この週末は、ブルーレイで『私はゾンビと歩いた!』を見た。
- 発売日: 2019/11/29
- メディア: Blu-ray
監督は、『キャット・ピープル(1942)』のジャック・ターナー。
製作は、『キャット・ピープル(1942)』のヴァル・リュートン。
脚本は、『狼男(1941)』のカート・シオドマク。
音楽は、『赤ちゃん教育』のロイ・ウェッブ。
編集は、後に『大地震』を監督するマーク・ロブソン。
タイトルが如何にもキワモノ臭いが、そこまで変な映画ではない。
ただ、人種差別色が非常に強いが。
本作は、シャーロット・ブロンテの『ジェーン・エア』が下敷きになっているらしい。
『高慢と偏見とゾンビ』みたいなもんか。
モノクロ、スタンダード・サイズ。
ベートーヴェンの『運命』の冒頭みたいな音楽から始まる。
しかし、次第に穏やかなメロディーに変わる。
タイトル・バックは、波光きらめく浜辺。
若い女性の「私はゾンビと歩いていたの」というナレーション。
彼女の回想という形で、物語は始まる。
カナダ人看護婦のベッツィー・カーネルは、西インド諸島で砂糖プランテーションを経営するポール・ホランドに雇われて、彼の病気の妻ジェシカの世話をすることになった。
船に乗って西インド諸島へ向かうベッツィー。
船内で、ホランドがベッツィーに話し掛けて来る。
「海は美しくない。腐敗している。」
島に着く。
現地人がいっぱいいる。
馬車を操る黒人から、「この島に我々を連れて来たのもホランド」と聞かされるベッツィー。
黒人の祖先は皆、奴隷であった。
ホランドの屋敷に着いた。
屋敷には人の気配がない。
ホランドの弟ウェズリー・ランドから、「今夜の食事は二人だけ」と聞かされる。
この家には、他にホランドと、ホランド及びランドの母親、それにホランドの病気の妻ジェシカがいた。
ホランドとランドは兄弟だが、父親が異なるので、別々の名字なのであった。
ジャングルから太鼓の音が聞こえて来る。
これが、砂糖工場の合図なのだという。
彼ら白人の態度に、明らかに現地人の風俗を見下していることが分かる。
そこへホランドが戻って来る。
しかし、何故かベッツィーをジェシカに会わせてくれないのであった。
夜、女性が一人で庭を歩いている。
ジェシカであった。
そのジェシカが入った部屋から、すすり泣く声が聞こえる。
ベッツィーは気になって、見に行った。
部屋の中は塔になっていて、真っ暗である。
らせん階段を昇るジェシカの後を追うベッツィー。
ジェシカは、能面のような表情で、無言でジェシカに迫って来る。
ベッツィーは恐怖のあまり、叫び声を上げてしまい、それを聞いたホランドが飛んで来る。
女性の泣き声が聞こえたと訴えるベッツィーに、それは黒人家政婦エルマの妹の出産だと応えるホランド。
奴隷は生きることが苦痛だから、子供が産まれると泣くというのだ。
そのエルマから、「奥様は大病で神経をやられた」と聞かされるベッツィー。
ホランドは、ベッツィーに「派遣会社に臆病な看護婦は要らないと言った」と皮肉を述べつつ、「妻は心の病気だ」と語る。
医師がやって来て、ジェシカのことを「美しいゾンビだ。生きる屍だ」と言う。
ひどい熱病で脊髄をやられ、自分の意志では何も出来なくなったのだという。
何か、我々の世代は、ゾンビと言えば、例のゾンビ映画に出て来るように、死者が甦ったものだと思っているが、本作のゾンビは死んでいない。
で、ベッツィーが非番の日。
町へ出ようとすると、ランドとばったり会う。
ランドは「自分が案内してあげよう」と言う。
カフェでは、黒人が朗々とホランド家を詞にした歌をうたっている。
曰く、「ホランドが妻を閉じ込め、ランドが妻に惚れた」と。
それを聴いたランドは、急いで歌を止めさせる。
ランドは、ベッツィーに「ホランドの本性はそのうち分かる」と告げる。
ランドは、そのまま酔い潰れて眠ってしまう。
そこへランドの母親がやって来る。
「もう何も隠す必要はないわね」と。
ランドはアル中であった。
ランドの母は、ベッツィーに「食卓のウイスキーを隠して下さい」と頼む。
しかし、食卓でホランドからは、「君は妻の看護婦だ。弟の世話は要らない」と断られる。
食卓に酒がないことから、ランドとホランドの兄弟ゲンカが始まる。
それが、ジェシカを巡っての口論に発展する。
ホランドは、「妻が正気の時は、(弟と)ひどいケンカをした」とベッツィーに告白する。
医師はホランドに、「奥様を治すにはショック療法しかない」と告げる。
治るかも知れないが、死ぬかも知れない。
ホランドはようやく治療を受けさせることに同意するが、結局、効果はなかった。
で、ランドは今でもジェシカを愛しているのだという。
一方、ベッツィーはホランドを愛しているのであった。
何のメロドラマか。
エルマは「ブードゥーの医者が奥様の病気を治せる」と言う。
しかしながら、白人にとっては、ブードゥー教など野蛮人の邪教であるから、到底受け入れることは出来ない。
だが、ベッツィーは、愛するホランドの奥様を治すために、ブードゥーの聖地フンフォートへジェシカを連れて行く決心をした。
ホランドの母は、「フンフォートは危険なところ。彼らは野蛮人よ」とのたまう。
ああ、自分達が迫害しておいて、何と差別的なんだろう。
気分が悪い。
で、結局、ベッツィーはジェシカを連れて屋敷を出た。
さあ、これからどうなる?
一応、結末は映画らしくは終わる。
ただ、そんなに完成度の高い映画でもないな。
『ジェーン・エア』の要素は、うまく取り入れているとは思う。
I Walked With A Zombie Trailer