『黄色いリボン』

この週末は、ブルーレイで『黄色いリボン』を見た。

黄色いリボン Blu-ray

黄色いリボン Blu-ray

  • 出版社/メーカー: IVC,Ltd.(VC)(D)
  • 発売日: 2019/11/29
  • メディア: Blu-ray
1949年のアメリカ映画。
監督は、『怒りの葡萄』『わが谷は緑なりき』『荒野の決闘』『幌馬車』『西部開拓史』の巨匠ジョン・フォード
製作は、『キングコング』『幌馬車』のメリアン・C・クーパー。
音楽は、『サムソンとデリラ』のヴィクター・ヤング
主演は、『赤い河』『ホンドー』『アラスカ魂』『史上最大の作戦』『西部開拓史』『大列車強盗(1973)』『マックQ』『オレゴン魂』の大スター、ジョン・ウェイン
共演は、『赤い河』『幌馬車』のジョアン・ドルー、『幌馬車』『ゲッタウェイ』『続・激突!/カージャック』のベン・ジョンソン、『幌馬車』のハリー・ケリー・ジュニア
カラー、スタンダード・サイズ。
威勢のいい音楽から始まる。
男達の合唱は例の有名な曲。
舞台は1867年のアメリカ。
「カスター将軍率いる第7騎兵隊の212人が戦死した。スーとシャイアン族は大暴れ。軍事電報は南西部まで訃報を伝えた。先住民たちの蜂起の恐怖が広範囲にわたって震撼した。第7騎兵隊の失敗が再度起これば、西部は百年前の無法地帯に戻る。カナダ国境からリオ・ブラボーまでの1万人の先住民キオワ、コマンチ、スーそしてアパッチ族らはクレージー・ホースの大酋長のもと団結し、騎兵隊と戦うべく結束を固めていった」というナレーション。
やや説明的過ぎる。
疾走する馬車。
ベン・ハー』みたいだ。
それを追って疾走する馬。
馬が馬車に追い付くと、馬車に乗っていた主計総監が殺されている。
馬車は暴走していたのだ。
主計総監の死がスタアク砦のブリトリス大尉(ジョン・ウェイン)に伝えられる。
ブリトリスは、あと6日で退役を迎えるのであった。
しかし、この頃のジョン・ウェインは、未だそんな年齢でもないだろう。
髪の毛は随分白くしているが。
主計総監の馬車から折れた矢が見付かる。
それはシャイアン族のものだった。
その頃、若くて少々頼りないペネル少尉(ハリー・ケリー・ジュニア)は、若くて気の強いオリヴィア(ジョアン・ドルー)を馬車に乗せてピクニックに出掛けようとしたところを、「女性は外出禁止です」と衛兵に止められる。
そこを通り掛かったブリトリスは、「オリヴィアを宿舎に送るから、一人でピクニックに行け」とペネルに告げる。
212人が戦死した。
ブリトリスは、亡くなった妻の墓前で、「退役したらカリフォルニアへ行きたい」と告げる。
そして、「カスター将軍の部隊が全滅したので、明日、シャイアン族を追い詰める」と。
最後の奉公だ。
そこへ、オリヴィアがやって来る。
ブリトリスに花を渡す。
シクラメンだ。
「いい娘だね、若い頃の君に似ている」と、奥さんになぞらえる。
コロッといかれてしまったブリトリスだが、この娘は、美人だが、そんなにいい娘には見えない。
翌朝、部隊に何故か幌馬車がある。
「偵察に(女の道具をいっぱい積んだ)幌馬車は要らん!」とブリトリスが告げると、「命令です。」
何と、隊長から、「家内(ミルドレッド・ナットウィック)と姪(先のオリヴィア)を駅馬車があるところまで送って欲しい」というのであった。
ブリトリスは納得していないが、上官の命令とあらば仕方がない。
「この部隊に女性が加わる。」
オリヴィアは髪に黄色いリボンを付けている(タイトルの由来)。
「黄色いリボンというのは恋人の意味だが、誰の恋人かな?」とブリトリスが聞くと、「もちろん大尉よ」と答えるオリヴィア。
あちこちに色目を使う女にしか見えない。
美人だが。
本作は、1949年のカラー作品だ。
この時代にカラーというのはスゴイが。
テクニカラーは発色が良くて、本作の風景は、まるで絵画のようである。
かくして、騎兵隊は出発した。
先導はタイリー軍曹(ベン・ジョンソン)であった。
その頃、謎の軍事商人が南へ向かっていた。
本作も、ジョン・フォードの西部劇らしく、例によって、ゆったりと進む。
途中、騎兵隊は、馬を休めるために歩く。
幌馬車もガタガタである。
遠方に、アラパホ族の集団が移動しているのが見える。
すごい人数である。
アラパホ族も、騎兵隊と同じ方向に向かっている。
「女を危険にさらす訳には行かない。引き返そう」とブリトリス。
目的地へは反対側から行くことになる。
半日のロスで、駅馬車には間に合わない。
本作では、部隊にワンコが付いて回る。
馬が疾走する時も、ものすごい速さで付いて行く。
途中、野生のバッファローの大群に出会う。
ものすごい数だ。
ダンス・ウィズ・ウルブズ』でもバッファローの大群が出て来たが、この辺の影響を受けているのだろう。
白人を追い出そうと、先住民たちがシャイアン族を引き込む機会だろう。
例の軍事商人が酋長に銃を売る。
余談だが、本作は、ブルーレイにしては、フィルムの傷がかなり目立つ。
デジタル・リマスタリングなどは行われていないのだろう。
まあ、廉価版だからな。
危険を察知したブリトリスは、「偵察隊と合流しろ」と命じる。
偵察隊がこちらに向かって来た。
後ろから先住民達の馬が追いかけて来る。
ブリトリスらは、銃撃で追い返した。
偵察隊は、アラパホに銃撃されたのであった。
「合流点へ行ったが、中隊はいなかった」と。
そりゃそうだよな、途中で方向転換したのだから。
偵察隊は、夜中に攻撃されたのであった。
再び、偵察に向かう。
シャイアンが追い掛けて来る。
崖から崖へ馬で飛ぶ。
すごいシーンだ。
シャイアンの馬達は怖がって飛べない。
その後、暗雲が立ち込め、稲妻が光る中、荒野を進む騎兵隊。
大変なロケだ。
息子の心臓をかすめた矢を抜く手術をするので、馬の速度を落としてくれと頼む医者。
停止してやらんと死ぬぞ。
しかし、手術は成功。
走っている馬車の中で手術って。
前方に、駅馬車の宿駅が見える。
シャイアンとアラパホが組んで、襲われた跡だ。
「退役だというのに」ブリトリスは嘆く。
目の前で老兵が死ぬ。
ブリトリスの口癖は、「謝罪はよせ。弱さの象徴だ。」
任務は失敗であった。
駅馬車はもうない。
さあ、これからどうなる?
過酷な自然の中のロケは大変だっただろう。
そして、働き者のワンコが印象に残る。
クライマックスの馬の大群の疾走がものすごい。
さすが、クロサワが敬愛するジョン・フォードだけある。
ただ、ラストの「彼らが戦った土地がアメリカ合衆国になったのである」というのは、非常に白人目線で、現在では絶対に受け入れられないだろう。
あと、騎兵隊が整列している中で、『フルメタル・ジャケット』とソックリのシーンがある。
そう言えば、『フルメタル・ジャケット』の中で、「ジョン・ウェインがどうのこうの」というセリフがあったな。
キューブリックのオマージュだろう。
アカデミー賞撮影賞(カラー部門)受賞。
1951年度洋画興行収入8位。

She Wore a Yellow Ribbon (1949) - Trailer