『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(1981)

連休中は、ブルーレイで『郵便配達は二度ベルを鳴らす』を見た。

1981年のアメリカ映画。
監督はボブ・ラフェルソン。
原作はジェームズ・M・ケイン
脚本は、『評決』『アンタッチャブル』のデヴィッド・マメット
撮影は、『サクリファイス』のスヴェン・ニクヴィスト
主演は、『イージー・ライダー』『チャイナタウン』『カッコーの巣の上で』『シャイニング』『レッズ』『愛と追憶の日々』の大スター、ジャック・ニコルソンと、『キングコング(1976)』『トッツィー』のジェシカ・ラング
本作公開当時、僕は未だ小学生だったが、朝のFMラジオで本作の宣伝をしていたことを覚えている。
郵便配達は二度ベルを鳴らす」という変わったタイトルだったので、印象に残ったんだな。
内容は全く知らなかったが。
本作の有名な映画化は三つある。
1942年のルキノ・ヴィスコンティ版は未見、1946年版のテイ・ガーネット版は以前、ブルーレイで見た。
そして、81年版は今回が初見である。
46年版はハードボイルド・タッチだったが、81年版は官能描写が話題となった。
まあ、実際、主役の二人の恋愛が(より)メインになっている。
ワーナー・ブラザーズ
カラー、ワイド。
不安げな音楽が流れる。
舞台は1930年代のアメリカ・カリフォルニア。
夜道、ヒッチハイクをする流れ者のフランク(ジャック・ニコルソン)。
朝、車に乗せてくれた男に、「お礼にお茶をおごる」と言って、一緒にカフェに入る。
フランクがトイレでタバコを吸い、出て来ると、男はいない。
店主で初老のニックに訊くと、「出て行った」という。
しかも、フランクの財布を持って。
やられた!
フランクは仕事でロスへ向かう途中だった。
彼の仕事は機械工。
店には、ニックの若い妻・コーラ(ジェシカ・ラング)もいた。
美人だ。
ニックはフランクに、「車の修理工として住み込みで働かないか」と持ち掛ける。
フランクはロスで仕事を済ますと、また戻って来た。
コーラはヘビースモーカーであった。
この店には飼い猫がいる(これが重要な伏線)。
フランクは結局、この店で働くことになった。
若くて美人のコーラが気になって仕方がない。
夜、フランクはニックとワインを飲む。
ニックはフランクを気に入ったようだ。
しかし、既に酔っ払ってベロベロになっている。
ニックはとにかく酒が大好きであった(これも重要な伏線)。
フランクは自分の部屋に戻ると、母屋の2階のニック夫婦の寝室を仰ぎ見る。
朝、店の古い看板が落ちている。
フランクは、「派手なネオン付きにして人目を引こう」と提案する。
ギリシア移民であるニックは、英語に訛りがあって、「ネオン」とうまく発音出来ない。
ニックが用事で出掛けた。
フランクは店のドアにカギを掛ける。
台所でコーラに襲い掛かる。
最初は抵抗していたコーラも、結局は受け入れる。
長々と二人のラブ・シーンが続く。
夜、ニックが帰って来る。
コーラが寝室を抜け出して階下の台所へ行くと、フランクがいる。
抱き合う二人。
しかし、ニックがコーラを呼んだので、ここで終わる。
翌朝、ニックが「明日、帰る」と言って出掛けた。
コーラはフランクを誘惑する。
フランクは、「シカゴへ行こう。今すぐ荷物をまとめろ。」
駅のある街では、ギャンブルが行なわれていた。
文無しのフランクは、コーラに「カネをくれ」と言う。
やっと貯めたお金を失いたくないコーラは「いやよ」と言うが、フランクは、シカゴ行きの切符を払い戻して、強引にカネを作る。
とにかく、フランクというのは粗野な男だ。
ギャンブルに勝ったフランクは待合室に戻るが、コーラはいない。
翌日、フランクもコーラも店に戻っている。
フランクは、ギャンブルで稼いだカネをコーラに渡す。
コーラは、「(旅行に行っても)どうせ(夫に)見付かったわ」とフランクに告げる。
彼女にとって結婚生活は諦めであった。
「私はあなたのものよ。もし二人きりなら。」
「何を言っている?」
「善悪なんて関係ないわ。」
「死刑になるぞ。」
要するに、ニックを殺そうというのだ。
ネオンの看板が完成した夜、フランクは袋に重りを入れて凶器を作り、コーラに渡す。
店の中からカギを掛け、「危険な時は二度ベルを鳴らす」と彼女に告げる。
シャワーを浴びているニックに迫るコーラ。
外では、フランクが2階にハシゴを掛けて見張っていた。
そこへ、運悪く自転車で見回りの警官がやって来て、フランクに話し掛ける。
早く行ってくれ!
一方、コーラがニックを殴った瞬間、停電が起き、真っ暗になる。
パニックになるコーラ。
フランクが駆け寄ると、ニックは血を流して倒れていた。
結局、ニックは助かり、一週間入院することになった。
殴られた時の記憶はないらしい。
フランクとコーラが病院から帰る車を警察が尾行している。
「振り向いたら、私たち死刑よ。」
翌日、警官が店に調べに来た。
2階の窓の下では、飼い猫が感電死していた。
ネオンのために設置したヒューズにネコが足を突っ込んだのだ。
可哀想に。
それが停電の原因であった。
抱き合うフランクとコーラ。
翌朝、コーラは病院へニックの見舞いに行く。
ニックがいない間、フランクとコーラは店を切り盛りし、買い物に行ったり、池でボート遊びをしたり、二人でよろしくやっていた。
もちろん、セックスも。
しかし、最後の夜、「今夜はしたくないわ。」
「二人の最後の夜だぞ。」
「わかってるわ。」
結局、何もせずに眠る二人。
ニックが帰って来てから、コーラはフランクに口を聞いてくれなくなった。
たまりかねて、ギリシアの同胞達のパーティーの時に、フランクは彼女に話し掛ける。
だが、「旦那が戻って来たから終わりよ。」
一方、ニックは二人の関係など露知らず、パーティーの出席者に「フランクがわしの命を救ってくれた!」と大々的に紹介する。
その夜、例によって酔っ払ったニックは、コーラに抱き付く。
それが彼女には耐えられない。
コーラが台所に降りて来ると、フランクが置き手紙を書いて、出て行こうとしていた。
泣くコーラ。
「彼、子供が欲しいって。あの事故で変わってしまった。あなた以外の子なんて。行かないで。」
まあ、不倫なんて、勝手にやってろって感じだが。
粗野なフランクと激情型のコーラ。
まあ、順調には行かんわな。
で、結局、二人は再度、ニック殺しを決意する。
夜、車に乗った3人。
ガソリンスタンドで給油するも、ニックとフランクは酔っ払っている。
コーラが「私が運転するわ。」
もちろん、これはアリバイ作りであった。
それにしても、今より大分、飲酒運転に対して寛容だな。
コーラが運転し、ニックが助手席に、フランクが後部座席にいる。
フランクは酔って眠っているフリをしている。
コーラは「車がオーバーヒートした」と言って、車を停め、降りる。
そして、フランクが後ろからニックの頭をスパナで殴る。
崖の上からフランクとコーラが車を押して下に落とす。
それから、二人で殴り合って、衝突のキズを作る。
「事故よ!助けて!」と夜道を走って、他の車を呼びに行くコーラ。
さあ、これからどうなる?
まあ、こんなやり方でうまく行く訳はないのだが。
結末は、46年版より少し手前で終わっていて、やはり犯罪映画ではなく、恋愛映画にしたかったのだろう。
ジャック・ニコルソンが、なかなかオシャレで、いいスーツを着ている。
労働者階級なのに。
30年代の衣装やセットや車を揃えたので、カネは掛かっているのだろう。
余談だが、「Coca Cola」や「7 up」はこの時代からあったんだな。

The Postman Always Rings Twice (1981) - Trailer 1