『七年目の浮気』

この週末は、ブルーレイで『七年目の浮気』を見た。

1955年のアメリカ映画。
監督は、『サンセット大通り』『麗しのサブリナ』『アパートの鍵貸します』のビリー・ワイルダー
音楽は、『イヴの総て』『西部開拓史』『大空港』のアルフレッド・ニューマン
撮影は、『イヴの総て』『めぐり逢い(1957)』『西部開拓史』『続・猿の惑星』のミルトン・クラスナー。
主演は、『イヴの総て』のマリリン・モンローと、トム・イーウェル。
共演は、『風と共に去りぬ』のイヴリン・キース、『戦争と平和(1956)』のオスカー・ホモルカ
昔、ヒロシ&キーボーの「3年目の浮気」というデュエット曲があった。
当時、僕は小学校4年生だったが、小学生でも口ずさめるくらい大ヒットした。
僕は、未だに歌詞を全部覚えている。
カラオケでも何度も歌った。
一人で男声と女声をオクターヴを変えて歌うとウケる。
で、その「3年目の浮気」のタイトルは、もちろん、この映画からパクったのである。
マリリン・モンローのスカートがめくれ上がるシーンで有名だ(ただし、パンツは見えない。)
20世紀フォックス
カラー、シネマ・スコープ。
華やかなテーマ曲。
カラーのモザイク模様のタイトル・バック。
マンハッタン島。
島の名前は先住民に由来。
彼らは、暑くなると、女子供は涼しい所に出掛け、男は島に残るという。
島に残った男は皆、若くてキレイな娘を追い掛ける。
時代は違えど、やることは同じ。
500年後の現代のニューヨーク。
三流出版社に勤めるリチャード(トム・イーウェル)は、駅で避暑に出掛ける妻子を見送る。
一人になると、キレイな女性を見ると追い掛けたくなるが…。
「ダメ、抑えて」と心の声。
タバコもダメ、酒もダメ。
健康のために菜食レストランで夕食を済ませ、自宅のアパートに戻る。
彼の部屋は1階だが、2階の部屋に、若くて可愛い娘(マリリン・モンロー)がいる。
2階の部屋の夫婦が夏の間、留守にするので、その間、部屋を借りたのだという。
リチャードは結婚してから7年目だが、この間、一度も浮気はしていない。
リチャードは、自分ではモテると思っている(しかし、これは妄想)。
避暑にも、入院した時の看護婦にも、妻の親友にも(もちろん、妄想)。
しかし、彼は強い理性も持っている(と思っている)。
夜10時になると、リチャードの元へ妻ヘレン(イヴリン・キース)から電話が掛かって来る。
こんなに監視され、酒もタバコも禁止されたら、そりゃストレスも貯まるだろう。
その時、2階から庭にトマトの鉢が落ちて来る。
最初は怒ったリチャードだが、落としたのが例の美女だと知って、デレデレになる。
「こっちで1杯どう?」と彼女を誘う。
「今夜だけ」と自分で言い訳しながら、リチャードは酒もタバコも解禁する。
ものすごくソワソワするリチャード。
BGMはラフマニノフ
やがて部屋に来る彼女。
マリリン・モンローはタバコを吸っている。
現代では、若いスター女優が映画の中でタバコを吸うことは、まず考えられない。
そこへ、タイミング悪く、管理人が絨毯を取り替えにやって来る。
「奥さんに頼まれた」のだという。
そんなことはどうでもいいから、明日にしろと追い返す。
管理人は、セルジュ・ゲンズブールみたいな、見るからにむさ苦しいオッサンだ。
そして、彼女がやって来る。
「酒はザル」だという。
リチャードは、彼女に対して「僕は独身」とウソをつく。
リチャードの部屋にはエアコンがある。
1955年のアメリカの中流家庭には、エアコンがあったのか!
我が家にエアコンが入ったのは1984年、僕が小学6年生の時だ。
もっとも、我が家は中流階級とは言い難かったが。
で、2Fのエアコンは壊れていると言って、無防備に涼む彼女。
リチャードはゴクリと唾を飲む。
人間は理屈通りには行かない。
彼女は、クラブを追い出され、モデルをし、今はCMモデルをしているという。
TVで歯磨きのCMだとか。
彼女が自分の部屋からシャンパンを持って来る。
つまみはポテチって、そんな組み合わせありか?
そこへ奥さんから電話。
「酔ってる?」と追求されるリチャード。
僕も細君によく聞かれる。
そういう時、男は必ず「酔ってないよ」と、明らかに酔っ払った口調で答え、それが火に油を注ぐのである。
そこへ、彼女がドレスに着替えてくる。
何度も着替える女だな。
まあ、この映画は、要するにマリリン・モンローのファッション・ショーなのだが。
シャンパンにズボンは合わない」って。
シャンパンにポテチの方が合わないような気がするが。
リチャードは、シャンパンの栓を抜こうとして指が瓶の口にはまり、結婚しているのが(指輪で)彼女にバレてしまう。
しかしながら、彼女はむしろ既婚者の方が安心出来るという。
「私を見る(独身の)男声は、みんな変なことを考える。」
彼女は結婚したくないのだという。
そんな彼女に、リチャードは必死で妻帯者の利点を説く。
リチャードは、ラフマニノフのレコードをかける。
彼女は、音楽には全く疎いのだという。
で、シャンパンにポテチをつまみながら、二人でピアノを弾く。
たまらず、リチャードは彼女にキスをしようとして、失敗。
でも、彼女は気にしていない。
だが、耐えられないリチャードは彼女を帰らせる。
後悔。
さあ、これからどうなる?
本作はコメディーである。
男の浮気心をからかっている。
まあ、気持ちは分からんでもない。
しかし、細君と一緒に鑑賞したので、気まずい。
そして、お色気映画である。
男の願望として、こういう頭のちょっと弱くて、ユルそうな(要するに、やらせてくれそうな)女の子が好きなんだというのが前提。
そんなことは初めから分かっている。
それ以上に、何か価値のある映画とも思えなかった。
余談だが、本作の中では、オスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』に言及される。
また、リチャードが彼女と一緒に観に行った映画は『大アマゾンの半魚人』である。
今も昔も、デートで観るのは、怪物の出る映画が定番なのか。