『ダーティ・メリー クレイジー・ラリー』

この週末は、ブルーレイで『ダーティ・メリー クレイジー・ラリー』を見た。

1974年のアメリカ映画。
監督はジョン・ハフ
主演は、『イージー・ライダー』のピーター・フォンダ
共演は、『原子怪獣現わる』のケネス・トビー、『史上最大の作戦』『クレオパトラ』『猿の惑星』『新・猿の惑星』『猿の惑星・征服』『ポセイドン・アドベンチャー』『最後の猿の惑星』『地中海殺人事件』のロディ・マクドウォール
アメリカン・ニュー・シネマの1本である。
内容的に、『バニシング・ポイント』と被るが。
カー・チェイスのシーンがメチャクチャ多い。
しかし、僕が子供の頃に読んだケイブンシャの大百科で、パニック映画関連の特集があったが、『バニシング・ポイント』は載っていたけれど、本作を見た記憶がない。
タイトル的に、『ダーティハリー』と間違えそうでもある。
まあ、そんなことはどうでもいいや。
20世紀フォックス
カラー、ワイド。
さわやかなテーマ曲。
ディーク・ソマーズ(アダム・ローク)が、ラリー・レイダー(ピーター・フォンダ)の家に車でやって来る。
ラリーは、ベッドで寝ているメリー・クーマズ(スーザン・ジョージ)は無視して、車に乗り込む。
猛スピードで発進。
ある家に着いた。
ディークが降りて、家の中へ押し入り、シャワー中の女性を襲う。
ラリーは車で工事現場へ。
すると、家で寝ていたメリーがいる。
「Hey! Ass Hole!」って、レディーが使う言葉じゃないよな。
一方、ディックは侵入した家の母親と娘を人質に取っていた。
母親を脅して、旦那のジョージ・スタントンの職場に連絡させる。
スタントンは町のスーパー・マーケットの支配人であった。
電話口で「脅迫されている! お金を渡して!」と叫ぶ妻に、狼狽するスタントン。
そこへ、ラリーが件のスーパーへ到着。
支配人室へ。
まんまとスタントンからカネを奪い取ったラリーは車へ。
すると、車内でメリーが寝ている。
仕方がないので、一緒に連れて行く。
普通、彼女を強盗の道連れにしたりしないと思うが、まあ、育ちのいい女ではないことは、言葉遣いで分かる。
後になると分かって来るが、主役の3人は、それぞれ過去を抱えている。
単なるカー・チェイス・アクションではなくて、人間ドラマとしても面白いというのが、本作のポイントだろう。
その頃、スタントン家の母親と娘は、口にガムテープを巻かれていた。
スタントンは、妻と娘に何かあるのが怖くて、警察に連絡出来ない。
だが、支配人室に入って来た女性従業員に、カネを盗まれたことがバレてしまった。
で、その間に、ラリーはスタントンの家にディークを迎えに行く。
3人で逃走。
スタントンが自宅に電話をすると、ディークの声でテープが応答するように仕掛けられていた。
時間稼ぎをして、その間に逃げるという魂胆だったんだな。
スタントンは急いで警察に電話をするが、その頃には、ヤツらはかなり遠くまで逃げていた。
ここで、ようやくラリーの経歴が明かされる。
彼は、優勝経験のあるレーサーだった。
だから、運転の腕はスゴイ。
で、相棒のディークはメカニック担当だった。
彼らは無線機を持っていて、警察の無線を盗聴していた。
逃走の車は68年型青のシボレーだと、既に警察にバレているようだ。
まあ、僕はクルマには疎いので、車種を言われても全く分からないが。
一方、スタントンの店には警察が来ていた。
捜査を指揮するエヴェレット・フランクリン部長(ヴィック・モロー)は、封鎖を解除して捜索を開始する。
のどかな田舎の光景の中で、カー・チェイスが繰り広げられる。
このフランクリンというのが、組織に従順でない、なかなかクセの強い人物であった。
だから、常にカール・ドナヒュー署長(ケネス・トビー)と対立していた。
けれども、フランクリンは自信満々で、「絶対に犯人を捕まえてやる!」と息巻いている。
で、早くもラリー達の車は警察に発見され、「バコラ地区へ向かえ!」という指示が出されていた。
ところが、そんな頃、ラリーとメリーは車内で痴話喧嘩。
運転中のラリーの肩にメリーが噛み付き、ハンドルを取られたラリーは車を農家に激突させ、運転不能に陥る。
警察は、ヘリを出して捜索していた。
ディークは、車を農家の小屋の中に隠して修理をしていた。
その間も、ラリーとメリーはケンカを続ける。
ラリーは彼女に「消えろ!」と叫ぶ。
メリーは泣きながら、その場を去る。
でも、「修理には彼女の手が必要だ」というディークの言葉で、ラリーはメリーに謝るフリをして、呼び戻す。
その頃、フランクリンは「オレのナワバリで勝手なことはさせん!」と息巻いていた。
警察官なのに、荒くれ者みたいだ。
このフランクリンという人の悪役っぷりがスゴイ。
アメリカン・ニュー・シネマというのは、無軌道な若者が権力と対立する。
主役は無軌道な若者だから、権力者側は悪役である。
悪役に凄みがあればあるほど、物語は盛り上がる。
で、ようやく車の修理が終わって、再び逃走開始。
途中、ラリーは雑貨屋の前で、「ディックの傷薬を買って来い」とメリーに命じ、彼女を降ろす。
そのまま、急発進。
足手まといの置き去りに成功したかと思いきや、逃走に必須の地図を彼女は持ち逃げしていた。
実は、彼女は元万引き犯という設定なんだな。
だから、この手癖の悪さ。
登場人物が生き生きとしている。
仕方がないので、ラリーはまたも彼女を呼び戻す。
車を走らせていると、パトカーとすれ違った。
はい、パトカーが追跡を開始する。
まあ、しかしながら、プロのレーサー相手じゃ、なかなか追い付けない。
パトカーは故障して、脱落。
ラリーの車は、跳ね上がり中の跳ね橋をジャンプする。
こんなシーンも、ピーター・フォンダはスタント無しで演じたとか。
この車は、スピードが出るように、ディークが改造したらしい。
フランクリンはいよいよ、犯人逮捕のために、自らが現場に乗り出してくる。
署長が制止するのも聞かずにだ。
で、今度は、蚤の市の会場にラリー達がやって来て、そこに駐車してあった69年型、イエロー・グリーンのダッジ・チャージャーを盗み、車を乗り換える。
警察組織内の対立だけではなく、ラリーとディークの、仲間同士の対立も描かれている。
実は、腕のいいディークが仕事を辞めるハメに陥ったのは、アル中が原因だった。
さあ、これからどうなる?
本作では、まるで『西部警察』みたいに、パトカーが何台もオジャンになる。
後半は、ヘリとの対決もある。
もちろん、CGなどない時代である。
アクションも命がけだ。
だからこそ、本物なのだ。
いやあ、この時代の映画は面白いね。
ラストは、ネタバレになるから言わないが、アメリカン・ニュー・シネマの定石通り。
無軌道な若者が権力と対立し、やがて破滅するのであった。