『世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す』

この週末は、ブルーレイで『世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す』を見た。

世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す [Blu-ray]

世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す [Blu-ray]

1956年のアメリカ映画。
監督はフレッド・F・シアーズ
原作は、『狼男』の脚本を書いたカート・シオドマク。
特殊効果は、『原子怪獣現わる』『シンドバッド七回目の航海』の巨匠レイ・ハリーハウゼン
主演は、『イヴの総て』『地球の静止する日』のヒュー・マーロウ
共演はジョーン・テイラー。
声の出演は、『グラン・プリ』『続・猿の惑星』のポール・フリーズ。
コロムビア映画
元はモノクロだが、今回見たのは、コンピュータ処理で着色されたカラー版。
ウルトラQ』みたいだな。
やや不自然だが、見ている内に慣れて、それ程違和感なく「カラー版」として楽しめる。
画面サイズはワイドだが、原版もそうなのだろうか。
世界各地で「空飛ぶ円盤」を確認。
未確認飛行物体、つまりUFOだな。
で、空軍から「正体不明の飛行物体は全て攻撃するように」というお達しが出る。
何と好戦的な!
ここまでを、プロローグで簡単に説明。
最初はドキュメンタリー映画風である。
タイトル・バックには不安気な音楽が流れる。
新婚ホヤホヤのマービン博士(ヒュー・マーロウ)と妻のキャロル(ジョーン・テイラー)が車を運転していると、いきなりUFOと遭遇する。
エセ科学雑誌なんかでよく見るインチキな合成写真みたいなUFOではなくて、はっきりと車の目の前に巨大な飛行物体が現れる。
しかし、こんなにしっかりと目撃しても、科学者だからか、二人は自分達の見た物をなかなか認めたがらない。
マービンが録音したテープにUFOの飛行音が入っていたので、ようやく二人は、これが現実の出来事だったと認める。
どうでもいいが、本作は全編を通してメロドラマ調で、この二人のイチャイチャが鼻に付く。
とても子供には見せられない。
で、彼らは、キャロルの父親であるハンリー元帥の所へ行く。
「私達、結婚したの!」
何と、父親に対して結婚が事後報告である。
どんな脚本なんだ!
で、二人はハンリー元帥から、最近打ち上げた10個の人工衛星が次々と地上に落下して爆発したと聞かされる。
何者かに撃ち落とされたのだろうか。
それにしても、こんな重大な話しを、世間話しみたいに気軽にするもんかね。
で、先日打ち上げたばかりの11号も見失ったという。
10個も人工衛星が落下しているのに、11号を打ち上げるのかね。
何か、一々ツッコミながら見てしまうが。
空に流れ星のような光が。
これが11号の落下なのだとか。
更に、翌日。
衛星が落下したばかりなのに、今度は12号の打ち上げ。
人工衛星って、そんなに頻繁に打ち上げるものなのか。
で、空飛ぶ円盤が目撃され、観測所に着陸。
中から宇宙人が出て来る。
軍が攻撃すると、宇宙人は倒れる。
それにしても、軍というのは、得体の知れない相手に、こうもいきなり攻撃するもんかね。
向こうは何もして来ていないのに。
もっと、話し合おうとかいう気持ちはないのかね。
昨今、余りにも北朝鮮情勢が緊迫しているので、他人事ではない。
トランプも金正恩も、危なっかしくって見ていられない。
アメリカの言いなりの安倍も大概にして欲しい。
まさかとは思いたいが、東京にミサイルでも飛んで来たら、本当に戦争になるよ。
一般人は巻き込まれるし、北朝鮮アメリカも暴走して、何が起きるか分からない。
本当に勘弁して欲しい。
この映画の、対話せずにいきなり発砲したりする軍人を見ていると、こんなことを考えてしまう。
で、宇宙人は死ぬんだが、円盤にはバリアーが張られていて、攻撃を受け付けない。
先方の発した光線で、軍隊は消去された。
あな恐ろしや。
本作の円盤や宇宙人を見ていると、東宝の『怪獣大戦争』を思い出す。
怪獣大戦争』の方が10年位後だが。
当時の典型的なUFOのイメージだったんだろう。
で、円盤は人工衛星打ち上げ用のロケットを破壊し、あちこち攻撃し始めた。
しかし、これは最初に撃った地球人側が悪いんじゃないの。
向こうの反撃も相当なもんだけど。
北朝鮮だって、ソウルや東京にミサイルを打ち込んだりしたら、アメリカからどんな反撃を受けるか分からないから、挑発行為ばかりで、滅多なことは起こさないと思うが。
いかん、すぐにこっちの話しになってしまう。
で、UFOの攻撃で、マービン夫妻は建物の中に閉じ込められてしまった。
他に生存者はいないという。
ハンリー元帥は、円盤に連れ去られてしまった。
マービンがダイイング・メッセージをオープン・リールのテープ・レコーダーに録音していると、電池が消耗して、再生速度が遅くなって来た。
すると、先日のUFOが発していた音が、突如、意味のあるメッセージとして聞こえて来た。
「マービン博士と会いたい。」
何と、先方は話し合いを望んでいたのだが、テープの再生速度が合っていなかったんだな。
ほら見たことか!
マービン夫妻はワシントンへ行って、政府の偉いサンにこのことを話すが、信用されない。
それどころか、国家権力の監視下に置かれてしまう。
ああ、許すまじ。
共謀罪反対!
仕方がないので、マービンは秘かに宇宙人と交信する。
先方は、「1時間半後に海岸へ来い」と言う。
マービンは、車を奪って海岸へ向かう。
当然のことながら、追われる身になってしまう。
海岸に着くと、円盤がいた。
「中へ入れ。」
マービン夫妻と、後を追い掛けて来た軍人達は、一緒に円盤の中へ。
で、円盤は宇宙空間へと旅立ってしまった。
ありがちなパターンだが、この宇宙人の住んでいた惑星が崩壊してしまって、移住するために地球へやって来たのだという。
随分、手前勝手な話しだが、地球上でも歴史上、何度も繰り返され、現在でも起こっていることだ。
連中が言うには、ワシントンで地球の代表者と会見したいと。
まあ、でもね、会見したからと言って、何人いるか知らんが、よその星の人達を簡単に受け入れる訳には行かんだろうからな。
話し合いは決裂するだろう。
そうなると、武力で征服して来るか。
白人達が、今までに散々やって来た蛮行と同じだ。
どうしても、ハリウッド映画というのは、白人文明的発想から抜け出せない。
それにしても、本作は如何にB級映画とは言え、登場人物の範囲が狭い。
地球の運命を、ご近所の井戸端会議レベルで決めてしまっている。
マービンは、「話し合いを」と相手には言いながら、裏で平気で兵器の開発を始める。
こんな主人公じゃ、到底感情移入出来ないだろう。
余談だが、宇宙人の作った翻訳機は、地球人の言葉を宇宙語(?)に自動的に翻訳する。
キャロルが「慈悲は強制されるものではない」云々と言うと、これが宇宙語(?)に翻訳された。
これは、『ヴェニスの商人』のポーシャのセリフだな。
それから、本作の特撮はレイ・ハリーハウゼンだが、破壊シーンをストップ・モーションで撮っているので、動きがチャチで見ていられない。
ここは、東宝特撮のように、ミニチュアを使うべきだったのではないか。
クライマックスで、アメリカの名所があちこち壊されるが、ここが一番見せ場のはずなのに、残念なことになってしまっている。