『知りすぎていた男』

この週末は、ブルーレイで『知りすぎていた男』を見た。

1955年のアメリカ映画。
監督は、『レベッカ』『逃走迷路』『疑惑の影』『ロープ』『見知らぬ乗客』『私は告白する』『裏窓』『泥棒成金』『ハリーの災難』『間違えられた男』『めまい』『北北西に進路を取れ』『サイコ』『鳥』『フレンジー』『ファミリー・プロット』のアルフレッド・ヒッチコック
音楽は、『地球の静止する日』『ハリーの災難』『間違えられた男』『めまい』『北北西に進路を取れ』『サイコ』『鳥』『タクシードライバー』のバーナード・ハーマン
主演は、『我が家の楽園』『スミス都へ行く』『ロープ』『裏窓』『めまい』『西部開拓史』のジェームズ・ステュアート、『カラミティ・ジェーン』のドリス・デイ
共演は、『好奇心』のダニエル・ジェラン
パラマウント、テクニ・カラー、ヴィスタ・ヴィジョン。
画質は良い。
壮大な音楽。
タイトル・バックは、楽団の打楽器担当の人達。
これが、実は後の重要な伏線となっている。
特に、シンバルの一打が。
バスに乗っているアメリカの医者ベン・マッケンナ(ジェームズ・ステュアート)。
彼は、ブロードウェイのミュージカル・スターだったジョー夫人(ドリス・デイ)と息子のハンクと一緒に、仏領モロッコに旅行に来ていた。
バスはカサブランカからマラケシュへ。
ハンクがアラビア人の男のスカーフを引っ掛けて、大騒ぎに。
アラビア語が出来るフランス人のルイ・ベルナール(ダニエル・ジェラン)という男が助けに入る。
町へ。
まあ、1950年代のアフリカなんて、貧しいもんだ。
群衆の衣装にも、それが現れている。
その中で、欧米の白人なんて、特権階級だな。
マッケンナ一家は、馬車に乗ってホテルへ。
元歌手だったジョーは、ホテルの部屋でお気に入りの『ケ・セラ・セラ』を口ずさむ(というより、歌う)。
これが、また後の重要な伏線となる。
それにしても、コマーシャルなんかでも使われて、誰でも知っているこの曲が、この映画の主題歌だったとは、恥ずかしながら知らなかった。
しかも、アカデミー賞まで獲っていたとは。
マッケンナ夫妻は、ベルナールを部屋に招く。
彼は、不気味なことに、自分のことは一切話さない。
相手のことばかり、根掘り葉掘り聞き出そうとする。
これも、後の伏線。
ジョーは、さすがに気分が悪くなる。
その時、「モンゴメリーさんはいますか?」と、一人の男が部屋を訪ねて来る。
ノストラダムスの大予言』(祥伝社)の著者近影に載っていた五島勉ソックリの、髪が薄く、頬がコケたオッサン。
一目見たら忘れられないが、彼も後に重要人物として出て来る。
彼は、ベルナールが部屋にいるのを見ると、「間違えました」と言って、すぐに立ち去る。
その後、ベルナールは「急用が出来た」と言って出て行く。
彼は、マッケンナ夫妻をアラビア料理店に連れて行くと約束していたのだが。
ジョーは、いよいよ「感じの悪い人」と思う。
仕方がないので、ベンとジョーは二人でアラビア料理店へ。
食事の習慣の違いに戸惑っていると、後ろの席の老夫婦が声を掛けて来た。
彼らは、イギリス人でドレイトン夫妻という。
実は、この町に着いてから、ジョーは何度かこの夫婦を見掛けていた。
彼らからも視線を感じたので、内心気味悪く思っていたのだが。
彼らは、単にジョーが歌手だから見ていただけだと言う。
そこへ、ベルナールが女性同伴で入って来る。
ベンとジョーは、何だか気分が悪い。
意気投合したマッケンナ一家とドレイトン夫妻は、翌日、マラケシュの町を観光に出掛ける。
すると、警察が一人のアラビア人を追い掛けている場面に出くわす。
アラビア人は、何者かに背中を刺され、ベンの目の前で倒れ込んだ。
アラビア人だと思ったその男は、何と、ローレンス・オリヴィエのオセローのように顔を黒く塗ったベルナールだった。
彼は、息絶える前に、ベンに「ロンドンで男が殺される」と告げる。
「アンブローズ・チャペル」という謎の言葉と共に。
警察は、ベンに「知人か?」と聞く。
ベンとジョーは、事情聴取のために警察へ連れて行かれる。
ハンクは、ドレイトン夫人に預けた。
ロッコは仏領なので、フランス警察だ。
フランスの警察は疑い深く、しつこいらしい。
ああ、国家権力はイヤだね。
ベルナールは、実はFBIだと警察に告げられるベン。
もちろん初耳だが、警察は、明らかにベンのことを疑って掛かっている。
事情聴取の最中、ベン宛てに電話が掛かって来る。
「ベルナールが言ったことを警察に漏らしたら、子供の命をもらうぞ」と。
ベンは、急いでホテルに電話をするが、つながらない。
ようやく解放され、ベンはホテルへ戻る。
ドレイトン夫人は戻っていないという。
更に、ドレイトン氏は、既にチェック・アウトしたと。
もちろん、ハンクも戻っていない。
さあ、大変だ。
そもそも、旅先で初めて知り会った人に、自分の子供を預けるかね。
誘拐してくれと言っているようなもんだ。
ベルナールは、不審な夫婦を捜していたらしい。
そして、白人の夫婦だったから、マッケンナ夫妻は間違えられたのだ。
しかし、ハンクがさらわれたので、ジョーは半狂乱になる。
子供を誘拐されたのに、脅されているから、ベンは警察にも話せない。
ヒッチコックお得意の、八方塞がりである。
ドレイトン夫妻は、おそらくロンドンへ行ったのだろう。
だから、自分達もロンドンへ行こう。
という訳で、ベンとジョーはロンドンへ飛ぶ。
空港に着いたら、いきなり刑事に呼ばれる。
刑事は、ハンクが誘拐されたことを既に知っていた。
で、彼曰く、ベルナールはフランスのスパイだったと。
まあ、怪しさ全開だったからな。
刑事は、ベルナールが最後に何を言ったのかとベンに尋ねるが、脅迫されているので、言えない。
こういう時、普通、素人が自分で解決しようと思うかね。
だが、我らがジェームズ・ステュアートは、自分で解決する道を選ぶのであった。
そこへ、ドレイトン夫人からジョー宛てに電話が。
子供の声を聞かせるという。
ハンクは、今のところ無事であった。
ジョーが「ハンク、今どこにいるの?」と尋ねると、無情にも電話は切れた。
ベンは、自ら「アンブローズ・チャペル」を訪ねようとする。
さあ、これからどうなる?
後半も、実にサスペンスフルな展開である。
まあ、ストーリーは割りとご都合だが、これはいつものこと。
さすがのヒッチコック作品だ。
アカデミー歌曲賞受賞。