『狼男』(1941)

この週末は、ブルーレイで5年ぶりに『狼男』を再見した。

1941年のアメリカ映画。
監督はジョージ・ワグナー。
主演はロン・チェイニー・ジュニア。
サイレント時代に『オペラの怪人』で怪人を演じたロン・チェイニーの息子である。
『狼男』のような有名モンスターの第1作の主演の、その父親が活躍していた時代が更にあるとは!
映画の歴史はスゴイ!
共演は、『透明人間』『スミス都へ行く』『カサブランカ』『アラビアのロレンス』のクロード・レインズ、『魔神ドラキュラ』のベラ・ルゴシ
狼男と言えば、ドラキュラ、フランケンシュタインと並ぶ有名モンスターだ。
「狼男」の名前を初めて知ったのは、藤子不二雄の『怪物くん』だな。
映画を見ると、これまでに想像していたのとちょっと違う。
ユニバーサル映画。
モノクロ、スタンダード・サイズ。
何度も言うが、太平洋戦争が始まった頃の映画を、こんな高画質で見ることが出来るのは素晴らしい。
やや不安気な音楽が流れる。
タイトル・バックは主要登場人物の紹介。
最初に、「狼憑き」の説明。
自分が狼だと信じてしまう精神病のこと。
本作の根幹だな。
走る車。
タルボット城へ向かっている。
ウェールズイングランドではない)の名門タルボット家の次男ローレンス(ロン・チェイニー・ジュニア)が乗っている。
父であるジョン・タルボット卿(クロード・レインズ)が迎える。
城内には、ローレンスの兄の肖像画が掛けられている。
兄は死んだのであった。
それで、ローレンスは故郷へ戻って来たのだ。
確執のあった父とも和解した。
タルボット卿は城の2階を天文観測所にすると言う。
既に、巨大な反射望遠鏡が設置されていた。
僕は小学生の頃、母親の影響か、星に興味を持った。
それで、雑誌『天文ガイド』(誠文堂新光社)を片手に、星空を眺めたりしていた。
友人のN君の家は地主だったから、立派な屈折望遠鏡があり、とても羨ましかったことを思い出した。
で、ありがちだが、ローレンスは星を見ずに町を見る。
骨董屋の2階に美しい女性がいた。
ヒッチコックの『裏窓』みたいだな。
早速、ローレンスは骨董屋を訪ねる。
売り物の中に銀の狼の付いたステッキがあった。
彼は、件の店の娘グエン(イヴリン・アンカース)から、狼男の話しを聞かされる。
狼男の犠牲になる人の手には、星形の模様が現れるのだという。
ローレンスは、彼女をデートに誘うが、断られる。
この時の「No!」が、カタカナにすると「ノウ!」と、実に強い音なので、はっきりと拒絶しているということがよく分かる。
でも、強引に「今夜8時に来る」と言い残して帰る。
ローレンスは、城に戻って、父親に狼男の話しをした。
その夜、ローレンスが店の前に来ると、昼間はあんなにすげなかったグエンが待っていた。
全く、女ってヤツは…。
ただし、友人のジェニーと一緒だった。
ローレンスは、両手に花で、何故か占いに行くのであった。
ジプシーの占い師ベラ(ベラ・ルゴシ)がジェニーを占っている間に、ローレンスとグエンは辺りを散歩する。
実は、グエンは婚約しているのであった。
一方、占い師はジェニーの手に星形を見る。
森には、思わせ振りにトリカブトが生えている。
つないであった馬が暴れ出す。
狼に襲われるジェニー。
ローレンスは、彼女を助けようとして、狼に噛まれてしまう。
持っていたステッキで必死に狼を殴るローレンス。
彼は、何とか狼を倒し、ジプシーの老女に城まで送ってもらった。
翌朝、ジェニーと占い師ベラの遺体が見付かった。
その横には、ローレンスがグエンの店で買ったステッキが落ちていた。
ローレンスは、医者に昨日狼に噛まれた傷を見せる。
しかし、傷は跡形もなく治っていた。
警察は、明らかにローレンスを疑っていた。
ベラの棺が埋葬所に運ばれるのを、何故かローレンスは見ている。
貴族か何か知らんが、随分と巷に現れるな。
一体、何をしているんだか。
ベラの棺の元へ、昨晩の老女が現れる。
実は、彼女はベラの母親なのであった。
その頃、グエンはジェニーの母親に罵られていた。
「娘が死んだのはアンタのせいよ!」と。
そりゃまあ、そうなるわな。
そこへ、ローレンスが訪ねて来る。
そして、彼女の婚約者フランクもやって来る。
フランクのワンコが、ローレンスに向かって吠える。
フランクはグエンに「あの男(ローレンス)にはきっと不幸が訪れる。だから、関わるな」と言う。
まあ、婚約者が貴族のボンボンと夜に出歩いて、殺人事件に巻き込まれたんだから、そう言うわな。
ところが、繁華街でグエンとフランクが一緒にいると、そこにローレンスもいたのだ。
本当に、神出鬼没な男だな。
で、何故か3人で射的をすることになる。
しかしながら、ローレンスは射的が得意なのに、狼の的だけ撃つことが出来ない。
その後、ローレンスはベラの母を訪ねる。
実は、ローレンスがあの夜、殺した狼の正体はベラであったと聞かされる。
更に、狼に噛まれると、狼男になってしまうとも。
つまり、ローレンスは既に狼男なのであった。
ベラの母はローレンスにお守りを渡す。
彼は、そのお守りをグエンに授けた。
その夜は満月だった。
人々が「狼男が出るぞ!」と騒ぎ出す。
ローレンスの脳裏に、これまでの出来事が走馬灯のように甦る。
で、彼は狼男に変身するのであった。
いやあ、長いね。
70分しかない映画なのに、ここまででもう45分位経っている。
しかも、狼男の全身は未だ現れない。
この映画には、狼男そのものはほんの少ししか登場しない。
メイクが大変だったのかな。
それに、この全身毛むくじゃらの狼男のメイクは、そんなに成功しているとは思えない。
何故なら、狼に見えないからだ。
ジョーズ』のように、なかなか姿を現さなくて成功している映画もあるが、本作はどうだろう。
ドラキュラやフランケンシュタインと比べると、狼男のキャラクターは一歩見劣りしてしまう。
最後は、実にあっけない。
それでも、これだけ有名なモンスターの原点を確認したことには意義がある。

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