『高慢と偏見』を原書で読む(第36回)

(テキスト39ページ、4行目〜)

“Your list of the common extent of accomplishments,” said Darcy, “has too much truth. The word is applied to many a woman who deserves it no otherwise than by netting a purse or covering a skreen. But I am very far from agreeing with you in your estimation of ladies in general. I cannot boast of knowing more than half a dozen, in the whole range of my acquaintance, that are really accomplished.”

your(代)あなた(たち)の、君(ら)の
list(名)一覧表、表、リスト(of)
common(形)常識的な
extent(名)(単数形で)程度、限度
accomplishment(名)(上流社会の)教養、たしなみ
say(他)(人に)(〜と)言う、話す、述べる、(言葉を)言う(+引用)
Darcy ダーシー
have(他)(部分・属性として)(特徴・性質・能力などを)もっている
too(副)(形容詞・副詞の前に置いて)〜すぎる
word(名)(口で言う)言葉
apply(他)(規則・原理などを)(〜に)適用する、応用する(to)
to(前)(行為・作用の対象を表わして)〜に対して、〜に
many(形)(many aに単数形の名詞・動詞を伴って/単数扱い)数々の、多数の
who(代)(関係代名詞)(制限的用法で)〜する(した)(人)(通例「人」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(主格の場合)
deserve(他)(〜の)価値がある、(〜を)受けるに足る
no(副)(形容詞の前に置き、その形容詞を否定して)決して〜でない
otherwise(副)別な方法で(は)、ほかの状態に(で)
than(接)(other、otherwise、elseなどを伴って/しばしば否定文で)〜よりほかの、〜よりほかには
by(前)(手段・方法・原因・媒介を表わして)(doingを目的語にして)(〜すること)によって
net(他)(〜を)編む、編目にする
purse(名)(女性用の)財布
cover(他)(〜に)(〜を)張る、表装する
skreen→screen(名)ついたて、びょうぶ
far from 〜 少しも〜でない(+doing)
agree(自)意見が一致する、同感である(with)
with(前)(一致・調和を表わして)〜と ・agree with 〜と同意見だ
in(前)(範囲を表わして)〜において、〜内で
estimation(名)(価値などの)判断、評価、意見 ・in my estimation 私の見るところでは
of(前)(目的格関係を表わして)(しばしば動作名詞または動名詞に伴って)〜を、〜の
in general(名詞の後に置いて)一般の、大概の
boast(自)(〜を)自慢する、誇る(of doing)
of(前)(関係・関連を表わして)〜の点において、〜に関して、〜について
more than 〜 〜より多い、〜を越える
half(形)(冠詞またはone'sのついた名詞の前に置いて)〜の半分の
dozen(名)(a 〜)1ダース(12、3)ほど、十数個(人)の、(かなり)たくさん(half a dozen(半ダース)も口語では「半ダースほど」、「5、6個(人)」の意に用いる)
range(名)(単数形で)(活動・知識・経験などの及ぶ)範囲、区域、広がり(of)
my(代)私の
acquaintance(名)(単数形で)知人たち
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(〜する(である))ところの/(主語として)
accomplished(形)上流社会のたしなみを身につけた

“Nor I, I am sure,” said Miss Bingley.

sure(形)確信して(⇔unsure)(+that)

“Then,” observed Elizabeth, “you must comprehend a great deal in your idea of an accomplished woman.”

then(副)(しばしばandを伴って、前に続くことを示して)それから、その後で
observe(他)(〜と)述べる、言う(+引用)
Elizabeth(名)エリザベス(女性名/愛称Bess、Bessie、Bessy、Beth、Betty、Eliza、Elsie、Lily、Lisa、Liz、Liza、Lizzie、Lizzy)
must(助動)(当然の推定を表わして)〜にちがいない、〜に相違ない、きっと〜だろう
comprehend(他)(〜を)含む
great(形)(通例数量を表わす名詞を伴って)多数の、多量の、たくさんの
deal(名)(a great 〜で)ずいぶんたくさん(の量)

“Yes; I do comprehend a great deal in it.”

do(助動)(肯定文を強調して)

“Oh! certainly,” cried his faithful assistant, “no one can be really esteemed accomplished, who does not greatly surpass what is usually met with. A woman must have a thorough knowledge of music, singing, drawing, dancing, and the modern languages, to deserve the word; and besides all this, she must possess a certain something in her air and manner of walking, the tone of her voice, her address and expressions, or the word will be but half deserved.”

oh(間)(しばしば直後にコンマや!などを従える)(驚き・恐怖・苦痛・願望・反応・了解などを表わして)ああ!、おお!、おや!
certainly(副)(返答に用いて)そうでしょうとも
cry(他)(〜を)大声で叫ぶ、どなる(+引用)
his(代)彼の
faithful(形)忠実な、信義に厚い、誠実な
assistant(名)助手、補助者、補佐(=aid)
no one(代)だれも〜ない ・No one can do it. だれもできない。
esteem(他)(〜を)(〜と)考える、思う(+目+補)
who(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)そしてその人は
surpass(他)(〜を)上回る、越える(=exceed)
what(代)(関係代名詞)(〜する)もの(こと)(which、who、thatなどと異なり、意味上先行詞を含む関係代名詞で名詞節を導く)
meet with 〜 〜を経験する、味わう、受ける(受身可)
thorough(形)完全な、徹底的な(=exhaustive)
knowledge(名)(〜についての)知識、情報 ・have a good knowledge of 〜をよく知っている
singing(名)歌うこと、歌唱
drawing(名)(鉛筆・ペン・木炭などで描いた)図画、デッサン、素描
dancing(名)ダンス、踊ること
language(名)(一国・一民族などの)国語、〜語
deserve(他)(〜に)ふさわしい
besides(前)〜のほかに(も)(=apart from、in addition to)
this(代)(指示代名詞)(すぐ前に言われたことをさして)こう、こういう、このこと
possess(他)(能力・性質などを)持つ
certain(形)(多くはないが)いくらかの、ある程度の
her(代)彼女の
air(名)外見、様子、風采(ふうさい)、態度
manner(名)(a 〜、one's 〜)態度、物腰、様子、挙動
walking(名)歩くこと、歩行
tone(名)(音の)調子、音色
address(名)応対ぶり、物腰
expression(名)(言葉の)言い回し、語法
will(助動)(話し手の推測を表わして)〜だろう
but(副)ただ、ほんの、〜だけ
half(副)半ば、半分(だけ)

“All this she must possess,” added Darcy, “and to all this she must yet add something more substantial, in the improvement of her mind by extensive reading.”

add(他)(言葉を)付け加える(+引用)
to(前)(接触・結合・付着・付加を表わして)〜に、〜へ ・add A to B BにAを加える
yet(副)まだそのうえに、さらに
add(他)(〜を)(他のものに)加える、追加する ・add A to B BにAを加える
more(副)もっと、いっそう
substantial(形)重要な、価値のある
improvement(名)改良、改善、進歩、上達(of)
extensive(形)広範囲にわたる、広範な ・extensive reading 多読
reading(名)読書

“I am no longer surprised at your knowing only six accomplished women. I rather wonder now at your knowing any.”

no longer もはや〜しないで(でない)
surprised(形)驚いた、びっくりした(at)
at(前)(感情の原因を表わして)〜に(接して)、〜を見て、聞いて、考えて
know(他)(人と)知り合いである、懇意である、交際している
only(副)(数量を修飾して)わずか、ほんの〜だけ
six(形)(基数の6)6の、6個(人)の
rather(副)どちらかといえば、いやむしろ
wonder(自)(〜を)不思議に思う、(〜に)驚く(at)
any(代)(肯定文で、any of 〜の形か既出名詞の省略の形で用いて)何も、だれも

“Are you so severe upon your own sex, as to doubt the possibility of all this?”

so 〜 as to do 〜するほどに(〜だ)
severe(形)(批評・批評家など)痛烈な、厳しい(on)(onの後には人・ことを示す(代)名詞がくる)
on(前)(関係を表わして)〜について、〜に関する
sex(名)(通例the 〜/修飾語を伴って)男性、女性
doubt(他)(〜を)疑う、(〜に)疑念をもつ、(〜かどうかを)疑わしいと思う
possibility(名)(またa 〜)あり(起こり)うること、可能性(⇔impossibility)(of)

“I never saw such a woman, I never saw such capacity, and taste, and application, and elegance, as you describe, united.”

never(副)(notよりも強い否定を表わして)決して〜ない
see(他)(人と)交際する、交流がある
such(形)(such 〜 asで)〜のような
capacity(名)才能、能力、力量
taste(名)(装飾・服装などの)趣、品(ひん)
application(名)専念、勤勉、精励(=diligence)
elegance(名)優雅、畳半
as(代)(関係代名詞)(such、the sameまたはasを先行詞に含んで、制限的に用いて)〜のような
describe(他)(〜を)言葉で述べる、記述する、描写する
united(形)一致した、和合した

Mrs. Hurst and Miss Bingley both cried out against the injustice of her implied doubt, and were both protesting that they knew many women who answered this description, when Mr. Hurst called them to order, with bitter complaints of their inattention to what was going forward.

Hurst ハースト
both(代)(同格に用いて)両者とも、両方とも
cry(他)(〜を)大声で叫ぶ、どなる(+引用)
out(副)大声で、聞こえるように、声高に
injustice(名)不正な行為、不当な仕打ち
of(前)(同格関係を表わして)〜という、〜の、〜である
implied(形)含蓄された、暗に含まれた、それとはなしの、言外の(⇔express)
protest(他)(〜を)断言する(+that)
that(接)(名詞節を導いて)(〜)ということ/(目的語節を導いて)
answer(他)(説明・人相書きなどに)合う、一致する(=fit)
this(形)(指示形容詞)この/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)
description(名)記述、叙述、描写
when(接)(主節の後にwhenの導く従属節がくる時文脈上で)(〜すると)その時(主節が進行形または過去完了形で表わされた場合に用いられる)
call 〜 to order(議長などが)〜に(会進行上の)規則遵守を命じる、静粛を求める
with(前)(様態の副詞句を導いて)〜を示して、〜して
bitter(形)(言葉など)辛辣(しんらつ)な、痛烈な
complaint(名)不平、苦情、ぐち
their(代)彼ら(彼女ら)の
inattention(名)不注意、むとんちゃく
go(自)(事が)運ぶ

As all conversation was thereby at an end, Elizabeth soon afterwards left the room.

as(接)(原因・理由を表わして)〜だから、〜ゆえに
conversation(名)会話、談話、対話、座談、会談
thereby(副)それによって
at an end 尽きて、終わって
afterwards(副)(英)=afterward(副)その後、以後

“Eliza Bennet,” said Miss Bingley, when the door was closed on her, “is one of those young ladies who seek to recommend themselves to the other sex, by undervaluing their own; and with many men, I dare say, it succeeds. But, in my opinion, it is a paltry device, a very mean art.”

Eliza(名)イライザ(女性名/Elizabethの愛称)
Bennet ベネット(Jane Austen, Pride and Prejudiceに登場する一家)
when(接)〜する時に、〜時(時を表わす副詞節をつくる)
on(前)(動作の対象を表わして)〜に対して、〜に当てて
one(代)(単数形で)(特定の人(もの)の中の)一つ、1個、一人(of)
of(前)(部分を表わして)〜の中の
those(形)(指示形容詞)(関係詞節による限定をあらかじめ指示して)あの(日本語では訳さないほうがよい)(⇔these)
seek(他)(〜しようと)努める(+to do)
recommend(他)(〜に)(人・ものを)推薦する、推奨する(to)
themselves(代)(再帰的に用いて)彼ら(彼女ら、それら)自身を(に)/(一般動詞の目的語に用いて)
other(形)(the 〜)反対の
undervalue(他)(人・行為を)過小評価する
own(代)(one's 〜/独立用法で)わがもの、わが家族、いとしい者
with(前)(処置・関係の対象を導いて)〜に対して、〜について、〜にとっては
I dare say おそらく〜だろう、たぶん
in one's opinion 〜の考え(意見)では
paltry(形)つまらない、無価値な、くだらない
device(名)工夫、方策、手段
mean(形)卑劣な、さもしい
art(名)技巧、わざ、腕
【参考文献】
Pride and Prejudice (Penguin Classics)』Jane Austen・著
自負と偏見 (新潮文庫)小山太一・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)

『若者のすべて』

この週末は、ブルーレイで『若者のすべて』を見た。

若者のすべて ルキーノ・ヴィスコンティ Blu-ray

若者のすべて ルキーノ・ヴィスコンティ Blu-ray

1960年のイタリア・フランス合作映画。
監督は、『イノセント』の巨匠ルキノ・ヴィスコンティ
脚本は、『イノセント』のスーゾ・チェッキ・ダミーコ
音楽は、『ロミオとジュリエット(1968)』『ゴッドファーザー』『ゴッドファーザーPART II』『ナイル殺人事件』の巨匠ニーノ・ロータ
撮影は、『天地創造』のジュゼッペ・ロトゥンノ。
主演は、『シシリアン』『フリック・ストーリー』『チェイサー』の大スター、アラン・ドロン
共演は、『ピンクの豹』『ウエスタン』の大スター、クラウディア・カルディナーレ
モノクロ、ワイド。
不安げなテーマ曲。
前奏から哀愁漂う歌に。
ミラノ駅に列車が到着する。
母親ロザリア・パロンディ(カティナ・パクシヌー)とその息子シモーネ(レナート・サルヴァトーリ)、ロッコアラン・ドロン)、チーロ、ルーカが降りて来る。
長男のヴィンチェンツィオは迎えに来ていない。
彼らはイタリア南部からやって来た。
見るからに貧しい田舎者である。
バスに乗ってヴィンチェンツィオの家に向かいながら、ミラノの都会ぶりに驚いている。
ヴィンチェンツィオは恋人ジネッタ(クラウディア・カルディナーレ)との婚約パーティの真っ最中。
ヴィンチェンツィオはもう貧しい故郷に戻るつもりはない。
都会での生活を選んだ。
ロザリアが息子達を連れてミラノへ出て来たのは、夫が亡くなったからであった。
ロザリアはヴィンチェンツィオの結婚の話しを知らなかった。
兄弟達は、ミラノでの仕事を見付けなければ、泊まる部屋もない。
で、このパーティの席上、ロザリアはジネッタの母親と大ゲンカを繰り広げ、家を飛び出す。
成り行きで、ヴィンチェンツィオまで出て行くハメに。
ヴィンチェンツィオは知人の家を訪ねる。
そこで、まずアパートを借り、家賃を滞納して、立ち退きになったら施設に入れるという方法を教えられる。
翌日、家族でアパートへ。
雪が降って、家族は大騒ぎ。
南部から来たから、雪を知らないのだろう。
そして、雪が降ると、兄弟達は雪かきの仕事にありつけるのであった。
もう、このアパートでの暮らしが本当に貧しそうである。
寒いのに、みんな裸足だ。
ヴィンチェンツィオはジネッタと再会するが、彼女を「ものにする」と言って、ビンタされてしまう。
ヴィンチェンツィオは、父親とケンカをして家を飛び出したというナディア(アニー・ジラルド)という娘と知り合い、家へ連れて帰る。
ナディアは、雪が降っているのに、半袖で超ミニスカートである。
兄弟達はミラノに出て来て1ヶ月経っても定職が見付かっていない。
ナディアにはボクシングをやっている知り合いがいる。
チャンピオンになれば大金持ちだ。
しかし、ロザリアはナディアに対して、「商売女!」と激怒する。
ナディアは警官がやって来ると、窓から逃げて行った。
ヴィンチェンツィオが通っているボクシング・ジムに、シモーネとロッコが見学に来る。
着替えろと言われたが、衣装がないので、下着姿で出て来て、居合わせた者達にさんざん笑われる。
こういう描写を見ていると、僕も上京したばかりの頃に、カネがなくて悲惨な思いをしたことを思い出した。
ヴィスコンティは貴族出身なのに、底辺の庶民の暮らしを実にリアルに描いている。
ヴィンチェンツィオが働いている工事現場に、ルーカがやって来る。
「アパートに家賃の取り立てが来た」と。
ヴィンチェンツィオは、(家賃を滞納して立ち退きになり、施設へ行けるように)「うまくやれよ」と弟にアドバイスする。
シモーネはジムで「ボクシングをやるなら禁煙しろ」と言われる。
そこへ、有名ボクシング・ジムであるチェッリのところから、モリーニ(ロジェ・アナン)という男がシモーネを引き抜きに来る。
ロッコは素質はあったが、気立てが優しいので、本当はボクシングには向いていないと思っていた。
このロッコの優男っぷりが本作のキモで、後半、それが際立って行く。
まるで、『ニキータ』のジャン・ユーグ・アングラードのようだ。
対戦ではシモーネが勝利する。
その夜、外で大勢の殴り合いが起きていた。
ヴィンチェンツィオやらジネッタやらロッコやらルーカやらも交えて大騒ぎになっていたが。
シモーネはモリーニから「メシでも食いに行くか」と誘われていたが、例のナディアがシモーネに近付き、シモーネはモリーニとの約束をブッチする。
シモーネはナディアの部屋へ。
彼女は貧しい生い立ちであった。
本当に、貧困はロクなことがない。
今の日本も他人事じゃない。
僕の知り合いに、格差や貧困をテーマに風俗嬢を取材しているライターがいるが。
その人のルポを読むと、この映画の描いている世界と大差ない。
ルーカはチーロに、夜間学校の案内を持って来る。
しかし、彼らは小学校も出ていないのか?
ロッコクリーニング屋で働いていたが、字が読めないようで、客の名前を間違える。
もちろん、他の店員は「まさか」と思っているのだが。
戦後のイタリアに、未だ文盲がいたのか。
僕の友人に、中卒で、アルファベットが読めない者がいる(日本語は読める)。
今の日本でアルファベットが読めなければ、生活出来ないだろう。
義務教育を受けているはずなのに(中学時代はロクに学校に行かなかったらしいが)、どうしてこんな状態で彼を社会に放り出したのか。
安倍政権なんか、庶民の暮らしを全く見ていないよな。
怒りが込み上げて来る。
で、シモーネがロッコの店に訪ねて来て、ロッコに「カネを貸してくれ。旅に出る」と。
そして、店に置いてあった高給そうなシャツを盗む。
もう、この辺からシモーネはおかしくなっている。
ロッコはシモーネのジムへ行く。
モリーニは、突然シモーネがいなくなったので、激怒している。
ロッコに、シモーネのお目付け役になれと言う。
チェッリは「変な連中と付き合わせるな」と。
ボクサーになりたければ、女、タバコ、酒は禁止だ。
その頃、シモーネはナディアと旅行していた。
しかし、どうやら彼女は本気ではないようだ。
まあ、商売女だからな。
シモーネは、ロッコの働くクリーニング屋に盗んだシャツを返しに行く。
クリーニング屋の女店主は激怒する。
しかし、シモーネは彼女にキスし、今度は胸のブローチを盗む。
この一件で、ロッコは店に居づらくなる。
夜、ヴィンチェンツィオを訪ねてナディアが家へやって来るが、いないのでロッコが応対する。
ナディアは、シモーネがクリーニング屋の店主から盗んだブローチを返しに来る。
あろうことか、彼女にプレゼントしていたんだな。
もちろん、彼女は曰くありの品だと気付いた。
で、「(シモーネに)ナディアは消えた」と伝えてと。
シモーネが帰宅する。
ロッコクリーニング屋を辞めたという。
なぜなら、召集令状が来たからだ。
イタリアは徴兵制なんだな。
まあ、今の日本も、このまま安倍政権が続いたら、徴兵制の導入とか言い出しかねないが。
ロッコはシモーネにナディアのことを告げる。
当然、シモーネは激怒する。
で、ロッコは軍隊へ。
ロザリアから手紙が来る。
「シモーネは試合に勝った。チーロは夜学を終えてアルファロメオへ。ヴィンチェは結婚して出て行った。給料が出たらお金を送って」と。
兵隊に取られている息子に、最後にカネの無心をする母親というのが、本作における貧困の深刻さを物語っている。
この母親は、ものすごい肝っ玉母ちゃんなのだが、やはりカネだけはないんだな。
チーロがアルファロメオというのがスゴイ。
真面目に勉強していたからな。
現在では考えられないだろうが。
僕の母も、中卒だったが、某大手企業から内定をもらったらしい。
まあ、1950年代の話しだ。
で、ロッコは町で偶然ナディアと出会う。
彼女は、刑期を終えて出て来たばかりだと。
まあ、売春をしていたからな。
ロッコは都会に馴染めない。
ナディアから「私のこと、どう思う?」と聞かれ、最初は「別に」と答えていたが、話す内に、「君のこと、気の毒で」「僕を信じて」と言う。
優し過ぎるのは、本当に罪だよ。
本作を最後まで見たら、きっと誰でもそう思う。
ナディアはロッコに「帰ったら連絡くれる?」と言う。
ロッコは兵役を終えて、家に帰った。
ロザリアだけがいる。
兄弟達は、ヴィンチェンツィオの子供の洗礼式に出掛けていた。
ロザリアは行かないのだが。
ジネッタの家がヴィンチェンツィオを入れてくれないらしい。
まあ、最初のパーティの大ゲンカが未だに尾を引いているのだろう。
シモーネは明日が試合であった。
ジムで練習相手にロッコを指名する。
いい相手であった。
ロッコは素質を見出される。
軍隊でもボクシングをやっていたらしい。
一方、ロッコはナディアとも会っていた。
ナディアは優しいロッコと付き合って更生し、タイプ学校へ通っていた。
シモーネは試合で黒人ボクサーにやられる。
チェッリは激怒し、ロッコに代わりをやれと命じる。
シモーネは、ロッコとナディアが付き合っていることを知らなかった。
悪い仲間からそのことを聞いたシモーネは、連中と現場を押さえに行く。
二人が会っているのを見たシモーネは、嫉妬にかられ、ロッコに「謝れ!」とビンタする。
そして、ロッコの目の前でナディアを強姦するのであった。
ヒドイね。
ヒド過ぎて、言葉も出ない。
泣くロッコ
ナディアも泣く。
ナディアは去る。
ロッコはシモーネに「人間のクズめ」と。
そりゃそうだろう。
そして、殴り合いになる。
ボクサー同士の殴り合いだから、悲惨だ。
倒れるロッコ
さあ、これからどうなる?
3時間の長い映画だが、ものすごい力強さで最後まで引っ張る。
兄弟愛がテーマなんだろうけど、ロッコのは行き過ぎている。
僕は兄弟がいないので、分からないが。
結局、ロッコが優し過ぎて、悲劇を生んだとも言える。
一方、貧困が人間をここまでダメにするというのもテーマだろう。
しかし、そんな貧困の中でも、立派に生きている兄弟もいる。
いずれにせよ、これは傑作だ。
イタリア映画はスゴイね。
ヴェネツィア国際映画祭審査員特別賞受賞。

『ロビンソン・クルーソー』を原書で読む(第145回)

(テキスト147ページ、3行目〜)

I immediately consider'd that this must be some ship in distress, and that they had some comrade, or some other ship in company, and fir'd these guns for signals of distress, and to obtain help:

immediately(副)直ちに、即座に、早速
consider'd→considered
consider(他)(〜を)(〜だと)みなす、考える(+that)
that(接)(名詞節を導いて)(〜)ということ/(目的語節を導いて)
this(代)(指示代名詞)(すぐ前に言われたことをさして)こう、こういう、このこと
must(助動)(当然の推定を表わして)〜にちがいない、〜に相違ない、きっと〜だろう
some(形)(不明または不特定のものまたは人をさして)(単数形の可算の名詞を伴って)何かの、ある、どこかの(しばしば名詞の後にor otherを添えて意味を強める)
in(前)(状態を表わして)〜の状態に(で)
distress(名)(船舶・航空機の)遭難 ・a ship in distress 遭難(難破)船
have(他)(ある関係を表わして)(肉親・友人などが)いる、(〜が)ある
comrade(名)僚友、仲間
or(接)(選択の意が弱まり数などの不正確なことを示す場合に用いて)〜かそこら、〜あたり ・some 〜 or other 何らかの〜
company(名)(時に複数扱い)仲間、連れ、一緒に過ごす人
fir'd→fired
fire(他)(銃砲・弾・ミサイルなどを)発射する、発砲する
gun(名)大砲、火砲
for(前)(原因・理由)〜の理由で、〜のため(=because of)
obtain(他)(人が)(ものを)得る、手に入れる
help(名)助け、救助

I had the presence of mind at that minute, as to think that though I could not help them, it may be they might help me; so I brought together all the dry wood I could get at hand, and making a good handsome pile, I set it on fire upon the hill; the wood was dry, and blaz'd freely; and though the wind blew very hard, yet it burnt fairly out; that I was certain, if there was any such thing as a ship, they must needs see it, and no doubt they did; for as soon as ever my fire blaz'd up, I heard another gun, and after that several others, all from the same quarter; I ply'd my fire all night long, till day broke: and when it was broad day, and the air clear'd up, I saw something at a great distance at sea, full east of the island, whether a sail, or a hull, I could not distinguish, no not with my glass, the distance was so great, and the weather still something hazy also; at least it was so out at sea.

have(他)(部分・属性として)(特徴・性質・能力などを)もっている
presence of mind 平静、沈着、落ち着き(+to do) ・have the presence of mind to do 落ち着いて〜する
this(形)(指示形容詞)この/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)
at(前)(時の一点を表わして)〜に ・at that time あの時は
that(形)(指示形容詞)(対話者同士がすでに知っているもの・人・量をさして)あの(⇔this)
minute(名)(単数形で)瞬間
as(接)(様態・状態を表わして)〜のように
think(他)(〜と)思う、考える(+that)
could(助動)(直説法(叙実法)で用いて)(過去形の主節の時制の一致により従属節中のcanが過去形に用いられて)〜できる、〜してよい
it(代)(形式主語としてあとにくる事実上の主語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
may(助動)(不確実な推量を表わして)〜かもしれない、おそらく〜であろう
might(助動)(直説法過去)(主に間接話法の名詞節中で、時制の一致により)(不確実な推量を表わして)〜かもしれない
so(接)(等位接続詞として)そこで、それで、〜ので
bring together(人・ものを)呼び(寄せ)集める
dry(形)(木材など)十分乾燥させた ・dry wood 乾いた(かれた)木材
get(他)(〜を)(〜から)(努力して)得る、手に入れる
at hand 手元に、手近に(=to hand)
make(他)(〜を)生じさせる、(〜の)原因となる
good(形)(形容詞に先行し、副詞的に)かなり、相当に
handsome(形)(建物など)見事な、堂々とした
pile(名)(ものの)積み重ね、山(=mound)
set 〜 on fire 〜に火をつける、に放火する
blaz'd→blazed
blaze(自)燃え立つ
freely(副)大量に、うんと
blow(自)(風が)吹く ・It's blowing hard. 風がひどく吹いている。
hard(副)激しく、ひどく ・It's blowing hard. 激しく風が吹いている。
yet(接)(although、thoughと相関的に用いて)それでも
burn out 燃え切る
fairly(副)(程度を示して)まあまあ、まずまず、かなり
certain(形)(〜を)確信して、確かだと思って(+that)
there(副)(thereは形式上主語のように扱われるが、動詞の後に通例不特定のものや人を表わす主語が続く/「そこに」の意味はなく、日本語ではthere isで「〜がある」の意になる)/(beを述語動詞として)
any(形)(疑問文・条件節で名詞の前に用いて)(可算の名詞の単数形につけて)何か(どれか)一つの、だれか一人の
such(形)(such(〜)asで)〜のような
as(代)(関係代名詞)(such、the sameまたはasを先行詞に含んで、制限的に用いて)〜のような
needs(副)(古)(通例mustとともにその前後で用いて)ぜひとも〜ねばならない
no doubt 疑いなく、確かに(=undoubtedly)
do(自)(代動詞としてbe以外の動詞の反復を避けるのに用いて)(同一の動詞(およびそれを含む語群)の反復を避けて)
for(接)(通例コンマ、セミコロンを前に置いて、前文の付加的説明・理由として)という訳は〜だから(=as、since)
as soon as 〜(接続詞に用いて)〜するとすぐに、〜するやいなや
ever(副)いつも、常に、始終/(肯定文で)
my(代)私の
blaze up ぱっと燃え上がる
gun(名)大砲の発射(礼砲・祝砲・弔砲・号砲など)
that(代)(指示代名詞)(前に言及しているか、場面上了解されている物事をさして)そのこと
other(代)(通例複数形で)ほかのもの、ほかの人たち、他人
all(代)(単数扱い)すべて(のもの)、万事
from(前)(出所・起源・由来を表わして)〜から(来た、取ったなど)
quarter(名)方位、方角
ply'd→plied
ply(他)(武器・道具などを)せっせと使う
all night long ひと晩中、終夜
till(接)(結果・程度を表わして)(〜して)ついに、(〜する)ほどに
day(名)(日の出から日没までの)日中、昼(間)(⇔night)
break(自)(夜が)明ける
when(接)〜する時に、〜時(時を表わす副詞節をつくる)
it(代)(非人称動詞(impersonal verb)の主語として)(特にさすものはなく、従って訳さないで文の形式的主語となる)/(時間・日時を漠然とさして)
broad(副)十分に、すっかり
air(名)(the 〜)大気、空、空中
clear'd→cleared
clear up 晴れる
at a distance 遠くで
great(形)(時間・距離など)長い、久しい
at sea 海上に(で)
full(副)きっかり、ちょうど、まともに
east(副)東に(へ)(of)
hull(名)船体
distinguish(他)はっきり区別する、見分ける、聞き分ける
no(副)(notまたはnorの前に挿入的に用い、強意の否定を示して)いや、いな
not(副)(述語動詞・文以外の語句を否定して)〜でなく
with(前)(道具・手段を表わして)〜を用いて、〜で
glass(名)望遠鏡(=telescope)、顕微鏡(=microscope)
so(副)(程度を表わして)(強意的に)とても、非常に、大変
something(副)やや、いくぶん、多少、少し
hazy(形)かすんだ、もやのかかった(深い) ・hazy weather かすんだ(暑い)空気
at least(前言より正確に言い直して)少なくとも
so(副)(様態を表わして)(前出の名詞・形容詞などに代わって)そう
out(副)(船など)陸を離れて、沖へ(出て) ・out at sea 航海中

I look'd frequently at it all that day, and soon perceiv'd that it did not move; so I presently concluded that it was a ship at anchor; and being eager, you may be sure, to be satisfy'd, I took my gun in my hand, and run towards the south side of the island, to the rocks where I had formerly been carry'd away with the current, and getting up there, the weather by this time being perfectly clear, I could plainly see to my great sorrow, the wreck of a ship cast away in the night, upon those concealed rocks which I found when I was out in my boat; and which rocks, as they check'd the violence of the stream, and made a kind of counter-stream, or eddy, were the occasion of my recovering from the most desperate hopeless condition that ever I had been in, in all my life.

look'd→looked
look at 〜 〜を見る、眺める、熟視する
frequently(副)しばしば、たびたび、頻繁に
all the day 一日中、終日
that(形)(指示形容詞)(遠方の時・所をさして)あの、あちらの、その ・that day その日
perceiv'd→perceived
perceive(他)(〜に)気づく
move(自)(ものが)動く、揺れる、動揺する
presently(副)まもなく、やがて
conclude(他)(〜だと)結論を下す、断定する(+that)
at anchor 停泊して
eager(形)(〜を)しきりに求めて、熱望(切望)して(+to do)
sure(形)きっと(〜)して(+that)
satisfy'd→satisfied(形)納得して、確信して(=convinced)(+that)
gun(名)鉄砲、小銃
in hand 手に、掌中に
south(形)南の(にある)
rock(名)(個々の)岩、岩石、岩山
where(副)(関係副詞)(制限的用法で)〜する、〜した(場所、場合など)(「場所」「場合」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)
formerly(副)以前(は)、昔(は)(=previously)
carry'd→carried
carry away(〜を)運び(洗い)去る、さらってゆく
with(前)(原因を表わして)〜のせいで、〜のゆえに、〜のために
current(名)潮流、海流
get(自)(副詞句を伴って)(ある場所・地位・状態に)達する、到着する、至る
up(副)(特定の場所・話者のいる)ほうへ、近づいて
by(前)(時・期間を表わして)(期限を表わして)〜までには
this(形)(指示形容詞)今の、現在の、今〜、当〜 ・this time 今ごろ
time(名)(特定の)時、時期 ・this time この時刻
perfectly(副)完全に、申し分なく
clear(形)(空など)澄み切った、晴れた
plainly(副)明白に、はっきりと(=clearly) ・It was plainly visible. それはまる見えだった。
to(前)(結果・効果を表わして)(通例to a person'sに感情を表わす名詞を伴って)〜したことには、〜にも
great(形)大の、大変な
sorrow(名)悲しみ、悲哀、悲痛、悲嘆 ・to a person's sorrow 悲しいことには
wreck(名)(漂着した)難破船の残骸(ざんがい)
cast away(人を)(難船の結果)漂流させる
in(前)(時間を表わして)〜(のうち)に、〜の間、〜中 ・in the evening 晩に
those(形)(指示形容詞)(関係詞節による限定をあらかじめ指示して)あの(⇔these)
conceal(他)(ものなどを)隠す、見えないようにする ・a concealed place 隠れた(人目につかない)場所
which(代)(関係代名詞)(制限的用法で)〜する(した)(もの、事)(通例「もの」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(目的格の場合)
in(前)(道具・材料・表現様式などを表わして)〜で、〜でもって、〜で作った
which(形)(関係形容詞)そして(だが)その
as(接)(原因・理由を表わして)〜だから、〜ゆえに
check'd→checked
check(他)(感情・活動などを)抑える、抑制する
violence(名)(言動・感情などの)激しさ、猛烈、すさまじさ
a kind of 〜 一種の〜
counter(形)反対の、逆の
eddy(名)(風・ほこり・霧・煙などの)渦巻き
occasion(名)(事の)きっかけ、直接の原因(of)
recover(自)元どおりになる、立ち直る(from)
from(前)(隔離・解放などを表わして)〜から
most(副)(muchの最上級/しばしばthe 〜)最も、最も多く(⇔least)
desperate(形)(事態・病気が)(よくなる)見込みがない、絶望的な、深刻な(=dire) ・The situation is desperate. 事態は絶望的だ。
hopeless(形)(事が)絶望的な、見込みのない ・a hopeless situation 絶望的な事態
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(〜する(である))ところの(先行詞がもの・人を表わす場合で、最上級の形容詞、all the、the only、the same、the veryなどの制限的語句を含む時、および、先行詞が疑問代名詞やall、much、little、everything、nothingなどの時に多く用いられる傾向があるが、絶対的なものではない)/(他動詞・前置詞の目的語として)
ever(副)(比較級の前後・最上級の後でそれらを強めて)これまで、今まで、ますます
in(前)(範囲を表わして)〜において、〜内で
in(前)(全体との関係を表わして)〜の中で、〜のうちで

Thus what is one man's safety, is another man's destruction; for it seems these men, whoever they were, being out of their knowledge, and the rocks being wholly under water, had been driven upon them in the night, the wind blowing hard at E. and E.N.E.

thus(副)このように、かように
what(代)(関係代名詞)(〜する)もの(こと)(which、who、thatなどと異なり、意味上先行詞を含む関係代名詞で名詞節を導く)
one(形)(基数の1)(another、the otherと対照的に)一方の、片方の
man(名)(男女を問わず一般に)人、人間
another(形)(oneと対照的に)
destruction(名)破滅の原因(もと)
it(代)(非人称動詞(impersonal verb)の主語として)(seem that 〜の主語として) ・It seem that 〜らしい。
whoever(代)(関係代名詞)(譲歩の副詞節を導いて)だれが〜とも
out of(前)〜の範囲外に(⇔within)
their(代)彼ら(彼女ら)の
knowledge(名)(またa 〜)知る(知っている)こと、知識、認識
wholly(副)まったく、完全に
under water 水中に
drive(他)(副詞句を伴って)(風が)(〜を)(〜に)吹きやる、(水が)(〜を)(〜に)押し流す ・The gale drove the ship on to the rocks. 疾風に吹きつけられて船は岩礁に乗り上げた。
at(前)(本源・感情の原因)〜から、〜より
E.(略)=east
ENE(略)=east-northwest(名)(the 〜)東北東

Had they seen the island, as I must necessarily suppose they did not, they must, as I thought, have endeavour'd to have sav'd themselves on shore by the help of their boat; but their firing off guns for help, especially when they saw, as I imagin'd, my fire, fill'd me with many thoughts:

necessarily(副)必ず、必然的に(=inevitably)
suppose(他)(知っていることから)推測する、思う、考える(+that)
as(代)(関係代名詞)(前後の主節全体を先行詞として、非制限的に用いて)それは〜だが ・As might be expected, 〜 当然のことであるが、〜
endeavour'd→endeavoured
endeavour(自)(〜しようと)努力する(+to do)
sav'd→saved
themselves(代)(再帰的に用いて)彼ら(彼女ら、それら)自身を(に)/(一般動詞の目的語に用いて)
on shore 陸に、上陸して
by(前)(手段・媒介を表わして)〜で
firing(名)発砲、発射
of(前)(目的格関係を表わして)(しばしば動作名詞または動名詞に伴って)〜を、〜の
for(前)(目的)(獲得・追求・期待の対象を表わして)〜を得るために(の)、〜を(求めて)
especially(副)特に、とりわけ
imagin'd→imagined
imagine(他)(特に誤解したり、証拠もなく)(〜と)思う、考える(+that)
fire(名)(暖房・料理用の)火、炉火、炭火、たき火
fill'd→filled
fill(他)(感情で)(人(の心)を)満たす(with)
with(前)(材料・中身を表わして)〜で ・fill A with B AにBを満たす
thought(名)(理性に訴えて心に浮かんだ)考え

First, I imagin'd that upon seeing my light, they might have put themselves into their boat, and have endeavour'd to make the shore; but that the sea going very high, they might have been cast away; other times I imagin'd, that they might have lost their boat before, as might be the case many ways; as particularly by the breaking of the sea upon their ship, which many times obliges men to stave, or take in pieces their boat; and sometimes to throw it over-board with their own hands:

first(副)(secondly、thirdly(第二(三)に)と列挙する時に文頭に用いて)まず第一に、最初に(=firstly)
imagine(他)(〜を)想像する(+that)
on(前)(時間の接触を表わして)〜するとすぐに、〜と同時に(動作名詞または動名詞に伴う)
light(名)灯火、明かり
might(助動)(仮定法過去)(現在の仮定や仮定の結果を表わす節で)(might have+過分で/過去のことの推量を表わして)〜したかもしれなかった(のだが)
put(他)(副詞句を伴って)(〜を)(〜に)動かす、入れる、向ける(into)
make(他)(〜に)(なんとか)着く
shore(名)(海・湖・川の)岸
sea(名)波、波浪
go(自)((通例)悪い状態に)なる、変わる(+補)
high(形)(高さが)高い(通例人・動物には用いない)(⇔low)
cast away(〜を)投げ捨てる
time(名)(頻度を表わし、通例副詞句をなして)回、度 ・many times 何度も、たびたび
lose(他)(〜を)(事故などで永久に)失う、なくす
before(副)(時を表わして)以前に、かつて、すでに
might(助動)(仮定法過去)(現在の仮定や仮定の結果を表わす節で)(現在の推量を表わして)〜するかもしれない(のだが)
way(名)方向、方面(通例前置詞なしで副詞句になる)
as(接)(時を表わして)〜している時、〜したとたんい
particularly(副)特に、とりわけ
by(前)(手段・方法・原因・媒介を表わして)(doingを目的語にして)(〜すること)によって
which(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)(主格・目的格の場合)そしてそれは(を)
oblige(他)(人に)(〜することを)余儀なくさせる(+目+to do)
man(名)(通例複数形で)兵、水兵、下士官
stave(他)(〜を)突き破る、(〜に)穴をあける
take(自)(種々の副詞語句を伴って)引き分けられる、分解される(=come) ・take to pieces 分解できる
in(前)(状態を表わして)〜の状態に(で)
overboard(副)船外に、(船から)水中に
【参考文献】
Robinson Crusoe (Penguin Classics)』Daniel Defoe・著
ロビンソン・クルーソー (河出文庫)』武田将明・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
新英和大辞典 第六版 ― 並装』(研究社)

『イノセント』

この週末は、ブルーレイで『イノセント』を見た。

イノセント ルキーノ・ヴィスコンティ Blu-ray

イノセント ルキーノ・ヴィスコンティ Blu-ray

1976年のイタリア・フランス合作映画。
監督は、イタリアの巨匠ルキノ・ヴィスコンティ
撮影は、『ロミオとジュリエット(1968)』のパスクァリーノ・デ・サンティス
主演はジャン・カルロ・ジャンニーニとラウラ・アントネッリ
共演は、『ラストタンゴ・イン・パリ』のマッシモ・ジロッティ
ヴィスコンティに関しては、多少の思い出がある。
僕が浪人していた頃、近所のレンタル屋の名作映画コーナーに、ヴィスコンティの作品が並んでいた。
二十数年前の町のレンタル屋にヴィスコンティが置いてあったとはスゴイが。
僕は、その中から『地獄に堕ちた勇者ども』と『ルートヴィヒ』を借りて来た。
ものすごくエラそうな映画だと思ったからだ。
しかし、どちらも、途中まで見て挫折。
確か、『イノセント』もあったと思うが、こちらは借りた記憶はない。
大学では、映画研究会なんぞに顔を出していた時期もあるから、「ヴィスコンティくらいは知らないと」というような空気もあったが、結局、見る機会はなく。
大人になってから、『ベニスに死す』をDVDで見て、絢爛豪華な映像と、詩的な表現に感激した。
で、この度、ブルーレイの廉価版が出たので、購入したのだが。
それにしても、ヴィスコンティの遺作が1500円で買えるなんて、いい時代になったものだが、こんなに作品の価値が低くてもいいのか、複雑な気持ちになる。
テクニカラーシネスコ・サイズ。
甘美なテーマ曲。
僕はクラシックには全く詳しくないから、何の曲か分からないが、本作には、ショパンやらモーツァルトやらリストの曲が使われているらしい。
舞台は20世紀初頭のローマか。
時代ははっきりとは示されないが、馬車は走っているし、照明はロウソクだし、写真の代わりに肖像画が飾られている。
登場人物は皆、貴族だ。
衣装はものすごくきらびやかなものがとっかえひっかえ出て来る。
住まいなんかは、セットじゃなくて、実際の貴族の城かなんかを借りて撮ったのだろう。
僕の大好きな映画『バリー・リンドン』の美術も素晴らしいが、ヴィスコンティは平民のキューブリックと違って貴族出身なので、画面全体にそこはかと気品が漂っている(まあ、『バリー・リンドン』は平民が成り上がる映画だから、あれでいいのだが)。
で、フェンシングの稽古場へ、トゥリオ・エルミル伯爵(ジャンカルロ・ジャンニーニ)にお迎えがやって来る。
彼は、ピアノの演奏会に、愛人である未亡人の公爵夫人テレーザ・ラッフォ(ジェニファー・オニール)と同伴でやって来る。
前列には、トゥリオの妻ジュリアーナ(ラウラ・アントネッリ)がいる。
「あの人と一緒はイヤ」と、テレーザは、彼女に言い寄って来るステファノ・エガーノ伯爵(マッシモ・ジロッティ)と一緒に出て行く。
トゥリオはジュリアーナに声を掛けて帰る。
どこへ帰るかといったら、何とテレーザの所だ。
トゥリオは、テレーザに「妻との仲は表向きだ」と告げる。
しかし、テレーザは自由な女であった。
「私はエガーノと会うの」と彼女。
「いや、行かせない」とトゥリオ。
抱き合う二人。
何だかなあ。
有閑階級の色恋沙汰にしか見えんが。
ジュリアーナは、そんな夫の行動を不安がっている。
トゥリオは、明日から当分フィレンツェへ行くという。
彼はジュリアーナに「君は妹のような存在だ」と言い、妻に対して、テレーザのことを告白する。
「僕のわがままを聞いて欲しい」って、妻公認の浮気か。
当時の貴族は、結婚しても自由恋愛だったのか。
信じられん。
で、トゥリオは弟のフェデリコに「ジュリアーナと一緒にいてやってくれ」って。
弟に奥さんを押し付けるのか。
ジュリアーナは、不安で寂しくて、睡眠薬を飲んで倒れる。
フェデリコは、友人で作家であるフィリッポ・ダルボリオをジュリアーナに紹介する。
一方、テレーザと寝ていたトゥリオは、エガーノからの手紙を発見し、怒って破り捨てる。
更に、執拗にテレーザに言い寄るエガーノに、決闘を申し込む。
自由恋愛のくせに、嫉妬深いトゥリオ。
で、音楽を聴いているジュリアーナの基へ、トゥリオが戻って来る。
トゥリオがエガーノと決闘している間に、テレーザは出発してしまったのだという。
ジュリアーナに「彼女を忘れたい。力を貸してくれ」とトゥリオ。
「無理よ。私にはできないわ。」
何て都合のいい野郎なんだ!
トゥリオは、ジュリアーナへの献辞の入ったフィリッポの著書を発見。
フィリッポのことを罵倒する。
ジュリアーナはフィリッポの才能を称賛する。
競売に出掛けるジュリアーナ。
トゥリオは、彼女が香水を変えたことに気付く。
一方、トゥリオは競売でテレーザと会う。
ジュリアーナが帰宅すると、トゥリオはいない。
テレーザと抱き合うトゥリオ。
テレーザは彼に「奥さんはきっと浮気してるわ」と告げる。
自分の事は棚に上げて、不安になるトゥリオ。
トゥリオが帰宅すると、ジュリアーナはいない。
このすれ違い。
トゥリオがフェンシングの稽古場に行くと、フィリッポがいる。
二人の対決。
フィリッポがシャワーを浴びているのを眺めるトゥリオ。
この時、フィリッポのペニスが映る(無修正)。
一方、テレーザはトゥリオと外出したがる。
しかし、彼女がフィリッポのことを知っていると判り、不機嫌になるトゥリオ。
トゥリオは実家に帰ると、ジュリアーナがいる。
彼女は「部屋は別々に」と告げる。
トゥリオとジュリアーナは別荘へ行く。
ジュリアーナにキスをするトゥリオ。
抱き合う二人。
初心に戻ろうとする。
しかし、無理。
そりゃそうだろう。
実家へ戻る二人。
ジュリアーナは気分が悪い。
トゥリオの母は、「彼女はきっと妊娠しているわ」とトゥリオに告げる。
「なぜ?」とトゥリオ。
しかし、彼は目に涙を浮べている。
身に覚えがないんだな。
薬を飲んだジュリアーナ。
だが、何の薬か、トゥリオには隠す。
「妊娠したのは本当か?」
「本当よ。」
ジュリアーナは、「私が生きていられたのは彼(フィリッポ)のおかげよ」と言う。
「僕達は互いに自由な夫婦だった」と言いながら、彼女にキスをするトゥリオ。
しかし、気が立っている。
彼は、子供を堕ろさせようとするが、ジュリアーナは「できないわ」と拒む。
さあ、これからどうなる?
後半は、もちろん、ドロドロの展開になる。
とんでもない映画である。
トゥリオは無神論者で、これが作品のストーリーにも影響するのだが。
僕も無神論者だが、このオッサンには1ミリも共感出来ん。
本物のクソ野郎だ。
もしかして、無神論者の悲惨な運命というのもテーマなのか?
それにしても、貴族ってのは何をやっても罪に問われないのか?
どこが「イノセント」だ。
イノセントなのは赤ん坊だけじゃないか。
ヴィスコンティは、左半身麻痺の状態で、車椅子に座って、本作を演出したという。
その執念。
(セリフではなく)登場人物の表情の変化で心理を表現するのが素晴らしい。
人間性を深く描いた傑作だと言えるだろう。
シェイクスピアの『オセロ』じゃないが、人間はやはり嫉妬の生き物だということか。
登場人物には一切共感出来ないが。
貴族っちゅうのは、一体何をして暮らしているんだかねえ。
撮ったのがヴィスコンティじゃなくて、主人公が貴族じゃなかったら、ただのゲス不倫映画になってしまうところだが。

『みずうみ(湖畔、インメンゼー)』を原文で読む(第8回)

(テキスト14ページ、1行目〜)

„Hatte er denn Flügel?“

denn(副)(文中でのアクセントなし)(疑問文で)(驚き・関心などを表して)(いったい)〜なのか
der Flügel(男)(鳥の)翼、(昆虫の)羽(英:wing)(複:Flüげl)

„Es ist nur so eine Geschichte,“ antwortete Reinhart, „es gibt ja gar keine Engel.“

nur(副)ただ〜だけ(英:only) ・nur so ただなんとなく
so(副)(ふつう文中でのアクセントあり)そのように、このように(英:so)
die Geschichte(女)物語、話(複:Geschichten)
antworten(他)(事4格と)答える、返事する(過去:antwortete)(過分:geantwortet)(完了:haben) ・du antwortest、er antwortet、ihr antwortet
Reinhard(男名)ラインハルト(複:なし)
es(代)(人称代名詞)(特定の動詞の主語とともに)/(es gibt 人・物4格の形で)人・物4格が存在する、ある、いる
geben(非人称)(es gibt 人・物4格の形で)人・物4格がある、いる、存在する(過去:gab)(過分:gegeben)(完了:haben) ・du gibst、er gibt
ja(副)(文中でのアクセントなし)(強調)確かに、本当に
gar(副)(否定を強調して)全然(〜でない)、決して(〜でない)
kein(冠)(否定冠詞)一つも(少しも)〜ない、一人も〜ない(英:no、not a)
der Engel(男)天使(英:angel)(複:Engel)

„O pfui, Reinhart!“ sagte sie und sah ihm starr ins Gesicht.

o!(間)(驚き・喜び・苦痛・非難などを表して)おお、ああ、おや、まあ
pfui(間)(嫌悪・不快・非難を表して)ぺっ、ちぇっ、へん
sagen(他)(事4格を)言う、述べる(英:say)(過去:sagte)(過分:gesagt)(完了:haben)/(引用文とともに)
sehen(他)(意識的に)見る、見物する、鑑賞する(過去:sah)(過分:gesehen)(完了:haben) ・du siehst、er sieht
starr(形)(目の)すわった、(表情が)こわばった(英:stiff) ・人4格 starr an|sehen 人4格をじっと見つめる
in(前)(空間的に)(どこへ)(4格と)〜の中へ(英:in)
das Gesicht(中)顔(英:face)(複:Gesichter)

Als er sie aber finster anblickte, fragte sie ihn zweifelnd: „Warum sagen sie es denn immer? Mutter und Tante und auch in der Schule?“

als(接)(従属接続詞/動詞の人称変化形は文末)〜したときに(英:when、as)
aber(接)(並列接続詞)(相反・対比)しかし、けれども、だが(英:but)
finster(形)不機嫌な、陰気な(比較:finstrer)(最上:finsterst)
an|blicken(他)見つめる(完了:haben)
fragen(他)(4格とともに)(人4格に)尋ねる、問う、質問する(英:ask)(過去:fragte)(過分:gefragt)(完了:haben)
warum(副)(疑問副詞)なぜ、どうして(英:why)
denn(副)(疑問詞とともに/文中でのアクセントあり)それじゃあ(いったい)
immer(副)(疑問文で)いったい
die Mutter(女)母、母親、お母さん(英:mother)(複:Mütter)
die Tante(女)おば(伯母または叔母)、おばさん(英:aunt)(複:Tanten)
auch(副)〜でさえも、〜すらも(英:even)
in(前)(空間的に)(どこに)(3格と)〜の中に、〜の中で(英:in)
die Schule(女)学校(英:school)(複:Schulen)

„Das weiß ich nicht,“ antwortete er.

wissen(他)(知識として)知っている、わかっている、覚えている(英:know)

„Aber du,“ sagte Elisabeth, „gibt es denn auch keine Löwen?“

aber(接)(間投詞的に)(驚き・強調・非難などを表して)ほんとに、まったく
Elisabeth(女名)エリーザベト(複:なし)
der Löwe(男)ライオン、獅子(英:lion)(複:Löwen)(弱変化)

„Löwen? Ob es Löwen gibt! In Indien; da spannen die Götzenpriester sie vor den Wagen und fahren mit ihnen durch die Wüste. Wenn ich groß bin, will ich einmal selber hin. Da ist es vieltausendmal schöner als hier bei uns; da gibt es gar keinen Winter. Du mußt auch mit mir. Willst du?“

ob(接)(従属接続詞/動詞の人称変化形は文末)(und ob 〜の形で)もちろん〜
Indien(中)(国名)インド(共和国)(首都はニューデリー)(複:なし)
da(副)(既出の場所を指して)そこで、そこに
spannen(他)(方向を表す語句とともに)(馬など4格を〜へ)つなぐ(過去:spannte)(過分:gespannt)(完了:haben)
der Götze(男)偶像、神像(複:Götzen)(弱変化)
der Priester(男)聖職者、僧侶(そうりょ)、神官(英:priest)
vor(前)(空間的に)(どこへ)(4格と)〜の前へ、〜の手前へ
der Wagen(男)馬車(複:Wagen)
fahren(自)(乗り物が)走る、動く(過去:fuhr)(過分:gefahren)(完了:sein) ・du fährst、er fährt
mit(前)(3格とともに)〜と(いっしょに)
durch(前)(4格とともに)(空間的に)〜を通って(通して)、通り抜けて(英:through)
die Wüste(女)砂漠(英:desert)(複:Wüsten)
wenn(接)(従属接続詞/動詞の人称変化形は文末)(時間的に)〜するとき、〜するときはいつでも(英:when)
groß(形)成長した、大人になった(比較:größer)(最上:größt)
wollen(助動)(話法の助動詞)(独立動詞として/不定詞なしで)(方向を表す語句とともに)(〜へ)行くつもりだ(過去:wollte)(過分:gewollt)(完了:haben) ・ich will、du willst、er will
einmal(副)いつか、そのうちに、将来
selber(代)(指示代名詞/無変化)(自分)自身(=selbst)
hin〜(分離動詞などの前つづり/つねにアクセントをもつ)((ある目標に向かって)そちらへ・向こうへ)
viel(副)(比較級やzu+形容詞などの前で)はるかに、ずっと(比較:mehr)(最上:am meisten)
tausendmal(副)1000倍
schön(形)美しい、きれいな(英:beautiful)(比較:schöner)(最上:schönst
als(接)(従属接続詞/動詞の人称変化形は文末)(比較級とともに)〜よりも(英:than)
hier(副)(空間的に)ここに、ここで(英:here)
bei(前)(3格とともに)(人を表す語とともに)〜の所に、〜のもとで
der Winter(男)(ふつう単)冬(英:winter)(複:Winter)
müssen(助動)(話法の助動詞)(zuのない不定詞とともに)〜しなければならない、〜する必要がある、〜せざるをえない(英:must)(過去:musste)(過分:müssen)(完了:haben) ・ich muss、du musst、er muss
auch(副)〜もまた、〜も(同様)、同じく(英:also、too)
wollen(助動)(話法の助動詞)(独立動詞として/不定詞なしで)欲する、望む、するつもりだ(過去:wollte)(過分:gewollt)(完了:haben) ・ich will、du willst、er will
【参考文献】
対訳 みずうみ』中込忠三、佐藤正樹・編(同学社)
アポロン独和辞典』(同学社)

『嵐が丘』を原書で読む(第20回)

(テキスト21ページ、5行目〜)

‘On Sunday evenings we used to be permitted to play, if we did not make much noise; now a mere titter is sufficient to send us into corners!

on(前)(日・時・機会を表わして)〜に
Sunday(形)日曜日の ・on Sunday morning 日曜日の午前に
used(助動)(常にto doを伴って)(過去の習慣的行動を表わして)〜するのが常であった、〜する習わしだった
permit(他)(〜を)許す、許可する、認める(+目+to do)
make a noise 音を立てる
mere(形)ほんの、単なる、まったく〜にすぎない
titter(名)くすくす笑い
sufficient(形)十分な、足りる(⇔insufficient)(+to do)
send(他)(通例副詞句を伴って)(人・軍隊などを)行かせる、やる、派遣する(into)
corner(名)隅っこ

‘“You forget you have a master here,” says the tyrant.

forget(他)(〜を)忘れる、思い出せない(+that)
have(他)(ある関係を表わして)(肉親・友人などが)いる、(〜が)ある
say(他)(人に)(〜と)言う、話す、述べる、(言葉を)言う(+引用)
tyrant(名)暴君のような人

“I'll demolish the first who puts me out of temper! I insist on perfect sobriety and silence. Oh, boy! was that you? Frances, darling, pull his hair as you go by; I heard him snap his fingers.”

I'll I willの短縮形
demolish(他)(敵に)圧勝する(annihilate)
first(代)(通例the 〜)(〜する)最初の人(もの)
who(代)(関係代名詞)(制限的用法で)〜する(した)(人)(通例「人」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(主格の場合)
put(他)(〜を)(〜の状態・関係に)置く、する ・put a person out of temper 人をかっとさせる
out of temper 怒って、腹を立てて
insist(自)(反対されても)(〜を)主張する、力説する、強調する(on)
on(前)(関係を表わして)〜について、〜に関する
perfect(形)完全な、完璧な
sobriety(名)平静、落ち着き
oh(間)(呼び掛けの名の前に用いて)おい!、ねえ!
boy(名)(親しみをこめた呼び掛けに用いて)男
that(代)(指示代名詞)(前に言及しているか、場面上了解されている物事をさして)そのこと
Frances(名)フランシス(女性名/愛称Fannie、Fanny、Frankie、Francie)
darling(名)あなた、君、ねえ、お前(夫、妻、恋人、(親から)子への呼び掛け/他人でも特に女性への親しみをこめた呼びかけに用いる)
his(代)彼の
as(接)(時を表わして)〜しながら
go by(そばを)通り過ぎる
hear(他)(〜が)聞こえる、(〜を)聞く(+目+原形)
snap(他)(〜を)パチン(ピシャリ、ピシッ)と鳴らす

‘Frances pulled his hair heartily, and then went and seated herself on her husband's knee; and there they were, like two babies, kissing and talking nonsense by the hour — foolish palaver that we should be ashamed of.

heartily(副)本気で、熱心に
then(副)(しばしばandを伴って、前に続くことを示して)それから、その後で
seat(他)(seat oneselfで)(〜に)座る、着席する
herself(代)(再帰的に用いて)(再帰動詞の目的語に用いて)
her(代)彼女の
like(前)〜のような、〜に似た
two(形)(基数の2)2の、2個の、二人の
kiss(自)キス(接吻)する
talk(他)(〜を)言って表わす、言う ・talk nonsense くだらないことを話す
nonsense(名)(またa 〜)無意味な言葉、たわごと、ナンセンス ・talk nonsense たわごとを言う
by(前)(時・期間を表わして)(時の経過を表わして)〜のうちに、〜の間は
hour(名)(特定の)時、折
foolish(形)(物事が)ばかげた、ばかばかしい
palaver(名)おしゃべり、むだ話
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(〜する(である))ところの/(他動詞・前置詞の目的語として)(前置詞は関係詞節内の動詞の後に置かれる)
should(助動)(仮定法で)(可能性・期待を表わして)きっと〜だろう、〜のはずである
ashamed(形)(〜を)恥じて、恥ずかしがって(of)
of(前)(目的格関係を表わして)(形容詞に伴って)〜を

‘We made ourselves as snug as our means allowed in the arch of the dresser. I had just fastened our pinafores together, and hung them up for a curtain, when in comes Joseph, on an errand from the stables. He tears down my handywork, boxes my ears, and croaks:

make(他)(〜を)(〜に)する(+目+補)
ourselves(代)(再帰的用法)我々自身を(に)/(一般動詞の目的語)
as(副)(通例as 〜 as 〜で、形容詞・副詞の前に置いて)(〜と)同じ程度に、同様に、同じくらい(as 〜 as 〜で前のasが指示副詞、後のasは接続詞)
snug(形)気持ちのよい、心地よく暖かい
as(接)(as 〜 as 〜で同程度の比較を表わして)〜と同じく、〜と同様に、〜のように、〜ほど
our(代)我々の、私たちの
means(名)方法、手段
allow(自)(物事が)(〜を)可能とする、許す
arch(名)アーチ形のもの、半円形のもの
dresser(名)(引き出し付き)食器棚、食器戸棚
fasten(他)(ものを)しっかり留める、くくりつける
pinafore(名)=pinafore dress(名)ジャンパースカート(ドレス)
together(副)合わせて、結合して
hang up(ものを)かける、つるす
for(前)(代理・代用を表わして)〜の代わりに(の)、〜のために
when(接)(主節の後にwhenの導く従属節がくる時文脈上で)(〜すると)その時(主節が進行形または過去完了形で表わされる場合に用いられる)
come in 入る、入場する
Joseph(名)ジョーゼフ(男性名/愛称Jo、Joe)
on(前)(目的・用事を表わして)〜のために ・go on an errand 使いに行く
errand(名)(使いの)用向き、用事
stable(名)(しばしば複数形で)馬(小)屋、家畜小屋
tear(他)(布・紙・着物などを)(ずたずたに)引き裂く、破る
down(副)完全に、すっかり
my(代)私の
handywork→handiwork(名)(特定の人の特徴が表われている)製作物、作品
box(他)(人の耳を)平手(こぶし)で殴る
croak(自)(人が)しわがれた声を出す

‘“T’maister nobbut just buried, and Sabbath not o'ered, und t’sahnd uh t’gospel still i’yer lugs, and yah darr be laiking! shame on ye! sit ye dahn, ill childer! they's good books eneugh if ye'll read 'em; sit ye dahn, and think uh yer sowls!’

T'→The
maister→master
bury(他)(〜を)葬る、埋葬する
Sabbath(名)(the 〜)安息日(仕事を休み、娯楽を慎み、祈りと休息にあてる日/キリスト教では日曜日、ユダヤ教・一部キリスト教では土曜日)
nut→not
o'ered→over(形)終わって、済んで、過ぎて
und→and
t'→the
sahnd→sound
uh→of
gospel(名)(しばしばGospel)福音書(キリストの生涯と教えを説いた新約聖書の最初の四書の一つ)
i'→in
yer→your(代)あなた(たち)の、君(ら)の
lug(名)耳(lughole)、耳たぶ
yah→you
darr→dare(助動)(否定・疑問・条件文に用いて)あえて〜する、思い切って(恐れずに、生意気にも)〜する
laik(自)遊ぶ、楽しむ
ye→you
Shame on you! だめじゃないか!、困るな!、みっともないぞ!
sit(他)(sit oneselfで)(〜に)座る ・Sit yourself down. おかけください。
dahn→down(副)座って ・sit down 座る
ill(形)悪い、不徳な、邪悪な(=bad)
childer→chldren
they's→there are
there(副)(thereは形式上主語のように扱われるが、動詞の後に通例不特定のものや人を表わす主語が続く/「そこに」の意味はなく、日本語ではthere isで「〜がある」の意になる)/(beを述語動詞として)
eneugh→enough(副)(形容詞・副詞の後に置いて)十分に
ye'll→you will
'em→them
think of 〜 〜のことを考える
sowls→souls
soul(名)霊魂、魂

‘Saying this, he compelled us so to square our positions that we might receive, from the far-off fire, a dull ray to show us the text of the lumber he thrust upon us.

this(代)(指示代名詞)(すぐ前に言われたことをさして)こう、こういう、このこと
compel(他)(〜に)(〜するように)強(し)いる、無理に(〜)させる(+目+to do)
square(他)(〜を)(〜に)適合(適応)させる、一致させる
position(名)(通例単数形で)立場、状況(=situation)
might(助動)(直説法過去)(主に間接話法の名詞節中で、時制の一致により)(許可を表わして)〜してもよろしい
receive(他)(様態の副詞などを伴って)(〜を)(どう)受け入れる、容認する
from(前)(隔たり・不在を表わして)〜から(離れて)
far-off(形)はるかかなたの
fire(名)(暖房・料理用の)火、炉火、炭火、たき火
dull(形)(色・光・音色など)鈍い、ぼんやりした、さえない(⇔vivid、bright、sharp
ray(名)光線
show(他)(人に)(ものを)見せる、示す(+目+目)
text(名)(注釈・さし絵などに対して)本文
lumber(名)(しまってある)物置の不用品(家具など)、がらくた
thrust(他)(副詞句を伴って)ぐいと押す、突っ込む
on(前)(動作の対象を表わして)〜に対して、〜に当てて

‘I could not bear the employment. I took my dingy volume by the scroop, and hurled it into the dog-kennel, vowing I hated a good book.

bear(他)(通例can、couldを伴って否定文または疑問文で)(苦痛・不幸などに)耐える、我慢する
employment(名)(雇われて働く)職、仕事
dingy(形)薄ぎたない、すすけた
volume(名)(特に、分厚い)本
by(前)(手段・媒介を表わして)〜で
scroop(名)(本の)背表紙
hurl(他)(副詞句を伴って)(〜を)強く投げつける
kennel(名)犬小屋
vow(他)誓って(〜する)と言う(+that)
hate(他)(〜を)憎む、ひどく嫌う、嫌悪する

‘Heathcliff kicked his to the same place.

Heathcliff ヒースクリフ(Emily Brontëの小説Wuthering Heights(1847)の主人公/復讐の鬼)
his(代)彼のもの

‘Then there was a hubbub!

then(副)それから、その後で
hubhub(名)大騒ぎ

‘“Maister Hindley!” shouted our chaplain.

Maister→Master
shout(他)(〜を)大声で言う(+that)
chaplain(名)礼拝堂勤務の牧師(大邸宅・学校・病院などの礼拝堂所属)

“Maister, coom hither! Miss Cathy's riven th’back off ‘Th’Helmet uh Salvation,’ un’Heathcliff's pawsed his fit into t’first part uh ‘T’Brooad Way to Destruction!’ It's fair flaysome ut yah let 'em goa on this gait. Ech! th’owd man ud uh laced 'em properly — but he's goan!”

coom→come
hither(副)ここへ、こちらへ
Cathy's→Cathy has
Cathy(名)キャシー(女性名/Catherineの愛称)
rive(他)もぎ取る(off)
th'→the
off(副)(切断・断絶などを表わす動詞とともに)(断ち)切って、(切り)離して
Th'→The
helmet(名)(軍人の)鉄かぶと
salvation(名)救い、救世(主)
un'→and
Heathcliff's→Heathcliff has
pawsed→paused
pause(他)蹴る(=kick)
fit→foot
intuh→into
part(名)(書物・戯曲・詩などの)部、編、巻
Brooad→Broad
broad(形)幅の広い、広々とした(⇔narrow) ・a broad street 広い街路
way(名)(通例単数形で)(the 〜、one's 〜)行く道
to(前)(方向を表わして)(到達の意を含めて)〜まで、〜へ、〜に
destruction(名)滅亡(=ruin)、倒壊、打破
it's it isの短縮形
it(代)(形式主語としてあとにくる事実上の主語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
fair→fairly(副)(程度を示して)まあまあ、まずまず、かなり
flaysome→dreadful(形)恐ろしい、怖い
ut→that(接)(名詞節を導いて)(〜)ということ/(主語節を導いて)
yah→you
let(他)(容認・許可を表わして)(人・ものなどに)(〜)させる、(人・ものなどに)(〜することを)許す(+目+原形)
goa→go
go on 〜 〜で行く
this(形)(指示形容詞)この/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)
gait→gate
ech(間)オエッ、ゲッ、ウへー!
owd→old
man(名)(修飾語句を伴って)(特定の仕事・性格などの)男性
ud→would(助動)(仮定法(叙想法)で用いて)(would have+過分で/過去の事柄について帰結節で無意志の仮定を表わして)〜しただろう
uh→have
lace(他)(〜を)(むち)打つ
properly(副)まったく、徹底的に
bud→but
he's he isの短縮形
goan→gone(形)死んで
【参考文献】
Wuthering Heights (Penguin Classics)』Emily Brontë・著
嵐が丘(上) (光文社古典新訳文庫)小野寺健・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
リーダーズ・プラス』(研究社)

『素晴らしきヒコーキ野郎』

この週末は、ブルーレイで『素晴らしきヒコーキ野郎』を見た。

1965年のイギリス映画。
監督は、『史上最大の作戦』のケン・アナキン
編集は、『アラビアのロレンス』『レガシー』『エレファント・マン』のアン・V・コーツ
主演は、『史上最大の作戦』のスチュアート・ホイットマン
共演は、『史上最大の作戦』『007 ゴールドフィンガー』『チキ・チキ・バン・バン』のゲルト・フレーベ、『史上最大の作戦』『シシリアン』のイリナ・デミック、『チキ・チキ・バン・バン』のベニー・ヒル、『ナイル殺人事件』のサム・ワナメイカー
なお、日本からは、我らが石原裕次郎が出演している(兄貴は右翼だが)。
細君は、「なぜ三船敏郎丹波哲郎じゃないの?」と言っていたが、日本を代表する役者の一人であるのは間違いない。
日本代表が裕次郎であることから推すに、各国を代表する役者が出ているのだろう。
インターナショナルな映画である。
20世紀フォックス
カラー、ワイド(70ミリ)。
劇場風のイラストの真ん中の四角いスクリーンにモノクロの映像が映し出される。
古代から人間の夢は鳥になること。
コミカルな音楽をバックに、空を飛ぼうとして失敗した数々の人間の映像が流れる。
これが実に面白い。
初の長距離(と言っても、ほんの数十メートルにしか見えないが)飛行成功者はイタリアのポンティチェリ伯爵(アルベルト・ソルディ)。
1910年のことだった。
ここで、画面はワイド、カラーになる。
ようやくタイトル。
バックは戯画風のアニメ。
テーマ曲は陽気な合唱。
飛行機が空を飛んでいる。
操縦しているのはイギリス人のリチャード・メイズ(ジェームズ・フォックス)。
恋人のパトリシア・ローンズリー(サラ・マイルズ)がバイクで後を追い掛ける。
「私も乗せて!」
パトリシアの父ローンズリー卿は新聞社を経営している。
彼は「大英帝国愛国心を煽る」のがモットー。
リチャードはローンズリー卿に、世界各国、特にフランスとアメリカの飛行技術はイギリスの先を行っていると訴える。
だが、「パトリシアを飛行機に乗せることは断じて許さん!」と告げられる。
それでも、ローンズリー卿は重役会議で世界各地の様々な飛行機を集めた競技会を自らの新聞社の主催で行うことを提案する。
パリとロンドン間で、賞金は1万ポンド。
イタリアのエミリオ・ポンティチェリ、フランスのピエール・デュボアら、世界の飛行家に招待状が送られる。
ここから、世界各国の代表が描かれるが、はっきり言って、ステレオ・タイプな偏見に満ち満ちている。
要するに、イギリス人から見て、他の国の人間はどう見えているか。
現代では問題になる描写も多々あるが、まあ、コメディということで大目に見よう。
割り切って見ると、本作はなかなか面白い。
フランスのデュボアは、地上でヌードの絵のモデルになっている女性に見とれて、飛行機を衝突させてしまう。
彼女の名はブリジット(イリナ・デミック)。
つまり、フランス人は女ったらしだと言いたいのだろう。
そこへ、飛行機レースの招待状が届く。
賞金は25万フラン。
ドイツでは、マンフレッド・フォン・ホルスタイン大佐(ゲルト・フレーベ)が飛行機を木に衝突させていた。
大佐は、部下のランベルストロス大尉に飛行機に乗るように命じる。
ドイツ人はガチガチで融通の利かない頑固者として描かれている。
かなりバカにしていて、ドイツ人が見たら怒るだろう。
なお、本作に登場する各国のキャストは皆、何故か英語を話す。
アメリカでは、西部劇みたいな格好で幌馬車に乗っているオービル・ニュートン(スチュアート・ホイットマン)とジョージ・グルーバー(サム・ワナメイカー)が風で飛んで来た新聞の記事で飛行機レースのことを知る。
賞金は5万ドルとある。
イタリアのポンティチェリは、度重なる失敗に「飛行機は懲りた。二度と飛ばない」とうそぶいていたが、新聞を見て、レースへの出場を決意。
一方、日本では…。
この頃の英米人の日本のイメージはこんなだったのだろう。
珍妙な鳥居や五重塔やらのセット。
ヒドイね。
バックには琴の音。
飛んでいるのはヤマモト(石原裕次郎)。
ヤマモトって、どうせ山本五十六から取ったんだろう。
しかし、セリフは日本語。
まごうことなき裕次郎の声である(ただし、この後、イギリスに渡ると、セリフは英語になり、吹き替えになる)。
賞金は1万ポンド(円じゃないのか!)。
世界中からロンドンに続々と飛行家が集結する。
イギリスからもう一人の参加者が。
アメリカのオービルは、パトリシアの服を自転車に引っ掛けてしまうが、これをきっかけに彼女に「君を飛行機に乗せてあげる」と声を掛ける。
保守的なイギリス人と改革的なアメリカ人という対比か。
一方、ローンズリー卿はリチャードにパトリシアとの結婚を許可する(ただし、未だ彼女にプロポーズはしていない)。
ポンティチェリは家族連れでやって来る。
イタリア人には大家族のイメージがあるのか。
彼は、「イタリアが先頭でないと困る!」と主張する。
イタリアは着道楽なのか(まあ、ファッションの国だし)、ものすごく立派な衣装を身につけている。
彼は資産家である。
フランスのデュボアは、早くもナンパに成功したブリジットと一緒に飛行している。
ポンティチェリの飛行機は足漕ぎ式の人力で、なかなか飛べない。
アメリカのオービルの飛行機は木のプロペラである。
このレースには、飛行機に二人乗ってはいけないというルールがあるが、誤って二人乗ることになってしまったオービルの飛行機は汚水溜めに突っ込む。
オービルは、イギリスの格納庫にモンキーレンチを借りに来る。
ここで、リチャードと知り合う。
イギリスでは、モンキーレンチのことを自在スパナと言うという豆知識。
オービルはパトリシアに色目を使う。
夜のカフェ。
デュボアは、店の店員であるドイツ女性マレーネ(イリナ・デミック)をナンパする。
一方、席に座っていたパトリシアに声を掛けるオービル。
彼は、この飛行機レースに出るためにアリゾナから借金してやって来た。
負けたら無一文である。
パトリシアが「私を同乗させて」と言うと、「いいよ」と答える。
しかし、そこへリチャードがやって来る。
彼は、恋人に近寄るヤンキーに動揺している。
今度はデュボアが飛行している。
隣に座っているのは、店でナンパしたマレーネ
とは言っても、イリナ・デミックが何度も名前を変えているだけだが(一人六役!)。
ドイツ機は、飛行前に尾翼が外れ、飛ばずに走り回る。
止まらない。
オービルが飛び乗り、燃料タンクをナイフで刺して停める。
オービルは、自らの飛行機に馬力を上げる仕掛けを施している。
そこへ、パトリシアがやって来て、「あなたが好き(I like you very much)」と告げる。
翌日、一行はロンドンからドーバーへ。
しかし、我らが日本は未だ到着していない。
ドーバーで乾杯するオービルとパトリシア。
リチャードはオービルに「彼女に近付くな」と。
オービルはリチャードの顔面に一発食らわせる。
そこへ、ヤマモトが飛行機で飛んで来る。
この飛行機には全体に、火を噴く獅子やら、菊の御紋やらが描かれていて、ものすごい外観である。
これが日本のイメージか。
飛ぶだけでも一苦労の各国は、ヤマモトがドーバーまで飛行機でやって来たことに驚愕する。
「これじゃあ誰も勝てない」と。
日本は技術力があるというイメージなのだろう。
一方、パトリシアはオービルに「私を(飛行機に)乗せて」と懇願。
その頃、デュボアとホルスタイン大佐はつまらないことから、気球に乗って決闘していた。
オービルとパトリシアは二人乗りバイクで飛行場へ向かう。
それを見付けたローンズリー卿は激怒。
だが、既にパトリシアを乗せたオービルの飛行機は飛んでいる。
その時、翼の支柱が折れる。
危機一髪。
オービルは、折れた支柱に自分のベルトを巻いて応急処置。
無事着陸したものの、ローンズリー卿は「あの男は失格だ!」と。
リチャードはオービルを殴る。
ローンズリー卿はパトリシアに「今後は飛行も車も許さん!」と言い渡す。
オービルはローンズリー卿の家へ出向き、「とにかく卿に会わせてくれ。このままじゃ破産だ」と懇願するが、取り付く島もない。
しかし、パトリシアが「私が父に話すわ」と。
一方、フランスとドイツの決闘は失敗に終わっていた。
さあ、これからどうなる?
ここで「INTERMISSION」。
この後、イギリス人のずる賢いアーミテージ卿が部下のコートニーと共に他の参加者の妨害工作を働く。
我らが裕次郎には、下剤入りのワインを飲ませようとするが、裕次郎は「水割りしかやらないので」と断る。
さすがに、大スターを下痢にさせる訳には行かなかったのだろう。
しかしながら、アーミテージ卿の妨害で日本機はあっと言う間に墜落する。
裕次郎の出番がちょっとしかないのが残念だ。
まあ、色々と言いたいことはあるが、全体としては夢のあるエンターテインメントである。
撮影は大変だっただろう。
特に、スタントが。
人が死ぬシーンなどはないので、コメディーとして、安心して最後まで見ることが出来る。
今ではもう、こういう映画は作れないだろう。
最後に、「この時代に25時間11分かかったロンドン・パリ間は、今では超音速旅客機でわずか7分間である」と字幕が出る。
技術の進歩は恐ろしい。

ラテン語を学ぼう

ラテン語を学ぼう
僕の英語力は全世界で最低レベルです。
これは、TOEICの点数が0点なので、数字によって客観的に証明されています。
そんな究極の語学音痴の僕でも、ドイツ語を少しかじると、何となく英語の起源が見えて来るような気がするのです。
英語とドイツ語は同じゲルマン語系なので、基本的な名詞、動詞等にお互い似通ったものがたくさんあります。
同様に、英語はノルマン・コンクェスト以降、フランス語経由でラテン語の影響もかなり受けました。
従って、同じ物事を、ゲルマン語系の単語とラテン語系の単語の二通りで言い表すことが出来たりします。
非常に荒っぽい分類をすると、中学で習うような英単語はゲルマン語起源、高校以上で習うような英単語はラテン語起源のものが多いと言えるでしょう。
そこで、英語を深く理解するためには、やはりラテン語を学んでおいた方がいいと思うのです。
昨今は第二外国語すら選択の大学も多いようですが。
黒田龍之助先生も『その他の外国語 エトセトラ』(ちくま文庫)の中で、次のように仰っています。

それに英語を教えていて実感したのですが、英語学習のために必要な言語は間違いなくラテン語です。少なくとも英文専攻の学生には、日本でもラテン語を必修にしていいのではないでしょうか。

全く同感です。
実際、1886(明治19)年、帝国大学文科大学(現・東京大学文学部)に日本で最初の博言学科(言語学科)が出来た時、そこで教えられた言語は英語、ドイツ語、ラテン語でした。
夏目漱石は同じ頃(1890年)に帝国大学の英文科に入学していますが、彼が大学で修めた言語もこの三つです。
三四郎』にあるように、漱石は必修科目の他にも、選択科目を目一杯受講したのでしょう。
ただ、漱石は英語に関しては相当な実力があったようですが、ドイツ語はそれにはかなり劣ったようですから、ラテン語は言うに及ばず、といったところだったかも知れません。
それは、『吾輩は猫である』の苦沙弥先生と迷亭の「こりゃ何と読むのだい」「何だって? こりゃ君ラテン語じゃないか」「ラテン語は分かっているが、何と読むのだい」「だって君は平生ラテン語が読めると言ってるじゃないか」というやり取りからも想像出来ます(もっとも、これはフィクションですが)。
漱石の蔵書の中に、ラテン語関係の書物は、小さな語彙集と名言集の2冊しかなかったようなので、やはり、それほど熱心には勉強しなかったのでしょう。
でも、たとえマスター出来なくても、勉強することに意義があるのではないでしょうか。
あのドイツ語の権威・関口存男も、アテネ・フランセラテン語を習っています。
英文学者の渡部昇一先生(上智大学名誉教授)は、『知的生活の方法』(講談社現代新書)の中で、「ギリシア語やラテン語をマスターするにはほとんど半生を要するし、またそれを忘れないようにしておくためにも、残りの半生を要すると言ってよいのである」「このために私は古典語を見切った。ラテン語ギリシア語をすらすら読めるようになろうという野心は捨てた」と仰っていました。
では、どの程度で「見切り」を付けるのが良いのでしょうか。
具体的にはカエサルの『ガリア戦記』が読めるレベルとのことです。
ガリア戦記』というのは、大学等のラテン語の授業で、初級文法が終わった後に読まされるテキストですから、まず中級の入り口といったところでしょう。
そもそも、ラテン語は初級文法が相当難しく、大学の授業でも、春に履修登録する学生は何十人もいても、単位を取れるのはその内の数人だそうです。
僕の在籍していた大学には西洋古典語学科はありませんでしたが、ラテン語の講座はありました。
今にして思えば、僕も学生時代にラテン語を学んでおけば良かったです。
後悔しても始まらないので、これからラテン語を勉強して、『ガリア戦記』を読んでみたいと思っています。
とは言え、ラテン語の参考書は、初心者には到底手が届かないような、敷居の高そうなものしかありません。
英語で書かれたものの中には、欧米の中等教育向けの分かり易いテキストもあるそうですが、全世界で最低レベルの英語力の僕には絶対に理解出来ないはずです。
ラテン語入門書を選ぶ
入門的な参考書は、以下に挙げるものが出ています。
しかし、どれも帯に短く、タスキに長いのです。
ラテン語の世界』

ラテン語の世界―ローマが残した無限の遺産 (中公新書)

ラテン語の世界―ローマが残した無限の遺産 (中公新書)

初版は2006年。
著者は小林標氏(大阪市立大学名誉教授)。
ラテン語の背景知識については色々と詳述されていて興味深いのですが、文法等の解説は一切ないので、語学の勉強にはなりません。
ラテン語のしくみ』
ラテン語のしくみ (言葉のしくみ)

ラテン語のしくみ (言葉のしくみ)

初版は2014年(新版)。
著者は小倉博行氏(早稲田大学講師)。
「新書みたいにスラスラ読める」とありますが、「聞き流すだけで話せるようになる英会話」が大ウソなのと同様に、スラスラ読むだけでは語学は身に付かないのです。
網羅性もありません。
ラテン語のはなし』
ラテン語のはなし―通読できるラテン語文法

ラテン語のはなし―通読できるラテン語文法

初版は2000年。
著者は逸見喜一郎氏(東京大学名誉教授)。
ラテン語のしくみ』よりはボリュームがあり、「通読できるラテン語文法」とありますが、結局、通読しただけでは文法はマスター出来ません。
『はじめてのラテン語
はじめてのラテン語 (講談社現代新書)

はじめてのラテン語 (講談社現代新書)

初版は1997年。
著者は大西英文氏(神戸市外国語大学教授)。
テキストとしてはしっかりしているので、これを軸に学習するのなら良いでしょう。
でも、多くの人は新書にそのような機能を求めていません。
気軽に読み流すだけなら、上に並べた本と同じ事です。
『初級ラテン語入門』
初級ラテン語入門

初級ラテン語入門

初版は1964年。
著者は有田潤氏(早稲田大学名誉教授)。
変化表の並び方が独特(研究社の『羅和辞典』とは違う)であり、アマゾンのレビューに「全ての文法事項を網羅していない」とあるので、これまた基本書にするのはためらわれます。
『ニューエクスプレス ラテン語
ニューエクスプレス ラテン語《CD付》

ニューエクスプレス ラテン語《CD付》

初版は2011年。
著者は岩崎務氏(東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授)。
会話でラテン語文法を学ぶというコンセプトの本ですが、英語やドイツ語ならともかく、ラテン語の会話を勉強して、何か意味があるのでしょうか。
ご丁寧にCDも付いていますが、ラテン語は死語ですから、もちろんネイティヴの発音ではありません。
『標準ラテン文法』
標準ラテン文法

標準ラテン文法

初版は1987年。
著者は中山恒夫氏(元共立女子大学教授)。
東大や早稲田の授業でも使われている定評ある教科書ですが、教室用の教材なので、もちろん解説はなく、自修は出来ません。
なお、「文法抜きで読むだけで理解出来る」をうたっているような本は、何の役にも立たないので、時間の無駄です。
英語よりも遥かに複雑なラテン語を、読むだけで理解出来る筈がありません。
結局、遠回りのように見えても、動詞の変化表をブツブツと何百回も唱えながら暗記するしか道はないのです。
『基本から学ぶラテン語
基本から学ぶラテン語

基本から学ぶラテン語

初版は2016年。
著者は川島思朗氏(東海大学文学部ヨーロッパ文明学科専任講師)。
本書の「はじめに」には、次のようにあります。

本書はラテン語の初等文法を身につけることを目的としています。初等文法の目標は「辞書をひけるようになる」ことです。辞書をひけるようになれば、ラテン語で書かれたどんな文書でもある程度自力で読み進めることができるからです。しかし、この文法書を終えた段階で、ラテン語の文学作品をすらすら読めるようになることは難しい、と思ってください。わたしが勉強をはじめたとき、習得には8年かかると言われました。ラテン語はそれほど難しい言語なのです。

「すらすら」でなければ読めるようになるのでしょうか。
また、8年掛ければ読めるようになるのでしょうか。
この本だけで基本文法を学ぶには充分なのかが、これでは分かりません。
ただ、ラテン語が難しい言語だということだけは分かります。
『しっかり学ぶ初級ラテン語
さて、具体的にどの参考書を使おうかと悩んでいた時、書店で『しっかり学ぶ初級ラテン語』(ベレ出版)を発見しました。

しっかり学ぶ初級ラテン語 (Basic Language Learning Series)

しっかり学ぶ初級ラテン語 (Basic Language Learning Series)

初版は2013年と、新しい本です。
著者の山下太郎氏はラテン語愛好家。
ラテン語の先生と言えば、「○○帝国大学西洋文学科名誉教授」といった、偉そうな肩書の方が多いですが、「愛好家」とは珍しいですね。
でも、京都や東京で、よくラテン語の講習会を開かれています。
先日も、池袋のリブロで講演会を行なわれました(行けば良かった)。
本書は、この著者の肩書通り、大変取っ付き易い本です。
見た目は、あの高校向け英文法参考書『Forest』(桐原書店)のよう。
語り口も、『英文法講義の実況中継』や『ビジュアル英文解釈』、はたまた『関口・初等ドイツ語講座』のように、とてもソフトなものでした。
敷居の高いラテン語を、初心者向けに分かり易く解説したという意味では、これまでにない画期的な参考書だと思います。
僕は、本書に2014年の12月9日から取り組み始め、2015年7月11日、ようやく読了しました。
幾らソフトな語り口とは言え、ラテン語自体が難しく、仕事が終わった後に会社の近くの喫茶店で1日1〜2時間ずつ、ノートを取りながら読んだので、8ヵ月も掛かってしまいましたが。
山下先生に「読了しました」というメールをお送りしたところ、「教科書を書いて本当によかったと心から思いました」とのお返事を頂きました。
先生の素晴らしいお人柄が伺えます。
羅和辞典を選ぶ
語学学習には、当然ながら辞書が必要になります。
ラテン語も、もちろん例外ではありません。
それどころか、変化や活用が多いラテン語では、英語よりも遥かに辞書に頼る場面が多いと思います。
しかしながら、現在の日本では、羅和辞典(ラテン語=日本語辞典)はわずか3種類しか出ていません。
語学力のある人(ラテン語に手を出す位ですから、こういう人は多いでしょう)なら、羅英辞典や羅独辞典という選択肢もあるのでしょうが、英語もドイツ語も万年初級レベルの僕には到底無理です。
『基礎羅和辞典』
基礎羅和辞典

基礎羅和辞典

初版は2011年。
編者は川崎桃太氏(京都外国語大学名誉教授)
本書は、「辞典」と銘打っていますが、実質的には、語数の多い単語集に過ぎません。
『古典ラテン語辞典』
古典ラテン語辞典

古典ラテン語辞典

初版は2017年(改訂増補版)。
著者は國原吉之助氏(名古屋大学名誉教授)。
本書は、個人で購入するには余りにも高価過ぎます。
我が家でも、細君の許可が未だに下りません。
という訳で、3種類の羅和辞典があるとは言っても、実際には研究社の『羅和辞典』一択となります(もっとも、英和や独和と比べると、これも結構な値段ですが)。
『羅和辞典』
羅和辞典 <改訂版> LEXICON LATINO-JAPONICUM Editio Emendata

羅和辞典 <改訂版> LEXICON LATINO-JAPONICUM Editio Emendata

初版は1952年。
故・田中秀央氏によって編纂され、定評のあった版を、水谷智洋氏(東京大学名誉教授)が改訂したのが本書です。
改訂版の発行は2009年。
本書の収録語彙は古典ラテン語が中心です。
見出し語は約4万5千。
懇切丁寧な英和辞典等とは違い、記述が非常に簡潔なため、本文は732ページしかありません(ただし、紙が分厚いので、全体として、普通の辞書くらいのかさがあります)。
けれども、固有名詞も多く、また、著名な文学作品からの用例もあるため、『ガリア戦記』の最初の部分を読む程度なら、この辞書で何とか間に合うのではないでしょうか。
欲を言えば、学習用独和辞典のように、その単語の意味を英語でも書いてくれていると良かったですね。
文法用語が英語で書かれているのには、多少の慣れも必要ですが。
ラテン語の教材は、どうしてこうペダンティックなのでしょうか。
それはさておき、言うまでもありませんが、ラテン語は変化や活用が激しいので、まず文法をきちんと勉強しなければ、辞書も引けません。
ただ、文法を勉強している途中でも、例文に使われている単語は小まめに確認して、辞書を引くことに慣れておく必要があるとは思いますが。
本辞典の「付録」には、「変化・活用表」がまとめられています。
また、巻末の「和羅語彙集」は、語数は少ないものの、古典に出て来るような語彙が実によく精選されていて、有難いです。
ガリア戦記』の原文を読んでいて、変化形から不定形(辞書に載っている形)が推測出来ない時、日本語訳からこの「和羅語彙集」を引くと、かなりの確率で載っています。
ただし、これは日本語訳のあるテキストでないと使えない方法ですが。
ラテン語単語集について
語学を勉強していて、誰でも一度は考えるのが、「単語集で語彙を覚えよう」ということでしょう。
ただ、英語の場合は、本屋に行けば大量の単語集や熟語集が棚を埋め尽くしていますが、ラテン語では、現在日本で普通に入手出来るのは、下の本しかありません。
ラテン語基礎1500語』
ラテン語基礎1500語

ラテン語基礎1500語

初版は昭和32年
競争がないためか、中身は改訂されず、古いままです。
活字も潰れかかっています。
編者は有田潤氏。
他にも、初心者向けのラテン語参考書を幾つか書いている人です。
「まえがき」には、次のようにあります。

ラテン語の基礎単語1500を選定するという仕事は予想よりもずっと困難であった。欧米で出版された統計や類書をできるだけ多く参照はしたが、相互にかなり矛盾があって、そのまま採用できるものは一つもなかった。

英語で言えば、ちょうど中学レベルに当たる単語ですね。
本書は、「頻出語」「生活語」「合成語の基礎となるもの」「ローマ史を反映するもの」という四つの基準で、掲載語を選んでいます。
再び、「まえがき」より。

本書の特色とでもいえるものを挙げるとすれば、ほとんどすべての見出し語に対して関連語を示したことである。なるべく英語にそれを求めたが、より適切だと思われた場合には仏語から選び(その旨を明示して)、時には英仏両語から拾った。

英語はともかく、フランス語については、僕は学生時代、最初の1時間で挫折したので、関連語を示されても全く分かりません。
全てのラテン語学習者がフランス語を学んでいるとは限らないでしょう。
ここは、関連語を示すよりも、学習用の独和辞典のように、単に「英語ではどの語に当たるか」を示してくれた方が、学習の役に立つと思います。
「略語・記号」が日本語で記されているのは、親切ですね。
「発音の要領」は、まあ簡潔で良いのですが、「活用篇」の「ラテン語小文法」は必要でしょうか。
ラテン語は、英語と違って、文法を一通り学び終えないと、辞書を引くことが出来ません。
単語集に手を出すような人は、既に文法を習得しているはずです。
文法書を見れば、もっと詳しく書かれていることが、ただ単にまとめられているに過ぎません。
まあ、辞書の巻末に付いているのと同じようなものでしょうか。
さて、肝心の本文ですが、これでは使い物になりません。
一つの単語に一つの意味しか載っていないのです。
ラテン語にも多義語はたくさんあります。
また、同じような意味でも、文脈によってニュアンスが変わるということも多々あるでしょう。
それらは結局、辞書を引くことによってしか理解出来ません。
そもそも、単語集で単語を覚えることなど出来るでしょうか。
僕が高校生の時、『試験にでる英単語』を完璧に暗記した同級生がいました。
「73ページの上から二つ目」と言えば「intelligence(知能、情報)」、「135ページの上から五つ目」と言えば「heretic(異端者、異教徒)」と即答できるレベルでした。
当然のように、彼は某難関私大に現役合格します。
しかしながら、そういう超人的な記憶力の持ち主は滅多にいません。
少なくとも、そろそろ若年性アルツハイマーも疑われるような僕には、到底無理な芸当です。
そこで、基礎単語を見極めるためのリストとして本書を利用することをオススメします。
具体的には、本書の見出し語について、辞書にアンダー・ラインを引いて行くのです。
そうすれば、辞書を引いた時に、どれが基本単語か分かります。
ただし、この1500語だけでは、『ガリア戦記』を読むには全然足りませんが。
【参考文献】
その他の外国語 エトセトラ (ちくま文庫)黒田龍之助・著
三四郎 (岩波文庫)夏目漱石・著
吾輩は猫である (岩波文庫)夏目漱石・著
知的生活の方法 (講談社現代新書)渡部昇一・著

『スキーピオーの夢』を原文で読む(第18回)

(テキスト16ページ、22行目〜)

(25) Quōcircā sī reditum in hunc locum dēspērāveris, in quō omnia sunt magnīs et praestantibus virīs, quantī tandem est ista hominum glōria, quae pertinēre vix ad ūnīus annī partem exiguam potest?

quōcircā(副)その結果、それゆえに
(接)もし〜ならば/(+接続法)(+完了/+現在)(可能性はあるものの見込みのなさそうな(本当らしくない)仮定)
reditus -ūs(男)戻ってくること、帰還
in(前)(+対格)(空間的)〜へ、〜に向かって、〜の方へ、〜の中へ
hic haec hoc(形)(指示詞)この、ここの、ここにある
locus -ī(男)場所、位置
desperō -āre -āvī -ātum(他)見込みなしとあきらめる、絶望する(+物・事の対格)
in(前)(+奪格)(空間的)〜の中に、〜において、〜に
quī quae quod(代)(関係代名詞)(連結詞として)=et is、sed isなど
omnis -is -e(形)(複)すべての、あらゆる
magnus -a -um(形)偉大な
et(接)〜と(そして)〜
praestans -antis(形)(現在分詞)卓越した、すぐれた、注目すべき
vir virī(男)男らしい(真の)男
quantus -a -um(形)(疑問詞)どれほど大きい(多い)
tandem(副)(疑問詞とともに)一体全体、結局、(それ)では
iste -a -ud(指示形容詞)(あなたの知っている/あなたが言うところの)その
homō -minis(男)(女)人、人間
glōria -ae(女)栄誉、誉れ
quī quae quod(代)(関係代名詞)(+直説法)(事実関係)〜するところの(人・もの)
pertineō -ēre -tinuī -tentum(自)広がる、わたる、及ぶ(ad 物・事の対格)
vix(副)ほとんど〜ない
ad(前)(+対格)〜に至るまで
ūnus -a um(形)一人の、一つの
annus -ī(男)年
pars partis(女)部分、一部
exiguus -a -um(形)小さい
possum posse potuī(他)(〜することが)できる(+不定法)

Igitur altē spectāre sī volēs atque hanc sēdem et aeternam domum contuērī, neque tē sermōnibus vulgī dederis, nec in praemiīs hūmānīs spem posueris rērum tuārum;

igitur(接)それゆえに、従って
altē(副)高く、高い所へ(から)
spectō -āre -āvī -ātum(他)見る、眺める、注視する
volō velle voluī(他)欲する、望む、願う(+不定法)
atque(接)〜と、そして
sēdēs -is(女)住居、住まい、居所
aeternus -a -um(形)永遠の
domus -ūs(女)家、住居
contueor -ērī -tuitus sum(他)(形式受動相)注視する、観察する
neque(接)そして〜でない ・neque 〜 neque 〜でもなく〜でもない
(対格:tē、奪格:tē)(人称代名詞)(二人称)あなた、きみ、おまえ
sermōnis(男)うわさ話、雑談
vulgus -ī(中)(男)民衆、大衆
dare dedī datum(他)与える、提供する、授ける(+人の与格+物・事の対格)
nec(接)そして〜でない ・neque 〜 neque 〜でもなく〜でもない
praemium -ī(中)報酬、償い
hūmānus -a -um(形)人間の
spēs -eī(女)希望、期待(+物・事の属格)
pōnō -ere posuī positum(他)置く、据える
rēs reī(女)行為、事業
tuus -a -um(所有形容詞)あなた(きみ、おまえ)の

suīs tē oportet illecebrīs ipsa virtūs trahat ad vērum decus.

suus -a -um(所有形容詞)(再帰)自分(たち)の、彼(彼女、それ、彼ら、それら)(自身)の
oportet -ēre -tuit(自)(非人称)〜するのが当然である、〜すべきである(+接続法)
illecebra -ae(女)おびき寄せること、誘惑
ipse -a -um(強意代名詞)自ら、自身
virtūs -ūtis(女)美徳、高潔
trahō -ere -traxī tractum(他)引き込む、巻き込む
ad(前)(+対格)(空間的)〜の方へ、〜に向かって
vērus -a -um(形)真正の、本物の
decus -coris(中)栄誉、光栄

Quid dē tē aliī loquantur, ipsī videant;

quis quis quid(代)(疑問詞)だれ、何、どれ
(前)(+奪格)(関連・限定)〜に関して、〜について
alius -a -ud(形)他の、別の
loquor -quī locūtus sum(他)(形式受動相)言う、話す
videō -ēre vīdī vīsum(他)調達する、考察する(+間接疑問)

sed loquentur tamen;

sed(接)しかし、けれども
tamen(副)しかし、にもかかわらず

sermō autem omnis ille et angustiīs cingitur hīs regiōnum quās vidēs, nec umquam dē ullō perennis fuit, et obruitur hominum interitū, et oblīviōne posteritātis extinguitur.”

autem(接)しかし、これに反して、他方では
omnis -is -e(形)(単)全体の
ille illa illud(指示形容詞)あの、その
angustiae -ārum(女)(複)狭い場所
cingō -ere cinxī cinctum(他)取り巻く、囲む
regiōnis(女)(活動・思考の)領域、分野
videō -ēre vīdī vīsum(他)見る(+対格)
nec(副)〜でない(=non)
umquam(副)(主に否定・疑問・条件文で)non umquam 決して〜ない
ullus -a -um(指小代名詞)ある人、ある物
perennis -is -e(形)長く続く、永続する
obruō -ere -ruī -rutum(他)埋める、沈める
interitus -ūs(男)(突然の)死
oblīviōnis(女)忘れる(忘れられる)こと、忘却
posteritās -ātis(女)未来、将来
extinguitur→exstinguitur
exstinguō -ere -stinxī -stinctum(他)(受動)消える
【参考文献】
ラテン語を読む キケロ―「スキーピオーの夢」』山下太郎・著(ベレ出版)
羅和辞典 <改訂版> LEXICON LATINO-JAPONICUM Editio Emendata水谷智洋・編(研究社)

『カンタベリー物語』を原文で読む(第2回)

Chaucer, Geoffrey(名)チョーサー(1340?-1400/英国の詩人)
Canterbury Tales(名)(複)(The 〜)「カンタベリー物語」(中期英語で書かれたGeoffrey Chaucer作の未完の(主に)韻文物語集)
(テキスト2ページ、1行目〜)

General Prologue

general(形)(特殊でなく)一般の、全般の、普遍的な(⇔special、particular)
prologue(名)(文学作品の)序文、序言、序詞

Here bygynneth the Book of the Tales of Canterbury

here(副)(文頭に用いて)(特に相手の注意を引くために用いて)ほらここに(へ)
bygynneth→begins
begin(自)(物事が)始まる、開始する
book(名)知識(教訓)の源、(〜という)書物(of)
of(前)(同格関係を表わして)〜という、〜の、〜である
tale(名)(事実・伝説・架空の)話、物語(of)
Canterbury(名)カンタベリーイングランドKent州の都市/英国国教総本山(Canterbury Cathedral)の所在地)

Whan that Averyll with his shoures soote
The droghte of March hath perced to the roote,
And bathed every veyne in swich lycour
Of which vertu engendred is the flour;
Whan Zephirus eek with his sweete breeth
Inspired hath in every holt and heeth
The tendre croppes, and the yonge sonne
Hath in the Ram his half cours yronne,
And smale foweles maken melodye,
That slepen al the nyght with open iye
So priketh hem nature in hir corages,
Thanne longen folk to goon on pilgrimages,
And palmeres for to seeken straunge strondes,
To ferne halwes, kouthe in sondry londes;
And specially from every shyres ende
Of Engelond to Caunterbury they wende,
The holy blisful martir for to seke,
That hem hath holpen whan that they weere seeke.

Whan that→When
when(接)〜する時に、〜時(時を表わす副詞節をつくる)
Averyll→April
with(前)(材料・中身を表わして)〜で
his→its(代)それの、あれの、その
shoures→showers
shower(名)にわか雨
soote→sweet(形)香りのよい
droghte→drought(名)旱魃(かんばつ)、日照り、水がれ
hath(助動)(古)haveの直説法3人称単数現在形
perced→pierced
pierce(自)(〜に)入り込む(to)
to(前)(方向を表わして)(到達の意を含めて)〜まで、〜へ、〜に
roote→root(名)(植物の)根(地下茎・球根・塊根・根茎などを含む)
bathe(他)(〜を)(〜に)浸す(in)
veyne→vein(名)(葉の)葉脈
in(前)(行為・動作の方向を表わして)〜の中に
swich→such(形)(名詞の前に直接用いて)非常な、たいへんな
lycour→liquor/sap(名)(植物の)樹液
of(前)(原因を表わして)〜のため、〜で
which(形)(関係形容詞)そして(だが)その
vertu→virtue(名)(薬などの)力、効力、効能
engendred→engendered
engender(他)(事態・感情などを)生ずる、発生させる
flour→flower
Whan→When
Zephirus→Zephyrus(名)ゼピュロス(西風の神)
eek→eke(副)(古)また、さらに、そのうえ
with(原因を表わして)〜のせいで、〜のゆえに、〜のために
his(代)彼の
sweete→sweet
breeth→breth(名)息、呼吸
inspire(他)(人を)鼓舞する、激励する、発奮させる、触発する、(〜に)刺激を与える(=encourage)
in(前)(場所・位置・方向などを表わして)〜において、〜で ・in London ロンドンで(に)
holt(名)(古)雑木林、雑木の山
heeth→heath(名)(ヒースの茂る)荒れ地、荒野
tendre→tender(形)若い、未熟な
croppes→crops/shoots
shoot(名)新芽、若枝
yonge→young
sonnne→sun
Ram(名)(the 〜)牡羊座
half(形)半分の、2分の1の
cours→course
yronne→run
run(他)(道・コースなどを)走って行く
smale→small
foweles→fowls
fowl(名)(古)鳥
maken→make
melodye→melody(名)曲、歌、調べ
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(〜する(である))ところの/(主語として)/(他動詞・前置詞の目的語として)
slepen→sleep(自)眠る
al→all
nyght→night(名)(副詞的に)夜に
with(前)(付帯状況を表わす句を導いて)〜して、〜したまま、〜しながら(名詞の後に前置詞付きの句・副詞・形容詞・分詞などの補足的要素を従える)
iye→eye
so(副)(程度を表わして)それ(これ)ほど、そんな(こんな)に、これくらい
priketh→pricks
prick(他)(古)刺激する、励ます
hem→them
in(前)(人の能力・性格・才能を表わして)(人)の中には、〜には
hir→their(代)彼ら(彼女ら)の
corages→courages
courage(名)(廃)(感情・思考の座としての)心臓、心(=heart)、精神(=mind)、気分(=disposition)
Thanne→Then
then(副)(whenに導かれる時の副詞節を受けて)その時には
longen→long(自)(〜したいと)熱望する(+to do)
folk(名)(複数扱い)人々
goon→go
go on 〜 〜しに行く
pilgrymages→pilgrimages
pilgrimage(名)巡礼の旅、聖地詣(もう)で ・go on a pilgrimage to 〜へ聖地詣でに出かける
palmeres→palmers
palmer(名)(パレスチナの)聖地巡礼者(記念にシュロの枝(葉)で作った十字架を持ち帰った)、(一般に)巡礼
for(前)(目的・意向を表わして)〜のために、〜を目的として
seeken→seek(他)(古)(〜を求めて)(場所へ)行く
straunge→strange(形)(古)外国の(=foreign)、異国の
strondes→strands
strand(名)(海・湖・川などの)岸、浜
ferne→far(形)(距離的に)遠い、遠くへの、はるかな(⇔new)
halwes→holies
holy(名)神聖なもの(場所)
kouthe→known(形)(名を)知られて
sondry→sundry(形)種々様々の、雑多な
londes→lands
land(名)国、国土
specially(副)特に
shyres→shire's
shire(名)州
ende→end(名)(街路などの)はずれ
Engelond→England(名)イングランド(Great Britain島のScotlandとWalesを除いた部分)
Caunterbury→Canterbury
wende→wend(自)(古)進む、行く
holy(形)神聖な、聖なる
blisful→blissful(形)私服の
martir→martyr(名)(特にキリスト教の)殉教者
seke→seek(他)(古)(〜を求めて)(場所へ)行く
holpen→helped
weere→were
seeke→sick

Bifel that in that sesoun on a day,
In Southwerk at the Tabard as I lay
Redy to weenden on my pilgrymage
To Caunterbury with ful devout corage,
At nyght was come into that hostelrye
Wel nyne and twenty in a compaignye
Of sondry folk, by aventure yfalle
In felaweshipe, and pilgrymes weere they alle,
That toward Caunterbury wolden ryde.

Bifel→Befell
befall(自)(〜に)起こる(過去:befell)
that(接)(名詞節を導いて)(〜)ということ/(主語節を導いて)
in(前)(時間を表わして)〜(のうち)に、〜の間、〜中 ・in spring 春に
sesoun→season(名)(通例修飾語を伴って)(〜の)時季、時節、季節
on(前)(日・時・機会を表わして)〜に ・on a fine day 天気のよい日に
Southwerk→Southwark(名)サザーク(Londonの自治区でThames川の南岸地域)
Tabard(名)(the 〜)陣羽織帝(LondonのSouthwarkにあった旅亭で、Chaucerが描いたようにCanterbury詣での巡礼が集まった店)
as(接)(時を表わして)〜している時、〜したとたんに
lie(自)(副詞句を伴って)(古)宿泊する
Redy→Ready
ready(形)用意が整って、準備ができて(+to do)
weeden→wend
on(前)(動作の方向を表わして)〜に向かって、〜をめがけて ・go on a journey 旅行に出かける
my(代)私の
ful→full(副)(形容詞・副詞を修飾して)まったく、非常に
devout(形)信心深い
coragecourage
at(前)(時の一点を表わして)〜に ・at noon 正午に
come into 〜 〜に入る
hostelrye→hostelry(名)(古)宿屋
Wel→Well
well→full(副)(古)(数量詞に伴って)十分に、まる〜
nyne→nine(代)(基数の9)(複数扱い)9つ、9個、9人
twenty(代)(基数の20)(複数扱い)20個(人)
in(前)(状態を表わして)〜の状態に(で)
compaignye→company(名)(集合的/単数または複数扱い)(〜の)一行、一団、一隊(of)
by(前)(原因を表わして)〜のために
aventure→adventure(名)(廃)運
yfalle→fallen
fall(自)(〜の状態・関係に)なる、陥る(in)
feloweshipe→fellowship(名)仲間であること、仲間意識、連帯感
pilgrymes→pilgrims
pilgrim(名)巡礼者、霊場参拝者
alle→all(代)(複数扱い)(同格にも用いて)だれも、みな(通例代名詞の場合に用いる)
wolden→would(助動)(時制の一致により従属節内でまた間接話法で用いて)(意志未来を表わして)〜しよう
ryde→ride

The chambres and the stables weeren wyde
And wel we weeren esed at the beste.

chambres→chambers
chamber(名)(古)(特に)寝室
stable(名)(しばしば複数形で)馬(小)屋、家畜小屋
weeren→were
wyde→wide(形)(面積が)広い、広大な
wel→well(副)善意で、手厚く
esed→eased
ease(他)(人・心を)楽にする
beste→best
at the best 最善の状態で(は)

And shortly, whan the sonne was to reste,
So hadde I spoken with hem everichoon
That I was of hir felaweshipe anon,
And maade forward erly for to ryse
To take oure wey ther as I yow devyse.

shortly(副)簡単に、短く
be(助動)(be+to doで)(予定を表わして)〜することになっている、〜する予定だ(公式の予定に用いる)
reste→rest(自)(横になったり眠ったりして)休む、休息する
so(副)(so 〜 that 〜で/様態・目的を表わして)〜(ということになる)ように
hadde→had
with(前)(接触・交際・結合などを表わして)〜と
everichoon→every one(特にineの意味を強調して)どれもこれもことごとく
that(接)(目的を表わして)〜するように、〜せんがために
of(前)(of+名詞で形容詞句をなして)〜の
anon(副)(古)ほどなく
maede→made
make(他)(目的語に動作名詞を伴って、動詞と同じ意味をなして)(〜を)する、行なう(同じ意味の動詞より、この表現のほうが1回だけの行為であることが強調される)
forward→an agreement
agreement(名)契約 ・make an agreement 契約を結ぶ
erly→early(副)(時間・時期的に)早く ・get up early 朝早く起きる
ryse→rise(自)起きる、起床する
take(他)(道・道路などを)たどる
oure→our(代)我々の、私たちの
wey→way(名)(通例単数形で)(the 〜、one's 〜)行く道 ・take 〜 way 〜の道を行く
ther→there(副)(談話・事件・動作などで)その点で、そこで
as(接)(原因・理由を表わして)〜だから、〜ゆえに
yow→you
devyse→devise(他)(廃)描写する、詳述する

But nathelees, while I have tyme and space,
Er that I ferther in this tale pace,
Me thynketh it acordant to resoun
To telle yow al the condicioun
Of eech of hem, so as it seemed me,
And whiche they weere and of what degree,
And eek in what array that they weere inne;
And at a knyght thanne wol I first bigynne.

nathelees→nonetheless(副)それでもなお、それにもかかわらず(=nevertheless)
while(接)〜する間、〜するうち、〜と同時に(「動作や状態の継続している時間(期間)」を表わす副詞節をつくる)
have(他)(用事・時間などを)もっている、与えられている
tyme→time
space(名)(通例単数形で)(時の)間、時間
er that→ere(接)(古)〜する前に、〜しないうちに
ferther→farther(副)(farの比較級)(距離・空間・時間が)さらに遠く、もっと先に
in(前)(範囲を表わして)〜において、〜内で
pace(自)前進する
Me thynketh→Methinks
methinks(自)(古)(〜と)(私には)思われる(+that)
it(代)(形式目的語としてあとにくる事実上の目的語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
acordant→accordant(形)(〜と)一致(調和)して(to) ・be accordant to reason 道理にかなっている
to(前)(行為・作用の対象を表わして)〜にとっては、〜には
resoun→reason(名)道理、理屈
telle→tell(他)(人に)(〜を)話す、告げる、語る、言う、述べる(+目+目)
condicioun→condition(名)(複数形で)(周囲の)状況、事情(=circumstances)
eech→each(代)各自、おのおの(of)
so(副)(so 〜 as to doで)(〜することになる)ように
as(接)(様態・状態を表わして)〜のように
whiche→which
which→what kind of people
what(形)(疑問形容詞)何の、何という、どんな、いかほどの
degree(名)階級、地位、身分
in(前)(着用を表わして)〜を着て、身につけて
array(名)衣装、美装 ・in fine array 美装をこらして
inne→in
at(前)(出入りの点などを表わして)〜から ・begin at 〜から始める
knight(名)(中世の)騎士(封建時代に名門の子弟がpageからsquireに昇進し武功を立ててknightとなった)
then(副)(通例文頭または文尾に用いて)それなら、(それ)では
wol→will(助動)(意志未来を表わして)(1人称の主語に伴い、発話時の話者の意志を表わし、約束・諾否・主張・選択などを示して)〜するつもりである、〜しようと思う
first(副)(何はさておいても)まず
bigynne→begin(自)(人が)(〜から)始める(at)
【参考文献】
原文対訳「カンタベリィ物語・総序歌」』苅部恒徳、笹川寿昭、小山良一、田中芳晴・編・訳・注(松柏社
カンタベリー・テールズ市河三喜、松浪有・編注(研究社)
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
リーダーズ・プラス』(研究社)