『シャレード』

この週末は、ブルーレイで『シャレード』を見た。

シャレード デジタル・リマスター版 [Blu-ray]

シャレード デジタル・リマスター版 [Blu-ray]

1963年のアメリカ映画。
監督は、『踊る大紐育』『雨に唄えば』『パリの恋人』のスタンリー・ドーネン
音楽は、『ティファニーで朝食を』のヘンリー・マンシーニ
撮影は、『幽霊と未亡人』『麗しのサブリナ』『荒野の七人』『西部開拓史』のチャールズ・ラング・Jr.
タイトル・デザインは『007』シリーズのモーリス・ビンダー
主演は、『泥棒成金』『北北西に進路を取れ』のケーリー・グラント、『麗しのサブリナ』『戦争と平和(1956)』『パリの恋人』『ティファニーで朝食を』のオードリー・ヘプバーン
共演は、『大地震』のウォルター・マッソー、『荒野の七人』『大脱走』『戦争のはらわた』のジェームズ・コバーン、『暴力脱獄』『大空港』『大地震』『ナイル殺人事件』のジョージ・ケネディ、『マラソンマン』のジャック・マラン。
豪華スター夢の競演である。
テクニカラー、ワイド。
ユニバーサル映画。
走る列車。
男性が飛び降りる。
死亡。
ヘンリー・マンシーニによる哀愁漂うテーマ曲が流れる。
タイトル・バックは、ゴダールの映画のように原色。
そして、まんま『007』だ。
フランスの冬のスキー場で、レジーナ・ランパート(オードリー・ヘプバーン)は、女友達に「夫(チャールズ)との離婚を決意した」と告げる。
彼女はアメリカからフランスにやって来て、フランス流には馴染めないのだという。
旦那は金持ちで、いいご身分の有閑マダムのクセに、よく言うよ。
なお、本作の舞台はフランスだが、セリフは全編を通して英語である。
フレンチ・コネクション2』やら『パリの恋人』やらを見ると、フランスで英語のセリフというのが、如何にウソ臭いかが分かる。
ここで、謎の男ピーター・ジョシュア(ケーリー・グラント)と出会う。
彼には奥さんがいたが、別れたらしい。
この後、ケーリー・グラントは当然ながら、ストーリーの中心に絡んで来るが、役名がコロコロと変わるので、面倒臭い。
ジーナがパリの自宅へ戻ると、家財道具一切が部屋から持ち出されていた。
ちなみに、彼女の持っているトランクはルイ・ヴィトン
そこへ、司法警察のグランピエール警部(ジャック・マラン)がやって来て、「署まで同行を」と言う。
警察署では、旦那の遺体を確認させられる。
旦那は、パリとボルドーの間の線路脇で発見されたらしい。
つまり、冒頭で列車から落ちた男が、レジーナの夫・チャールズだったという訳だ。
チャールズは家財道具一切を売り払った。
その金額は、25万ドル相当らしい。
しかし、そのカネはどこにもない。
ジーナは何も知らない。
チャールズの遺品のバッグからは、幾つものパスポートが出て来た。
怪しい。
彼は一体、何の仕事をしていたのか?
で、レジーナが何もない部屋に帰ると、ピーター・ジョシュアが訪ねて来る。
警察は、明らかに彼女を疑っている。
チャールズの葬儀が行われたが、出席者がほとんどいなかった。
ジーナは、チャールズとは「形だけの夫婦だった」と言う。
葬式に現れた謎の男テックス(ジェームズ・コバーン)は、「チャーリーの仕事は自業自得さ」と言う。
続いて、葬儀に現れた謎の男(ただし、右手が義手)スコビー(ジョージ・ケネディ)は、チャールズの遺体に釘を刺して去る。
更に、アレルギーでくしゃみが止まらない男ギデオン(ネッド・グラス)も登場。
後日、レジーナはアメリカ大使館に呼ばれた。
大使館のバーソロミュー(ウォルター・マッソー)は、彼女に「ご主人は指名手配されていた」と告げる。
チャールズは、CIAに追われていたらしい。
バーソロミューは、レジーナに1944年の写真を見せる。
そこにチャールズと共に写っていたのは、何と、葬式に現れた3人の男達だった。
バーソロミューは「奥さんは命を狙われている」と。
彼はレジーナに「25万ドルは、元々はアメリカ政府のカネだから、返して欲しい」と迫るが、彼女は当然ながら、何も知らない。
さて、レジーナはピーター・ジョシュアと待ち合わせして、クラブへ行った。
ショーを見ていると、件のギデオンがいて、脅される。
驚いて、彼女が電話を掛けに行くと、そこにはテックスもいた。
ジーナはホテルの部屋へ逃げ帰る。
すると、部屋の中にはスコビーがいた。
鉤爪の義手で襲い掛かってくるのは、ホラー映画みたいで、かなり怖い。
彼女の叫び声を聞いて、ピーター・ジョシュアが助けに来る。
ところが、実はジョシュアと3人の男達はグルだったんだな。
これにはたまげたが、この後も二転三転のドンデン返しがある。
なかなかのサスペンスだ。
連中は、大金が絡んでいるから、お互い疑心暗鬼になっている。
スコビーはホテルの部屋のレジーナに電話をして、「ジョシュアもカネ目当てだ」と告げる。
ジーナは最早、誰を信じたらいいのか分からない。
バーソロミューに電話をして、「第4の男が現れた」と告げる。
ジーナとバーソロミューは公園で落ち合うことにした。
ジョシュアは、彼女が部屋を出ると追い掛けるが、途中で見失う。
バーソロミューからレジーナが聞かされた話しは、衝撃的だった。
チャールズとジョシュア(本当の名前はダイル)、テックス、スコビー、ギデオンの5人は戦時中、特命を受けて、25万ドル相当の金塊を輸送した。
けれども、チャールズがカネを盗んで逃走したらしい。
バーソロミューはレジーナに「ダイルのことを調べて」と告げる。
彼女はダイル(ジョシュア)を尾行した。
でも、彼の方はレジーナに「僕を信じて」と言う。
もう、何が何だか、分からない。
一方、スコビーはダイル(ジョシュア)に「バラしたら殺すぞ」と迫る。
二人は、ホテルの屋上で闘う。
これが、セットだと丸分かりなのに、実に緊迫感のあるシーンだ。
昨今のCG映画は、こういうシーンを見習った方がいい。
さあ、これからどうなる?
この後、件の男達が順番に殺されて行く。
一体、犯人は誰なのか?
25万ドルの行方は?
ジョシュアの正体は?
次々に謎が出て来て、観客もレジーナと共に否応なく謎解きに参加させられる。
最後の最後に種明かしがあるが、そこまでグイグイと引っ張って、飽きさせない。
これぞサスペンス映画だろう。
役者も、クセのある役柄を豪華スター達が演じ分けていて、魅せられる。
ヘプバーンは嫌いだが、本作は面白い。
これこそ、娯楽映画だろう。
1963年洋画興行収入7位。
ちなみに、1位は『史上最大の作戦』、2位『アラビアのロレンス』、3位『大脱走』、4位『クレオパトラ』、邦画1位は『にっぽん昆虫記』。
スゴイ時代だ。