『気儘時代』

この週末は、ブルーレイで『気儘時代』を見た。

1938年のアメリカ映画。
監督は、『コンチネンタル』『トップ・ハット』『踊らん哉』のマーク・サンドリッチ
音楽は、『トップ・ハット』『イースター・パレード』『艦隊を追って』のアーヴィング・バーリン
主演は、『コンチネンタル』『トップ・ハット』『艦隊を追って』『有頂天時代』『イースター・パレード』『バンド・ワゴン』『パリの恋人』『タワーリング・インフェルノ』の大スター、フレッド・アステアと、『コンチネンタル』『トップ・ハット』『艦隊を追って』『有頂天時代』のジンジャー・ロジャース
共演は、『風と共に去りぬ』のハティ・マクダニエル
仕事が忙しくて、なかなか映画も見られなかったので、久しぶりの映画鑑賞である。
フレッド・アステアジンジャー・ロジャースの共演は、これで8作目。
正直、設定も内容も同じような感じで、僕も細君もウンザリである。
これまでに見た作品も色々と記憶が混ざってしまい。内容もタイトルもよく思い出せない。
こんなことでいいのか。
モノクロ、スタンダード・サイズ。
華やかな音楽から始まる。
タイトル・バックは、黒い石版のようなところに、白い絵の具(?)か何かで指を使ってスタッフやキャストの名前を書いては消すを繰り返す。
一つ間違えたら全部やり直しだから、撮影は大変そうだ。
手も一々洗わないといけないし。
まあ、斬新と言えば斬新。
「医療基金病院」
酔っ払った紳士風のオッサンが病院に入って行く。
弁護士のスティーヴだ。
友人で精神科医のトニー(フレッド・アステア)のところへ。
トニーは呑気にハーモニカを吹いている。
フレッド・アステアは、スリーピースのスーツに髪の毛を固めていて、全然医者に見えない。
トニーは恋人で歌手のアマンダ(ジンジャー・ロジャース)に婚約を解消され、ヤケ酒を飲んで二日酔いになっていたのである。
それも、毎度のことなので、トニーはまともに取り合わない。
しかし、スティーヴはトニーに彼女の精神分析を頼む。
精神分析なんかしたら、結婚する気も失せるぞ」とトニーは警告するが。
トニーの病室にアマンダがやって来るが、トニーがちょっと席を外した間に、「意志の決定ができない愚かでどうしようもない女だな」とトニーが語っていた録音を、何故か彼女に聞かれてしまう。
当然、彼女は怒っている。
「どんな夢を見るの?」と尋ねるトニーに、「夢なんて10年以上見ていない」とアマンダ。
精神分析なんか必要ない!」と、ここで二人は決裂。
射撃のチャンピオンシップに参加したスティーヴとトニー。
ティーヴはトニーに「彼女に何をした? 怒って口を聞いてくれない」と。
そこへ、アマンダの叔母がやって来る。
トニーのことを見るや、「姪(=アマンダ)があなたのことをヤブ医者だと言っていた。」
今度は、トニーがゴルフをしている。
そこに、偶然アマンダがいる。
緊張したトニーは空振りを連発。
仕方がないので、ハーモニカを吹きながらタップダンスをするトニー。
これは得意だ。
そして、今度はまるで昔の「かくし芸大会」で井上順か堺正章がやったかのように、得意げにゴルフボールを連打する。
しかし、見せ付けたつもりがアマンダはいつの間にか消えている。
今度は、スティーヴ、アマンダ、アマンダの叔母さんが自転車に乗っている。
そこへ、トニーも自転車でやって来る。
この時代は自転車が普及していなかったのか?
いや、そんなことはないと思うが、4人とも異様に乗るのが下手クソ。
実は、アマンダもトニーのことが気になり始めていた。
いつの間にか、自転車を漕ぎながら話しをするトニーとアマンダ。
が、下り坂でトニーの自転車のブレーキが壊れていて、チェーンが外れて暴走した挙げ句転倒。
それをアマンダが助ける。
今度は、「メドウィック・カントリークラブ」。
先の4人が一緒にいるが、トニーとアマンダが踊っている。
なお、本作の主要登場人物はこの4人しかいないので、ストーリーは極めて単純。
で、4人で食事。
彼らは、給仕がゲンナリするような食べ合わせの悪い物ばかり注文する。
トニーとアマンダはケロッとしているが、胃の弱いスティーヴは吐き気を催している。
何と、この夜、アマンダは夢を見た。
しかも、トニーとデートする夢だ。
トニーが愛の唄をうたい、二人は踊り、そして、キスをする。
何でも、共演8作目にして二人のキスシーンは初めてらしいが、正直、そんなことはどうでもいい。
実にキラキラした夢だった。
「すばらしい夢を見たわ!」と喜ぶアマンダ。
この家には黒人の家政婦がいる。
これが何と、翌年の『風と共に去りぬ』で、同じく家政婦を演じて黒人初のアカデミー助演女優賞を受賞するハティ・マクダニエル
ものすごく存在感があるので一発で分かった。
が、この存在感が仇になったのか、『風と共に去りぬ』は黒人蔑視をしているとされて、アメリカでは上映困難になってしまう。
話しが逸れた。
ティーヴは、アマンダを診察のためにトニーのところへ連れて行く。
が、「患者の秘密を守る」と言って、トニーはスティーヴを追い出す。
ところが、二人きりになっても、アマンダの見た夢の内容はトニーには「言えないわ。」
そりゃあ、一応スティーヴという恋人がいるのに、目の前のトニーとデートしてキスまでする夢を見てしまったのだから。
夢の内容を聞けないと、診断のしようもないので、「診察は終わり」と彼女に告げるトニー。
次回の診察も必要ない。
「悪いところはないから。」
「それなら、全て話します」と、たまたま側にあった『赤ずきん』の本に引っ掛けて、デタラメなストーリーの夢をでっち上げるアマンダ。
が、そういう夢を見るのは、精神科医にとっては大問題なのであった。
「完全な調節不良症だ!」と、同僚の精神科医まで呼んで、教科書のような症例を発見したと喜ぶトニー。
治療には5~10年掛かるという。
それを聞いたスティーヴは心配する。
まあ、精神科医なんていい加減なものだと思うが(ウソです。ウチの会社は某高名な精神科医の先生に大変お世話になっております→病気でではなく、本の出版で。申し訳ありません!)。
で、トニーはアマンダに麻酔をかけて眠らせ、潜在意識に話し掛けるとう治療を行う。
要するに、催眠療法だな。
ところが、彼女はラジオ局で仕事が入っていた。
ティーヴは彼女を呼びに病室へ。
夢うつつの彼女は、スティーヴをトニーと間違えてキス。
しかし、スティーヴだと気付いて、「あんたならいらないわ!」
催眠状態なので、本音が出るらしいが、ヒドイ話しだ。
ティーヴは困ったが、彼女を見失ってしまう。
そんな彼に、トニーは「麻酔がかかっているのに、なぜ彼女を連れ出した!」
彼女は一人で街をさまよっていた。
警官の警棒を借りて、板ガラスを運んでいるトラックに向かって投げて、ガラスを割ったりしている。
立派な器物損壊だ。
警官も、そんなものを他人に貸すなよ。
彼女は酩酊状態のまま、ラジオ局に向かっていた。
さあ、これからどうなる?
後半は踊ってばかり。
そして、精神科医は催眠術師なのか?
恋の行方は結局、催眠術で決まってしまうのか?
ラブ・ストーリーとしては致命的な欠陥ではないか。

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