この週末は、ブルーレイで『ハリーの災難』を見た。
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2013/09/04
- メディア: Blu-ray
- この商品を含むブログ (5件) を見る
監督は、『裏窓』『泥棒成金』『めまい』『北北西に進路を取れ』『サイコ』『鳥』『フレンジー』『ファミリー・プロット』のアルフレッド・ヒッチコック。
音楽は、『めまい』『北北西に進路を取れ』『鳥』『タクシードライバー』のバーナード・ハーマン。
衣装は、『裏窓』『泥棒成金』『十戒』『めまい』『鳥』『明日に向かって撃て!』『大空港』『スティング』『ファミリー・プロット』のイーディス・ヘッド。
主演は、『放射能X』のエドマンド・グウェン。
共演は、『チャンス』のシャーリー・マクレーン。
テクニ・カラー、ヴィスタ・ヴィジョン。
画質は素晴らしい。
軽快ながら、やや不気味なテーマ音楽。
舞台はアメリカ・ヴァーモント州。
もみじが美しい景色。
機関銃のオモチャを持った一人の男の子アーニー・ロジャース。
本物の銃声に驚く。
地面に、スーツ姿の男の死体が横たわっているのを見付ける。
キレイな革底の靴。
ウサギ狩りに来た元船長のアルバート・ワイル(エドマンド・グウェン)も死体を見付ける。
「わしがやったのか?」
要するに、ウサギを撃ったつもりが、人間を撃ってしまったんだな。
動転して、死体を動かそうとすると、ミス・グレヴリー(ミルドレッド・ナトウィック)という中年女性に見付かってしまう。
「これは事故だ」と説明するアルバート。
そこへ、アーニーがママのジェニファー(シャーリー・マクレーン)を連れて来る。
アルバート達、急いで隠れる。
シャーリー・マクレーンが、今の姿からは信じられない程、キレイだ。
「ハリー、こんな姿になって。」
ジェニファーは、死体の男を知っているようだ。
親子が立ち去ると、今度は初老の紳士が本を読みながら歩いて来る。
医者のグリーンボーだ。
死体につまづくが、本に夢中で、気付かない。
アルバート達は、隠れて様子を見ている。
今度は、ホームレス風のじいさん登場。
このじいさんは靴を履いていない。
死体から、おあつらえ向きの立派な革靴を盗む。
素足に革靴とは、石田純一か。
戦争は文化じゃない。
今度は、売れない絵描きのサム・マーロウ(ジョン・フォーサイス)が歌いながら歩いて来る。
よろず屋でサムの絵も売っているのはウィッグス夫人。
その息子のカルビンは保安官代理で、ボロ車を乗り回すのが趣味。
こいつが、小さな集落の中では「オレが法律だ」などとのたまう。
「狩りは禁止だ。」
ミス・グレヴリーは、アルバートと自宅で食事をする約束をした。
中年女性の恋か。
だが、彼女はどう見ても42歳には見えない。
僕の細君は43歳だが、どう見てもミス・グレヴリーの方が老けている。
彼女は、アルバートがやって来るのに備えて、ウィッグス夫人の店で大きめのカップを買う。
ウィッグス夫人は、そんな彼女のために、髪の毛を切ってあげる。
その頃、店の外に飾られているサムの絵を、高級車でやって来た金持ちそうな初老の紳士が熱心に見ている。
しかし、店員がいないので、買えない。
サムはスケッチ・ブックを抱えて、先程の死体の辺りへ。
腰を降ろして、風景画を描こうとした時に、死体に気付く。
サムは、死体をスケッチしようとする。
隠れていたアルバートが、それを止めに来る。
アルバートがサムに事情を話す。
で、二人は死体を隠そうとする。
そこへ、またグリーンボーが本を読みながら歩いて来て、死体につまづく。
「これは失礼。」
だが、死体だとは気付かない。
医者なのに。
本作では、人が一人死んでいるというのに、周りの人間は、誰もこの死人には関心がない。
そこがブラックなコメディなのであるが。
アルバートが村へ戻ると、州警察の車が止まっている。
ヒッチコック映画にありがちな、脅しの手法。
アルバート、手に持っていたライフルを隠しながら、そろりそろりと車の横を通り過ぎる。
サムは、ジェニファーの家を訪ねる。
「あなたは美しい。絵のモデルになって下さい。」
古典的なナンパの手法だ。
彼女は、サムに身の上話をする。
死体のハリーは、実はジェニファーの夫であった。
けれども、ジェニファーはハリーが死んだことを気にしていない。
実は、ジェニファーの前の夫はハリーの弟ロバートであった。
それがアーニーの父である。
ロバートが死んだので、兄のハリーが無理矢理ジェニファーと結婚した。
彼女は、ハリーに愛情がないことを知って、初夜を抜け出し、実家へ。
そして、名前を変えて姿を隠した。
今朝、ハリーが家に来た。
それで、彼女は牛乳瓶で頭を殴った。
ハリーは森へ。
続いて、アルバートはミス・グレヴリーを訪ねる。
二人は、かねてからお互い秘かに想い合っていたことが分かった。
ところが、グレヴリーはアルバートに打ち明ける。
森の中でハリーに襲い掛かられたので、ハイ・ヒールのかかとで彼の頭を殴ったと。
さあ、本当にハリーを殺したのは誰だろうか?
後半は、この謎解きをメインに、4人がそれぞれの思惑を持って、死体を埋めたり掘り返したりを繰り返す。
その限りでは、コメディ・タッチである。
アメリカでは、死者を冒涜しているとして、あまり客が入らなかったそうだが。
まあ、日本人の感覚でもそうだろうが。
最初からブラック・コメディだと思って見れば、面白いかも知れない。
もちろん、最後にどんでん返しがある。
余談だが、アーニーの持っているウサギの死体は硬直している。