『錨を上げて』

この週末は、ブルーレイで『錨を上げて』を見た。

1945年のアメリカ映画。
いつも思うことだが、この時代にこんな映画を作っていたとは、アメリカはスゴイ。
監督はジョージ・シドニー
主演は、『踊る大紐育』『巴里のアメリカ人』のジーン・ケリー、『踊る大紐育』『地上より永遠に』のフランク・シナトラ
MGM、テクニカラー、スタンダード・サイズ。
有名なテーマ曲。
艦上で演奏する水兵の楽団から始まる。
指揮は高名なホセ・イタルビ。
水兵のジョゼフ・ブラディ(ジーン・ケリー)とクラレンス・ドゥーリッツル(フランク・シナトラ)は、功績により勲章をもらい、4日間の特別休暇を与えられる。
陽気で行動的なジョゼフは、恋人のローラと会うためにハリウッドへ向かうことに。
二人のあまりのはしゃぎっぷりは、多少同僚の反感を買う。
ミュージカルなので、彼らが歌って踊る場面はたっぷり出て来る。
何せ、2時間半近くある大作だ。
公衆電話の前に行列が出来ている。
ローラに電話を掛けるジョゼフ。
ハリウッド行きのバスに乗る二人。
クラレンスも女の子とデートをしたいが、女の扱いに自信がない。
そこで、ジョゼフに教えろと。
突然、二人は警察に連れて行かれる。
ドナルドという男の子が海軍に志願したがって家出をして来たから、家へ帰るように説得してくれと頼まれる。
で、何の因果か、二人はドナルドを家まで送ることに。
ジョゼフは、ローラに「少し遅れる」と電話をする。
ドナルドの唯一の身寄りである伯母のスーザン(キャスリン・グレイソン)が帰宅した。
彼女は売れない歌手であったが、イタルビに憧れていた。
若くて美人なスーザンに恋心を抱くクラレンス。
ジョゼフは結局、デートの約束をすっぽかしてしまった。
しかし、二人は、さもうまく行ったかのように仲間に話す。
ジーン・ケリーフランク・シナトラのタップ・ダンス。
翌日、ジョゼフは大幅に寝過ごしてしまい、ローラに謝りの電話を掛けたものの、切られてしまう。
クラレンスが起こしてくれなかったと激怒。
二人は再び、スーザンの家へ。
彼女は、普段は映画のエキストラをしていた。
不器用なクラレンスは、自分の思いをうまく伝えられない。
だが、友達にはなれそうだと思った所へ、金持ちそうな中年のオッサンが車で彼女を迎えに来る。
二人は、この「恋のライバル」を何としても阻止しなければと思い、スーザンについて、あることないことを吹き込む。
オッサンは怒って帰ってしまうが、彼は、実は実力者の息子で、スーザンをイタルビに紹介しようとしていたのであった。
苦労して、やっと作った機会をぶち壊されて、スーザンは泣く。
ジョゼフは、とっさに「クラレンスはイタルビの友達だ」と出まかせを言う。
ジョゼフ、クラレンス、スーザンは3人で食事へ。
辿り着いたレストランは、スーザンの職場でもあった。
レストランで歌うスーザン。
これも有名な曲だ。
ジョゼフが席を外す。
クラレンスは、スーザンと二人になると話せない。
ジョゼフとスーザンが踊る。
スーザンは、どうやらジョゼフのことを気に入っているようだ。
一方、歌うクラレンスに見とれる店のウェイトレス。
クラレンスとウェイトレスは、同じブルックリンの出身でもあった。
クラレンスは、彼女の前だと、気を遣わずに話せる。
さあ、4人の恋の行方は如何に?
後半では、ジーン・ケリーとアニメ(『トムとジェリー』のジェリー)の共演がある。
当時としてはスゴイ技術だったろう。
話しの焦点は、ハッタリ野郎のジョゼフが、最後にどう落とし前を付けるか。
それから、フランク・シナトラはいい声である。
本作で使われているのは、誰でも一度は耳にしたことがあるような有名な曲ばかりだ。
余談だが、ジーン・ケリーが『ロミオとジュリエット』に言及するシーンがある。
クライマックス、壮大なセットとジーン・ケリーの大立ち回りが見もの。
更に、キャスリン・グレイソンのソプラノもスゴイ。
それにしても、何てご都合的な結末だろう。
まあ、コメディ・タッチのミュージカルだから、これでいいのかも知れないが。
本作の実質的な主役は、ホセ・イタルビではないか。