収されるが、それは返してもらえる。
裁判が終わると、途端に字幕が少なくなる。
シャルル王から彼女宛ての手紙が送られて来たという(ニセモノ)。
しかし、ジャンヌは「私は字が読めません」。
シャルル王が派遣したという忠実なる司祭。
「お前は神の娘か?」
「ウィ。」
「牢屋から出られると神はお前に告げたのか?」
「ウィ。」
彼女は神による救いを確信している。
「それでは、教会は必要ないのでは?」
それに対しては、彼女に迷いがある。
「ミサを行う許可を与えて下さい」と言うジャンヌには、明白に「ノン」。
ジャンヌは男性の格好をしている。
「衣服を着替えよ」と命令されるも、拒否する。
「お前は神の娘ではない。サタンの手先だ!」
「拷問の準備をしろ!」という命令。
拷問部隊は楽しそうである。
ジャンヌは、草で作った冠をかぶせられる。
彼女は、とにかくずっと泣いている。
泣き方にも、変化がある。
映画史に残る名演だ。
そして、拷問室へ。
まるでSM部屋のようである。
あらゆる拷問の道具が揃っている。
美術を担当したのは、『カリガリ博士』の人らしい。
ジャンヌは、「(審問官よりも)神の方が賢い」と言う。
「お前の啓示は神からではなく、悪魔からのものだ!」
審問官はジャンヌに、「異端だと認めるか?」と迫る。
しかし、彼女はその書類に署名出来ない。
教会との対立。
拷問用のたくさんのトゲが付いた大きな車をグルグルと回す拷問執行係。
それでも、彼女は自分が異端だと認めない。
しかし、グルグルと回り続ける車。
やがて、彼女はその場で気を失って倒れる。
さあ、これからどうなる?
この後、生々しい瀉血シーンがある。
血がピューッと吹き出る。
中世のヤブ医者が行なった非科学的な治療法だ。
彼女はどこまでも教会を批判する。
「あなた方こそ悪魔の使いだ」と。
これが、相手を逆上させる。
ハムレット』のように墓掘りがある。
掘り出されたドクロにはウジ虫がはっている。
ジャンヌは、「きれいな土に埋めて欲しい」と言ったのに。
彼女は、生きたまま火あぶりにされるという。
信仰心は強いが、やはり死ぬのは怖い。
彼女はとうとう署名してしまう。
字は読めなくても、署名は出来るのか。
そして、終身刑を言い渡され、丸刈りにされる。
『フリークス』のような見世物の人達も多数登場する。
中世の風俗にはかなり忠実に作ったらしい。
ジャンヌは、一旦異端だと認めた後、やはり神を畏れる気持ちが湧いて来る。
本当に怖いのは教会ではない。
本作には、授乳シーンもある。
それから、群衆シーンがスゴイ。
聖女の死を知った民衆の暴動。
国家権力が罪もない一般大衆を叩きのめす。
この構図は、現代も何ら変わらない。
ジャンヌの火あぶりの過程が非常に生々しく、執拗に描かれている。
サイレント時代から芸術映画はあったのだなあ。
しかし、教会権力が一人の若い女性を残酷に殺したのは決して許されることではないが。
ありもしない神の言葉を主張して民衆を扇動するのはどうなんだろう。
宗教は人間を不幸にする。
中世のヨーロッパなんて、不幸しかない。
裁かるるジャンヌ
「パリの下院図書館に奇妙な資料がある。『ジャンヌ・ダルクの裁判』彼女を有罪とし、死刑判決を下した裁判の過程を記録した尋問調書である。」
「審問官らの質問とジャンヌの答えがここに大変正確に記録されている。」
「これを読むと、彼女の本当の姿が分かる。勇ましい武将ジャンヌではなく、ありのままの人間としての彼女。祖国のために死んだ若い女の姿である。」
「我々は感動的なドラマに立ち会う。信心深い若い女がたった一人で老練な神学者や法律家たちと対決するドラマである。」
「真実を述べることを誓います。」
「真実だけを」
「洗礼名はジャンヌ」
「郷里ではジャネットと呼ばれていました。」
「年令は?」
「19才…だと思います。」
「主祷文は唱えられるか?」
「誰に教わった?」
「母です。」
「唱えてみなさい。」
「お前は神から遣わされたと?」
「フランスを救うため…」
「そのために私は生まれました。」
「では神は英国人を憎んでいると思うのか?」
「神が英国人を愛しているか憎んでいるのか、私には分かりません。」
「1つだけ分かるのは英国人は全てフランスから追い出されるということ。」
「フランスで死ぬ者を除いて。」
「聖ミカエルがお前の前に現れたそうだが、彼はどんな姿をしていた?」
「翼があったか?」
「王冠をかぶっていたか?」
「何を身につけていた?」
「どのように男か女かを見分けることができた?」
「裸だったのか?」
「神が何か身につけさせるとはお考えになりませんか。」
「髪は長かったか?」
「なぜ彼が髪を切らせるのですか?」
「なぜお前は男の格好をしたのだ?」
「ドレスを与えられたら着るつもりはあるか?」
「神の御意志をやりとげたら再び女の服を身につけます。」
「では男の格好をせよと命じたのは神だと言うのだな。」
「神からどんな報酬を期待している。」
「魂の救済です。」
「これは神への冒瀆だ。」
「恥ずべきことを」
「彼女は聖女だ。」
「神はお前に何か約束してくれたのか?」
「それは裁判に関係ないことです。」
「審問官の決定を仰ぐことにするか。」
「評決にするか。」
「神はお前にどんな約束をなさった?」
「牢屋から出られるとでも約束して下さったのかね。」
「いつ?」
「何時だったのかも」
「分かりません。」
「素直に罪を告白しようとしないのだから、術策をもって己れの罪を認めさせねばならない。」
「シャルル王の署名入りの手紙が必要だ。」
「私の言う通りに書きなさい。」
「お前にはとても同情しているのだ。」
「王の署名が分かるかね。」
「王からお前に宛てた手紙がある。」
「私は字が読めません。」
『親愛なるジャンヌへ』
『大軍を集めルーアンを攻撃する準備をしている。』
『この忠実なる司祭をそちらに送る。彼を信頼するように。』
「イエスが神の息子であるように、お前は神の娘であると?」
「主祷文を唱えるか?」
「牢屋から出られるだろうと神はお前に告げたのか?」
「大いなる勝利をもって!」
「お前が天国に行くと神は言われたのか?」
「すると救いを確信しているのだな。」
「お気をつけなさい。その様に答えることは危険です。」
「救われると確信しているなら、お前に教会は必要ないのだな。」
「お前はすでに神の恩寵を受けているのか。」
「神の恩寵を受けているのか、答えなさい。」
「もしそうなら私がそこに留まれますように。」
「そうでないなら、どうか恩寵をお授け下さい。」
「どうか…」
「ミサを行う許可を与えて下さい。」
「ジャンヌ、ミサの許可を与えてもよいが…」
「1つ条件がある。衣服を着替えるのだ。」
「するとその衣服はミサより大切ということか。」
「その忌まわしい格好」
「神に対する侮辱だ。」
「お前は神の娘ではない。」
「お前はサタンの手先だ!」
「拷問の準備をしろ。」
「神の娘のように見えるぜ。」
「拷問室」
「審問官を見なさい。」
「この学識ある博士たちはお前より賢いと思わないか。」
「でも神の方が賢いはずです。」
「お前の啓示は明らかに神からのものではなく…」
「悪魔からのものだ。」
「善の天使と悪の天使をお前はどうやって見分ける。」
「お前がひざまずいたのは聖ミカエルではなく、悪魔だったのだ!」
「お前に顔を向けたのがサタンだと分からないのか。」
「サタンはお前を騙し…」
「そして裏切ったのだ。」
「やっと異端誓絶書に署名する気になったようだ。」
「教会は手を差し伸べる。」
「だが背を向けるなら教会はお前を見捨て、お前は一人になる。」
「一人ぼっちだ。」
「ええ、一人です。」
「神のもとで一人です。」
「あなた方が私の肉体から魂を引き抜こうとも、私は意見を撤回しません。」
「後になって撤回するようなことがあるとしても、無理やりそうさせられたと言うでしょう。」
以下、後半。

La Passion de Jeanne d'Arc - trailer

『黄金狂時代』

この週末は、ブルーレイで『黄金狂時代』を再見した。

黄金狂時代 The Gold Rush [Blu-ray]

黄金狂時代 The Gold Rush [Blu-ray]

  • 発売日: 2016/12/22
  • メディア: Blu-ray
1925年のアメリカ映画。
監督・製作・脚本・主演は、『キッド』『巴里の女性』の偉大なる喜劇王チャールズ・チャップリン
なお、このディスクに収録されているのは、1942年に製作されたサウンド版で、チャップリン自身による音楽とナレーションが加えられている。
共演は、『キッド』『巴里の女性』のヘンリー・バーグマン、『キッド』のアルバートオースチン
モノクロ、スタンダード・サイズ。
優雅で穏やかな音楽が流れる。
画質は良い。
ゴールド・ラッシュの時代、多くの人々が一攫千金を夢見てアラスカへやって来た。
雪の峠を登るエキストラの列をロングで捕らえたシーンは、映画史上に残っている。
まるで『八甲田山』のようだ。
一方、チャーリー(チャップリン)は、いつもの格好で雪のガケ道を軽々と歩いている。
クマが現れたりするが、全く意に介さない。
バックに流れているのは、あの「♪誰かさんと誰かさんが麦畑」の曲ではないか。
ここは、かなりの山深い奥地である。
雪道で迷って、死んだ者もいると看板に注意書きがある。
その頃、探検家のビッグ・ジム(マック・スウェイン)は、ついに金鉱を見付けた。
なお、この人は体型が芋洗坂係長のようである。
猛吹雪の中、チャーリーは、お尋ね者の悪党ブラック・ラーセンが居座る山小屋へ転がり込む。
中には、ワンコもいるのが微笑ましい。
そこにあった鶏肉にかぶり付くチャーリー。
「出てけ!」と迫るビッグ・ジムだが、外は猛吹雪で出て行けない。
そこへ、テントが飛ばされてしまったビッグ・ジムもやって来る。
彼は、悪党の脅しにも屈しない。
ラーセンとビッグ・ジムの取っ組み合いで、二人が握ったライフルの銃口が常にチャーリーの方を向き、逃げ惑うチャーリー。
お決まりのドタバタ・コントである。
ビッグ・ジムは「俺はここにいる」と言って、居座る。
食べ物がないので、彼らは飢えが極限に達していた。
小屋が猛吹雪できしむ。
チャーリーは、ろうそくに塩を掛けて食う。
当時のろうそくは、獣脂だか蜜蝋だかで出来ていて食えたのだろう。
塩の瓶が、現在の日本のスーパーで売られているものと同じ形だ。
3人は、カードのくじを引いて、一番少ない数が出た者が食べ物を探しに行くことにする。
結果、ラーセンが負け、ワンコを連れて出て行く。
しかし、悪党のラーセンには、捜査の手が迫っていた。
猛吹雪の中、彼を追う二人の刑事がテントの中にいる。
ラーセンは刑事を銃殺し、彼らの物資を奪う。
さすが悪党だ。
その頃、感謝祭を祝うために、小屋のチャーリーとビッグ・ジムは、チャーリーの片側の靴を煮て食う。
これも、映画史上有名なシーンである。
しかし、幾ら煮たからといっても、本当に靴なんか食えるのだろうか。
これは、実話に基づいているらしいが。
いよいよ食い物がなくなって、ジムは幻覚を見るようになる。
何と、チャーリーがニワトリに見えるのだ。
このニワトリの着ぐるみを着たチャップリンも有名。
捕まえようと追うジムから逃げるチャップリン
最早、ジムは鶏でなくて人間でも食おうとする勢いだ。
チャーリーは銃を構える。
その時、小屋にクマが入って来る。
それを撃つチャーリー。
画面には映らないが、これで彼らは当座の食糧を得たようだ。
その頃、ラッセンはジムの金鉱を見付ける。
チャーリーとジムは二手に分かれて金鉱へ向かっていたが、先に到着したジムとラッセンが対決する。
やられるジム。
しかし、悪は長く続かない。
ラッセンはガケが雪崩で崩れて死ぬ。
このシーンも、当時としては最新の技術を導入して撮ったのだろう。
続いて、極北の町の酒場で働く娘ジョージアジョージア・ヘイル)。
彼女に言い寄る女たらしのジャックを嫌っている。
チャーリーは、彼女の働く酒場にやって来る。
靴が片方なく、布でグルグル巻きにしているので、痛風患者のようである。
とにかくジョージアは、ジャックのことが嫌いなので、まともな男と結婚して、とっとと酒場を辞めたいと思っている。
彼女は、言い寄るジャックに恥をかかせるために、たまたまその場にいたチャーリーと踊る。
むすぼらしいチャーリーは夢のよう。
ぶかぶかのズボンがずり落ちるので、腰を縛ろうとして手に取ったヒモは、大型犬をつないであるものだった。
そこへニャンコがやって来て、大型犬と追いかけっこを始めたので、引っ張られてチャーリーは転倒する。
ジョージアは大ウケ。
まあ、こんなのは文章で書いても何の面白みもないが、チャップリン映画の定番のコミカルな動きだ。
そして、ジャックを袖にするジョージア
彼女の気を引けなかったジャックは、チャーリーに対して怒りを露わにする。
二人の取っ組み合いが始まるが、ジャックは落ちて来た柱時計に当たってノック・ダウン。
喝采の中、一人酒場を後にするチャーリー。
この辺が、チャップリン映画に特有の、笑いの後の哀愁だな。
酒場の近くにある鉱山技師のハンク(ヘンリー・カーティス)の小屋では、豆料理を作っていた。
豆の匂いに吸い寄せられるように小屋の前を通り掛かったチャーリーは、一計を案じ、小屋の前で倒れて死んだフリをした。
ハンクに助けられたチャーリーは、小屋に招き入れられ、豆料理を食べる。
その頃、ジムは意識を回復したが、記憶を失っていた。
チャーリーは、ハンクの小屋の留守番を頼まれる。
たまたま小屋の前で女友達と雪合戦をしていたジョージアと再会。
さあ、これからどうなる?
この後、有名なロールパンのダンスや、ガケの上の小屋のシーンなどがある。
特に、ガケの上の小屋のシーンは、ドリフのコントにしか見えない。
まあ、ドリフがチャップリンを参考にしたのだろうが。
ガケの上の小屋は、ミニチュアの外観と、キャストがいる実物大のセットを編集で見事につなげている。
今見ても、非常に完成度の高い特撮である。
本作は、最初は雪山でロケを始めたのだが、チャップリンが風邪を引くなどして、2週間で挫折。
その後は、スタジオに雪山のセットを作って撮影した。
このセットも、広大なものである。
コメディーだが、相当な製作費と撮影期間を掛けている。
まあ、言い古された言葉だが、コメディー映画に必要な要素は、既にチャップリンが全てやり尽くしているということだな。
そして、チャップリンの映画は「ヒューマン・コメディー」だ。
まあ、本作の結末は、「結局、世の中はカネ」と取れなくもないが。
本作は、チャップリンの代表作とされているが、それは便宜上で、チャップリンの映画はみんな代表作だろう。
シェイクスピアだって、一応『ハムレット』が代表作とされているが、『ロミオとジュリエット』も『ヴェニスの商人』も『リア王』も、みんな代表作だ。
余談だが、日本では紅白歌合戦のお陰で、「蛍の光」が流れてから年が明けるが、海外では、新年を迎えてから「蛍の光」を歌う。

Charlie Chaplin - The Gold Rush (Trailer)

『フランクリン自伝』を原書で読む(第7回)

(テキスト6ページ、5行目~)

The whole appeared to me as written with a good deal of decent plainness and manly freedom.

whole(名)(the ~)全部、全体
appear(自)(~(のよう)に)見える、(~と)思われる(+補)
to(前)(行為・作用の対象を表わして)~にとっては、~には
as(接)(様態・状態を表わして)~のように
with(前)(様態の副詞句を導いて)~を示して、~して
good(形)(強意語として)(通例a ~)相当な、かなりの
deal(名)(a good deal ~で)かなり(ずいぶん)たくさんの~
of(前)(分量・内容を表わして/数量・単位を表わす名詞を前に置いて)~の
decent(形)見苦しくない、良識にかなっている、ちゃんとした、きちんとした(=respectable/⇔indecent)
plainness(名)<plain(形)明白な、わかりやすい、明瞭な(=clear)
manly(形)男性的な
freedom(名)(行動の)自由自在

The six concluding lines I remember, though I have forgotten the two first of the stanza; but the purport of them was, that his censures proceeded from goodwill, and, therefore, he would be known to be the author.

six(形)(基数の6)6の、6個(人)の
concluding(形)終結の、結びの
line(名)(詩の)1行
remember(他)(~を)覚えている、記憶している(+wh.)
two(代)(基数の2)(複数扱い)二つ、2個(人)
first(形)(通例the ~、one's )最初の、先頭の(⇔last)(数字とともに用いる時には数字の前におく/ただし数詞が少ない数の時には後も可)
stanza(名)連、スタンザ(一定の韻律をもった4行以上からなる詩の単位)
purport(名)(the ~)趣旨、意味(of)
that(接)(名詞節を導いて)(~)ということ/(補語節を導いて)/(同格節を導いて)
his(代)彼の
censure(名)非難、とがめ
proceed(自)(~から)発する、生ずる、由来する(from)
from(前)(出所・起源・由来を表わして)~から(来た、取ったなど)
goodwill(名)好意、善意、親切
therefore(副)それゆえに、従って、それ(これ)によって(=consequently)
would(助動)(時制の一つにより従属節内でまた間接話法で用いて)(意志未来を表わして)~しよう
known(形)(名を)知られて(+to do)
author(名)著者、作家、著述家(通例女性も含む)

"Because to be a libeller (says he)
I hate it with my heart;
From Sherburne town, where now I dwell
My name I do put here;
Without offense your real friend,
It is Peter Folgier."

because(接)(副詞節を導いて)(なぜなら)~だから(である)、~なので
libeller(名)(英)<libel(他)(人を)中傷(侮辱)する
say(他)(人に)(~と)言う、話す、述べる、(言葉を)言う(+that)
hate(他)(~を)憎む、ひどく嫌う、嫌悪する
it(代)(形式目的語としてあとにくる事実上の目的語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
my(代)私の
heart(名)(感情、特に優しい心・人情が宿ると考えられる)心、感情
where(副)(関係副詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)そしてそこに(で)
dwell(自)(副詞句を伴って)(~に)住む、居住する
do(助動)(肯定文を強調して)
put(他)(通例副詞句を伴って)(名前などを)(~に)記入する、著名する
offense(名)人の感情を害すること、無礼、侮辱
your(代)あなた(たち)の、君(ら)の
real(形)(名目上・表面的でない)真の、本当の ・a real friend 真の友
Peter(名)ピーター(男性名/愛称Pete)
Folgier→Folger(名)フォルジャー

My elder brothers were all put apprentices to different trades.

elder(形)(兄弟などの血縁関係で)年上の、年長の
all(代)(複数扱い)(同格にも用いて)だれも、みな
put(他)(人を)(仕事などに)つかせる、取りかからせる(to)
apprentice(名)(昔の)徒弟、年季奉公
to(前)(行為・作用の対象を表わして)~に対して、~に
trade(名)職業、商売

I was put to the grammar-school at eight years of age, my father intending to devote me, as the tithe of his sons, to the service of the Church.

put(他)(ある目的のために)(~を)(ある場所に)送る、行かせる、載せる
grammar school(名)(英国の)グラマースクール(16世紀に創設されたラテン語ギリシア語文法を教えることを目的とした学校であったが、現在は学力上位の生徒に大学進学準備の教育をする中等学校)
at(前)(時の一点を表わして)~(歳の時)に ・at the age of seven 7歳の時に ・at the end of the month 月末に
eight(形)(基数の8)8の
intend(他)(~する)つもりである、(~しようと)めざす(+to do)
devote(他)(人が)(~に)身をささげる、専念する、熱中する(to)
as(前)~として
tithe(名)(英)十分の一税(教会維持のため教区民が毎年末に農作物の10分の1を納めた/今は廃止)
service(名)奉仕
Church(名)(教派の意味で)教会

My early readiness in learning to read (which must have been very early, as I do not remember when I could not read), and the opinion of all his friends, that I should certainly make a good scholar, encouraged him in this purpose of his.

early(形)(普通より)早めの
readiness(名)用意ができていること
in(前)(性質・能力・芸などの分野を限定して)~において、~が
learn(他)(勉強・練習などにより)(知識・技術などを)習い覚える、習得する(+to do)
read(自)読書する、読む
which(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)/(主格・目的格の場合)そしてそれは(を)
must(助動)(当然の推定を表わして)(must have+ppで過去についての推定を表わして)~したにちがいない
as(接)(原因・理由を表わして)~だから、~ゆえに
when(接)(関係副詞)(先行詞を含む関係副詞用法で)~する時
opinion(名)意見、見解(of)/(+that)
all(形)(複数名詞の前に置いて)あらゆる、すべての、みな
should(助動)(可能性・期待を表わして)きっと~だろう、~のはずである
make(自)(~に)なる(+補)
scholar(名)(英古)学生、聖徒(=student)
encourage(他)(人を)元気(勇気)づける、励ます(⇔discourage)(in)
in(前)(範囲を表わして)~において、~内で ・in one's sight 視界の内に
this(形)(指示形容詞)この(⇔that)/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)
purpose(名)目的、意図(of)
his(代)(of ~で)彼の(hisはa、an、this、that、noなどと並べて名詞の前に置けないからhisをof hisとして名詞の後に置く)

My uncle Benjamin, too, approved of it, and proposed to give me all his short-hand volumes of sermons, I suppose as a stock to set up with, if I would learn his character.

Benjamin(名)ベンジャミン(男性名/愛称Ben、Benny)
approve(自)(~に)賛成する、満足の意を表わす、(~を)満足に思う(of)
of(前)(関係・関連を表わして)~の点において、~に関して、~について
propose(他)(~を)もくろむ、企てる、(~する)つもりである(+to do)
give(他)(人に)(ものを)与える、あげる(+目+目)
shorthand(形)速記の(による)
volume(名)(全集・セットの書物の)巻
sermon(名)説教
suppose(他)(知っていることから)推測する、思う、考える(+目+補)
as(前)(動詞の目的補語を導いて)~と、~だと
stock(名)(古)基金、資本
take up(仕事・趣味などを)始める
with(前)(道具・手段を表わして)~を用いて、~で
if(接)(仮定・条件を表わして)もしも~ならば、~とすれば/(現在の事実に反する仮定を表わす場合)(if節中では過去形を用い、帰結の主節には通例would、shouldなど助動詞の過去形が用いられる)
would(助動)(仮定法(叙想法)で用いて)(主節の意志を表わす条件節で)もし~する意志さえあれば
character(名)(印刷または筆記の)字体

I continued, however, at the grammar-school not quite one year, though in that time I had risen gradually from the middle of the class of that year to be the head of it, and farther was removed into the next class above it, in order to go with that into the third at the end of the year.

continue(自)(仕事などを)(休まずに)続ける
not(副)(述語動詞・文以外の語句を否定して)~でなく
quite(副)(程度を表わさない形容詞・動詞または最上級の形容詞などを修飾して)(否定語とともに用いて、部分否定をなして)完全には~ではない、すっかり~ではない
in(前)(時間を表わして)~(のうち)に、~の間、~中
that(形)(指示形容詞)(遠方の時・所をさして)あの、あちらの、その(⇔this)
time(名)(またa ~)(ある一定の長さの)期間、間
rise(自)(人が)(信用・重要性・世の中などで)地位が高まる、立身する、昇進する、向上する(from)(to)
gradually(副)徐々に、次第に、漸進(段階)的に
from(前)(変化・推移を表わして)~から(~へ)
middle(名)(the ~)中央、真ん中(of)
of(前)(部分を表わして)~の中の
head(名)(単数形で/通例the ~)首位、首席(of)
to(前)(動詞の原形の前につけて不定詞を導いて)(副詞用法)(結果を表わして)~するようになるまで
farther(副)(farの比較級)(程度が)さらに進んで
remove(他)(もの・人を)(~から)(~へ)移す、移動させる(from)(to)
next(形)(通例the ~)(順序・配列が)次の
above(前)(地位・身分など)~より上位に(の)、~に優って
in order to do ~する目的で、するために(は)
go with ~ ~と一緒に行く、~に同行する
that(代)(指示代名詞)(反復の代名詞として)(~の)それ(oneと違ってthe+名詞の代用で通例of ~などの前置詞句が伴う)
third(名)(the ~)第3学年

But my father, in the mean time, from a view of the expense of a college education, which having so large a family he could not well afford, and the mean living many so educated were afterwards able to obtain — reasons that he gave to his friends in my hearing — altered his first intention, took me from the grammar-school, and sent me to a school for writing and arithmetic, kept by a then famous man, Mr. George Brownell, very successful in his profession generally, and that by mild, encouraging methods.

in the meantime(2つのことが起こる)その相田に
from(前)(根拠・動機を表わして)~に基づいて、~によって
view(名)(通例単数形で/修飾語を伴って)(特定な)見方、考え方(of)
of(前)(同格関係を表わして)~という、~の、~である
expense(名)(金・時間・労力を)費やすこと、費用
college(形)カレッジの、大学の
education(名)(またan ~)(学校)教育 ・a college education 大学教育
have(他)(ある関係を表わして)(肉親・友人などが)いる、(~が)ある
so(副)(程度を表わして)それ(これ)ほど、そんな(こんな)に、これくらい ・I have never seen so beautiful a sunset. 今までこんなにきれいな夕日を見たことがない。(不定冠詞aの位置に注意)
large(形)(範囲・規模など)大きい、広大な、大規模な
could(助動)(過去形の主節の時制の一致により従属節中のcanが過去形に用いられて)~できる、~してよい
afford(他)(通例can、could、be able toに伴って)(人が)(金・時間などに)余裕がある
mean(形)(英)(人が)けちな、しみったれな(=stingy、(米)cheap/⇔generous)
living(名)暮らし方(向き)
many(代)(複数扱い)多数(の人、もの)
educated(形)教育を受けた、教養のある
afterwards(副)(英)=afterward(副)のちに、あとで
able(形)(~することが)できて、(~し)えて(⇔unable)(通例生物の主語に用いる)(+to do)
obtain(他)(人が)(ものを)得る、手に入れる
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(~する(である))ところの/(他動詞・前置詞の目的語として)
give(他)(人に)(案・理由・証拠などを)提示する、示す、挙げる(+目+目)
to(前)(行為・作用の対象を表わして)(間接目的語に相当する句を導いて)~に
hearing(名)聞こえる距離(範囲)・in a person's hearing 人が聞いている所で、聞こえよがしに
alter(他)(~を)(部分的に)変える、変更する
intention(名)意図、意向
take(他)(人を)(~から)連れ出す、救い出す(from)
from(前)(隔離・解放などを表わして)~から
send(他)(通例副詞句を伴って)(人・軍隊などを)行かせる、やる、派遣する ・send one's son to school 息子を学校にやる
to(前)(方向を表わして)(到達の意を含めて)~まで、~へ、~に
school(名)(特殊技能を教える)学校、教習所、練習所、養成所
for(前)(目的・意向を表わして)~のために、~を目的として
writing(名)書くこと、執筆
arithmetic(名)算数、算術
keep(他)(商店・学校などを)経営する、管理する
then(形)その時の、当時の
man(名)(修飾語句を伴って)(特定の仕事・性格などの)男性
George(名)ジョージ(男性名)
profession(名)(特に頭脳を用いる)職業、専門職
generally(副)全体として
and that(前文全体を受けて)しかも
by(前)(手段・媒介を表わして)~で
mild(形)(抗議・試みなど)過激でない、穏やかな
encouraging(形)元気づける、励みになる、激励(奨励)の
method(名)(論理的で組織立った)方法、方式

Under him I acquired fair writing pretty soon, but I failed in the arithmetic, and made no progress in it.

under(前)(状態を表わして)(指導・規制など)を受けて
acquire(他)(知識・学問などを)(努力して)得る、習得する
fair(形)汚れのない、滑らかな、明瞭な ・a fair hand きれいな筆跡
writing(名)書体、筆跡(=handwriting)
pretty(副)(形容詞・他の副詞を修飾して)かなり、相当
soon(副)すみやかに、すばやく
make(他)(目的語に動作名詞を伴って、動詞と同じ意味をなして)(~を)する、行なう(同じ意味の動詞より、この表現のほうが1回だけの行為であることが強調される)
progress(名)進歩、発達、発展(⇔regress)・make progress in ~に上達する

At ten years old I was taken home to assist my father in his business, which was that of a tallow-chandler and sope-boiler; a business he was not bred to, but had assumed on his arrival in New England, and on finding his dying trade would not maintain his family, being in little request.

ten(形)(基数の10)10の、10個の、10人の
old(形)(満)~歳の(で)・ten years old 10歳で
take(他)(副詞句を伴って)(ある場所から他へ)持っていく、連れていく
home(副)わが家へ
assist(他)(人を)手伝う、援助(助力)する ・She assists him in his work. 彼女は彼の仕事を手伝う。
in(前)(行為・活動・従事を表わして)~して、~に従事して
business(名)職業、家業(特に利益を目的とするものにいう)
tallow chandler 獣脂ろうそく製造人(販売人)
sope-boilersoap-boiler(名)石鹸製造人
breed(他)(人を)(~に)仕込む、育てる ・He was bred to the law. 彼は法律家に育てられた。
to(前)(結果・効果を表わす句を導いて)
but(接)(前の否定語・句・文と照応して)(~ではなく)て(not A but Bで「AではなくBである」の意を表わす表現)
assume(他)(役目・任務・責任などを)とる、引き受ける
on(前)(時間の接触を表わして)~するとすぐに、~と同時に(動作名詞または動名詞に伴う)・on arrival 到着するとすぐ
arrival(名)到着(すること)(in)(⇔departure)・on(one's)arrival 到着するとすぐ
in(前)(場所・位置・方向などを表わして)~において、~で ・on London ロンドンで(に)
New England(名)ニューイングランド(米国北東部の地方/Connecticut、Massachusetts、Rhode Island、Vermont、New Hampshire、Maineの6州から成る)
find(他)(~が)(~であると)知る、感じる、わかる(+that)
dying→dyeing(名)染め物業
would(助動)(仮定法(叙想法)で用いて)(条件節の内容を言外に含め陳述を婉曲(えんきょく)にして)~であろう、~でしょう
maintain(他)(人・家族を)養う、扶養する(=provide for)・maintain a family 家族を養っていく
in request 需要があって
little(形)(不可算の名詞を修飾して)(aをつけないで否定的用法で)少ししかない、ほとんどない(⇔much)

Accordingly, I was employed in cutting wick for the candles, filling the dipping mold and the molds for cast candles, attending the shop, going of errands, etc.

accordingly(副)(接続副詞的に)よって、従って、それゆえに(=consequently、therefore)
employ(他)(通例受身で)(~に)従事する(in doing)
cut(他)(ものを)切り離す
wick(名)ろうそく(ランプ)の芯(しん)
for(前)(用途・指定・適否を表わして)~向きに(の)、~用に(の)
candle(名)ろうそく
dip(他)(~を)(液体に)ちょっと浸す
mold(名)(溶かした材料を入れて形を造る)型
cast(名)鋳込み、鋳造
attend(他)見張る
of→on
go on ~しに行く
errand(名)使い、走り使い、使い走り ・go on errands 走り使いをする
etc. ~など、その他(主に参考書や商業文などに用い、この前にコンマを置き(名詞などが一つの時は不要)、andは用いない)
【参考文献】
The Autobiography of Benjamin Franklin (Dover Thrift Editions)』Benjamin Franklin・著
フランクリン自伝 (中公クラシックス)』渡邊利雄・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
リーダーズ・プラス』(研究社)

『戦艦ポチョムキン』

この週末は、ブルーレイで『戦艦ポチョムキン』を再見した。

1925年のソビエト映画。
監督はセルゲイ・エイゼンシュテイン
今回見たのは1976年のサウンド版で、音楽はドミートリイ・ショスタコーヴィチ
スタンリー・キューブリックはかつて、「チャップリンは内容があって形式がない。エイゼンシュテインは形式があって内容がない。どちらを取るかと訊かれれば、私はチャップリンだ」と語っていた。
モンタージュ理論を生み出して、映画史上で極めて重要な地位を占める作品。
僕は学生の時、早稲田通りにあるACTミニ・シアターという映画館の年間会員になった。
会費は確か1万円で、1年間、ここで上映される全作品を見放題であった。
実際には、何だかんだで時間が取れず、元を取るほどは通えなかったのだが。
映画館と言っても、普通のマンションみたいなビルで、部屋の中に座布団が敷かれており、そこに座って、16ミリの映画を観る。
ACTミニ・シアターは毎週末、オールナイトで古典映画を上映していて(しかも、ラインナップがずっと変わらなかった)、その中に、『月世界旅行』『カリガリ博士』『アンダルシアの犬』『フリークス』等と並んで、『戦艦ポチョムキン』もあった。
とは言っても、この時には観ていない。
僕が本作を初めて見たのは、もっと大人になってから、DVDであった。
僕が一番好きな映画は、表向きには、『バリー・リンドン』ということにしている。
いや、もちろん、実際に大好きな映画なのだが。
これとは別に、裏のベスト5というのがある。
1位『戦艦ポチョムキン
2位『スパルタカス
3位『アルジェの戦い』
4位『猿の惑星 征服』
5位『レッズ』
これらに共通するのは何か。
それは、「革命」である。
昔、河合塾青木裕司という先生が書いた『世界史講義の実況中継』(語学春秋社)という参考書があった。
この先生は、全共闘崩れの左翼で(でも、参考書は非常に面白かった)、この本も、ロシア革命のところがやたらと詳しく書いてあった。
「僕は毎年、ロシア革命について語るために、世界史を教えているんだ」と言っていた。
そして、戦艦ポチョムキン号の反乱について、「これは映画にもなったから、映画好きの諸君なら知っているかも知れない」と書いていたが。
知る訳ないだろう。
昨今の若い人は、『タイタニック』ですら知らないらしい。
確か、世界史の教科書にもポチョムキン号の反乱は載っていたと思ったのだが。
手元の最新版を調べたら、載っていなかった。
多分、『実況中継』と記憶がごっちゃになっていたのだろう。
余談だが、僕が受験生だった頃に出た『実況中継』の初版は、ものすごく左翼的な内容で、青木先生が自分の思想を好き放題に語っていた。
世の中を知らない受験生は、それにすっかり洗脳されてしまうのだが。
今、出ている改訂版は、そういう青木先生の「色」がすっかり「粛清」されて、単なる語り口調の、ありきたりな世界史の参考書になってしまっている。
今の若い人は18歳から選挙権があって、しかも8割が自民党支持らしいから、左翼的な内容では売れないんだろう。
すっかり脱線した。
本題に入る。
モノクロ、スタンダード・サイズ。
不穏な音楽が流れる。
画質は、あまり良くない。
フィルムの傷が目立つのと、画面の揺れがかなり激しい。
まあ、でも、100年近く昔の映画だからな。
ポチョムキン号の反乱のきっかけは、水兵達の食事にウジ虫の湧いた肉が出されたことである。
上官は「ウジじゃない。上等の肉だ」と言い張る。
しかし、ウジ虫がうじゃうじゃしているのがドアップで映る。
『アンダルシアの犬』みたいだ。
いや、こっちの方が先か。
本作以前の映画にも、もちろん「編集」という概念はあった。
しかし、『戦艦ポチョムキン』は、ロケの映像、スタジオで撮った映像等を、縦横無尽につなぎ合わせている。
モンタージュ技法だ。
ミニチュア撮影も使われている。
水兵達は、司令官昇降口を通ったという理由で、司令官から銃殺を命じられる。
だが、いったい人の命を何だと思っているのか。
理不尽な支配階級の命令。
ついに、一人の水兵が、銃を構えた兵士達に呼び掛ける。
抑圧された人間の怒りが、ガマンの限界を超えて噴出する瞬間。
僕は共産主義者ではないが、「革命」に至る民衆の気持ちは非常によく分かる。
僕もプロレタリアートなので、シンパシーはある。
共産党宣言』も『蟹工船』も読んだが、当時のプロレタリアートの惨状は察するに余りある。
ただ、ロマノフ王朝を妥当したところまでは良かったが、その後の社会主義の壮大な実験は結局、失敗に終わる。
国王や貴族や地主がいなくなっても、今度は共産党が新たな支配階級になる。
声の大きい者が、新たな支配者になる。
皇帝を打倒しても結局、レーニンスターリンが新たな皇帝になる。
マルクスの理論に人間を従わせるために、監視社会になる。
こうなると、全体主義と同じだ。
でも、僕は、それでも人間は平等だと信じたい。
天皇制にも反対である。
たとえ、立憲君主制という形であっても、生まれながらに人間の階級が法律で定められているなんておかしい。
既に破綻しかかっているが、早晩、こんな制度は消滅するのが歴史的必然である。
何で、21世紀にもなって、未だに特権階級が維持されているのか、さっぱり分からん。
僕は、共和制がいいと思っている。
日本では、長年の圧政・失政に対して、どうして暴動が起きないのか。
日本人は権力に対して従順過ぎる。
話しを元に戻そう。
ついに、水兵の反乱が勃発する。
船には、銃殺刑を処される兵士達に祈りを捧げるために神父が乗っているが。
この神父も、「キリストなんかクソ食らえ!」とばかりにボコボコにされる。
共産主義は宗教を否定しているからな。
まあ、僕も完全な無神論者だが。
この神父は、まるで麻原彰晃みたいな格好をしている。
ちなみに、演じているのはエイゼンシュテイン自身らしい。
水兵の怒りは、これまで自分達を痛め付けて来た上官や司令官に向くが。
これは無理からぬことではあるが、実際には、上官達も、自分達の任務を忠実に遂行していただけなのだろう。
ナチスだってそうだった。
では、悪いのは誰か?
難しい問題だ。
で、水兵達は勝利する。
そりゃ、これまでは大人しく言うことを聞いて来たが、上官より兵士の方が圧倒的に人数が多いからな。
が、最初に立ち上がった水兵が死んでしまう。
ポチョムキン号はオデッサの港に立ち寄り、亡くなった水兵は港のテントに横たわる。
噂を聞き付けた町の人々が続々と弔いにあつまる。
老若男女。
あらゆる階層の人達が。
このエキストラの数のすごいこと。
さすが、旧ソ連が国家の威信を賭けて作った映画だけある。
「圧制者に死を!」
で、「皆は一人のために。一人は皆のために」という合言葉。
僕が中学生の時、このキャッチ・フレーズが、学校の体育祭でクラスの標語だったが。
まあ、教職員組合が異様に強い学校だったからな。
今では考えられない。
で、映画史上有名なオデッサの階段のシーン。
アンタッチャブル』でもオマージュ(という名のパクリ)されていたな。
乳母車が階段を転がり落ちて行く。
赤ん坊が本当に乗っているよ。
児童虐待だ!
これも、今では撮れないシーンだろうな。
大掛かりな爆破シーンもある。
本作には、特に決まった主人公もおらず、完全な群像劇である。
リーダー的な水兵も、前半で死んでしまうしな。
だから、ドラマチックな内容ではない。
字幕による説明は最小限で、映像に語らせている。
共産主義プロパガンダ映画ではあるが、今見ても、圧倒的な映像の力がある。
社会主義は失敗したが、かと言って、プロレタリアートの窮状が改善された訳ではない。
いや、むしろ、格差・貧困はますます大きくなっている。
今こそ、万国の労働者は団結しなければ。
なお、僕はロシア語の字幕は全く読めない。
戦艦ポチョムキン
「第1章 人々とうじ虫」
『革命とは戦争である。歴史の知る中で唯一合法的かつ真に偉大な戦争である。その戦争がロシアで布告され、開始されたのだ。レーニン(1905)』
「マチュシェンコとワクリンチュク」
『おれたち水兵も労働者と共闘し、革命の最前線に立つべきだ。』
「仮眠中の当直の夢は重苦しい。」
「まぬけな上官もいる。」
「腹いせは若い水兵が受ける。」
『ちくしょう…。』
「ワクリンチュク」
『同士諸君、おれたちにも発言すべき時が来たのだ。』
『全ロシアが立ち上がったのに、傍観者でいいのか?』
「朝」
『腐った肉など、だれが食うものか。』
『犬だって見向きもしないぜ。』
「艦医スミルノフ
『うじが目に入らんのですか?』
『うじではない。』
『ハエの幼虫だ。塩水で洗い流せば大丈夫だ。』
『敵の捕虜食の方がましです。』
『腐ったものは、もうたくさんだ。』
『上等の肉だ。何の問題もない。』
「先任士官ギリャロフスキー」
「煮え立つスープ」
「うっ積した怒りがあふれ始めた。」
「艦内酒保」
『水兵たちがスープを拒否しました。』
『日々の糧を今日も我らに』
「第2章 甲板上のドラマ」
『総員、上甲板へ集合』
「司令官ゴリコフ」
『スープに満足した者は2歩前に出よ。』
下士官たち」
『出るのだ。』
『出ない者は帆桁につるす。』
『衛兵を呼べ。』
「砲塔に集まるよう、仲間に呼びかけるマチュシェンコ」
『砲塔へ』
『砲塔へ』
『砲塔へ』
『みんな、行こう。』
「大部分の水兵は砲塔の近くに集まった。」
『止まれ、勝手に動くな。』
「水兵数名が司令官昇降口を通ろうと…」
『下がれ、ばか者、そこはわし専用だ。』
『貴様らは皆、銃殺だ。』
『やつらに帆布を』
『わかりました。』
『かぶせろ。』
『気をつけ。』
『神よ、反逆者に慈悲を』
『目標、帆布…射撃用意』
「決意するワクリンチュク」
『撃て。』
『兄弟!』
『だれを撃つ気だ。』
「震える銃身」
『撃て。』
『撃て。』
『腰抜けめ。』
『銃を奪い取れ。』
『悪魔を殺せ。』
『皆殺しにしろ。』
『神をおそれよ。』
『くそ食らえ。』
『海の底でうじのエサになれ。』
『兄弟、おれたちの勝利だ。』
「ワクリンチュクをねらうギリャロフスキー」
『ワクリンチュクが落ちる。』
『ワクリンチュクを助けろ。』
「蜂起の第一声を上げた彼は悪魔の手で最初に倒れた。」
「港へ」
オデッサ
「防波堤のテント――ワクリンチュクの最後の家」
『ひとさじのスープのために』
「第3章 死者の呼びかけ」
「夜になって霧が出始めた。」
以下、後半。

Battleship Potemkin (1925) - Trailer

『フランクリン自伝』を原書で読む(第6回)

(テキスト5ページ、2行目~)

A dealer in old books met with them, and knowing me by my sometimes buying of him, he brought them to me.

dealer(名)(~の)~商 ・a dealer in antiques 骨董(こっとう)商
in(前)(性質・能力・芸などの分野を限定して)~において、~が
old(形)古い(⇔new)
meet with ~(不慮の事態・不幸など)に遭遇する
know(他)(人と)知り合いである、懇意である、交際している
by(前)(手段・方法・原因・媒介を表わして)(doingを目的語にして)(~すること)によって
my(代)私の
buy(自)物を買う、買い物をする
of(前)(起源・出所を表わして)~から、~の
to(前)(方向を表わして)(到達の意を含めて)~まで、~へ、~に

It seems my uncle must have left them here when he went to America, which was about fifty years since.

it(代)(非人称動詞(impersonal verb)の主語として)(特にさすものはなく、従って訳さないで文の形式的主語となる)/(seem that ~の主語として)(thatは略されることがある)
seem(自)(itを主語として)(~には)(~のように)思われる(+that)
must(助動)(当然の推定を表わして)(must have+ppで過去についての推定を表わして)~したにちがいない
leave(他)(副詞句を伴って)(人・ものを)(~に)置いていく
when(接)~する時に、~時(時を表わす副詞節をつくる)
America(名)北アメリカ、北米
which(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)(主格・目的格の場合)そしてそれは(を)
above(前)(基準・数量など)~を超える(て)
fifty(形)(基数の50)50の、50個の、50人の
since(副)(通例完了形の動詞に伴って)(その時)以来(ずっと)、それ以来(ずっと今まで)

There are many of his notes in the margins.

there(副)(thereは形式上主語のように扱われるが、動詞の後に通例不特定のものや人を表わす主語が続く/「そこに」の意味はなく、日本語ではthere isで「~がある」の意になる)/(beを述語動詞として)
many(代)(複数扱い)多数(の人、もの)(of)
of(前)(分量・内容を表わして/数量・単位を表わす名詞を前に置いて)~の
his(代)彼の
note(名)(しばしば複数形で)覚え書き、メモ
margin(名)(ページなどの)余白、欄外、マージン ・in the margin 余白に

This obscure family of ours was early in the Reformation, and continued Protestants through the reign of Queen Mary, when they were sometimes in danger of trouble on account of their zeal against popery.

this(形)(指示形容詞)この(⇔that)/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)
obscure(形)(人・物など)世に知られない
family(名)(血縁関係のある)一家、一族、一門
ours(代)(of ~で)我々の(ourはa、the、this、that、noなどと並べて名詞の前に置けないからof oursとして名詞の後に置く)
early(副)(時間・時期的に)早く
in(前)(行為・活動・従事を表わして)~して、~に従事して
reformation(名)(the Reformation)宗教改革
Protestant(名)新教徒、プロテスタント
through(前)(始めから終わりまでを表わして)(時間・期間)じゅう
reign(名)治世、御代(みよ)・in(during)the reign of Queen Victoria ビクトリア女王の代に
Mary I(名)メアリー1世(1516-58/英国女王(1553-58)/新教徒を迫害したのでBloody Maryともいわれる)
when(副)(関係副詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)(~すると)その時
in(前)(状態を表わして)~の状態に(で)
trouble(名)災難、不幸、危険
on account of ~ ~のため、の理由で(=because of)
their(代)彼ら(彼女ら)の
zeal(名)熱心、熱中
popery(名)カトリック(制度)

They had got an English Bible, and to conceal and secure it, it was fastened open with tapes under and within the cover of a joint-stool.

get(他)(~を)(~から)(努力して)得る、手に入れる
English(形)英語の
Bible(名)(the ~)(キリスト教の)聖書、バイブル(the Old Testament(旧約)およびthe New Testament(新約)/ユダヤ教では旧約だけをさす/ホテルの客室に置いてあることが多い)
conceal(他)(ものなどを)隠す、見えないようにする
secure(他)(~を)安全にする、守る
fasten(他)(ものを)しっかり留める、くくりつける
open(形)(本・包み・傘など)開いた、あけた
with(前)(道具・手段を表わして)~を用いて、~で
tape(名)平打ちひも、さなだひも、テープ
under(前)(位置を表わして)~の内側(内部)に
within(前)~の内に、~の中に
cover(名)おおい、カバー
joint stool 組立て椅子

When my great-great-grandfather read it to his family, he turned up the joint-stool upon his knees, turning over the leaves then under the tapes.

great(形)(ハイフンを付して)1代遠い親等の(1代遠ざかるごとにgreatを1つ増やしていう)・great-great-great-uncle 大おじの祖父
great-grandfather(名)曾祖父、ひいおじいさん
read(他)(文・論文などを)読み上げる、音読する
to(前)(行為・作用の対象を表わして)~に対して、~に
turn up あおむけにする
knee(名)(座った時の)ももの上側、ひざ(lap)
turn over(ページを)めくる
leaf(名)(書物の)1枚、1葉、2ページ

One of the children stood at the door to give notice if he saw the apparitor coming, who was an officer of the spiritual court.

one(代)(単数形で)(特定の人(もの)の中の)一つ、1個、一人(of)
of(前)(部分を表わして)~の中の
door(名)(通例単数形で)戸口、門口、(扉を備えた)出入り口、玄関(=doorway)
give(他)(~に)(注意・考慮などを)向ける、払う
notice(名)注意、注目
if(接)(仮定・条件を表わして)もしも~ならば、~とすれば/(現在・過去・未来の実現の可能性のある事柄について推量する場合)(この場合には未来(未来完了)のことでもif節には現在(現在完了)時制を用いる)
see(他)(~を)見る、(~が)見える(+目+doing)
apparitor(名)(昔の行政官庁・宗教裁判所の)伝達吏、下役人
who(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)そしてその人は
officer(名)(しばしば修飾語を伴って)(~)役人、(~)官、(~)吏
spiritual court(名)教会裁判所(=ecclesiastical court)

In that case the stool was turned down again upon its feet, when the Bible remained concealed under it as before.

in that case もしそうなら、万一そんなことがあれば
stool(名)スツール(ひじ掛け・背のない腰掛け)
turn down(~を)(下に)折りたたむ、折り返す
again(副)元の所(状態)へ
on one's feet 立って
when(接)(主節の後にwhenの導く従属節がくる時文脈上で)(~すると)その時
remain(自)(~の)ままである、相変わらず(~)である(+補)
as before 前のとおりに

This anecdote I had from my uncle Benjamin.

anecdote(名)逸話、逸事
have(他)(情報などを)入手する(している)、聞いて知(ってい)る
from(前)(出所・起源・由来を表わして)~から(来た、取ったなど)
Benjamin(名)ベンジャミン(男性名/愛称Ben、Benny)

The family continued all of the Church of England till about the end of Charles the Second's reign, when some of the ministers that had been outed for non-conformity holding conventicles in Northamptonshire, Benjamin and Josiah adhered to them, and so continued all their lives: the rest of the family remained with the Episcopal Church.

all(代)(複数扱い)(all of the ~で)すべて、みんな
Church of England(the ~)英国国教会、英国聖公会
till(前)(動作・状態の継続の期限を表わして)~まで、~になるまで、に至るまで(ずっと)
Charles II チャールズ2世(1630-85/Charles1世の子、王政回復後の英国王/the Merry Monarchともいう)
some(代)多少、いくぶん
minister(名)(プロテスタント教会の)聖職者、牧師((英)では非国教会派と長老派の聖職者にいう)
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(~する(である))ところの/(主語として)
out(他)(~を)追い出す
for(前)(原因・理由)~の理由で、~のため(=because of)
nonconformity(名)国教を遵奉しないこと、非国教主義
hold(他)(会などを)催す
conventicle(名)(英国16-17世紀の非国教徒またはスコットランド長老派の)秘密集会(礼拝)
in(前)(場所・位置・方向などを表わして)~において、~で ・in London ロンドンで(に)
Northamptonshire(名)ノーサンプトンシャー州(イングランド中部の州/州都Northampton)
Josiah(名)ジョサイア(男性名)
adhere(自)(規則・原則・合意事項などに)忠実に従う、つき従う、遵守する、(考え・信仰などを)(忠実に)支持(信奉)する(to)
to(前)(適合・一致を表わして)~に合わせて、~どおりに
so(副)(接続詞的に/and soとして)それゆえ、だから、それで
continue(自)(~を)存続する、守り続ける
life(名)生涯、一生、寿命 ・all one's life 一生のうちに、生まれてから(このかた)
rest(名)(the ~)(複数扱い)残りの(その他の)人々(of)
remain(自)(通例副詞句を伴って)とどまる、滞在する
with(前)(同期・賛成を表わして)~に賛成して、~に
Episcopal(形)監督派の、英国国教会派の ・the Episcopal Church 監督教会(米国聖公会およびスコットランド聖公会
Church(名)(教派の意味で)教会

Josiah, my father, married young, and carried his wife with three children into New England, about 1682.

marry(自)(~で)結婚する(+補)・He married very young. 彼はずいぶん若い時に結婚した。
three(形)(基数の3)3の、3個の、3人の
New England(名)ニューイングランド(米国東北部の地方/Connecticut、Massachusetts、Rhode Island、Vermont、New Hampshire、Maineの6州から成る)
about(副)(数詞を伴って)およそ、約~

The conventicles having been forbidden by law, and frequently disturbed, induced some considerable men of his acquaintance to remove to that country, and he was prevailed with to accompany them thither, where they expected to enjoy their mode of religion with freedom.

forbid(他)(~を)禁止する、許さない、(~の)使用(持ち込み(など))を禁止する
frequently(副)しばしば、たびたび、頻繁に
disturb(他)(人の(行動などを))じゃまをする
induce(他)(人を)勧誘して(~する)気にさせる、(人に)説いて(勧めて)(~)させる(+目+to do)
considerable(形)(量・数が)かなりの、相当な、少なからぬ(=substantial)
man(名)(男女を問わず一般に)人、人間
acquaintance(名)知人、知り合い、知己(友人ほど親密ではなく仕事などの関係で知っている人にいう)
remove(自)(~から)(~へ)移動する、移転する(to)
that(形)(指示形容詞)(遠方の時・所をさして)あの、あちらの、その(⇔this)
country(名)(通例修飾語を伴って)(地勢的に見た)地方、地域、土地
prevail(自)説き伏せる(with)(+to do)・I was prevailed upon to go with him. 説き伏せられて同行した。
with(前)(処置・関係の対象を導いて)~に対して、~について、~にとっては
accompany(他)(人が)(別の人に)同行する、ついていく
thither(副)(古)あちらへ、そちらへ
where(副)(関係副詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)そしてそこに(で)
expect(他)(きっと)(~(する)だろうと)思う(+to do)
mode(名)方法、様式、様態、流儀(of)
religion(名)信心、信仰
with(前)(様態の副詞句を導いて)~を示して、~して
freedom(名)自由

By the same wife he had four children more born there, and by a second wife ten more, in all seventeen; of which I remember thirteen sitting at one time at his table, who all grew up to be men and women, and married; I was the youngest son, and the youngest child but two, and was born in Boston, New England.

by(前)(親としての男(女))から生まれた ・He had a child by his first wife. 彼には先妻の子が一人いた。
have(他)(ある関係を表わして)(肉親・友人などが)いる、(~が)ある ・They have two children. 彼らに2人の子供がいる。
four(形)(基数の4)4の、4個の、4人の
more(副)そのうえ、なおまた
born(形)(人などが)生まれて
second(形)(序数の第2番)もうひとつの、別の、代わりの
ten(代)(複数扱い)10個(人)
in all 全部で、合計で(=altogether)
seventeen(代)(複数扱い)17個、17人
remember(他)(~を)覚えている、記憶している(+doing)
thirteen(代)(基数の13)(複数扱い)13個(人)
at a time 一度に
at table 食事について ・sit at table 食卓につく
who(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)そしてその人は
all(代)(複数扱い)(同格にも用いて)だれも、みな(通例代名詞の場合に用いる)
grow up(人が)成人する ・grow up to be ~ 成長して~になる
marry(自)結婚する、嫁ぐ
young(形)(比較級・最上級を用いて)(年齢の上下関係を示して)年下の
but(前)~のほかに(の)、~を除いて(た)(=except)
two(代)(複数扱い)二つ、2個(人)
Boston(名)ボストン(米国Massachusetts州の州都)

My mother, the second wife, was Abiah Folger, daughter of Peter Folger, one of the first settlers of New England, of whom honorable mention is made by Cotton Mather, in his church history of that country, entitled Magnalia Christi Americana, as "a godly, learned Englishman," if I remember the words rightly.

second(形)(序数の第2番)(通例the ~)第2(番目)の
Folger(名)フォルジャー
Peter(名)ピーター(男性名/愛称Pete)
settler(名)(初期の)植民者、移民、移住者
of(前)(関係・関連を表わして)~の点において、~に関して、~について
whom(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)そしてその人(たち)を(に)
honorable(形)(人・行為が)尊敬すべき、志操の正しい、高潔な
mention(名)言及、陳述、記載 ・make mention of ~をあげる、~に言及する、~を取り立てて言う
make(他)(目的語に動作名詞を伴って、動詞と同じ意味をなして)(~を)する、行なう(同じ意味の動詞より、この表現のほうが1回だけの行為であることが強調される)
Cotton コットン
in(前)(範囲を表わして)~において、~内で
church(形)教会の
entitle(他)(本などに)(~という)表題をつける、(本を)(~と)題する(しばしば受身)(+目+補)
※Magnalia Christi Americanaアメリカにおけるキリストの大いなるみ業(わざ)」
as(前)~として
godly(形)神を敬う、信心深い、信仰の厚い
learned(形)学問(学識)のある、博学な、博識な
Englishman(名)イングランド人、(俗に)イギリス(本国)人、英国人
word(名)(しばしば複数形で)(口で言う)言葉
rightly(副)正確に ・If I remember rightly 記憶に間違いなければ、確か

I have heard that he wrote sundry small occasional pieces, but only one of them was printed, which I saw now many years since.

hear(他)(ニュースなどを)聞き知る、聞かされている、話に聞く(+that)
that(接)(名詞節を導いて)(~)ということ/(目的語節を導いて)
sundry(形)主種様々の、雑多な
occasional(形)(証文・音楽など)特別な場合のための
piece(名)1編の作品(詩、散文、作曲、劇)、1枚の絵、1個の彫刻(など)
only(副)(数量を修飾して)わずか、ほんの~だけ
now(副)(過去時制の動詞とともに)(物語の中で)今や、そのとき、それから、次に

It was written in 1675, in the home-spun verse of that time and people, and addressed to those then concerned in the government there.

in(前)(時間を表わして)~(のうち)に、~の間、~中
in(前)(道具・材料・表現様式などを表わして)~で、~でもって
homespun(形)質素な、素朴な、粗野な、月並みの
verse(名)(文学形式としての)韻文(=poetry/⇔prose)・write in verse 韻文で書く
time(名)(特定の)時、時期
people(名)(通例修飾語またはtheを伴って)(特定の場所・階級・団体・職業・民族などに属する)住民、人々
address(自)(廃)話しかける(to)
those(代)(指示代名詞)(修飾語句を伴って)(~の)もの、人々(⇔these)
concerned(形)(または名詞の後で)関係している、関心を持って(in)
in(前)(所属・職業を表わして)~して、~に

It was in favor of liberty of conscience, and in behalf of the Baptists, Quakers, and other sectaries that had been under persecution, ascribing the Indian wars, and other distresses that had befallen the country, to that persecution, as so many judgments of God to punish so heinous an offense, and exhorting a repeal of those uncharitable laws.

in favor of ~ ~に賛成して、に味方して(⇔against)
liberty(名)(行動の)自由、権利(of)
conscience(名)良心、道義心、善悪の観念 ・freedom of conscience 良心の自由
in behalf of ~ ~のために
Baptist(名)(the Baptists)バプテスト派、浸礼派(幼児洗礼を認めず、成人して信仰告白をした人にのみ全身洗礼を行なうべきだと主張する)
Quaker(名)クエーカー教徒(George Foxが創始したキリスト教の一派the Society of Friendsの会員/絶対平和主義者として知られる)
sectary(名)党派(分派)に属する人、(特に)熱心な信徒
under(前)(治療・攻撃・試練・刑罰など)を受けて
persecution(名)迫害、虐待
ascribe(他)(結果などを)(~の)せいにする(=attribute)(to)
Indian(形)アメリカインディアンの
distress(名)苦境、窮地、災難、貧苦
befall(他)(よくない事が)(人・ものに)起こる、降りかかる
that(形)(指示形容詞)(対話者同士がすでに知っているもの・人・量をさして)あの
as(接)(原因・理由を表わして)~だから、~ゆえに
so many ~ そんなにたくさんの
judgment(名)(~への)(~に対する)(神の裁きとしての)天罰、災い
of(前)(主格関係を表わして)(動作の行為者、作品の作者を表わして)~が、~の
punish(他)(人・罰を)(~のかどで)罰する、こらしめる
so(副)(程度を表わして)それ(これ)ほど、そんな(こんな)に、これくらい ・I have never seen so beautiful a sunset. 今までこんなにきれいな夕日を見たことがない。(不定冠詞の位置に注意)
heinous(形)(悪人・悪行が)憎むべき、極悪(凶悪)な
offense(名)(社会的・道徳的な規範を)犯すこと、違反、罪
exhort(他)(改革などを)唱道する
repeal(名)(法律の)廃止、取り消し、撤廃
of(前)(目的格関係を表わして)(しばしば動作名詞または動名詞に伴って)~を、~の
uncharitable(形)無慈悲な、(情け)容赦のない
【参考文献】
The Autobiography of Benjamin Franklin (Dover Thrift Editions)』Benjamin Franklin・著
フランクリン自伝 (中公クラシックス)』渡邊利雄・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
リーダーズ・プラス』(研究社)
新英和大辞典 第六版 ― 並装』(研究社)