『高慢と偏見』を原書で読む(第37回)

(テキスト40ページ、5行目〜)

“Undoubtedly,” replied Darcy, to whom this remark was chiefly addressed, “there is meanness in all the arts which ladies sometimes condescend to employ for captivation. Whatever bears affinity to cunning is despicable.”

undoubtedly(副)確かに
reply(他)(〜と)答える(目的語には答える内容がくるので、人称代名詞やletterなどの名詞は用いられない)(+引用)
Darcy ダーシー
to(前)(行為・作用の対象を表わして)〜に対して、〜に
whom(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)そしてその人(たち)を(に)
this(形)(指示形容詞)この/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)
remark(名)意見、批評
chiefly(副)主に、大部分(が)、ほとんど(が)(=mainly、chiefly)
address(他)(言葉などを)(〜に)向けて言う(to)
there(副)(thereは形式上主語のように扱われるが、動詞の後に通例不特定のものや人を表わす主語が続く/「そこに」の意味はなく、日本語ではthere isで「〜がある」の意になる)/(beを述語動詞として)
meanness(名)<mean(形)卑劣な、さもしい
all(形)(複数名詞の前に置いて)あらゆる、すべての、みな
art(名)技巧、わざ、腕
which(代)(関係代名詞)(制限的用法で)〜する(した)(もの、事)(通例「もの」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(目的格の場合)
condescend(自)恩着せがましく(〜)する、(皮肉)ありがたくも(〜)してくださる(+to do)
employ(他)(もの・手段などを)用いる、使用する
for(前)(目的・意向を表わして)〜のために、〜を目的として
captivation(名)魅惑(すること)、魅了
whatever(代)(先行詞を含む不定関係代名詞として)(〜する)もの(こと)は何でも、(〜する)もの(こと)は皆
bear(他)(関係などを)もつ(=have)
affinity(名)密接な関係、類似性(点)
cunning(名)悪知恵(日本語の「カンニング」の意味はない)
despicable(形)卑しむべき、見下げ果てた、卑劣な

Miss Bingley was not so entirely satisfied with this reply as to continue the subject.

so 〜 as to do 〜するほどに(〜だ)
entirely(副)(否定語句を伴い、部分否定で)完全に(〜ではない)
satisfied(形)満足した、満ち足りた(⇔dissatisfied)(with)
with(前)(感情・態度の対象を導いて)〜に対して、〜に
reply(名)答え、回答、返事(=response)

Elizabeth joined them again only to say that her sister was worse, and that she could not leave her.

Elizabeth(名)エリザベス(女性名/愛称Bess、Bessie、Bessy、Beth、Betty、Eliza、Elsie、Lily、Lisa、Liz、Liza、Lizzie、Lizzy)
join(他)(人・団体に)加わる、加入する、(〜の)仲間になる
only(副)(不定詞を修飾して)(目的を表わして)ただ(〜する)ために
say(他)(人に)(〜と)言う、話す、述べる、(言葉を)言う(+that)
that(接)(名詞節を導いて)(〜)ということ/(目的語節を導いて)/(主語節を導いて)/(同格節を導いて)
her(代)彼女の
worse(形)(illの比較級で)(病人など)(容態・気分など)(〜より)よくなくて、悪化して(⇔better)
could(助動)(過去形の主節の時制の一致により従属節中のcanが過去形に用いられて)〜できる、〜してよい

Bingley urged Mr. Jones's being sent for immediately; while his sisters, convinced that no country advice could be of any service, recommended an express to town for one of the most eminent physicians.

urge(他)(〜を)主張する、力説する、強調する
Jones(名)ジョーンズ
send for 〜 〜を取り(呼び)に(人を)使いにやる ・send for a doctor 医者を呼びにやる
immediately(副)直ちに、即座に、早速
while(接)(主節の後方に置き、対照を表わして)ところが一方、しかるに(=whereas)
his(代)彼の
convinced(形)(人を)確信して(⇔unconvinced)(+that)
country(形)いなか(風)の、いなか育ちの
of(前)(of+名詞で形容詞句をなして)〜の ・of no use 全然役に立たない
any(形)(否定文で名詞の前に用いて)(可算の名詞の複数形または不可算の名詞につけて)少しも(〜ない)、何も(〜ない)、だれも(〜ない)
service(名)役に立つこと、有用、助け
recommend(他)(〜に)(人・ものを)推薦する、推奨する
express(名)急使、特派
to(前)(方向を表わして)(到達の意を含めて)〜まで、〜へ、〜に
town(名)中心都市、(特に)ロンドン
for(前)(獲得・追求・期待の対象を表わして)〜を得るために(の)、〜を(求めて) ・send for a doctor 医者を呼びにやる
one(代)(単数形で)(特定の人(もの)の中の)一つ、1個、一人(of)
of(前)(部分を表わして)〜の中の
most(副)(主に2音節以上の形容詞・副詞の最上級を作って)最も、いちばん
eminent(形)高名な、著名な(特に学問・科学・芸術などの専門的分野で有名なことを示す)
physician(名)(特に)内科医

This, she would not hear of; but she was not so unwilling to comply with their brother's proposal; and it was settled that Mr. Jones should be sent for early in the morning, if Miss Bennet were not decidedly better.

this(代)(指示代名詞)(すぐ前に言われたことをさして)こう、こういう、このこと
would(助動)(過去の意志・主張・拒絶を表わして)(どうしても)〜しようとした
hear of 〜 〜のこと(消息)を聞く
so(副)(程度を表わして)それ(これ)ほど、そんな(こんな)に、これくらい
unwilling(形)(〜するのを)好まなくて、(〜し)たがらなくて(+to do)
comply(自)(要求・規制に)応じる、従う、(基準を)満たす(with)
their(代)彼ら(彼女ら)の
proposal(名)提案
it(代)(形式主語としてあとにくる事実上の主語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
settle(他)(日取りなどを)(最終的に)決める(+that) ・It's all settled. 事は決まった。
should(助動)(命令・要求・主張・意向などを表わす主節に続く名詞節に用いて)〜する(ように)
early(副)(時間・時期的に)早く ・early in the morning 朝早くに
in(前)(時間を表わして)〜(のうち)に、〜の間、〜中 ・in the morning 午前に
Bennet ベネット(Jane Austen, Pride and Prejudiceに登場する一家)
decidedly(副)確かに、明らかに、断然
better(形)(wellの比較級)(容態・気分など)(〜より)よくなって

Bingley was quite uncomfortable; his sisters declared that they were miserable.

uncomfortable(形)心地よくない、気持ちの悪い、住み(居、座り、着、はき)心地の悪い(=awkward)
declare(他)(〜を)言明する(+that)
miserable(形)(人が)(貧困・不幸・病弱などのために)みじめな、不幸な、哀れな

They solaced their wretchedness, however, by duets after supper, while he could find no better relief to his feelings than by giving his housekeeper directions that every possible attention might be paid to the sick lady and her sister.

solace(他)(苦痛・悲しみなどを)やわらげる
wretchedness(名)<wretched(形)(人が)(精神的に)つらい、悲しい、ひどくみじめな(=miserable)
by(前)(手段・媒介を表わして)〜で
duet(名)デュエット(=duo)(二重唱(奏)または二重唱(奏)曲)
find(他)(望ましいものを)得る(ことになる)、受ける
relief(名)(またa 〜)ほっとすること、安心、安堵(あんど)(to)
feeling(名)(しばしば複数形で)(喜怒哀楽などのさまざまな)感情、気持ち
by(前)(手段・方法・原因・媒介を表わして)(doingを目的語にして)(〜すること)によって
give(他)(人に)(言葉・返事・命令・あいさつなどを)述べる、言う(+目+目)
housekeeper(名)ハウスキーパー、家政婦(雇われて家事をする人)
direction(名)(通例複数形で)指示、指図、命令
every(形)(抽象名詞を伴って)可能な限りの、あらゆる、十分な
attention(名)配慮、気配り
might(助動)(仮定法仮定)(条件節の内容を言外に含めた主節だけの文で)(打ち解けた提案・軽い依頼を表わして)〜してくれないか、〜したらどうだろう
pay(他)(人に)(注意・尊敬・敬意などを)払う(to)
to(前)(行為・作用の対象を表わして)(間接目的語に相当する句を導いて)〜に
【参考文献】
Pride and Prejudice (Penguin Classics)』Jane Austen・著
自負と偏見 (新潮文庫)小山太一・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)

『美しきセルジュ』

この週末は、ブルーレイで『美しきセルジュ』を見た。

美しきセルジュ クロード・シャブロル Blu-ray

美しきセルジュ クロード・シャブロル Blu-ray

1958年のフランス映画。
製作・監督・脚本は、ヌーヴェルヴァーグの旗手クロード・シャブロル
撮影は、『恋人たち』『シシリアン』『チェイサー』のアンリ・ドカエ
主演は、ジェラール・ブラン、ジャン・クロード・ブリアリ。
いとこ同志』で名高いクロード・シャブロルのデビュー作。
僕が本作を知ったのは、大学1年の時。
僕の在籍していた学部には、1年次の教養演習で「ヌーヴェルヴァーグ研究」という授業があった。
人気の授業で、抽選だったが、僕は当選して、登録することが出来た。
ヌーヴェルヴァーグの主要作品十数本を鑑賞して、学生が討論し、先生が批評するという内容だった。
最初のガイダンスで、先生が「クロード・シャブロルと言えば、『いとこ同志』が有名ですが、この授業では、『美しきセルジュ』を取り上げたいと思います」と言った。
僕が『美しきセルジュ』という映画を知ったのは、この時が初めてで、その後も、人の口から、このタイトルを聞いたことがない。
僕は当時、極めて怠惰な学生で、この授業にも、最初の1回しか出席しなかった。
だから、『美しきセルジュ』も見なかった。
本作の日本初公開は1999年らしいから、当時はビデオでしか出ていなかったのだろう。
今にして思えば、ヌーヴェルヴァーグの代表作を何本もタダで見て、先生の解説まで聴けるのだから、この授業に出なかったことを本当に後悔している。
しかし、こんな作品が、今ではブルーレイで見られるのだから、いい時代になったものだ。
アイ・ヴィ・シーというメーカーは、ヨーロッパ映画の名作を廉価で提供してくれて、素晴らしい。
モノクロ、スタンダード。
画質は良い。
最初に、字幕で「この作品はクルーズ県サンダンで撮影された」と出る。
フランスの地理は全く分からないが、シャブロルの故郷らしい。
野道を走るマイクロ・バス。
牧歌的なテーマ曲。
若い男フランソワ(ジャン・クロード・ブリアリ)がバスから降りる。
里帰りだ。
旧友ミッシェルが迎えに来ている。
遠巻きに見掛けた、かつての親友セルジュ(ジェラール・ブラン)に声を掛けるフランソワ。
ミッシェルによると、このところ、セルジュはアル中でへべれけらしい。
余談だが、セルジュの革ジャンの着こなしは、先日、新宿区長選挙の時に神楽坂の駅前で見掛けた(そして、記念写真を撮って頂いた)自由党山本太郎共同代表とソックリだ。
山本太郎さんは、政治家としても尊敬しているが、役者としても素晴らしかった。
光の雨』の熱演は、今でも脳裏に焼き付いている。
さて、フランソワが故郷に戻って来たのは12年ぶりだ。
セルジュはイヴォンヌ(ミシェル・メリッツ)と結婚したという。
フランソワとミシェルはカフェへ。
その上がフランソワの下宿だ。
フランソワは、結核の療養のために故郷へ戻った。
しかし、タバコは吸う。
さすがフランスである。
ミシェルがフランソワにセルジュのことを語る。
セルジュは大学にも受かっていたが、イヴォンヌが妊娠したので結婚し、今はトラックの運転手だ。
当のセルジュは、義父グロモーと朝から飲んだくれている。
カジュアルなガラスのコップになみなみとワインを注ぐ。
そこへフランソワがやって来る。
旧友との再会に男泣きするセルジュ。
グロモーは、次女のマリー(ベルナデット・ラフォン)と二人暮らし。
この町は、吉幾三もビックリの、牛が道を歩いているようなのどかな所だ。
翌朝、フランソワはミシェルに尋ねて、セルジュの家を訪ねる。
セルジュは未だ寝ている。
妻のイヴォンヌは、彼に水をかけて起こす。
家にはマリーもいる。
セルジュは、昨日のことを覚えていない。
典型的なアル中だな。
マリーはフランソワに色目をつかっている。
セルジュは朝から酒を飲む。
セルジュ、フランソワ、マリーが出掛ける。
セルジュは、トラックを無茶苦茶に運転する。
今なら、飲酒運転で即刻逮捕だな。
セルジュは、ガソリンスタンドでワインを仕入れ(何でそんなものを売っているんだ?)、ラッパ飲みしながら運転する。
まあ、セルジュの荒れっぷりはよく出ているが。
マリーはフランソワに「送って」と言う。
二人は一緒に歩く。
マリーは17歳だという。
実年齢は分からんが、17歳とは到底思えない色気がある。
フランソワはたまらず、彼女にキスをする。
今なら、淫行条例違反で即刻逮捕だな。
マリーの家へ行くと、父親はいない。
マリーの初めての相手はセルジュだったらしい。
田舎の人間関係は狭いな。
と言うより、マリーがメチャクチャなのだが。
マリーは、グロモーは実の父親じゃないが、グロモーはそのことを知らないと告白する。
一方、セルジュは仕事を終えて、トラックから降りる。
ワインが1本、空いている。
ロンドンで逮捕された日航副操縦士も真っ青だ。
余談だが、例の副操縦士は、ワイン1.5リットルとビール1.8リットルを飲んだらしい。
スゴイ量だ。
僕も試してみたのだが、ワイン1.1リットルとビール1リットルを飲むと、次の日は一日中、胃がムカムカして大変だった。
ワインは、飲んでいる時は気持ちいいのだが、残るんだな。
だから、セルジュの飲み方は、異常としか思えない。
まあ、フランス人は、ワインをジュースのように飲むらしいが。
それにしてもヒドイということを、本作は描いている。
で、セルジュは自宅へ。
妻に悪態を吐く。
「フランソワが戻った。オレはヤツに何を自慢出来る?」と。
セルジュは家を飛び出す。
そして、フランソワを見掛ける。
フランソワは教会へ。
神父に挨拶する。
フランソワは、教員資格試験をフイにしたという。
本作の登場人物は皆、何らかの形で挫折している。
神父曰く、「村人は昔と変わった。全てに無気力だ。若いミシェルもセルジュも、最早神を信じない。万聖節なのに、教会には6人しか来ない」と。
僕は京都の郊外の出身だが、高校卒業後、小学校(地元の公立)の同窓会で旧友達と再会して、文化の違いに驚いた記憶がある。
何というか、皆荒れているのだ。
本作の登場人物と重なるというか。
ハロウィンで渋谷に集まる若者達も、こんな感じなんだろう。
若者が集まるのなら、革命を起こさなければ意味はない。
コスプレなんかしてどうする?
立ち上がれ!
話しが逸れた。
セルジュは、教会の前で神父と対立する。
フランソワはセルジュの家へ。
だが、セルジュはいない。
イヴォンヌはフランソワに「私達のことは放って置いて!」と訴える。
セルジュは、カフェでワインを飲んでいる。
彼は、子供達にもバカにされている。
フランソワの下宿へ行く。
「フランソワに会いたい」と、彼を探してさまようセルジュ。
彼は墓地を通る。
ここが近道なのだ。
セルジュは、死産した最初の子を恨んでいる。
一方、フランソワはマリーとデートだ。
セルジュは、酔っ払って倒れるように眠る。
朝、大家さんがフランソワに「あの娘はやめなさい」と、カフェオレを注ぎながら告げる。
本場のカフェオレは、鍋でコーヒーとミルクを温めて、同時にカップに注ぐんだな。
フランソワはセルジュと会い、「奥さんと別れるべきだ」と言う。
セルジュは、マリーのことを「あばずれだ」と。
で、この後、フランソワは酔っ払ったグロモーに「娘に近付くな」と絡まれ、売り言葉買い言葉で、マリーは本当の娘じゃないと口走ってしまう。
そうしたら、グロモーはマリーを強姦するのだ。
もう、ヒドイね。
さあ、これからどうなる?
本作の人間関係は狭い。
特に大事件が起きる訳ではないが、グイグイと最後まで引っ張る。
セルジュのどこが「美しい」かは分からなかったが。
本作の原題は「Le Beau Serge」だ。
「beau」というのは、英語の「beautiful」の語源だ。
英語の日常語は大抵ゲルマン語起源なのだが、これはフランス語起源の珍しい例。
僕は大学1年の時、フランス映画に憧れて、フランス語の授業を取ったのだが、最初の1時間で挫折してしまった。
今からでも、勉強してみるかな。
しかし、僕はもう英語とドイツ語とラテン語だけで手一杯だ。
『美しきセルジュ』は、時期的には、『大人は判ってくれない』や『勝手にしやがれ』よりも前に発表されているんだな。
正に、「ヌーヴェルヴァーグの発火点」と言える作品かも知れない。

『ロビンソン・クルーソー』を原書で読む(第146回)

(テキスト148ページ、5行目〜)

Other times I imagin'd, they had some other ship, or ships in company, who upon the signals of distress they made, had taken them up, and carry'd them off:

time(名)(特定の)時、時期 ・this time 今ごろ
imagin'd→imagined
imagine(他)(〜を)想像する(+that)
in(前)(状態を表わして)〜の状態に(で)
company(名)(時に複数扱い)仲間、連れ、一緒に過ごす人
who(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)そしてその人に
on(前)(基礎・原因・理由・条件などを表わして)〜に基づいて、〜による
distress(名)(船舶・航空機の)遭難
make(他)(目的語に動作名詞を伴って、動詞と同じ意味をなして)(〜を)する、行なう(同じ意味の動詞より、この表現のほうが1回だけの行為であることが強調される)
take up(人を)(乗り物に)乗せる
carry'd→carried
carry off(〜を)連れ去る、さらう

Other whiles I fancy'd, they were all gone off to sea in their boat, and being hurry'd away by the current that I had been formerly in, were carry'd out into the great ocean, where there was nothing but misery and perishing; and that perhaps they might by this time think of starving, and of being in a condition to eat one another.

while(名)(a 〜)(短い)間、暫時(ざんじ)
fancy'd→fancied
fancy(他)(何となく)(〜だと)思う(+that)
all(代)(複数扱い)(同格にも用いて)だれも、みな(通例代名詞の場合に用いる)
go off(立ち)去る(to)
in(前)(道具・材料・表現様式などを表わして)〜で、〜でもって、〜で作った
their(代)彼ら(彼女ら)の
hurry'd→hurried
hurry(他)(人を)(〜へ)急いで行かせる
away(副)(通例動詞とともに用いて移動・方向を表わして)あちらへ、去って
current(名)潮流、海流
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(〜する(である))ところの/(他動詞・前置詞の目的語として)
formerly(副)以前(は)、昔(は)(=previously)
carry(他)(〜を)(他の場所へ)(持ち)運ぶ、運搬する(to)
where(副)(関係副詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)そしてそこに(で)
there(副)(thereは形式上主語のように扱われるが、動詞の後に通例不特定のものや人を表わす主語が続く/「そこに」の意味はなく、日本語ではthere isで「〜がある」の意になる)/(beを述語動詞として)
nothing but 〜 ただ〜のみ、〜にほかならない
misery(名)みじめさ、悲惨
perish(自)(突然または非業な死に方で)死ぬ
that(接)(名詞節を導いて)(〜)ということ/(目的語節を導いて)/(主語節を導いて)
might(助動)(直説法過去)(主に間接話法の名詞節中で、時制の一致により)(不確実な推量を表わして)〜かもしれない
by(前)(時・期間を表わして)(期限を表わして)〜までには
this(形)(たった)今の、現在の、今〜、当〜 ・this time 今ごろ
think of 〜 〜のことを考える
starve(自)飢え死にする、餓死する
of(前)(関係・関連を表わして)〜の点において、〜に関して、〜について
condition(名)(またa 〜)(人・もの・財政などの)状態(+to do)
one another お互い(に、を)

As all these were but conjectures at best; so in the condition I was in, I could do no more than look on upon the misery of the poor men, and pity them, which had still this good effect on my side, that it gave me more and more cause to give thanks to God, who had so happily and comfortably provided for me in my desolate condition; and that of two ships companies who were now cast away upon this part of the world, not one life should be spar'd but mine:

as(接)(様態・状態を表わして)〜のように
all(形)(複数名詞の前に置いて)あらゆる、すべての、みな
these(代)(指示代名詞)これら(のもの、人)(⇔those)
but(副)ただ、ほんの、〜だけ
conjecture(名)推量、推測、憶測
at best いくらよく見ても、せいぜい(⇔at worst)
so(副)(As 〜 so 〜で)〜と同様に〜
no more than 〜=nothing more than 〜 〜にすぎない
look on 傍観する、見物する
on(前)(動作の対象を表わして)〜に対して、〜に当てて
poor(形)哀れな、不幸な、気の毒な(話し手の気持ちからpoorと言っているので、訳の時には「気の毒に」と副詞的に訳すとよい)
man(名)(男女を問わず一般に)人、人間
pity(他)(人を)(〜のことで)かわいそう(気の毒)に思う
which(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)/(主格・目的格の場合)そしてそれは(を)
have(他)(〜を)得る、もらう、受ける
still(副)それでも(やはり)、なお(=nonetheless)
this(形)(指示形容詞)この/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)
good(形)具合の良い、好適な、望ましい
effect(名)影響 ・The experience had a good effect on me. その経験は私に良い影響を与えた。
on(前)(近接を表わして)〜に接して、〜に面して ・on 〜 side 〜側に
my(代)私の
side(名)(敵・味方の)側、(〜の)方
give(他)(感情・状態・性質などを)生じさせる、添える(+目+目)
more and more ますます多くの(⇔less and less)
cause(名)理由、根拠(+to do)
give(他)(人に)(言葉・返事・命令・あいさつなどを)述べる、言う(+目+目)
thank(名)(複数形で)感謝、謝辞 ・give thanks to 〜(食前・食後)(神)に感謝をささげる
to(前)(行為・作用の対象を表わして)〜に対して、〜に
so(副)(程度を表わして)(強意的に)とても、非常に、大変
comfortably(副)快適に、気持ちよく
provide for 〜 〜に生活の必要物を供給する、〜をまかなう、扶養する
in(前)(範囲を表わして)〜において、〜内で
desolate(形)(人が)(友も希望もなく)孤独な、寂しい、わびしい
of(前)(部分を表わして)〜の中の
two(形)(基数の2)2の、2個の、二人の
company(名)(集合的/単数または複数扱い)(通例a ship's 〜として/集合的に)全乗務員
who(代)(関係代名詞)(制限的用法で)〜する(した)(人)(通例「人」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(主格の場合)
now(副)(過去時制の動詞とともに)(物語の中で)今や、そのとき、それから、次に
cast away(人を)(難船の結果)漂流させる(通例受身)(on)
not(副)(述語動詞・文以外の語句を否定して)〜でなく
life(名)(個人の)命、生命
should(助動)(仮定法で)(可能性・期待を表わして)きっと〜だろう、〜のはずである
spar'd→spared
spare(他)(人の)命を助けてやる、(命を)助ける
but(前)(no one、nobody、none、nothing、anythingやall、every one、またwhoなどの疑問詞などのあとに用いて)〜のほかに(の)、〜除いて(た)(=expect)
mine(代)私のもの(さす内容によって単数または複数扱いとなる)

I learn'd here again to observe, that it is very rare that the Providence of God casts us into any condition of life so low, or any misery so great, but we may see something or other to be thankful for; and may see others in worse circumstances than our own.

learn'd→learned
learn(他)(経験などによって)(〜を)身につける、覚える(悪い習慣にもいう)(+to do)
observe(他)(〜することに)気づく(+that)
it(代)(形式主語としてあとにくる事実上の主語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
rare(形)まれな、珍しい、めったにない(⇔common)
providence(名)(しばしばProvidence)(またa 〜)摂理、神意、神慮、天佑神助
cast(他)(通例副詞句を伴って)(ものを)投げる、ほうる
life(名)(通例修飾語を伴って)生活(状態)
low(形)(階級・位置など)低い、卑しい
misery(名)みじめさ
great(形)(痛みなど)激しい、強い、非常な
may(助動)(不確実な推量を表わして)〜かもしれない、おそらく〜であろう
some 〜 or other 何らかの(someの後の名詞は通例単数形)
thankful(形)(人が)感謝して、ありがたく思って(for)
for(前)(対象)(報償・返報を表わして)(好意・成果など)に対して、〜の返報として
other(代)(通例複数形で)ほかのもの、ほかの人たち、他人
worse(形)(badの比較級で)(〜より)いっそう悪い、なお悪い(⇔better)
circumstance(名)(通例複数形で)(経済的・物質的な)境遇、暮らし向き
our(代)我々の、私たちの
own(代)(one's 〜/独立用法で)自分独特のもの(立場)

Such certainly was the case of these men, of whom I could not so much as see room to suppose any of them were sav'd; nothing could make it rational, so much as to wish or expect that they did not all perish there, except the possibility only of their being taken up by another ship in company, and this was but meer possibility indeed; for I saw not the least signal or appearance of any such thing.

such(代)(単数または複数扱い)(先行の名詞に代わり、また記述内容をさして補語に用いて)そのような人(もの)
whom(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)そしてその人(たち)を(に)
could(助動)(過去形の主節の時制の一致により従属節中のcanが過去形に用いられて)〜できる、〜してよい
so much as 〜(not、withoutに伴い、また条件節に用いて)〜さえも、〜すらも
room(名)余地、機会(+to do)
suppose(他)(知っていることから)推測する、思う、考える(+that)
any(代)(肯定文で、any of 〜の形か既出名詞の省略の形で用いて)何でも、だれでも、どれでも、いくらでも
sav'd→saved
save(他)(危険などから)(人・生命・財産などを)救う、救助する、助ける(from)
make(他)(〜を)(〜に)する(+目+補)
rational(形)(言動が)合理的な、理にかなった
wish(他)(現在の実現不可能なことの願望を表わして)(〜であればよいのにと)思う(+that)(thatは省略されるのが普通で、節内には(仮定法)過去形が用いられる)
expect(他)(きっと)(〜するだろうと)思う(+that)
perish(自)(突然または非業な死に方で)死ぬ
possibility(名)(またa 〜)あり(起こり)うること、可能性(⇔impossibility)(of)
only(副)ただ単に
of(前)(同格関係を表わして)〜という、〜の、〜である
another(形)別の、ほかの
company(名)(時に複数扱い)仲間、連れ、一緒に過ごす人
this(代)(指示代名詞)(すぐ前に言われたことをさして)こう、こういう、このこと
meer→mere(形)ほんの、単なる、まったく〜にすぎない
for(接)(通例コンマ、セミコロンを前に置いて、前文の付加的説明・理由として)という訳は〜だから(=as、しんせ)
not the least 最少の〜もない、少しも〜でない
signal(名)しるし、前兆、徴候
appearance(名)(通例単数形で)出現(すること)
any(形)(否定文で名詞の前に用いて)(可算の名詞の単数形につけて)何か一つの(〜もない)、だれか一人の(〜もない)(a(n)の代用であるが、やや強調的)

I cannot explain, by any possible energy of words, what a strange longing or hankering of desires I felt in my soul upon this sight; breaking out sometimes thus; O that there had been but one or two; nay, or but one soul sav'd out of this ship, to have escap'd to me, that I might but have had one companion, one fellow-creature to have spoken to me, and to have convers'd with!

explain(他)(〜を)説明する、明白にする(+wh.)
by(前)(輸送・伝達の手段を表わして)〜によって、〜で
any(形)(否定文で名詞の前に用いて)(可算の名詞の複数形または不可算の名詞につけて)少しも(〜ない)、何も(〜ない)、だれも(〜ない)
energy(名)エネルギー、勢力
word(名)(しばしば複数形で)(口で言う)言葉
what(形)(疑問形容詞)(間接疑問の節を導いて)何の、どんな
longing(名)(〜したいという)切望、熱望
hankering(名)(通例a 〜)(手の届かぬものへの)切望、渇望
desire(名)(〜を求める)欲望、欲求
feel(他)(喜び・悲しみ・怒りなどを)感じる、覚える
soul(名)霊魂、魂
on(前)(関係を表わして)〜について、〜に関する
sight(名)光景、風景、眺め
break out(叫び声・笑いなどを)発する
thus(副)このように、かように
O(間)(常に大文字で、直後にコンマまたは!は用いない)(驚き・恐怖・苦痛・願望などを表わして)ああ!、おお!、おや!(that) ・O that I were young again! ああ、もう一度若くなりたい!
that(接)(感嘆文をなして)(that節中に仮定法過去形を用い願望を表わして)〜すればよいのだが!
one(代)(単数形で)(特定の人(もの)の中の)一つ、1個、一人
two(代)(複数扱い)二つ、2個(人)
nay(副)(古)否、いや(=no/⇔yea、aye)
or(接)(訂正語句・コメントなどを導いて)いや〜、あるいは(むしろ)
soul(名)(数詞または否定語句を伴って)人、人名
out of(前)〜の中から外へ、〜の外へ(⇔into)
escap'd→escaped
to(前)(方向を表わして)(到達の意を含めて)〜まで、〜へ、〜に
might(助動)(仮定法過去)(現在の仮定や仮定の結果を表わす節で)(might have+過分で/過去のことの推量を表わして)〜したかもしれなかった(のだが)
have(他)(ある関係を表わして)(肉親・友人などが)いる、(〜が)ある
companion(名)仲間、友
fellow(形)仲間の、同輩の、同僚の、同業の
creature(名)(通例修飾語を伴って)人、やつ、女、子
speak to 〜(〜について)〜と話す
convers'd→conversed
converse(自)(人と)(〜のことで)談話を交わす ・converse with a person 人と語り合う
with(前)(敵対を表わして)〜を相手に、〜と ・argue with 〜と議論する

In all the time of my solitary life, I never felt so earnest, so strong a desire after the society of my fellow-creatures, or so deep a regret at the want of it.

in(前)(時間を表わして)〜を相手に
solitary(形)孤独の
life(名)(通例単数形で)(具体的な)生活、暮らし方
feel(自)(人が)(〜であると)感じる、(〜の)感じ(心地)がする(+補)
so(副)(程度を表わして)それ(これ)ほど、そんな(こんな)に、これくらい ・so beautiful a sunset こんなにきれいな夕日(不定冠詞aの位置に注意)
earnest(形)まじめな、真剣な
strong(形)(感情が)激しい
after(前)(目的・追求を表わして)〜のあとを追って、〜を求めて、〜を追求して
society(名)社交、つき合い、交際(=company) ・the society of 〜との交際
deep(形)(感情など)深く感じる、痛切な、心からの
regret(名)残念、遺憾(いかん)(at)
at(前)(感情の原因を表わして)〜に(接して)、〜を見て、聞いて、考えて
want(名)(またa 〜)欠乏、不足、払底(of)
of(前)(目的格関係を表わして)(しばしば動作名詞または動名詞に伴って)〜を、〜の

There are some secret moving springs in the affections, which when they are set a going by some object in view, or be it some object, though not in view, yet render'd present to the mind by the power of imagination, that motion carries out the soul by its impetuosity to such violent eager embracings of the object, that the absence of it is insupportable.

moving(形)動く、動いている
spring(名)ばね、ぜんまい、スプリング
affection(名)感情
when(接)〜する時に、〜時(時を表わす副詞節をつくる)
set(他)(〜を)(〜の状態に)する、させる(+目+doing)
a-(接頭)(動名詞につけて)(古)「〜して」「〜中で」
go(自)(機械・器官などが)動く、作動する
by(前)(手段・媒介を表わして)〜で
some(形)(不明または不特定のものまたは人をさして)(単数形の可算の名詞を伴って)何かの、ある、どこかの
object(名)(知覚できる)物、物体
view(名)見える状態(範囲)、視界、視野 ・in view(ものが)見えて、丸見えで
yet(接)(although、thoughと相関的に用いて)それでも
render'd→rendered
render(他)(人などを)(〜に)する(=make)(+目+補)
present(形)(心・記憶に)あって、忘れられないで
power(名)力
imagination(名)想像、想像力、構造力
that(形)(指示形容詞)(対話者同士がすでに知っているもの・人・量をさして)あの
motion(名)(一つ一つの動作を示して)動き、運動
soul(名)精神、心(=spirit)
its(代)それの、あれの、その
impetuosity(名)激烈、猛烈
such(形)(程度を表わして)(such 〜 thatで)非常に〜なので
violent(形)(言動・感情など)激した、憤激した
eager(形)(人・目つきなど)熱心な
embrace(他)抱き締める(=hug)
that(接)(副詞節を導いて)(such 〜 thatの形で程度・結果を表わして)(非常に)〜なので、〜(する)ほど
absence(名)ないこと、欠乏(=lack)(of)
insupportable(形)耐えられない、我慢できない(=intolerable)
【参考文献】
Robinson Crusoe (Penguin Classics)』Daniel Defoe・著
ロビンソン・クルーソー (河出文庫)』武田将明・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)

『みずうみ(湖畔、インメンゼー)』を原文で読む(第9回)

(テキスト16ページ、1行目〜)

„Ja,“ sagte Elisabeth; „aber Mutter muß dann auch mit, und deine Mutter auch.“

ja(副)(肯定の答え)はい、ええ、そうです(英:yes)
sagen(他)(事4格を)言う、述べる(英:say)(過去:sagte)(過分:geasgt)(完了:haben)/(引用文とともに)
Elisabeth(女名)エリーザベト(複:なし)
aber(接)(並列接続詞)(相反・対比)しかし、けれども、だが(英:but)
die Mutter(女)母、母親、お母さん(英:mother)(複:Mütter)
müssen(助動)(話法の助動詞)(独立動詞として/不定詞なしで)(方向を表す語句とともに)(〜へ)行かなければならない(過去:musste)(過分:gemusst)(完了:haben) ・ich muss、du musst、er muss
dann(副)そのときに
auch(副)〜もまた、〜と(同様)、同じく(英:also、too)
mit(副)いっしょに、ともに、〜もまた/(話法の助動詞とともに)

„Nein,“ sagte Reinhard, „die sind dann zu alt, die können nicht mit.“

nein(副)(否定の答え)いいえ、いや(英:no)
Reinhard(男名)ラインハルト(複:なし)
zu(前)(結果)〜に(なる、する)
alt(形)年とった、高齢の、老齢の(英:old)(比較:älter)(最上:ältest)
können(助動)(話法の助動詞)(独立動詞として/不定詞なしで)(方向を表す語句とともに)(〜へ)行くことができる(過去:konnte)(過分:gekonnt)(完了:haben) ・ich kann、du kannst、er kann

„Ich darf aber nicht allein.“

dürfen(助動)(話法の助動詞)(独立動詞として/不定詞なしで)(方向を表す語句とともに)(〜へ)行ってもよい(過去:durfte)(過分:dürfen)(完了:haben) ・ich darf、du darfst、er darf
allein(形)ひとりきりの、単独の(英:alone)

„Du sollst schon dürfen; du wirst dann wirklich meine Frau, und dann haben die andern dir nichts zu befehlen.“

sollen(助動)(話法の助動詞)(zuのない不定詞とともに)(主語以外の意志)(話し手の意志)〜して欲しい、〜させよう(過去:sollte)(過分:sollen)(完了:haben) ・ich soll、er soll
schon(副)(文中でのアクセントなし)(疑いを打ち消して)きっと、確かに
werden(自)(〜に)なる(英:become)(過去:wurde)(過分:geworden)(完了:sein) ・du wirst、er wird
wirklich(副)(文全体にかかって)本当に、実際に(英:really)
die Frau(女)妻、女房、夫人(=Ehefrau)(英:wife)(複:Frauen)
dann(副)それなら、その場合には
haben(他)(zu不定詞句とともに)〜するもの(こと)がある(英:have)(過去:hatte)(過分:gehabt)(完了:haben) ・du hast、er hat
ander(形)ほかの、(これまでとは)違った、異なる
nichts(代)(不定代名詞/無変化)何も〜ない(英:nothing)/(zu不定詞句とともに)
befehlen(他)(人3格に事4格を)命令する、指図する(英:order)(過去:befahl)(過分:befohlen)(完了:haben) ・du befiehlst、er befiehlt

„Aber meine Mutter wird weinen.“

werden(助動)(未来の助動詞)(他の動詞の不定詞とともに未来形をつくる)(未来・推量)〜だろう(過去:wurde)(過分:geworden)(完了:sein) ・du wirst、er wirt
weinen(自)泣く、涙を流す(英:cry)(過去:weinte)(過分:geweint)(完了:haben)

„Wir kommen ja wieder,“ sagte Reinhard heftig; „sag es nur gerade heraus: willst du mit mir reisen? Sonst geh' ich aIlein; und dann komme ich nimmer wieder.“

wieder|kommen(自)(人が)帰って来る(完了:sein)
ja(副)(文中でのアクセントなし)(強調)確かに、本当に
heftig(形)激しい、強烈な、ひどい(英:violent)
nur(副)(ふつう文中でのアクセントなし)(命令文で)さあ、どうか、ぜひ(英:only)
geradeheraus(副)率直に、忌たんなく
wollen(助動)(話法の助動詞)(zuのない不定詞とともに)〜するつもりだ、〜しようと思う、〜したい(と思う)(英:will、want)(過去:wollte)(過分:wollen)(完了:haben) ・ich will、du willst、er will
mit(前)(3格とともに)〜と(いっしょに)(英:with)
reisen(自)旅立つ(英:travel)(過去:reiste)(過分:gereist)(完了:haben) ・du reist
sonst(副)さもないと、そうでなければ
geh'→gehe
gehen(自)(方向を表す語句とともに)(〜へ)行く、出かける(英:go)(過去:ging)(過分:gegangen)(完了:sein)
nimmer(副)決して〜ない(英:never)

Der Kleinen kam das Weinen nahe.

der Kleine(男)(女)(語尾変化は形容詞と同じ)小さな男の子(女の子)
kam kommen(来る)の過去
nahe|kommen(自)(人3格と)親しくなる(完了:sein9

Mach nur nicht so böse Augen,“ sagte sie; „ich will ja mit nach Indien.“

machen(他)(ある顔つき・動作など4格を)する(過去:machte)(過分:gemacht)(完了:haben)
so(副)(程度を表して)それほど、そんなに
böse(形)怒っている、腹を立てている(比較:böser)(最上:bösest)(格変化語尾がつくときはbös-)
das Auge(中)目、眼、眼球(英:eye)(複:Augen)
wollen(助動)(話法の助動詞)(独立動詞として/不定詞なしで)(方向を表す語句とともに)(〜へ)行くつもりだ(過去:wollte)(過分:gewollt)(完了:haben) ・ich will、du willst、er will
nach(前)(3格とともに)(方向・目標)〜(の方)へ、〜に向かって(英:to)
Indien(中)(国名)インド(共和国)(首都はニューデリー)(複:nasi)

Reinhard faßte sie mit ausgelassener Freude bei beiden Händen und zog sie hinaus auf die Wiese.

fassen(他)つかむ(英:grasp)(過去:fasste)(過分:gefasst)(完了:haben) ・du fasst、er fasst/・Das Kind fasste die Mutter bei der Hand. 子供は母親の手をつかんだ。
mit(前)(3格とともに)(様態)〜で
ausgelassen(形)大はしゃぎの、浮かれた、はめをはずした
die Freude(女)喜び、うれしさ、歓喜(英:joy)(複:Freuden)/(前置詞とともに)・mit Freuden 喜んで
bei(前)(3格とともに)(接触点・手がかり)〜(の部分)を ・Sie nahm das Kind bei der Hand. 彼女は子供の手をつかんだ。
beide(形)(格変化語尾がつくときはbeid-)
die Hand(女)手(英:hand)(複:Hände/3格のみHänden)
ziehen(他)(人・物4格を)引く、引っぱる(英:pull)(過去:zog)(過分:gezogen)(完了:sein)
hinaus(副)(中から向こうの)外へ、表へ
auf(前)(上面との接触)(どこへ)(4格と)〜の上へ、〜(の上)に
die Wiese(女)草地、牧草地、草原(英:meadow)(複:Wiesen)
【参考文献】
対訳 みずうみ』中込忠三、佐藤正樹・編(同学社)
アポロン独和辞典』(同学社)

『マックQ』

この週末は、ブルーレイで『マックQ』を見た。

1974年のアメリカ映画。
監督は、『荒野の七人』『大脱走』『シノーラ』の巨匠ジョン・スタージェス
音楽は、『十戒』『荒野の七人』『アラバマ物語』『大脱走』の巨匠エルマー・バーンスタイン
主演は、『赤い河』『ホンドー』『アラスカ魂』『史上最大の作戦』『西部開拓史』『大列車強盗(1973)』『オレゴン魂』の大スター、ジョン・ウェイン
共演は、『史上最大の作戦』のエディ・アルバート、『アニー・ホール』のコリーン・デューハースト、『ブレージングサドル』のデヴィッド・ハドルストン、『ゴッドファーザー』『ゲッタウェイ』のアル・レッティエリ、『大アマゾンの半魚人』のジュリー・アダムス。
ダーティハリー辺りと、似たような雰囲気が漂っている。
西部劇のイメージが強いジョン・ウェインに、刑事をやらせてみようということだろう。
ワーナー・ブラザース
テクニカラー、パナビジョン。
舞台はシアトルらしい。
車の中にサングラスの男。
銃を持っている。
走り出す車。
夜明けの港である。
如何にも70年代風のテーマ曲。
男は、車の中から警官を撃つ。
続いて、駐車場でまた警官を撃つ。
車を降りる男。
通り過ぎるパトカー。
男は行き付けらしいカフェに入り、カウンターでミルクを頼む。
マックQ(ジョン・ウェイン)の同僚だと言っているから、刑事なのだろう。
しかし、彼は、今度は車の中から他の男にライフルで撃たれる。
テンポ良く進むが、謎めいた展開。
マックQは何故かヨットの上で暮らしている。
寝ていると、電話で起こされる。
「スタンがやられた。死んではいない。目撃者はいない。」
マックQは、車上荒らしの男を見付け、「待て」と声を掛けるが、今度は別の男から銃で狙われ、その男を撃つ。
この男は、殺し屋のサミュエルズらしい。
マックQがスタンの病室へ行くと、彼は重体だという。
スタンの妻ロイス(ダイアナ・マルドア)が病室にいる。
彼女によると、昨夜、スタンに電話があったらしい。
彼は、麻薬の摘発で狙われているのであった。
マックQが警察署へ戻ると、課長がマックQを呼んでいるという。
その日は、過激派が多数、検挙されていた。
その中の一人がマックQに、「撃てるものなら撃ってみろ」と挑発する。
マックQは、そいつにケリを入れる。
課長が言うには、今回の事件には、悪名高き麻薬王マニー・サンチャゴ(アル・レッティエリ)が絡んでいるという。
ただし、マックQには、「君はスタンの親友だから、担当させない」と言う。
マックQは、正義感から勝手に動いて、自分で犯人を処罰した過去があった。
今、警察がそんなことをしたら、直ちにマスコミの餌食だが。
70年代の刑事ドラマにはありがちな感じだ。
しかし、マックQはそんなことは無視。
港へ赴き、サンチャゴの会社を張る。
サンチャゴは、お抱えの悪徳弁護士に「オレじゃない。昨夜は飛行機に乗っていた」などと話している。
マックQは、一眼レフに装着した望遠レンズで様子を伺っている。
なお、カメラはニコンだ。
サンチャゴは車でカフェへ。
TVのニュースで「スタン死亡」と告げている。
マックQも後を追って、その店へ。
親友の死を知って、逆上したマックQは、電話中だったサンチャゴをボコボコにする。
そのことを知った課長は激怒。
市のエライさんの面前で、マックQに「操作から外れろ!」と命じる。
何か、いよいよ『ダーティハリー』っぽいな。
マックQは警察を辞める。
彼は、私立探偵のピンキーに「仲間にしてくれ」と頼む。
どうしても、スタンの犯人探しを諦められないのであった。
本作は、事件がどんどん降り掛かって来るが、それが全体のストーリーの中でどういう位置付けなのかは、先に進んでみないと分からないように作られている。
まあ、刑事モノにありがちな展開かな。
マックQは、別れた妻エレインを訪ね、「5000ドル欲しい」と言う。
別れた奥さんにカネの無心をする神経が信じられないが。
でも、エレインは、今は金持ちと再婚していて、旦那があっさりと「いいよ」と言う。
バスケの会場で、マックQは黒人の情報屋に声を掛ける。
彼によると、サンチャゴが絡んでいるという。
で、今度は夜道でコカインを飲み込んだ男を捕まえ、そいつのコカインを奪う。
一般人のクセに、やりたい放題。
で、そのコカインを持って、ヤク中のウェイトレス、マイラ(コリーン・デューハースト)を訪ねる。
彼女は、生前のスタンといい仲であった。
彼女は、ヤクを持って行けば、何でも話してくれたという。
最初は、「スタンには話すけど、あなたは嫌いだから話さない」なんて言っていたが、「ヤクがコカインなら話す」となり、とうとうマックQと寝る。
何だかなあ。
こういうアンチヒーローものは、どうも女にだらしないというのが相場だ。
で、彼女が言うには、「今回は殺し屋が雇われた。街一番の麻薬倉庫は青い制服(=警察)だ。行けば分かる」と。
マックQは警察署へ行く。
そして、警察が押収した麻薬の行方を追う。
本来なら、極秘に焼却処分されるはずだが…。
さあ、これからどうなる?
この後も、ストーリーは二転三転。
何度もどんでん返しがある。
カー・チェイスに銃撃戦と、見せ場は盛り沢山なのだが。
最後まで見ても、今一つ腑に落ちない。
何だろう。
ジョン・ウェインは貫禄十分なんだけどね。
アメリカは銃社会だということは分かる。

『嵐が丘』を原書で読む(第21回)

(テキスト22ページ、1行目〜)

‘Hindley hurried up from his paradise on the hearth, and seizing one of us by the collar, and the other by the arm, hurled both into the back-kitchen; where, Joseph asseverated, “owd Nick” would fetch us as sure as we were living; and, so comforted, we each sought a separate nook to await his advent.

hurry up 急ぐ
his(代)彼の
paradise(名)(a 〜)楽園、パラダイス
on(前)(近接を表わして)〜に接して、〜に面して
hearth(名)炉床(炉の火をたく床)
seize(他)(〜を)(ぎゅっと・乱暴に)つかむ、握る、捕まえる ・The policeman seized the suspect by the neck. 警官は容疑者の首をむずとつかんだ。
one(代)(単数形で)(特定の人(もの)の中の)一つ、1個、一人(of)
of(前)(部分を表わして)〜の中の
by(前)(動作を受ける体・衣服の部分を表わして)(人・ものの)〜を(catch、hold、leadなどの動詞とともに用い、目的語に「人・もの」を用い、さらにby以下によってその部分を示す/byの後の名詞にはtheがつく) ・He held the boy by the collar. 彼はその少年の襟もとをつかまえた。
collar(名)(衣服の)カラー、襟
other(代)(the 〜)(二つのうちの)ほかの一方(の人)、他方
hurl(他)(副詞句を伴って)(〜を)強く投げつける
both(代)(複数扱い)両者、両方、双方
back(形)背後の、後方の(⇔front)
where(副)(関係副詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)そしてそこに(で)
Joseph(名)ジョーゼフ(男性名/愛称Jo、Joe)
asseverate(他)(〜だと)断言する、強く言明する(+that)
owd→old
Old Nick(名)悪魔
fetch(他)(ものを)取って(取りに)くる、(人を)呼んで(呼びに)くる
as(副)(通例as 〜 as 〜で、形容詞・副詞の前に置いて)(〜と)同じ程度に、同様に、同じくらい
sure(副)確かに
as(接)(as 〜 as 〜で同程度の比較を表わして)〜と同じく、〜と同様に、〜のように、〜ほど
living(形)生きている(⇔dead)
so(副)(程度を表わして)(強意的に)とても、非常に、大変
comfort(他)(人を)慰める
each(代)(複数代名詞の同格に用いて)それぞれ
sought(動)seekの過去形・過去分詞
seek(他)(古)(〜を求めて)(場所へ)行く
separate(形)別の、同じでない、異なる、独自の(=different)
nook(名)(部屋などの)隅(=corner)
await(他)(人が)(〜を)待つ、待ち受ける
advent(名)(the 〜)(重要な人物・事件などの)出現、到来

‘I reached this book, and a pot of ink from a shelf, and pushed the house-door ajar to give me light, and I have got the time on with writing for twenty minutes; but my companion is impatient and proposes that we should appropriate the dairy woman's cloak, and have a scamper on the moors, under its shelter. A pleasant suggestion — and then, if the surly old man come in, he may believe his prophecy verified — we cannot be damper, or colder, in the rain than we are here.’

reach(他)(手を伸ばして)(〜から)(ものを)取る(from)
this(形)(指示形容詞)この/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)
pot(名)ポット(丸くて深い陶器・金属・ガラス製のつぼ・鉢・かめ・深なべなど/取っ手のあるものもないものもある/日本語で「魔法瓶」を「ポット」と言うが、その意味は英語にはない)
from(前)(分離・除去などを表わして)〜から(離して) ・take A from B BからAを取る
shelf(名)棚
push(他)(〜を)押して(〜の状態に)する(+目+補) ・push the door open ドアを押してあける
house(形)家の
ajar(形)(ドアが)半開きで
give(他)(人に)(ものを)与える、あげる(+目+目)
get(他)(〜を)(〜から)(努力して)得る、手に入れる
time(名)(またa 〜)(ある一定の長さの)期間、間
on(副)(動作の継続を表わして)どんどん、絶えず、ずっと
with(前)(原因を表わして)〜のせいで、〜のゆえに、〜のために
writing(名)書くこと、執筆
for(前)(時間・距離を表わして)〜の間(ずっと)
twenty(形)(基数の20)20の、20個の、20人の
my(代)私の
companion(名)仲間、友
impatient(形)いらいらしている、我慢できない
propose(他)(〜を)提案する(+that)
that(接)(名詞節を導いて)(〜)ということ/(目的語節を導いて)
should(助動)(仮定法で)(命令・要求・主張・意向などを表わす主節に続く名詞節に用いて)〜する(ように) ・propose that A should do Aがすべきだと提案する
appropriate(他)私用に供する、着服する、盗む
dairy(形)酪農の
cloak(名)(ゆったりとした)それなしの外套(がいとう)、マント
have(他)(通例動作・行為などを表わす不定冠詞付きの名詞を目的語として)(〜)する、(〜を)行なう
scamper(名)はね回る(かけ回る)こと ・have a scamper(子供・犬などが)はね回る、かけ回る
moor(名)(しばしば複数形で)荒れ地、荒野、ムア(イングランドスコットランドでheatherの生えた通例泥炭質の土地/特に、ライチョウ(grouse)の狩猟場)
its(代)それの、あれの
shelter(名)保護、庇護(ひご)、擁護
suggestion(名)提案(すること)
then(副)(しばしばandを伴って、前に続くことを示して)それから、その後で
surly(形)(意地悪く)不機嫌な
man(名)(修飾語句を伴って)(特定の仕事・性格などの)男性
come in 入る、入場する
may(助動)(不確実な推量を表わして)〜かもしれない、おそらく〜であろう
believe(他)(〜と)思う、信じる(+目+補)
prophecy(名)予言
verify(他)(事実・出来事などが)(予言・約束などを)実証する(しばしば受身)
can(助動)(可能性・推量を表わして)(否定文で)〜はずがない
damp(形)湿気のある、じめじめした、しめっぽい
in(前)(環境を表わして)〜の中で(を) ・in the rain 雨の中で

I suppose Catherine fulfilled her project, for the next sentence took up another subject; she waxed lachrymose.

suppose(他)(知っていることから)推測する、思う、考える(+that)
Catherine(名)キャサリン(女性名/愛称Cathy、Kate、Kitty)
fulfil(他)(命令・条件などを)果たす、実行する
her(代)彼女の
project(名)(大規模な)計画、企画
for(接)(通例コンマ、セミコロンを前に置いて、前文の付加的説明・理由として)という訳は〜だから(=as、since)
next(形)(通例the 〜)(順序・配列が)次の ・the next chapter 次の章
sentence(名)文、文章
take up(問題を)取り上げる
another(形)別の、ほかの
wax(自)(人が)次第に(〜に)なる
lachrymose(形)涙もろい

‘How little did I dream that Hindley would ever make me cry so!’ she wrote.

how(副)(感嘆文に転用して)まあ何と、いかに
little(副)(aをつけないで否定的用法で)(know、think、care、suspectなどの動詞の前に置いて)まったく〜しない(=not at all)
do(助動)(強調・釣り合いなどのため述語(の一部)を文頭に置く時に)
dream(他)(否定文、過去形で)(〜ということを)夢にも思わない(+that)
ever(副)(否定文で)決して(〜ない)
make(他)(強制的にも非強制的にも)(〜に)(〜)させる(+目+原形)
so(副)(程度を表わして)それ(これ)ほど、そんな(こんな)に、これくらい
write(他)(本などの中で)(〜と)書いて(言って)いる(+that)

‘My head aches, till I cannot keep it on the pillow; and still I can't give over. Poor Heathcliff! Hindley calls him a vagabond, and won't let him sit with us, nor eat with us any more; and, he says, he and I must not play together, and threatens to turn him out of the house if we break his orders.

ache(自)(歯・頭・心などが)(ずきずき)痛む、うずく ・My head aches. 頭痛がする
till(接)(結果・程度を表わして)(〜して)ついに、(〜する)ほどに
keep(他)(ものを)取っておく、捨てないでおく
pillow(名)まくら(通例羽毛・綿などを入れた柔らかいもので、日本のような硬いまくらはない)
still(副)それでも(やはり)、なお(=nonetheless)
can't cannotの短縮形
give over(〜を)やめる
poor(形)哀れな、不幸な、気の毒な(話し手の気持ちからpoorと言っているので、訳の時には「気の毒に」と副詞的に訳すとよい)
Heathcliff ヒースクリフ(Emily Brontëの小説Wuthering Heights(1847)の主人公/復讐の鬼)
call(他)(人を)(〜と)呼ぶ、称する(+目+補)
vagabond(名)(特に、無為従食の)放浪者、無宿人
won't will notの短縮形
will(助動)(主語の意志を表わして)(願望・主張/固執・拒絶などを示して)(〜しようと)欲す、(あくまでも)〜しようとする
let(他)(容認・許可を表わして)(人・ものなどに)(〜)させる、(人・ものなどに)(〜することを)許す(+目+原形)
eat(自)食事をする
any(副)(通例比較級またはdifferent、tooとともに用いて)(否定文で用いて)少しも(〜ない)
more(副)そのうえ、なおまた ・not 〜 any more もうこれ以上〜ない
say(他)(人に)(〜と)言う、話す、述べる、(言葉を)言う(+that)
must(助動)(否定文で禁止を表わして)〜してはいけない
threaten(他)(処罰・仕返しなどを)するぞと脅す(+to do)
turn a person out of 〜(人を)〜から追い出す、追い払う
break(他)(法律・規則・約束などを)破る、犯す
order(名)(しばしば複数形で)命令、指令

‘He has been blaming our father (how dared he?) for treating H. too liberally; and swears he will reduce him to his right place — ’

blame(他)(〜のことで)(人を)非難する、とがめる(for doing)
our(代)我々の、私たちの
how(副)(理由を尋ねて)どうして(まあ)、なぜ
dare(助動)(否定・疑問・条件文に用いて)あえて〜する、思い切って(恐れずに、生意気にも)〜する
for(前)(原因・理由)〜の理由で、〜のため(=because of)
treat(他)(様態の副詞(句・節)を伴って)(人・動物などを)(〜に)待遇する、取り扱う
too(副)(形容詞・副詞の前に置いて)非常に
liberally(副)気前よく、寛大に
swear(他)(〜を)誓う、宣誓する(+that)
reduce(他)(人の)(地位・階級などを)(〜に)下げる、引き下げる(to)
right(形)適当な、適切な ・the right place 適所
place(名)(社会的な)地位、身分

I began to nod drowsily over the dim page; my eye wandered from manuscript to print.

begin(他)(〜し)始める、(〜し)だす(+to do)
nod(自)こっくりする、うとうとする、居眠りする
drowsily(副)眠そうに、うとうとと
over(前)(動作動詞とともに)〜を越えて(=across)
dim(形)(姿が)よく見えない、ぼやけた
wander(自)(通例副詞句を伴って)(目・視線が)きょろきょろ見回す ・wander A from B(視線が)AからBへと移る
manuscript(名)原稿、手稿(手書きまたはタイプしたもの)
print(名)印刷の字体、活字

I saw a red ornamented title ...

ornament(他)(〜を)飾る
title(名)(本・映画・絵などの)表題、題名

‘Seventy Times Seven, and the First of the Seventy-First. A Pious Discourse delivered by the Reverend Jabes Branderham, in the Chapel of Gimmerden Sough.’

seventy(名)(基数の70)(通例無冠詞)70
time(名)(複数形で)(前置詞的に)〜かける ・Four times two is eight. 4×2=8
seven(名)(基数の7)(通例無冠詞)7(神秘的な数として完全または多数の意味を表わすことがある)
first(名)(序数の第1番)(通例the 〜)第1(番目)(of)
seventy(形)(基数の70)70の、70個の、70人の
pious(形)敬虔(けいけん)な、信心深い(⇔impious)
discourse(名)講話、講演
deliver(他)(演説・説教などを)する
reverend(形)(the Reverend/聖職者の敬称または呼び掛けに用いて)〜師(聖職者に対する敬称としては、姓と名をつけるのがていねいな用法)
Jabes→Jabez ジェーベズ
chapel(名)(キリスト教の)礼拝堂、チャペル(教会の礼拝堂のほか、学校・病院・大邸宅などに設けられたものを言う)

And while I was, half consciously, worrying my brain to guess what Jabes Branderham would make of his subject, I sank back in bed, and fell asleep.

half(副)半ば、半分(だけ)
consciously(副)意識して、意識的に、わざと
worry(他)(人を)(〜で)苦しめる、悩ます
brain(名)脳、脳髄
guess(他)(十分知らないで、また十分考えないで)推測する(+wh.)
what(代)(疑問代名詞)(不定数量の選択に関して用いて)何、どんなもの(こと)、何もの、何事/(間接疑問の節や+to doの形で)
would(助動)(話し手の過去についての推測を表わして)〜だったろう
make(他)(材料から)(ものを)作る、造る(ofは通例材料の形が製作物にとどまっている場合) ・make A of B BでAを作る
of(前)(材料を表わして)〜で(作った)、〜から(成る)
sink(自)(〜に)(ぐったりと)腰を下ろす(back)(in)
back(副)あお向けに
fall asleep 寝入る、眠り込む

Alas, for the effects of bad tea and bad temper! what else could it be that made me pass such a terrible night?

alas(間)(悲嘆・憂慮などを表わして)ああ!、悲しいかな!
effect(名)(原因から直接引き起こされる)結果(⇔cause)
bad(形)(味・においなど)不快な、いやな
bad(形)不愉快な
temper(名)気分、機嫌 ・a bad temper 不機嫌
could(助動)(仮定法(叙想法)で用いて)(条件節の内容を言外に含めた主節だけの文で/婉曲的に)〜できるだろうに、〜したいくらいだ
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(〜する(である))ところの(先行詞がもの・人を表わす場合で、最上級の形容詞、all the、the only、the same、the veryなどの制限的語句を含む時、および、先行詞が疑問代名詞やall、much、little、everything、nothingなどの時に多く用いられる傾向があるが、絶対的なものではない)/(主語として)
pass(他)(時間などを)過ごす、つぶす
such(形)(程度を表わして)(形容詞や名詞の前で/副詞的に)あれほど(これほど)の、あんな(そんな)に、このように

I don't remember another that I can at all compare with it since I was capable of suffering.

don't do notの短縮形
remember(他)(〜を)思い出す、思い起こす(⇔forget) ・cannot remember 思い出せない
another(代)別のもの(人)
can(助動)(能力を表わして)(感覚動詞およびrememberとともに用いて)〜している(進行形と同じ意味になる) ・can't remember 思い出せない
at all(否定文に用いて)少しも(〜でない)
compare(他)(〜を)比較する ・compare A with B AをBと比較する
with(前)(比較・同等の対象を導いて)〜と ・compare A with B AをBと比較する
capable(形)(人が)有能な、(〜の)能力(才能)がある(⇔incapable)(of doing)
suffer(自)(〜に)苦しむ、悩む
【参考文献】
Wuthering Heights (Penguin Classics)』Emily Brontë・著
嵐が丘(上) (光文社古典新訳文庫)小野寺健・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)

『スキーピオーの夢』を原文で読む(第19回)

(テキスト17ページ、7行目〜)

(26) Quae cum dixisset, “ego vērō” inquam “Āfricāne, sīquidem bene meritīs dē patriā quasi līmes ad caelī aditum patet, quamquam ā pueritiā vestīgiīs ingressus patris et tuīs decorī vestrō nōn dēfuī, nunc tamen tantō praemiō expositō ēnītar multō vigilantius.”

quī quae quod(代)(関係代名詞)(連結詞として)=et is、sed isなど
cum(接)(+接続法)(歴史的/+未完了、過去完了)〜した時に、〜の時
dīcō -ere dixī dictum(他)言う、発言する、話す
egō(人称代名詞)(一人称)私
vērō(副)(奪格)本当に、実際に
inquam(自)(欠如)(挿入句的に用いられて)言う、述べる
Āfricānus -a -um(形)Carthagoを征服した2人のScipioの添え名
sīquidem(接)もし本当に〜ならば
bene(副)大いに、十分に、全く
mereō -ēre meruī meritum(自)(主に形式受動相mereorで)bene mereri de 物・事の奪格 あるものから賞を受けるに足る、あるものに貢献する
(前)(+奪格)(関連・限定)〜に関して、〜について
patria -ae(女)祖国、故郷
quasi(副)いわば
līmes -mitis(男)進路、道筋
ad(前)(+対格)(空間的)〜の方へ、〜に向かって
caelum -ī(中)空、天
aditus -ūs(男)入口(+物・事の属格)
pateō -ēre patuī(自)開いている
quamquam(接)〜とはいえ、〜にもかかわらず
ā(前)(+奪格)〜以来
pueritia -ae(女)少年期
vestīgium -ī(中)(人・動物が通った)跡、足跡
īngredior -dī -gressus sum(自)歩く
pater -tris(男)父、父親
et(接)〜と(そして)〜
tuus -a -um(所有形容詞)あなた(きみ、おまえ)の
decus -coris(中)栄誉、光栄
vester -tra -trum(所有形容詞)あなた方の
nōn(副)〜でない
dēsum -esse -fuī(自)助力しない、なおざりにする(+人の与格)
nunc(副)今、現在
tamen(副)しかし、にもかかわらず
tantus -a -um(形)これ(それ)ほど大きい(多量の、重要な)
praemium -ī(中)報酬、報い
expōnō -ere -posuī -positum(他)与える
ēnītor -ī -nixus sum(自)努力する、骨折る
multō(副)(奪格)はるかに、断然、大いに
vigilanter(副)注意深く、油断なく

Et ille: “tū vērō ēnītere et sīc habētō, nōn esse tē mortālem, sed corpus hoc;

et(接)(物語で)そしてそれから
ille illa illud(代)(指示詞)あれ、それ、あの人、その人、彼、彼女
(人称代名詞)(二人称)(対格:tē)あなた、きみ、おまえ
vērō(副)(奪格)さらに
sīc(副)この(その)ように
habeō -ēre habuī habitum(他)(〜と)みなす、考える(+2個の対格)
mortālis -is -e(形)死ぬべき運命の、必滅の
sed(接)(否定辞の後で)(〜ではなく)〜で
corpus -poris(中)身体、肉体
hic haec hoc(形)(指示詞)この、ここの、ここにある

nec enim tū is es quem forma ista dēclārat, sed mens cūiusque is est quisque, nōn ea figūra quae digitō dēmonstrārī potest.

nec(副)〜でない(=non)
enim(接)(先行する発言を保証・裏付けして)確かに、もちろん
is ea id(代)(指示詞)彼、彼女、それ
quī quae quod(代)(関係代名詞)(+直説法)(事実関係)〜するところの(人・もの)
forma -ae(女)姿、形、外観
iste -a -ud(指示形容詞)(あなたの知っている/あなたが言うところの)その
dēlārō -āre -āvī -ātum(他)(ことば・文書以外で)明かす、示す(+物・事の対格)
mens mentis(女)精神、心
quisque quaeque quidque(代)各人、おのおの、だれでも、何でも(しばしば単数が複数扱いされる)
is ea id(指示形容詞)この、その
figūra -ae(女)姿、形
digitus -ī(男)指
dēmonstrō -āre -āvī -ātum(他)指示する、指摘する、明示する(+物・事の対格)
possum posse potuī(他)(〜することが)できる(+不定法)

Deum tē igitur scītō esse, sīquidem est deus quī viget, quī sentit, quī meminit, quī prōvidet, quī tam regit et moderātur et movet id corpus cuī praepositus est, quam hunc mundum ille princeps deus;

deus -ī(男)神
igitur(接)それゆえに、従って
sciō -īre -īvī -ītum(他)知っている(+対格+不定法)
vigeō -ēre -guī(自)元気である、活発である、活力がある
sentiō -īre sensī sensum(自)知覚する、感ずる、気づく
meminī -isse(自)(完了形で現在の意味に用いられる)記憶している、憶えている
prōvideō -ēre -vīdī -vīsum(自)予見する
tam(副)tam 〜 quam 〜 〜と同様(同じ程度)に
regō -ere rexī rectum(他)支配する、指揮する、管理する
moderor -ārī -ātus sum(他)(形式受動相)操作する、指揮する
moveō -ēre mōvī mōtum(他)動かす
praepōnō -ere -posuī -positum(他)長にする、指揮させる(人の対格+物・事の与格)
quam(副)(関係詞)〜のように、〜と同様に ・tam 〜 quam のように〜
mundus -ī(男)宇宙
ille illa illud(指示形容詞)あの、その
princeps -cipis(形)最もすぐれた、卓越した

et ut mundum ex quādam parte mortālem ipse deus aeternus, sīc fragile corpus animus sempiternus movet.

ut(副)(関係詞)(ita、sicと呼応して)〜のように、そのように
ex(前)(+奪格)(空間的)〜から、〜より
quīdam quaedam quiddam(形)ある〜の、何らかの
pars partis(女)部分、一部
mortālis -is -e(形)死ぬべき運命の、必滅の
ipse -a -um(強意代名詞)自ら、自身
aeternus -a -um(形)不滅の、不朽の
sīc(副)この(その)ように ・sīc 〜 ut 〜 〜と同じように〜
fragīlis -is -e(形)こわれやすい、もろい
animus -ī(男)(corpus肉体に対する)精神
sempiternus -a -um(形)永続する、永久の
【参考文献】
ラテン語を読む キケロ―「スキーピオーの夢」』山下太郎・著(ベレ出版)
羅和辞典 <改訂版> LEXICON LATINO-JAPONICUM Editio Emendata水谷智洋・編(研究社)

『カンタベリー物語』を原文で読む(第3回)

(テキスト3ページ、19行目〜)

(The Knight)

A Knyght ther was, and that a worthy man,
That fro the tyme that he first bigan
To ryden out, he loved chivalrye,
Trouthe and honour, fredom and curteisye,
Ful worthy was he in his lordes werre,
And therto hadde he ryden, no man ferre,
As wel in cristendom as hethenesse,
And evere honured for his worthynesse.

Knyght→Knight
knight(名)(中世の)騎士(封建時代に名門の子弟がpageからsquireに昇進し武功を立ててknightとなった)
ther→there(副)(thereは形式上主語のように扱われるが、動詞の後に通例不特定のものや人を表わす主語が続く/「そこに」の意味はなく、日本語ではthere isで「〜がある」の意になる)(beを述語動詞として)
that(代)(指示代名詞)(向こうにいる、または話題に上っている人をさして)あの人、その人
worthy(形)尊敬すべき、りっぱな ・a worthy gentleman りっぱな紳士
man(名)(修飾語句を伴って)(特定の仕事・性格などの)男性
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(〜する(である))ところの/(主語として)
fro(前)=from(前)(空間・時間などの起点を表わして)〜から
tyme→time(名)(特定の)時、時期
first(副)(序数の第1番)(second、third(第二(三)に)と列挙する時に文頭に用いて)まず第一に、最初に
bigan→began
begin(他)(〜し)始める、(〜し)だす(+to do)
ryden→ride
ride out 外へ(馬に)乗って出る、郊外へ馬で出る
love(他)(〜を)好む、愛好する、(大)好きである
chivalrye→chivalry(名)(中世の)騎士道、騎士道的精神(忠君・勇気・仁愛・礼儀などをモットーとし婦人を敬い弱きを助ける)
Trouthe→truth
truth(名)(古)忠誠
honour(名)(英)=honor(名)名誉、栄誉
fredom→freedom
freedom→generosity
generosity(名)寛大、寛容、雅量
curteisye→courtesy(名)礼儀(正しさ)、丁重、いんぎん、親切
Ful→Full
full(副)(形容詞・副詞を修飾して)まったく、非常に ・full soon すぐに、またたく間に
in(前)(時間を表わして)〜(のうち)に、〜の間、〜中
his(代)彼の
lordes→lord's
lord(名)(封建時代の)領主、君主
werre→war
thereto(副)なおそのうえに
ryden→ridden
ferre→farther
wel→well
as well as 〜 〜はもちろん、〜も〜も
cristendom→Christendom(名)キリスト教界、キリスト教
hethenesse→heathendom(名)異教国
evere→ever(副)いつも、常に、始終/(肯定文で)
honured→honoured
honour(動)(英)=honor(他)(賞などを与えて)(人を)公式にたたえる(称賛する)(通例受身)
for(前)(対象)(報償・返報を表わして)(好意・成果など)に対して、〜の返報として
worthynesse→worthiness(名)<worthy

At Alisaundre he was whan it was wonne;
Ful ofte tyme he hadde the bord bigonne
Aboven alle nacions in Pruce;
In Lectow hadde he reysed and in Ruce,
No Cristen man so ofte of his degree.

Alisaundre→Alexandria(名)アレクサンドリア(エジプト北部、ナイル川河口の海港/Alexander大王が建設したヘレニズム文化の中心地)
whan→when(接)(主節の後にwhenの導く従属節がくる時文脈上で)(〜すると)その時
wonne→won
win(他)(勝利・賞品・1位などを)勝ち取る、獲得する ・win a fortress 要塞(ようさい)を攻略する
ofte→often
time(名)(頻度を表わし、通例副詞句をなして)回、度 ・many times 何度も、たびたび
hadde→had
bord→board(名)(食事の用意がしてある)食卓、テーブル
bigonne→begun
begin→sit in
Aboven→Above
alle→all(形)(複数名詞の前に置いて)あらゆる、すべての、みな
nacions→nations
nation(名)(1の国民から成る)国家
in(前)(場所・位置・方向などを表わして)〜において、〜で ・in London ロンドンで(に)
Pruce→Prussia(名)プロイセンプロシア(ドイツ北部にあった旧王国)
Lectow→Lithuania(名)リトアニアバルト海沿岸の共和国/首都Vilnius)
reysed→raised
raise(自)=arise(自)決意して行動を開始する、立ち上がる
Ruce→Russia(名)(1917年以前の)ロシア帝国(1917年の革命で滅亡/首都St. Peterburg)
Cristen→Christian(形)キリスト教徒の
so(副)(程度を表わして)それ(これ)ほど、そんな(こんな)に、これくらい ・so long こんなに長いこと
of(前)(of+名詞で形容詞句をなして)〜の
degree(名)階級、地位、身分

In Gernade at the seege eek hadde he be
At Algizir, and ryden in Belmarye.

Gernade→Granada(名)グラナダ(スペイン南部の都市/Alhambra宮殿などの遺跡で有名)
at(前)(従事・従事の対象を表わして)〜に従事中で(の)、〜して
siege(名)(城・都市などの)包囲攻撃
eek→eke(副)(古)また、さらに、そのうえ
be→been
Algizir→Algeciras アルヘシラス(スペイン南西部Gibraltar海峡のAlgeciras湾に面する港町)
Belmarye→Benmarin

At Lyeys was he and at Satalye,
Whan they weere wonne, and in the Grete See
At many a noble armee hadde he bee.

Lyeys→Ayash
Satalye→Atalia
weere→were
win(自)勝つ、勝利を得る
Grete See→Great Sea
many(形)(many aに単数形の名詞・動詞を伴って/単数扱い)数々の、多数の
noble(形)高潔な、気高い、崇高な
armee→army(名)(陸軍の)軍隊
bee→been

At mortal batailles hadde he been fiftene,
And foghten for oure feyth at Tramyssene
In lystes thryes, and ay slayn his foo.

mortal(形)死ぬまで戦う ・a mortal combat 死闘
batailles→battles
battle(名)(個々の)戦闘
fiftene→fifteen(形)(基数の15)15の、15個の、15人の
foghten→fought
oure→our(代)我々の、私たちの
feyth→faith(名)信仰
Tramyssene→Tlemcen トレムセン(アルジェリア北西部の市)
lystes→lists(名)(中世の)馬上槍試合の試合場(を囲む柵)、(一般に)戦いの場
thryesthrice(副)三たび、3倍
ay→aye(副)(古)永久に、常に
slayn→slain(動)slayの過去分詞
slay(他)(人を)殺害する(=murder)
his(代)彼の
foofoe(名)敵

This ilke worthy knyght hadde been also
Somtyme with the lord of Palatye
Agayn another hethen in Turkye,
And everemoore he hadde a sovereyn prys.

ilke→ilk(形)同一の、同じ(=same)
Somtyme→Sometime
sometime(副)ある時、以前、かつて
Palatye→Palathia
Agayn→Against
another(形)別の、ほかの
hethen→heathen(名)異教徒(キリスト教徒・ユダヤ教徒イスラム教徒がそれぞれ他宗教の民をいう)
Turkye→Turkey(名)トルコ(ヨーロッパ南東部、黒海と地中海に臨む共和国/首都Ankara)
everemoore→evermore(副)常に、いつも
have(他)(〜を)得る、もらう、受ける
sovereyn→sovereign(形)最上(至高)の
prys→price(名)(古)貴重なこと、値打(=value

And thogh that he weere worthy, he was wys,
And of his poort as meke as is a mayde,
Ne nevere yet no vileynye he sayde
In al his lyf unto no manere wight.

thogh that→though
weere→was
wys→wise
of(前)(関係・関連を表わして)〜の点において、〜に関して、〜について
poort→port(名)態度、ふるまい
as(副)(通例as 〜 as 〜で、形容詞・副詞の前に置いて)(〜と)同じ程度に、同様に、同じくらい(as 〜 as 〜で前のasが指示副詞、後のasは接続詞)
meke→meek(形)(不平を言わず)じっと我慢する、おとなしい、柔和な
as(接)(as 〜 as 〜で同程度の比較を表わして)〜と同じく、〜と同様に、〜のように、〜ほど
mayde→maid(名)(古)処女
ne(古)(副)=not
not yet(今までのところでは)まだ〜ない
nevere→never
no(形)(複数名詞、不可算の名詞の前に用いて)どんな(少しの)〜もない
vileynye→villainy(名)悪事、悪行
sayde→said
in(前)(範囲を表わして)〜において、〜内で
al→all
lyf→life
unto(前)(古)〜に、〜のほうへ、〜まで
manere→manner(名)(単数形で)種類
wight(名)(古)人、人間

He was a verray, parfit, gentil knyght.

verray→very(形)(古)真の、まさしく〜といわれるに足る
parfit→perfect(形)完全な、完璧な
gentil→gentle(形)(人が)家柄(育ち)のよい

But for to tellen yow of his array,
Hise hors weere goode, but he was nat gay.

for(前)(目的・意向を表わして)〜のために、〜を目的として
tellen→tell
yow→you
array(名)衣装、美装
Hise→His
hors→horse
goode→good
nat→not
gay(形)(色彩・服装など)派手な、華やかな、きらびやかな

Of fustian he wered a gypoun
Al bismotered with his haubergeoun,
For he was laate comen from his viage,
And wente for to doon his pilgrymage

of(前)(材料を表わして)〜で(作った)、〜から(成る)
fustian(名)ファスチアン織(片面にけばを立てたコールテン・ビロードなどのあや織綿布をいう)
wered→wore
gypoun→gipon(名)=jupon(名)ジポン(中世の鎧(よろい)ひたたれ)
all(代)(単数扱い)すべて(のもの)、万事
bismotered→bespattered
bespatter(他)(しばしば受身で)(〜に)(泥水などを)はねかける(with)
with(前)(原因を表わして)〜のせいで、〜のゆえに、〜のために
haubergeoun→habergeon(名)中世のhauberkより短い袖なし鎖かたびら
for(接)(通例コンマ、セミコロンを前に置いて、前文の付加的説明・理由として)という訳は〜だから(=as、since)
laate→late(副)最近、近ごろ
comen→come
viage→voyage(名)(廃)(軍隊の)遠征
wente→went
doon→do
pilgrymage→pilgrimage(名)巡礼の旅、聖地詣(もう)で
【参考文献】
原文対訳「カンタベリィ物語・総序歌」』苅部恒徳、笹川寿昭、小山良一、田中芳晴・編・訳・注(松柏社
カンタベリー・テールズ市河三喜、松浪有・編注(研究社)
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
リーダーズ・プラス』(研究社)
新英和大辞典 第六版 ― 並装』(研究社)

イギリス文学史I(第2回)『ベーオウルフ』(その1)

イギリス文学の起源
今回から、イギリス文学の歴史を具体的に見て行きましょう。
まずは、イギリス文学の起源について、『はじめて学ぶイギリス文学史』(ミネルヴァ書房)から引用します。

イギリス文学について語るとき、しばしば問題とされるのは、その起源をどこにおくかという点である。12世紀以前のものは、今日の文学と比べて、表現形式においてのみならず内容的にも大いに異なっているからだ。そのため従来は、これらをアングロ・サクソン文学として、イギリス文学とは区別することがおこなわれてきた。しかし、今ではイギリスの地で生まれた文学という意味で、この時代の作品を古英語(Old English)の文学と呼び、イギリス文学の発祥をここに求めるのが普通である。

『イギリス文学の歴史』(開拓社)によると、英語史の区分で、古英語の時代というのは、おおよそ紀元700年から1100年頃までになります。
古英語は、後の中英語(1100〜1500年頃)や近代英語(1500年頃〜現代)と比べて、文字や文法体系が明らかに違うので、まるで別の言語のようです。
大学の英文科でも、古英語という科目が設置されている大学は少なく、仮に設置されていても、選択する学生は滅多にいません。
僕の在籍した大学でも、古英語の授業はありましたが、果たして受講者がいたのかは謎です(もちろん、僕も選択していません)。
『ベーオウルフ』について
古英語で書かれた文学の代表的なものとして、『ベーオウルフ』(作者不詳)があります。
現存する英文学の中では最古の作品の一つです。
一般には、8世紀に成立したとされているので、偶然ですが、日本では、『古事記』や『日本書紀』が生まれた頃ですね。
では、『ベーオウルフ』について簡潔にまとめられた箇所を、再び『はじめて学ぶイギリス文学史』から引いてみましょう。

一国の文学の歴史は通常、詩からはじまる。古英語で書かれた文学の代表的なものは、英雄叙事詩『ベオウルフ』(Beowulf)である。その舞台がイギリスでなくスカンジナヴィアにおかれているのは、アングロ・サクソンの故郷だからであろう。物語は単純、豪快である。第1部で怪物グレンデルに悩まされる隣国を救ったベオウルフが、第2部では50年後自国を脅かす龍と戦ってこれをしとめたものの、自らも力尽きて倒れるというものである。
ここにある素材は明らかに異教的なものであるが、その想念にはキリスト教が深くかかわっている。『ベオウルフ』は個人の作というより、長い年月の間に人々の間で言い継がれ、歌い継がれてきたものの集大成とみるべきであろう。現在大英図書館所蔵の写本は10世紀のものであるが、実際の制作年代は7、8世紀とみられている。3,000行にあまるこの大作において、古英詩の特色とされる、強弱のストレスと頭韻を用いた素朴な調べが、荘重で深い悲哀にあふれた内容とよく調和している。

ちなみに、叙事詩については、『イギリス文学の歴史』の中に、分かり易い記述があります。

叙事詩(epic)
長い物語詩の一種で、崇高荘重な韻文によって、歴史や伝説に現われる神々や英雄的人物の行為・行績を扱う長詩である。元来epicは、原始的起源を有するもので、たえず口伝(くでん)による変更を受けながら伝承されて、次第に増大し、ついに叙事詩形式として凝固したものである。epicには2種類がある。(1)原始的叙事詩:(例)ホーマーの『イリアッド』、『オディセ』や『ベイオウルフ』など、(2)文学的叙事詩:(例)ミルトンの『失楽園』など。

『ベーオウルフ』の語り口は、事件が必ずしも時系列に沿って語られる訳ではありません。
更に、事件・人物についての叙述・描写は「選択的」「省略的」であり、飛躍に富むので、現代の読者にとっては、かなり分かり難いです。
そのような点を考慮して、岩波文庫版の『ベーオウルフ』には、「まえがき」に梗概が掲げられています(以下、引用)。

 〔第一部〕
(前半) 武名並ぶ者のないデネ(デンマーク人)の王フロースガールは、ある時、人の子らの聞いたためしのない豪壮な宮殿を造営しようと思い立った。やがて宮殿が落成すると、ヘオロット(「牡鹿」の意)と名づけ、それを祝って連日連夜の祝宴を催す。ところが、弟殺しの罪で神に追われたカインの末裔として人里離れた曠野に棲むグレンデルという名の巨人が、祝宴のさんざめきに怒りを発し、ある晩、館の警固の家臣らが寝静まった頃に襲ってきて、三十名の家臣を殺す。さしもの宮殿も夜の帷が下りるや誰一人泊ることもなくなり、十二年の歳月が過ぎる。そういう噂を、イェーアト族(スウェーデン南部に住んでいた部族)のヒイェラーク王の甥である若い勇士ベーオウルフが伝え聞き、十四人の従士を率いて海を渡り、救援におもむく。神の御加護によって無事に船旅を終え、上陸した一行に、岸壁上で海岸警備にあたっていた衛士が馬を駆って近づき、その身許と来島のおもむきをただす。宮殿に案内された一行を、フロースガール王は、かつてベーオウルフの父親を助けた縁もあって、大いに歓迎し、宴席をもうける。やがて宴がはねると、ベーオウルフらは館の警固にあたることになる。夜も更けた頃、つねのごとくグレンデルが襲来し、ベーオウルフの従士の一人を啖い、次いでベーオウルフに摑みかかろうとする。眠ったふりをしていたベーオウルフはがばと跳ね起き、怪物と一騎打ちになる。勇士はついに怪物の片腕をもぎ取り、敵は血をしたたらせながら荒地に逃れて行く。夜が明けて事の首尾を知ったフロースガール王は、ベーオウルフの武勇を称えて祝宴を催す。
(後半) その晩のこと、グレンデルの母なる女怪が息子の復讐のために襲来し、昔のとおり宮殿に詰めていたフロースガール王の寵臣をさらって行って食い殺す。王は大いに悲しみ、ふたたび怪物退治をベーオウルフに依頼する。王に案内されて怪物の住処である荒地の沼におもむいたベーオウルフは、従士らを岸に残してただ一人沼に躍りこむ。沼の底へと潜って行くうちに、それと知った女怪が迎え撃ち、水底の洞窟で格闘となる。鎖鐙のおかげで命びろいをした勇士は、壁に懸かっていた霊剣を手にして、かろうじて相手を斃し、床に倒れて死んでいたグレンデルの首級をあげて水面に浮び上がる。頭領の運命に絶望していた従士たちは大いに喜ぶ。フロースガール王はまたも祝宴を開き、ベーオウルフに向かって王者たるべき者の心得として、世の栄華に終りのあることを銘記し、心の傲りを自戒するよう教え諭す。大いに面目をほどこしたベーオウルフは褒賞を賜り、別れを惜しみつつデンマークを後にし、帰国するとヒイェラーク王にかの地での出来事の一部始終を報告する。
 〔第二部〕
ヒイェラーク王は遠征に出て討死する。そこで妃はベーオウルフを後継の王に推挙するが、彼は固辞し、幼い王子ヘアルドレードが即位する。しかし、彼もその後戦死する。ここにおいてやむなくベーオウルフは王位に就く。そして五十年が過ぎる。折しも、竜が番をしている、塚に収められた宝を荒した者があり、怒った竜は夜な夜な炎を吐いて人里を襲う。たまりかねたベーオウルフ王は、十一人の従士を率いて竜退治に向かう。人間の近づくのを知った竜は火を吐きながら襲ってくるが、従士らはそれに恐れをなして近くの森に逃げこむ。王は、ただ一人踏み留まったウィーイラーフとともに炎をかいくぐって竜に迫り、悪戦苦闘の末にこれを斃すが、自身も致命傷を負う。死期の迫るのを悟ったベーオウルフ王は、自分の亡き後は遺骸を荼毘に付し、後の世まで国民が自分のことを想い起こすように岬に大きな塚を築いて葬るようにと命ずる。そして、遺言どおりに築かれた塚をめぐって、十二人の貴公子は馬を駆りつつ、亡き王の高貴な心ばえと雄々しい勲を言葉をつくして称える。

要するに、ベーオウルフという名の勇者が巨人と闘って、その母親とも闘って、王になって、竜と戦って、自らも死ぬという話しです。
人間と巨人が闘うって、何か『進撃の巨人』みたいですね(読んだことがないので、詳しくは知りませんが)。
英文学なのに、どうして舞台がデンマークなのでしょうか。
それは、アングロ・サクソンの故郷だからかも知れません。
考えてみれば、『ハムレット』もデンマークでしたね。
余談ですが、夏目漱石の『吾輩は猫である』(1905)にも、『ベーオウルフ』について言及された部分があります。
『英文学者 夏目漱石』(松柏社)によると、漱石が学生の頃の東大英文科では、『ベーオウルフ』を読んだという記録はないようです。
文学史は学生が自修させられたとあるので、文学史の中に出て来て知ったのでしょう。
あるいは、漱石がイギリス留学中に、現代語訳を読んだのかも知れません。
さて、岩波文庫版の「解説」によると、『ベーオウルフ』は、大英図書館に所蔵されている「コットン・ヴィテリアス」という、ただ1本の写本によってのみ伝わっています。
かつてはサー・ロバート・ブルース・コットン(1571〜1631)という人の持ち物だったのが、国家に寄贈されました。
それが18世紀前半に火災に遭い、焼失を免れたものが現在残っているという訳です。
この写本は複合写本で、本来は全く別々の二つの写本を、17世紀にサー・ロバートが合本にしたと言われています。
前半部は12世紀の半ばに筆写されたもの(サジック本)、後半部は10世紀の終わり頃に筆写されたもの(ノーウェル本)です。
『ベーオウルフ』がいつ、どこで作られたかを示す外的証拠(この詩への言及を含む古英語期の文書等)は一つも存在しません。
現在伝わる写本は数回の筆写を経たものです。
その中に原本の年代と場所(方言)を示唆する語句が含まれているか(内的証拠)、古英詩の展開の中で本作がどの辺りに置かれるべきかという文学史的位置付け、本作のような詩を生み出した環境としてどの時代・地域を想定するのが適当であるかという文化的・歴史的背景等の点から、成立年代を検討しなくてはなりません。
『ベーオウルフ』は、英国最初の宗教詩人キャドモンの作品よりやや後に作られたに相違ないと考えられることから、成立の「上限」を一応8世紀の初頭と設定することが出来ます。
一方、8世紀末から9世紀初頭に詩作をしたキュネウルフの作品に『ベーオウルフ』の影響が認められることから、「下限」を9世紀初頭に置くことが出来るでしょう。
これらの事実に照らして、本作は8世紀に作られたとするのが、今のところ、最も妥当ではないかと訳者は述べています。
中英語期には、古英語はほとんど忘れ去られていましたが、近世に入って、学者達の目が古英語の写本に向けられるようになりました。
18世紀末頃に、アイスランドのソルケリンという人がイングランドに渡り、自らと助手の手によって、『ベーオウルフ』を転写します。
そして、彼は1815年に、最初の刊本を世に送りました。
『ベーオウルフ』には、神話的要素とキリスト教的主題が入り混じっています。
作者は、果たして本作を人々に道徳的教訓を与えるために作ったのか、それとも、聴衆に娯楽を与えるために作ったのか。
訳者は、基本的には後者だろうと述べています。
上述のように、本作における描写や叙述は省略的・選択的です。
作者は、人物・風景・事件等の特定の面のみを取り出して描いており、近代的な写実的描写法・叙述法とは全く異質だと言えるでしょう。
事件の叙述においては、しばしば飛躍があり、時系列にも必ずしも従っておらず、また、繰り返しも多くあります。
このような点から、現代人にとっては、本作は非常に取っ付き難いのですが、その反面、強い詩的効果を生んでもいるようです。
「解説」では、『ベーオウルフ』の「詩の技法」についても解説されていますが、これは原文を読んでみないと、日本語で説明されてもピンと来ません。
特に、「韻律」「頭韻」についてはそうです。
が、『イギリス文学史入門』(研究社)を参考に、ごく簡単に書くと、韻律は、弱音節と強音節の配置によってリズムを整え、各行に頭韻が配置されました。
頭韻とは、『イギリス文学の歴史』によると、「同じ行のいくつかの語が同じ音、もしくは同じ文字で始まる」ことです。
また、「ケニング(代称)」という古英詩に特徴的な表現方法があります。
これは、一つの名詞を幾つかの語で比喩的に表現する技法で、例えば、sea(海)をwhale-road(鯨の道)、sun(太陽)をworld-candle(世界のろうそく)と言ったりするのです。
テキストについて
ペンギン版(原文)
原文(古英語)のテキストで最も入手し易いのは、次のペンギン版でしょう。

Beowulf: Old English Edition (Penguin English Poets)

Beowulf: Old English Edition (Penguin English Poets)

アマゾンで注文すれば、数日でイギリスから送られて来ます。
初版は1995年。
編者はMichael Alexander氏。
見開きで、左ページに原文、右ページに語注というレイアウトになっていますが、古英語の知識のない一般人が、本書だけで内容を理解することは不可能です。
そのため、現代英語版を参照する必要がありますが、こちらも入手し易いのは、僕の近所の調布市立図書館にも置いてあるペンギン版。
ペンギン版(現代英語)
Beowulf: A Verse Translation (Penguin Classics)

Beowulf: A Verse Translation (Penguin Classics)

初版は1973年。
現在の改訂版が出たのは2003年。
訳者は、上のオリジナル版の編者でもあるMichael Alexander氏。
現代英語なので、辞書さえあれば読めますが、韻文にするためか、原文と微妙に表現が違う箇所が散見されるので、注意が必要です。
また、現代英語とは言っても、原文の雰囲気を出すためか、妙に格調高くて、難しいような気がします。
とは言っても、一般人が読めるのは、こちらしかないのですが。
翻訳について
最終的に、一番頼りになるのは、やはり翻訳(日本語訳)版でしょう。
岩波文庫
手に取り易い文庫版は、岩波から出ています。
ベーオウルフ―中世イギリス英雄叙事詩 (岩波文庫)

ベーオウルフ―中世イギリス英雄叙事詩 (岩波文庫)

現在は品切れのようですが、絶版になった訳ではないので、重版が掛かるのを待ちましょう。
初版は1990年。
翻訳は忍足欣四郎氏。
こちらも、古風な訳文なので、かなり読みにくいです。
訳者は、学問的な厳密さよりも、「作品」としての『ベーオウルフ』を一般読者に提供したかったと述べています。
各節毎に、最初に「あらすじ」がまとめられているので、分かり易くて、良いですね。
そして、本文の行数が下に記されています。
ただ、訳者によると、原文と訳の行は必ずしも一致している訳ではなく、日本語として読み易くなるよう配慮したとのことです。
あくまで目安に過ぎません。
「訳注」は20ページ以上に渡って、作品の「構造と意味」についての理解を助けるものを中心としており、なかなか詳細です。
原語の綴りが記されているのが、大いに参考になります。
それから、巻末の「解説」は、本作について必要な情報がコンパクトにまとめられているので、必読です。
映画化作品について
更に、手っ取り早く内容を把握するには、映画化作品を見るという方法もあります。
ただし、映画には解釈が含まれているので、必ずしも原作通りとは限らないことに注意が必要です。
ロバート・ゼメキス監督作品
『ベーオウルフ』の映画化で最もポピュラーなのは、次の作品でしょう。
ベオウルフ/呪われし勇者 ディレクターズ・カット版 [Blu-ray]

ベオウルフ/呪われし勇者 ディレクターズ・カット版 [Blu-ray]

2007年のイギリス・アメリカ合作映画。
監督はロバート・ゼメキス
主演はレイ・ウィンストン
共演は、アンソニー・ホプキンスジョン・マルコヴィッチアンジェリーナ・ジョリー等。
結論から言うと、本作は、あの古典の『ベーオウルフ』とは全くの別物です。
素材だけ借りて、勝手に料理したような感じ。
シェイクスピア作品は勝手にセリフをいじれませんが、セリフの少ない『ベーオウルフ』ならいいだろう、みたいな。
確かに、古典をそのまま映画化しても、現代の観客には退屈なのかも知れませんし、また、そもそも荒唐無稽な物語ではありますが。
それにしても、これはヒドイ。
本作は、全編フルCGで作られているため、まるでゲームの映像を見ているようで、古典の風格など皆無です。
せっかく有名な俳優をたくさん出しているのに、単なるCGのモデルでしかありません。
ストーリーも、かなり大雑把には同じようなものですが。
勝手に現代的な解釈(?)を施して、主人公のべオウルフは訳ありの勇者になってしまっているし、色恋沙汰も出て来ます。
原作は、異教の時代の物語のはずなのに、やたらキリスト教が絡んで来たり。
時代考証も適当なようなので、原作の理解を深める目的で本作を見るのは止めましょう。
グレアム・ベイカー監督作品
続いては、ちょっと変わり種の映画を。1998年のイギリス映画。
監督はグレアム・ベイカー。
主演はクリストファー・ランバート
『ベーオウルフ』を、舞台を未来に移して描いたSFアクションということで、既に原作とは全く別物です。
同じなのは、主人公の名前と、彼が砦を襲う怪物と闘い、次に、その母親と闘うということだけ。
上のロバート・ゼメキス版以上にお色気設定も交えてあります。
まあ、普通にB級SFアクション映画として見る分にはいいのでしょうが。
こうでもしないと、古典は現代人には退屈なんですかねえ。
と言う訳で、英文科の学生は、本作を見てレポートを書かないように。
【参考文献】
はじめて学ぶイギリス文学史神山妙子・編著(ミネルヴァ書房
イギリス文学の歴史』芹沢栄・著(開拓社)
吾輩は猫である (岩波文庫)夏目漱石・著
英文学者 夏目漱石亀井俊介・著(松柏社
イギリス文学史入門 (英語・英米文学入門シリーズ)』川崎寿彦・著(研究社)

『脱走特急』

この週末は、ブルーレイで『脱走特急』を見た。

1965年のアメリカ映画。
監督は、『大地震』のマーク・ロブソン
音楽は、『猿の惑星』『パットン大戦車軍団』『トラ・トラ・トラ!』『パピヨン』『チャイナタウン』『オーメン』『エイリアン』『スタートレック』の巨匠ジェリー・ゴールドスミス
主演は、『錨を上げて』『踊る大紐育』『地上より永遠に』の大スター、フランク・シナトラ
共演は、『第三の男』『空軍大戦略』『スーパーマン』『ガンジー』のトレヴァー・ハワード、『史上最大の作戦』『遠すぎた橋』のヴォルフガング・プライス、『荒野の七人』のブラッド・デクスター、『ウエストワールド』のジェームズ・ブローリン。
脱走モノの好きな僕も、恥ずかしながら、本作のことは知らなかった。
20世紀フォックス
カラー、シネマスコープ
「1943年8月、イタリア。連合軍が迫り、戦争に疲弊したイタリアは、ドイツ陸軍の占領下で戦いを続けていた」というクレジット。
街にイタリア軍がいる。
なお、本作に登場するイタリア人やドイツ人は、ハリウッド映画なのに、きちんとイタリア語やドイツ語を話す。
大戦末期だというのに、日本の戦争映画に見られるような悲壮感は、あまり感じられない。
突如、アメリカ軍の飛行機が墜落して来て、爆発炎上する。
上官から状況を尋ねられたイタリア兵士は、「操縦士は死んだ」と報告した。
が、実はパイロットのライアン大佐(フランク・シナトラ)は生きていた。
彼はかくまわれて、イタリア軍の捕虜収容所へ。
ここには英米軍の捕虜達がいた。
ライアンが到着すると、それまでの英米のリーダーが亡くなって、遺体が埋葬されているところであった。
ライアンは、イタリア人で英語が出来る通訳を通して面会した収容所長に、「そんなんだから負けるんだ!」と挑発的な態度を取る。
アメリカ軍がイタリア本土に上陸した」と聞いて、大喜びする捕虜達。
彼らは、汚らしい格好をしていた。
彼らが何度も企てた脱走計画に対する制裁で、服や薬を支給されないのであった。
捕虜達の間では、マラリア壊血病が流行っていた。
でも、それでも脱走計画は続けるという。
ここでは、多数派のイギリス兵と、少数派のアメリカ兵が対立していた。
イギリス兵のリーダー、フィンチャム少佐(トレヴァー・ハワード)は強行に脱走計画の遂行を主張するが、ライアンは「もうすぐ終戦だ。脱走よりも薬の方が大事」と言う。
しかし、ライアンは捕虜達の統率については、階級的には格下のフィンチャムに任せる。
ライアンは、夜中にイギリス兵に呼び出される。
フィンチャムは、アメリカ兵が脱走用の物資(薬)を盗んだので、処罰して欲しいとライアンに頼む。
だが、ライアンは「処罰は許さん! 薬は病人に配れ」と告げる。
ライアンはフィンチャムに、「今後は私が指揮を執る」と言う。
収容所長はライアンに、「捕虜が反抗を続ければ、指揮官の責任だ」と言うが、ライアンは「今後は今までのようなことはさせない」と。
ライアンは、オレがいる限り脱走は許さんと言うが、真の目的は捕虜達の待遇改善であった。
イタリア人の通訳は、ちょっとクセ者で、収容所長にライアンの意図をきちんとは伝えなかったが。
ライアンは、捕虜達に「服を燃やせ! 下着もだ」と命じる。
下半身までスッポンポンになった捕虜達を見て、さすがの収容所長も、新しい服を提供しない訳には行かなかった。
その代わり、ライアンが懲罰房行きを命じられた。
懲罰房は、狭いコンテナであった。
ところが、イタリアがついに降伏し、ライアンは外へ出られた。
捕虜達は、収容所長に復讐するべく、自分達で裁判を始めていたが、ライアンが止めさせる。
「絞首刑はダメだ。懲罰房にブチ込め!」
リンチはイカンということだな。
まあ、収容所長も、所詮は仕事でやっていたのだから。
軍人なんて、なるもんじゃないね。
そこへ、ドイツ空軍機が来襲する。
捕虜達は、イタリア人通訳に導かれるままに、「海岸まで32キロ。皆で移動だ!」と、集団で歩き出す。
その夜、収容所にドイツ軍がやって来た。
中はもぬけの殻。
だが、懲罰房の中から所長の助けを求める声が。
所長は、ようやく狭いコンテナの中から助け出される。
「捕虜が逃げた。」
その頃、捕虜達は、「船の用意をする」と言っていなくなった通訳が戻って来るのを待っていた。
そこへドイツ軍がやって来て、捕虜達を捕まえた。
逃げようとすると、容赦なく銃殺される。
捕虜達は最初、通訳が裏切ったと思うが、裏切ったのは所長であった。
捕虜達は貨物列車に乗せられる。
捕虜達の中のケガ人は、一箇所に集めて銃殺された。
列車はローマへ向かう。
ローマ帝国時代の遺跡がたくさん出て来て、なかなか趣き深い。
捕虜達は列車から降ろされる。
通訳が「私はイタリア人だ」と申し出るが、冷酷なドイツ兵は釈放しない。
短時間で物資の補給を終え、再び列車は走り出した。
各車両の上には、銃を持った兵が見張っている。
ライアン、フィンチャムら将校5人は前の車両に乗っていた。
ライアンは、床に穴を開けて脱走するという。
床板は、木がモロくて、すぐに崩れた。
夜、走る列車の床穴から抜け出したライアンとフィンチャムは、屋根に登り、護衛の首を絞め、銃と軍服を奪う。
列車が停車した時に、捕虜達は闇に紛れて外に出、集団で屋根の上から護衛に飛び掛かり、銃を奪う。
何という鮮やかな展開。
こうして、彼らはこの列車を奪うことに成功した。
ここまでが前半。
さあ、これからどうなる?
後半も見せ場の連続。
スケールが大きく、アクションや爆破シーンも多数。
登場人物のキャラクターもきちんと描き分けられている。
特に、ライアンの軍人としての正義感と葛藤。
今では、こういう映画はもう撮れないだろう。
しかも、ラストが驚きである。
そして、プッツリと幕を閉じる。
これは傑作だ。
1965年の洋画興行収入8位。
ちなみに、この年の洋画1位は『007/ゴールドフィンガー』、2位は『マイ・フェア・レディ』、3位は『サウンド・オブ・ミュージック』。
邦画の1位は『赤ひげ』。
映画史上の名作、傑作が目白押しである。
スゴイ時代だ。