『コンチネンタル』

この週末は、ブルーレイで『コンチネンタル』を見た。

1934年のアメリカ映画。
監督は、『トップ・ハット』のマーク・サンドリッチ
音楽は、『キング・コング(1933)』『トップ・ハット』『風と共に去りぬ』『カサブランカ』『三つ数えろ』『キー・ラーゴ』の巨匠マックス・スタイナー
主演は、『トップ・ハット』『イースター・パレード』『バンド・ワゴン』『パリの恋人』『タワーリング・インフェルノ』の大スター、フレッド・アステアと、『トップ・ハット』のジンジャー・ロジャース
共演は、『トップ・ハット』のエリック・ブロア。
モノクロ、スタンダード・サイズ。
にぎやかな音楽から始まる。
しかし、古い音源なので、音がヒドイ。
画質もイマイチ。
夜の街。
ショーで踊る女性達。
ここはレストランだろうか。
席には米国人のガイ・ホールデンフレッド・アステア)と友人の弁護士エグバートがいる。
格式の高いレストランではフランス語を使うらしい。
会計の段になって、二人ともサイフをなくしたことに気付いた。
二人はパリからロンドンへの移動中。
エグバートはガイのことをギャルソンに「有名なダンサーだ」と説明するが、証明するものがない。
「踊ったら本人と証明できる」と言って、ガイが踊る。
まあ、ミュージカル映画のお約束というか、要するにアステアのタップ・ダンスを見せたいのだろう。
しかし、エグバートのサイフが見付かり、事なきを得る。
続いて、豪華客船が港に着く。
アメリカ人の中年女性ホーテンス(アリス・ブラディ)は、税関でパリの買い物をめちゃくちゃにされたと立腹。
国家権力の強権発動はけしからん。
彼女は姪のミミ(ジンジャー・ロジャース)を待っていた。
ミミがやって来る。
彼女は、純情のアフィリア(女性アイドル・グループ)の雨森セナさんに似ている。
まあ、言っても、ほとんどの人は分からんだろうが。
ホーテンスが大きなトランクのフタを閉じた時、ミミのスカートの裾が挟まれてしまう。
取れない。
助けを求めるも、周りに人がいない。
そこへ、ガイが通り掛かる。
ミミのドレスを引っ張ってトランクから外そうとするが、誤って破けてしまう。
破けたドレスを隠そうと、ガイが自分のトレンチ・コートを彼女に掛ける。
コートの裏地を見ると、イギリスの名門バーバリーである。
彼女はこれからロンドンへ向かうという。
「自分もロンドンへ行く」と、ガイは彼女に自分の連絡先を渡す。
まあ、要するに、彼はミミに一目惚れしてしまって、何とか彼女と連絡を取りたかった訳だ。
後日、ホテルのガイの部屋にミミからコートが送り返されて来る。
しかし、手紙の一枚も入っていない。
それどころか、彼女の名前すら聞いていなかった。
それでも、恋の力か、ガイは「彼女を捜す」という。
「ロンドンには一体何百万人の女がいると思っているのか」と呆れるエグバート。
ロンドンの街を歩いてミミを捜し求めるガイ。
それから、オープンカーに乗っていると若い女性の車に追突する。
その女性は何と、ミミだった。
後を追うガイ。
クラシック・カーでカー・チェイスが繰り広げられる。
それにしても、この時代に、若い女性が一人で車を運転しているとは。
ガイは先回りして道路を通行止めにし、待ち伏せ
諦めて車を降りたミミに向かって、いきなり「結婚してくれ。」
「無理よ。ずっと友達と住んでるの。一体どういうつもり?」
ガイは自分の電話番号を紙に書いて、ミミに渡す。
「電話を待っているよ。」
そして、ようやく彼女の名前だけ聞き出す。
ホーテンスがミミを連れて、エグバートを訪ねる。
ミミは実は既婚者であった。
結婚して2年になるのに、ほとんど夫と会ったことがない。
そこで、離婚させるために、策を練って、ホテル・ベラビスタへミミを行かせることにする。
ガイが惚れている女性がミミであることなど知る由もないエグバートは、ガイに「急いで海辺のホテルへ行くんだ」と告げる。
ミミからの電話が来ないと待っているガイであったが、とりあえずエグバートの道連れになる。
本作はミュージカルなので、ガイはとにかくタップを踊る。
踊りながらも、ミミを捜している。
彼の決めゼリフは「チャンスとは本当は運命だ。」
これが、後々のストーリーに重要な意味を持つのだが。
海辺のカフェで、ガイは部屋に戻り、エグバート一人になる。
そこへ、ミミとホーテンスがやって来る。
エグバートは彼女を離婚させるために編み出した策を告げる。
「あなたがご主人以外の誰かといてもらわないと。ある男を用意しています。」
要するに、ミミが他の男といるところを彼女の夫に目撃させて、夫を怒らせ、離婚させようというのである。
エグバートは、そのためにトネッティというイタリア人のジゴロを用意していた。
ミミがトネッティと会う時、合い言葉として、「チャンスの真実は運命」と言うように、エグバートはミミに伝える。
シェイクスピア?」とホーテンス。
「私が考えたんだ」とエグバート。
本当は、ガイがつぶやいたのをいただいたのだが。
ちなみに、トネッティ役のエリック・ローズは『トップ・ハット』にも出ている。
と言うより、見たような顔ばかり出ているぞ。
で、ガイは、ミミとホーテンスがレストランにいるところを見付ける。
逃げるミミを追い掛ける。
追い付く。
口説く。
しかし、連れない彼女。
「夜も昼も」が流れる。
僕は音楽には全く疎いのだが、有名な曲だ。
いつの間にか、一緒に踊り出すガイとミミ。
運命の糸で結ばれていると思い始める二人。
しかし、不意にガイが「チャンスの真実は運命なんだ」とミミに告げると。
彼女は、ガイが実は弁護士に雇われたジゴロなんだと勘違いしてしまう。
一気に現実に引き戻されるミミ。
仕事の依頼なので、ミミはガイに「12時に216号室に来て」と告げる。
突然のことに戸惑うガイ。
さあ、これからどうなる?
『トップ・ハット』もそうだったが、本作も「勘違い」を軸にした脚本。
後半、長い大ダンス・シーンがある。
一気に撮っているので、演出は大変そうだ。
とにかく、ずっと踊っている。
余談だが、後半、ウェイターが「大英帝国の歴史は500万年」と言うが、そんなはずなかろう。
人類の歴史だって500万年もない。
なお、ウェイターを演じたエリック・ブロアも『トップ・ハット』に出ていた。
ラストは、古典的なオチが着く。
本作は、僕がこれまで見た中では、最も古いミュージカル映画である。
アカデミー賞主題歌賞受賞。

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