『國民の創生』

この週末は、ブルーレイで『國民の創生』を見た。

1915年のアメリカ映画。
監督は、「映画の父」D・W・グリフィス
助監督は、『サンセット大通り』(出演)のエリッヒ・フォン・シュトロハイム、『わが谷は緑なりき』(出演)のドナルド・クリスプ。
主演はリリアン・ギッシュ
共演は、『わが谷は緑なりき』のドナルド・クリスプ、『カラミティ・ジェーン』(監督)のデイヴィッド・バトラー、『怒りの葡萄』『わが谷は緑なりき』『荒野の決闘』『逃亡者』『アパッチ砦』『黄色いリボン』『幌馬車』『西部開拓史』(以上全て監督)のジョン・フォード、『サンセット大通り』のエリッヒ・フォン・シュトロハイム
後に大活躍する偉大な映画人が、助監督やエキストラとして多数、本作に参加している。
サイレント映画である。
そして、アメリカ映画史上最初の長編映画
以前から「いつかは見なければ」と思っていたが、ようやく見ることが出来た。
驚くのは、エイゼンシュテイン以前に撮影・編集による映画の文法が確立されていることである。
もちろん、サイレント映画の語り口はトーキーとは違うが、それは見ているうちに慣れる。
巨大なセット、戦闘シーン、群衆シーンなど、映画スペクタクルの要素も、既に完成した形で盛り込まれている。
ものすごくカネが掛かっただろう。
ラブ・ストーリーも組み込まれている。
お陰で、3時間を超える長編にもかかわらず、大ヒットしたらしい。
最近で言えば(既に全く最近ではないが)、『タイタニック』みたいな感じか。
ジョン・フォードやクロサワ映画でお馴染みの馬の疾走シーンも、本作で既に完成している。
合成シーンもある。
内容的には、人種差別的で大きな問題がある。
KKKクー・クラックス・クラン)がヒーローだし、ローレンス・オリヴィエのオセローのように、白人が顔を黒く塗って黒人を演じている。
今の日本で言えば、ネトウヨのヘイト・スピーチみたいなものだ。
まあ、こういう人達がトランプを支持していたのだろう。
リンカーンは悪者で、奴隷解放は悪として描かれている。
とは言え、技術面で映画史上に残した功績は極めて大きい。
要するに、我々が知っている劇映画の原形は、100年以上前までさかのぼれるのである。
新しいアイディアと思っても、大抵は既に誰かが考え付いている。
何事も、歴史を知ることの大切さを痛感させられる。
南北戦争が舞台なので、これに色を着けて、音を入れれば、『風と共に去りぬ』だな。
愛し合う二人が北部と南部に分かれてしまうのは、『ロミオとジュリエット』か。
なお、本ディスクには、特典映像として、淀川長治の解説が収録されている。
モノクロ、スタンダード。
画質は悪くない。
「本作品の芸術に関する抗弁 我々は検閲を恐れるものではないが、歴史の闇と光の面に光明を投ずる権利を主張する。シェイクスピア作品や聖書にその権利が与えられたように。本作品によって戦争の悲惨さを伝えることが出来たなら、我々の努力は報われたことになる。米国分裂の危機は黒人に由来する。」
奴隷解放を要求する奴隷解放信者。」
1860年、オースティン・ストーンマンは米国大陸で勢力を拡大しつつあった。娘のエルシーとワシントンの彼女のアパートでくつろぐオースティン。」
ペンシルバニアのストーンマン家。エルシーと兄たち。」
「(手紙)親愛なるベン、約束どおり弟と一緒にピードモンドの君の家を次の金曜に訪ねる。金曜日を楽しみに…。」
サウスカロライナ州、ピードモンドのキャメロン家。ここでは南部の古風な生活が残っていた。長男のベン・キャメロン、長女のマーガレット。古き良き礼儀作法を身につけた南部の女性。」
「キャメロン夫人と可愛い末の娘。」
「キャメロン家の優しい主。」
「対立。」
「(手紙)ピードモンドの君の家を次の金曜に訪ねる。」
「ストーンマン兄弟が南部の友人を訪ねる。親友同士。北部人と南部人。」
「『帽子が似合わないぞ。』プランテーションを越えて綿畑へ。」
「『愛の谷』を通る2人。」
「ベンは親友の妹エルシーの写真を見て、会わぬうちから恋に落ちる。」
「奴隷地区にて。彼らは朝の6時から晩の6時まで働く。」
「嵐の予感。1781年、英国軍の降服によって成立した連邦は新たな危機を迎えていた。」
「(新聞)大統領選後、南部は分裂か。」
「ワシントンのストーンマン家の長男にチャールズ・サムナー上院議員が訪問に来る。」
「家政婦のリディア。」
「黒人との混血の彼女は奴隷解放を夢見る。」
「国の運命は彼の手に。」
「また会う約束をして別れる親友同士。」
「フィルはマーガレットに永遠の愛を誓う。」
「75,000人の義勇兵召集の布告書に署名するリンカーン大統領。」
「歴史上初めてリンカーン義勇兵召集を行い、分裂諸州に対して連邦の支配を強化しようとした。」
「ストーンマン兄弟が軍に入隊する。」
「ブルランの戦いの後、ピードモンドでは前線に出征する兵士のために送別の舞踏会が催された。」
「祝いのかがり火。」
「若者が夜通し踊る一方で子供と年寄りはまどろむ。」
「ブルランの戦いの勝利を祝って南部連合の旗がなびく。」
「翌朝、兵士の出発の時が迫る。」
「集合ラッパ。」
「彼らの州の旗。南部の旗。」
「勝利か死か、征服あるのみ。我らに正義あり。」
「キャメロンの3人の息子も戦場へと旅立つ。」
「エルシーはワシントンに戻り、父に兄たちの出征を報告する。」
「2年半後、ベンの元に妹からの手紙が届く。」
「~兄さんは口ひげを生やしたそうね。私も随分大きくなったから見分けがつかないわよ。キスを送ります。大きな妹より。」
「兄からの手紙を読むのにドレスで正装する妹。」
「ピードモンドを北正規軍のゲリラが襲う。最初の黒人部隊はサウスカロライナで召集された。」
「ならず者の白人に率いられた黒人兵たち。」
「南軍の救援。」
「救援後。」
「故郷を思うキャメロン大佐。」
「戦争は過酷な犠牲を強いる。約束どおり親友同士は再会した。」
「三男の訃報。」
「悲報は別の家にも届く。」
「最後の貴重品も大義のために売られた。」
「エルシーは看護師として軍の病院へ。」
「勝利の行進をする征服者。」
「燃え上がるアトランタ攻撃と敗走。」
「キャメロン家、次男の死。」
「敗色濃い連合軍。糧食は乾燥トウモロコシ。」
「頼みの食糧部隊は道に迷い、北軍の戦線に孤立してしまった。」
リー将軍は食糧部隊を救うべく、突破命令を出す。援護のため砲撃と側面攻撃が開始される。」
「砲撃は夜明け前に始まった。」
「キャメロン大佐にも攻撃命令が下る。」
「敵対する両軍の塹壕はわずか数キロしか離れていない。」
「隠された砲台。」
「野戦砲。」
「追撃砲。」
「フィル・ストーンマン大尉率いる連合軍に捨て身の突撃を仕掛けるキャメロン大佐。」
「多大な犠牲を出して2つの塹壕を奪うが、前進は更に続けられた。」
「最後の突撃を前にキャメロン大佐は倒れた敵を救う。」
喝采する連合軍。」
「死が人々の闇を歩む間、戦況は一進一退を続け、戦闘は夜も続いた。」
「永遠の安らぎ。」
北軍の大勝利。」
「次男の死と長男重傷の知らせが届く。」
「憎しみ。」
「女性の役割。」
「キャメロン大佐はエルシーが看護師として働く病院に収容された。」
「(手紙)お前の病院に入院している僕の学友キャメロン大佐に出来るだけ便宜を図ってほしい。愛を込めて。フィル。」
「会うのは初めてだが、ずっと君と一緒にいたんだ。」
「キャメロン夫人が面会に来る。」
「私は息子に会います。撃つなら撃ちなさい。」
「軍医が内緒で漏らす、大佐に絞首刑が宣告されたと。」
「大統領に慈悲を。」
「母の懇願。」
「大統領の恩赦だよ。」
「失意の夫を支えるべく、夫人は故郷へ帰る。」
「朗報。」
「1865年4月9日午後、調印が行われたマクリーン邸の様子を忠実に再現している。」
「分裂の時は終わりを告げた。古のウェブスターの魂がアメリカに呼びかける。『1つにして不可分な自由と連邦よ、永遠に。』」
「同じ日、キャメロン大佐は退院した。」
「祝いのごちそうにトウモロコシとサツマイモ。」
「生の綿で精一杯のおしゃれ。」
「兄の帰郷。」
リンカーンの温情政策に急進派のリーダーが抗議する。」
「指導者は絞首刑にして南部の領土を占有すべきです。」
「私は分離前と同じ扱いをするつもりだ。」
リンカーンの保護のもと、南部は再建の道を歩みだす。」
「恐怖の日々が終わり平和が訪れようとした矢先、運命の1865年4月14日の夜がやってきた。」
「劇場へ。」
リー将軍降服を記念して劇場は大統領の出席を迎えることになっていた。ストーンマン兄妹も観劇に出かける。当夜のフォード劇場の様子を細部に至るまで再現した。」
「出しものは『我らがアメリカのいとこ』。」
「8時30分、大統領一行が到着する。」
リンカーンボディガードは大統領席の外に陣取る。」
「劇を見ようとボディガードが持ち場を離れる。」
「10時13分、第3幕2場。」
「ジョン・ウィルクス・ブース。」
「この専制君主め!(ラテン語)」
「暗殺を知ったストーンマン。」
「権力はあなたの手に。」
「ニュースは南部にも。」
「(新聞)リンカーン大統領暗殺 スーアード長官も命を狙われる」
「我々の運命はどうなるのか!」
「第1部終了」
さあ、これからどうなる?

Birth of a Nation by D.W. Griffith - Trailer (1915)