『パリの恋人』

この週末は、ブルーレイで『パリの恋人』を見た。

パリの恋人 [Blu-ray]

パリの恋人 [Blu-ray]

1957年のアメリカ映画。
監督は、『踊る大紐育』『雨に唄えば』のスタンリー・ドーネン
製作は、『踊る大紐育』『バンド・ワゴン』のロジャー・イーデンス。
音楽は、『巴里のアメリカ人』のジョージ・ガーシュウィン
主演は、『麗しのサブリナ』『戦争と平和(1956)』のオードリー・ヘップバーンと、『イースター・パレード』『バンド・ワゴン』『タワーリング・インフェルノ』のフレッド・アステア
パラマウント映画。
テクニカラーヴィスタ・ヴィジョン。
華やかなテーマ曲。
ゴダールのような原色を多用したタイトル・バック。
本作はミュージカルだ。
まあ、ヘンな映画だが。
ニューヨークのファッション雑誌『クオリティ』誌の編集部が舞台。
敏腕女編集長マギー・プレスコットは、「これまでの誌面ではアメリカ女性に受けない。これからはピンクを流行らせよう!」という鶴の一声で、毎号誌面の内容を決める。
この一言で、次号はピンク一色となることが決まった。
まあ、ファッション誌が作る流行を大袈裟に描けば、こうなるだろう。
ファッション・カメラマンのディック・エイブリー(フレッド・アステア)は、ファッション・モデルがバカなのに閉口し、もっとインテリ向けのファッションを撮りたいと考える。
「それなら書店だ!」という短絡的な発想で、編集長以下、ピンク一色の軍団が街の書店へ乗り込む。
書店がインテリの象徴だったとは、何と幸福な時代だろう。
編集軍団が店内で勝手に撮影を始める。
「棚の配置が気に食わない」と言っては、本をボンボンと床に放り投げる。
この傍若無人さ。
店主が留守で、店番を任されていた店員のジョー・ストックトンオードリー・ヘップバーン)は、この有様に猛抗議する。
彼女は、何だかよく分からないが、パリのフロストル教授が主宰する「共感主義」の哲学を信奉していた。
何だ、「共産主義」じゃないのか。
で、このヘップバーンのセリフが、ラテン語起源っぽい難しい単語を羅列しただけで、訳が分からない。
理屈っぽいというのか、何というか。
どこかから借りて来たみたいな言葉で、全然自分のものになっていないような気もするが。
難しいことをひたすらしゃべり倒す彼女に、マギーは「インテリね」と一言。
しかし、「撮影のジャマ」と店を追い出されてしまう。
撮影が終わり、連中が帰ってしまった後、ジョーとディックが後片付けをする。
ディックが突然、ジョーにキスをする。
こんなオッサンがこんな若い娘に!
今の日本なら、強制猥褻で即刻、逮捕実名報道だ。
だが、それまで恋を知らなかったジョーは、ちょっと気になり、自問し始める。
踊る彼女。
余談だが、店内の鏡の中に、誰かの脚が写り込んでいるような気が。
で、マギーは、今度は「新人モデルを探して、パリ一番のデザイナーであるポール・デュバルに衣装を作らせ、『ミス・クオリティ』を選ぶ!」とブチ上げる。
出版社のトップというのは、どこもワンマンだ。
僕が勤務している会社の社長も、ジャンルこそ違えど、こんな感じ。
さて、ディックは、昨日会ったばかりのジョーを「ミス・クオリティ」に推薦する。
マギーは、どんな娘だかを確認するために、本を注文してジョーを呼び寄せる。
高そうな画集やらを大量に持って来るジョー。
けれども、マギーはそんなものには全く興味がない。
無理矢理モデルにされそうになったジョーは、建物の中を走って逃げる。
たまたま飛び込んだ部屋は暗室だった。
真っ赤なライトの下にディックがいた。
「僕が君をモデルに推薦した」と打ち明けるディック。
ジョーはもちろん、ファッション・モデルなんぞにはなりたくもなかったが、「モデルになればパリへ行き、プレスコット教授にも会える」と言われ、パリへ行きたさにモデルを引き受ける。
「君はファニー・フェイスだ。自信を持て」とディック。
さて、一行はパリへ飛ぶ。
ニュー・ヨークからパリへ行くことを「お上りさん」と表現するジョー。
如何に世界の大都会とは言え、ニュー・ヨークよりもパリの方が格上なのか。
ファッションの世界では、やはりパリの方が偉いんだろうな。
もっとも、フランス人はアメリカなんか思い切り見下していそうだが。
京都人が東京をバカにしているような感じか。
で、ここからしばらくパリの名所観光映画になる。
エッフェル塔にも昇る。
エッフェル塔のてっぺんは、吹きっさらしなんだな。
高所恐怖症の僕には、到底昇れそうもない。
で、気が付くと、ジョーがいない。
ディックが探しに行く。
案の定、裏街のカフェ(と言っても、実態は場末の飲み屋)で哲学談義を繰り広げているジョー。
だが、英語は全く理解されていない。
それでも、相手は「共感」しているようだ。
フレンチ・コネクション2』で、ジーン・ハックマンがフランス人のコックと、お互いの話していることは全く分からないのに仲良くなっていたのを思い出した。
ディックは「僕に共感しろ」とジョーに言う。
怒っている彼女。
ジョーのホテルの2階の部屋を下から見上げるディック。
ロミオとジュリエット』か。
で、ディックはホテルのそばの木をよじ登って彼女の部屋へ。
今の日本なら、住居不法侵入で即刻、逮捕実名報道だ。
まあ、何か知らんが、明朝10時に撮影を行うことになった。
で、翌朝。
メイクしてドレスに着替えたジョーに感嘆するマギー。
そうかな?
どうも、僕はヘップバーンが好きではない。
クセのある顔で、全然美人だと思えない。
何で、こんなに人気があったのか?
さあ、これからどうなる?
一言で言うと、ワガママ娘の勝手で周囲が振り回されるのだが。
本人が自覚していないのが質が悪い。
ラストは、この手の作品の予定通り、ご都合で終わる。
衣装は偉そうかも知れんが。
こういうことを言うと、きっと怒る人もいるんだろう。
個人の勝手な感想なので、悪しからず。