『めぐり逢い』(1957)

この週末は、ブルーレイで『めぐり逢い』を見た。

1957年のアメリカ映画。
監督はレオ・マッケリー
主演は、『泥棒成金』『北北西に進路を取れ』『シャレード』の大スター、ケーリー・グラントと、『クォ・ヴァディス』『地上より永遠に』『カジノロワイヤル』のデボラ・カー。
共演は、『大アマゾンの半魚人』のリチャード・デニング、『フレンチ・コネクション2』『ファミリー・プロット』のキャスリーン・ネスビット。
20世紀フォックス
カラー、シネマスコープ
甘い歌声のテーマ曲。
タイトル・バックは雪の降りしきるニューヨーク。
国際的プレイボーイのニッキー(ケーリー・グラント)と6億ドルの財産を持つ令嬢ロイスが婚約したというニュースが、世界各国で報道されている。
ニッキーは、ロイスが待つニューヨークへ豪華客船で向かった。
「国際的プレイボーイ」というのがどんなものだかは知らんが、モテ男らしく、婚約のニュースを聞いた他の女から抗議の電話が船に掛かって来たりする。
当時、船につながる電話が既にあったのか。
ニッキーは、自分のタバコ入れを持っていたテリー(デボラ・カー)という女性に声を掛ける。
早速、彼女の部屋へ。
そして、口説く。
テリーには恋人がいるが、仕事で忙しく、なかなか会えないらしい。
ニッキーはテリーを食事に誘う。
お互い、意気投合はしたようだ。
もちろん、未だこの段階では何もない。
本作は、50年代の映画の特徴かも知れないが、ほとんどがセット撮影なので、現実感がないのだが。
それはさておき、翌日も、また二人でバッタリ会って、話している。
ニッキーは有名人なので、婚約者がいるのに、船内で他の女と一緒にいるから、写真を撮られてしまう。
まあ、この頃からパパラッチはいたんだな。
それで警戒して、なるべく顔を合わせないようにしようとしても、何故かバッタリ会ってしまう。
夜には、バーで偶然出会った。
最早、ニッキーとテリーのことは船内の噂になっていた。
本作の前半は、コメディー・タッチで進む。
翌日、プールで泳いでいたら、またバッタリ。
船がナポリに立ち寄った時、ニッキーはテリーを誘って、彼の祖母(キャスリーン・ネスビット)を訪ねた。
婚約するというニュースが流れているのに、連れて来たのは婚約者じゃない。
そんなこと、あり得るかね。
しかし、祖母はテリーのことを大変気に入った。
祖母はテリーに、「孫がチャラ男だから心配だったのだが、あなたなら大丈夫」と、勝手なことを言う。
実は、ニッキーには絵の才能があった。
だが、今では、それを封印していた。
祖母はピアノが弾けた。
テリーは、元々歌手だったので、歌が得意だった。
という訳で、祖母の伴奏でテリーが1曲歌う。
まあ、いい曲。
アカデミー賞にノミネートされたらしい。
あっと言う間に、船が出発する時間になった。
「忘れられない美しい時間をありがとう」と、ニッキーはテリーに礼を言う。
そして、二人はキスして別れる。
これが、普通に婚約した二人なら、普通の恋愛映画なのだが。
どちらも相手がいるというのが、まるで山尾お尻のW不倫みたいで、前提が受け付けない。
船内ではよそよそしくしている二人だが、ニッキーはたまらず、テリーの部屋へ行ってしまう。
けれども、他の客がいたので、挨拶だけして別れる。
しかしながら翌朝、またバッタリと会ってしまう。
この繰り返しが、ちょっとしつこい。
二人一緒の写真が船内で売られているのを知る二人。
とうとう開き直って、二人は一緒に踊った。
船内最後の夜は大晦日だった。
年が明け、「蛍の光」が流れる。
「人生は皮肉だ」ニッキーはテリーに言う。
「半年後に結婚して欲しい。」
何という話しだろう。
翌朝、ニューヨーク港に船が着く。
二人は、7月1日の17時にエンパイア・ステート・ビルの最上階で会う約束をして別れる。
港には、お互いの婚約者が迎えに来ているのに。
後半は、この二人がどうなるのかが、当然ながら、焦点となる。
ネタバレになるから書かないが、ドンデン返しも用意されている。
前半のコメディー・タッチが、ちょっと重い雰囲気にもなる。
まあ、結局はメロドラマなんだけどね。
本作を不朽の名作扱いする人もいるみたいだが。
う〜ん、主人公二人は勝手だが、裏切られたお互いの相手のことを考えると、到底感情移入出来ない。
1957年の洋画興行収入9位(ちなみに、1位は『戦場にかける橋』。邦画の1位は『明治天皇と日露大戦争』)。