『赤い河』

この週末は、ブルーレイで『赤い河』を見た。

1948年のアメリカ映画。
監督は、『三つ数えろ』のハワード・ホークス
音楽は、『我が家の楽園』『スミス都へ行く』『見知らぬ乗客』『私は告白する』『ジャイアンツ』『ナバロンの要塞』『ローマ帝国の滅亡』のディミトリ・ティオムキン
主演は、『ホンドー』『アラスカ魂』『史上最大の作戦』『西部開拓史』『大列車強盗(1973)』『オレゴン魂』のジョン・ウェイン
共演は、『私は告白する』『地上より永遠に』のモンゴメリー・クリフト、『西部開拓史』のウォルター・ブレナン、『スパルタカス』『ローマ帝国の滅亡』のジョン・アイアランド、『スミス都へ行く』のハリー・ケリー
ユナイテッド・アーティスツ
モノクロ、スタンダード。
勇壮なテーマ曲。
最初に「テキサス州の年代史。「チザムの道」の開通の物語がある。世界最大の牛の大群を追う物語であり、ダンソンとガースの友情の物語であり、『赤い河 D』の物語である」という字幕が出る。
この時点では何のことだか、よく分からないが、見ている内に分かる。
更に、「テキサス州初期、1851年。トム・ダンスンはわたしグルートと加州に行く幌馬車隊に加わった。3週間後、テキサスの州境に来た時、南に広がる土地を見て…」という字幕が出る。
広大な荒野。
ダンソン(ジョン・ウェイン)が幌馬車隊を抜けるというので、隊が停まっている。
ジョン・ウェインが若い。
ダンソンが行こうとしているのはインディアンの土地だと反対されるが、彼は「オレの牧場の牛を育てる。オレは南へ行く」と言って、聞く耳を持たない。
ダンソンの恋人フェンは「私を連れて行って」と懇願するが、それも聞かない。
母の形見のブレスレットを渡し、彼女と別れる。
ダンソンは相棒のグルート(ウォルター・ブレナン)と、2頭の牛を連れて旅立つ。
赤い河に差し掛かる。
河の向こうはテキサスだ。
遥か彼方の地平線に煙を発見。
インディアンが幌馬車隊を襲撃したのだろう。
助けに行きたいが、遠過ぎる。
二人は、断腸の思いで救助を断念する。
ダンソンとグルートは川べりで宿泊する。
そこへ、インディアンが来襲。
火の矢が飛んで来る。
かろうじて撃退に成功するが、倒したインディアンの一人が、ダンソンがフェンに贈ったはずのブレスレットを付けているのを見付ける。
このブレスレットは、小道具として、この後も何度も登場する。
愕然とするダンソン。
やはり、一緒に連れて来れば良かったか。
翌朝、1頭の牛を連れた少年と出食わす。
聞けば、家族をインディアンに殺されたという。
少年の名は、マシュウ・ガース。
ダンソンは、彼を養子にして、一緒に連れて行くことにする。
テキサスを南へ。
そこはリオ・グランデ。
ダンソンは、「ここでオレの牛を育てる」と決意する。
そこへ、男が二人やって来る。
彼らは、「ここは、ドン・ディエゴの土地だ」と主張する。
しかし、ダンソンは意に介さない。
「川から北はオレの土地だと伝えろ」と告げる。
二人の内一人と撃ち合いになるが、早撃ちのダンソンが勝利。
遺体を葬る前に、ダンソンが聖書の一節を朗読する。
彼の聖書の朗読も、その後、何度も繰り返される(ということは、人が何人も死ぬということだが)。
ダンソンは、自分の牛に「赤い河 D」の烙印を押す。
2頭から始まった牛は、今や大群になっていた。
それから14年後。
ダンソンの牧場の牛は1万頭を超えていたが、南北戦争によって牛を買ってくれる業者がいなくなり、牧場の経営は火の車になっていた。
そこへ、青年になったマシュウ(モンゴメリー・クリフト)が帰って来る。
余談だが、モンゴメリー・クリフトトム・クルーズに似ている。
いや、トム・クルーズモンゴメリー・クリフトに似ていると言うべきか。
ダンソンは、牛を売れる所へ運ぶと言って、1万頭の牛を連れてミズーリ州へ行くという壮大(無謀)な計画を立てる。
途中、牧場主ミーカーの基を離れたチェリー・ヴァレンス(ジョン・アイアランド)を雇う。
ヴァレンスは、マシュウと銃の腕前を競う。
二人共、素晴らしい腕前であった。
マシュウとグルートは酒場へ。
そこで、インディアンも交えてカード・ゲームを。
賑わっている酒場。
そこへ、ダンソンがやって来る。
ダンソンは、そこにいる連中を牧童として雇う。
それにしても、スゴイ数の牛である。
地平線の果てまで牛の列が続く。
エキストラがたくさん出て来る映画はたくさんあるが、動物を大量に出すのは難しいと思う。
言うことを聞かないから。
CGもない時代に、これだけの数の牛を調教して撮影するというのは、大変な困難だっただろう。
ダンス・ウィズ・ウルブズ』のバッファローの大群もスゴイと思ったが、本作の方が比較にならないくらいスゴイ。
いよいよ出発だ。
過酷な旅で、馬でさえケガをする。
水飲み場があっても、厳しいダンソンは休むことを許さない。
ものすごいストイックさである。
30日でブラゾス川へ。
宿営。
今夜は牛が落ち着かない。
コヨーテの遠吠えが聞こえる。
こういう時は、ちょっとのきっかけで牛が暴れ出すという。
連中の中で、いつも砂糖を盗んで舐めるヤツがいるのだが、コイツがまた砂糖を盗もうとして、うっかり鍋やら何やらをひっくり返し、大きな音を立ててしまう。
それに反応して、1万頭の牛が大暴走を始める。
ものすごい暴走である。
大迫力だ!
よく撮ったもんだよ。
どうやって撮影したかを是非知りたいのだが、本ディスクにはメイキング映像も付いていないし、ネットで検索しても出て来ない。
ようやく収まったが、大量の犠牲が出、牛の屍の山。
300〜400頭は失ったようだ。
優秀な牧童のダン・ラティマー(ハリー・ケリー・ジュニア)も死ぬ。
ダンソンは怒り、「お前のせいだ」と砂糖野郎を撃とうとするが、マシュウが先に急所を外して撃つ。
砂糖野郎はかろうじて助かる。
それから10日後。
今度は雨。
40日は続くという。
食料が不足し、猛烈な雨で、連中の雰囲気も険悪に。
さあ、これからどうなる?
古き良き時代の、マルボロのCMに出て来そうなアメリカの風景である。
この後、牛の川渡りのシーンもある。
これも大変な撮影だっただろう。
後半、ダンソンが厳し過ぎて、マシュウを始めとする他の連中と決裂する。
まるで、主役が悪役のようになってしまう。
珍しいパターンだ。
線路を渡る牛の群れのシーンもある。
のどかな時代だったんだなあ。
ラストは結局、ご都合なハッピー・エンドだが。
まあ、そうでないと収集が付かない。
僕は、とりたてて西部劇に思い入れがある訳ではない。
本作にも、特別魅力を感じる訳ではないが。
とにかく、牛の大群がスゴイ。
それだけで見る価値がある。