『艦隊を追って』

あけましておめでとうございます。
今年も拙ブログをよろしくお願いします。
さて、昨年の終わり頃は仕事が忙しくて、ロクに映画を見る余裕もなかったが、ようやく休みに入って、新年最初の映画鑑賞は『艦隊を追って』。

1936年のアメリカ映画。
監督は、『コンチネンタル』『トップ・ハット』のマーク・サンドリッチ
音楽は、『キングコング(1933)』『トップ・ハット』『風と共に去りぬ』『カサブランカ』『三つ数えろ』『キー・ラーゴ』の巨匠マックス・スタイナーと、『トップ・ハット』『イースター・パレード』のアーヴィング・バーリン
主演は、『コンチネンタル』『トップ・ハット』『有頂天時代』『イースター・パレード』『バンド・ワゴン』『パリの恋人』『タワーリング・インフェルノ』の大スター、フレッド・アステアと、『コンチネンタル』『トップ・ハット』『有頂天時代』のジンジャー・ロジャース
二人の共演は、これで5作目である。
共演は、『コンチネンタル』のベティ・グレイブル
モノクロ、スタンダード・サイズ。
にぎやかな音楽から始まる。
軍艦の上で水兵達が歌っている。
水兵のベイク(フレッド・アステア)は昔、ダンサーだったが、失恋して入隊した。
しかし、以前の恋人でダンスのパートナーでもあったシェリー(ジンジャー・ロジャース)の写真を今でも持っているなど、未練タラタラである。
軍艦がサンフランシスコに着き、水兵達も上陸する。
シェリーは、高級ダンスホール「パラダイス」で働いている。
そうとも知らないベイク達はパラダイスに乗り込む。
そこへ、シェリーの姉で、妹とは対照的に地味で堅物の姉コニーが妹に会いにやって来る。
しかし、受付で「女性一人では入れない」と断られる。
そこで、たまたまその場を通り掛かった、ベイクの同僚ビルジと一緒に中へ入る。
チャラ男のビルジは、女の子を物色するためにここへ来たのだが、地味なコニーには全く興味がない。
一方、コニーは海軍の軍人に秘かに憧れている。
コニーは楽屋で妹を待つ。
シェリーはフロアで歌っている。
歌い終わって、彼女に気付いたベイクは、彼女を追い掛ける。
なぜ元恋人が歌っているのに、歌い終わるまで気付かないのか。
それはミュージカルだからである。
というツッコミはさておき、2年ぶりの再会を喜ぶ二人。
二人は、「友達として」仲直りする。
その頃、コニーはシェリーの同僚にドレスやメイクを施してもらい、華麗に変身する。
彼女がホールに現われると、さっきは歯牙にも掛けなかったビルジが声を掛ける。
しかし、彼女が受付で声を掛けられた娘だとは気付かない。
で、ベイクとシェリーはフロアで踊って喝采を浴びる。
もう一組も踊って喝采を浴びる。
いつの間にか、ベイクとシェリーはコンテストに飛び込み参加していたのだ。
どんどんダンスの難度を上げる両組。
一方、コニーはビルジを自宅に連れて行く。
二人はキスをする。
コニーが、自分は受付でビルジに声を掛けた娘だと告白する。
彼女の職業が教師だと聞いたビルジは、ちょっと腰が引ける。
その頃、当然のようにコンテストに優勝したベイクとシェリー。
ベイクが「彼女(のような実力者)はこんな所にいるべきじゃない」と支配人に告げると、あっさり解雇。
無職になったシェリーに、ベイクは「もっといい職場を紹介するよ」と告げ、明朝、知り合いのホールに赴くために待ち合わせの約束をする。
その頃、ビルジはコニーに航海士になりたいという話しをしていた。
コニーはビルジに父親が遺した船を「未来の夫」に捧げたいと告げる。
結婚を臭わされたビルジは、彼女から身を引こうと決意。
で、ベイクやビルジが艦に戻ると、突然、「上陸は取り消し。すぐに出港!」という命令が下る。
姉妹の家の窓から艦が出港するのが見える。
それを見たシェリーは「だまされたわ!」と憤慨する。
まあ、軍隊なんてそんなもんだろう。
個人の自由なんかない。
しかも、今のように携帯電話で連絡が取れる訳でもない。
だから、物語が作り易かったのだが。
で、ベイクとビルジは、お互いの恋人が姉妹であることを知らない。
ベイクは艦上で同僚達に向けてダンス教室を開くが、上官に見付かって、解散させられる。
その頃、ビルジの心変わりを露も知らないコニーは、父親の旧友に遺産の船の修理を頼む。
修理には多額の費用が必要だ。
コニーは「航海士と結婚することが前提」と告げられる。
こうやって、結婚という人生の大きな選択が、商談の条件に使われていたのである。
大変な時代だな。
結婚くらい好きな相手とすればいいのに。
令和の日本でも、一部に未だ封建的な風習が残っていて、皇族が結婚するには「国民が納得出来る」相手じゃないとダメだとか言う。
宮内庁もマスコミも本気で言ってるのか?
憲法に「婚姻は、両性の合意に基いてのみ成立」と書いてあるじゃないか。
皇族には基本的人権もないんだな。
話しが逸れた。
で、春になって、海軍が帰還する。
ビルジは晴れて航海士の試験に合格した。
上流階級の婦人が艦を視察に来る。
艦内放送で知らされたが、ベイクら水兵はジャズの演奏に夢中で、放送が聞こえなかった。
彼らは突然の視察に慌てふためくが、婦人は「演奏を続けて」と言う。
水兵達が整列して、ベイクの指揮の下、踊る。
異様に揃っている。
この水兵達は明らかにプロのダンサーだな。
で、上流婦人は拍手喝采
一方、コニーが依頼した父親の船の修理は完了していた。
コニーは海軍が帰還したと聞いて、ビルジが自分に会いに来ると信じて待つが、彼は現われない。
彼は、以前知り合った上流階級のマニング夫人に入れ込んでいるのであった。
対して、シェリーは未だベイクに怒っていて、電話を折り返さない。
さあ、これからどうなる?
主要登場人物は6人しかいない。
ストーリーは単純で、ダンスのおまけのようなものである。
ラストもご都合。
しかし、アステアとロジャースの共演作の中では、『トップ・ハット』に次ぐ2番目の興行成績を上げたらしい。
まあ、当時の観客は、二人のダンスが観たかったのだろう。
細君は、「アステアのダンスは独特のリズムで、見ていると眠くなる」と言っている。
本作の中で、「オレはロミオ。ジュリエットは大勢いた」というセリフがある。
みんな死んじゃうじゃないか。
多分、ストーリーをちゃんと知らないのだろう。
どうでもいいが、「ロミオとシンデレラ」という歌があるらしい。
ロミオの浮気か?
本作の後半、フレッド・アステアが水兵の格好をしたおサルさんを連れているが、これがアカデミー賞クラスの名演。

www.youtube.com