『ブルーサンダー』

この週末は、ブルーレイで『ブルーサンダー』を見た。

ブルーサンダー [Blu-ray]

ブルーサンダー [Blu-ray]

  • 発売日: 2010/04/16
  • メディア: Blu-ray
監督は、『サタデー・ナイト・フィーバー』のジョン・バダム
脚本は、『エイリアン』のダン・オバノン
撮影は、『バニシング・ポイント』『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』『チャイナタウン』『スカーフェイス』のジョン・A・アロンゾ
主演は、『フレンチ・コネクション』『ジョーズ』『マラソンマン』『ジョーズ2』『2010年』の大スター、ロイ・シャイダー
共演は、『アメリカン・グラフィティ』『地球に落ちて来た男』『アメリカン・グラフィティ2』のキャンディ・クラーク、『時計じかけのオレンジ』の怪優マルコム・マクダウェル、『夜の大走査線』『1941』のウォーレン・オーツ
コロムビア映画
カラー、シネスコ・サイズ。
「以下に登場する兵器盗聴システムはすべて現在アメリカで使用中のものである」という字幕。
ロサンゼルス市警察。
市警察航空偵察課に所属するフランク・マーフィー(ロイ・シャイダー)。
彼の時計はカシオ。
新人のライマングッド巡査(ダニエル・スターン)と一緒にヘリに乗って飛び立つ。
ロスを20時に離陸。
下の街では色んな事件が起きている。
黒人のヤクの売人。
コンビニでは強盗事件。
黒人の犯人がヘリに発砲してくる。
上空から犯人をライトで照らす。
1台の乗り捨てられた車があった。
ナンバー・プレートはない。
中には男が隠れている。
一方、ヘリはポルノ女優の豪邸の前に停止し、窓から中の裸の女優を覗いている。
フランクとライマングッドは喜んでいるが、警官がノゾキをやっちゃいかんだろう。
そんなことをしている間に、さっきの乗り捨て車が女性の捜査局長の家を襲撃する。
ブリーフケースが奪われ、中から書類が散乱。
犯人の黒人は射殺された。
今なら、色々と問題になりそうだ。
アメリカの警察は荒っぽい。
日本なら、威嚇のために拳銃を発砲しただけでもニュースになる。
マーフィーはベトナムに従軍していたが、その時の経験がトラウマになっており、今でもフラッシュバックする。
二人が署に戻ると、上官のブラドック警部(ウォーレン・オーツ)から絞られる。
そりゃ、巡回区域から離れて、ノゾキをしていたからな。
今の日本だったら、直ちにマスコミの餌食だ。
二人は、2週間の地上勤務を命じられる。
マーフィーは車の運転テクニックもプロ級だ。
深夜に帰宅する。
留守電に恋人ケイト(キャンディ・クラーク)から「何時でもいいから電話して」というメッセージが入っているが、連絡がないので、彼女が直接訪ねて来る。
翌朝、局長襲撃事件は犯人の手掛かりがないまま、局長が死亡したというニュースが流れる。
フランクは、局長の家を調べに行く。
散乱した書類の切れ端のようなものが見付かる。
しかし、文面はスペイン語のようで、判読出来ない。
この辺も、今ならマイノリティーと犯罪を結び付けるといって問題になりそうだ。
そこへ、ブラドックから呼び出しが。
「特殊任務につけ。また飛ぶんだ。」
今回の命令は極秘事項。
新型ヘリのテストだという。
なお、フランクはタバコは吸わないらしい。
この時代には珍しい。
フランクは、ベトナムでヘリに乗っていたが、負傷して送還された。
で、政府の偉いさんの説明によると、オリンピックでテロリストやら何やらが大挙して街にやって来るから、その対策用のヘリを作ったらしい。
来年、本当にオリンピックが開かれるか知らんが、今の東京も、こういう対策はしているのだろうか。
多分、何もやっていないだろうな。
フランクは、兵器試験場ピンクビルに連れて行かれた。
警察ヘリが武装するのは違法らしいが、そんなことは知ったこっちゃない。
新型ヘリ「ブルーサンダー」登場。
デモンストレーションが行なわれる。
街並みの模型。
白い人形は一般市民、赤い人形はテロリスト。
赤い標的を狙う。
もちろん、火器の使用は最悪の場合のみだ。
1分間に4000発撃てるガトリング砲が装備されている。
赤い標的だけではなくて、白い一般市民にも結構当たっている。
「10人に一人は許容範囲」だと。
アメリカは恐ろしいなあ。
ゲームのような攻撃。
爆破シーンはスゴイ。
余りにも一般市民に被害が及んだので、ブルーサンダーパイロットは「この役立たず!」と怒っている。
で、操縦していたのはコクラン大佐(マルコム・マクダウェル)で、ベトナムではフランクの戦友だった。
コクランは、技術者に「改善しろ」と命じると共に、フランクには「君は不適任だ」と告げる。
翌日12時に、ブルーサンダーのテスト飛行が行なわれることになった。
ブルーサンダーにはコクランが乗り込む。
しかし、コクランは、フランクとライマングッドが乗る警察ヘリのネジを秘かに緩めた!
2機のヘリが並んで飛ぶ。
フランクらのヘリのネジが緩んで来た。
ついにネジが跳んだ!
コントロール不能になり、墜落するヘリ。
しかし、フランクは墜落の仕方も心得ている。
工事現場の小屋の上に落ちる。
二人とも無事だった。
しかし、工事現場の親方からは「出て行け! 小屋を壊しやがって!」とどやされる。
コクランはフランクに「消えてくれ」とつぶやく。
何を企んでいるのか。
件の局長の家で見付けた書類の断片を、スペイン語が読める同僚に解読してもらうと、「ヒスパニック地区のよそ者が陰謀」と書かれていたという。
フランクの自宅で、「暴動が続く」というニュースが流れている。
フランクは疲れて寝ているが、ベトナムの夢にうなされている。
翌日、フランクはブルーサンダーの機能の説明を受けた。
自分の目で見たところでボタンを押すと、そこに照準が合って命中するという。
一方、ブラドックは、フランクがコクランに敵意を抱いていることを心配している。
「連邦警察に尾行されているぞ!」
夜20時30分、フランクとライマングッドが乗ったブルーサンダーが離陸。
盗聴用のマイク、盗撮用のカメラの機能がスゴイ。
また、「ささやき」という機能を使うと、ヘリの飛行音を静かに出来る。
ライマングッドは、自分の名前をコンピュータで検索する。
しかし、何故かフランクの記録は「修正中」となっている。
何故?
ブルーサンダーに着陸命令が出たが、フランクは着陸せず、コクランを調べることにする。
コクランの車を追う。
コクランの名前をコンピュータで検索すると、「目下ソア計画に参加中」と出る。
ソア計画とは「戦術ヘリコプター攻撃作戦」であった。
まあ、今なら、誰でもグーグルで調べられるようなことが、当時は目新しかったのだろう。
で、フランクは「政府はこのヘリでスゴイことをたくらんでいる」と感じる。
コクランは連邦ビルの中へ入っていった。
ビル内の会話を盗聴すると、コクランは「マーフィーを消す」と言った。
しかし、コクランがカーテンを開けると、目の前にブルーサンダーが。
このシーンは怖いね。
さあ、これからどうなる?
後半のヘリの空中戦はスゴイ。
CGのない時代に、よくこれだけのものを撮った。
やはり、CGが映画を堕落させたな。
実写とミニチュアを編集で見事に融合させて、チャチな場面は一つもない。
チキン工場を爆破して、大量のチキンが降り注ぐシーンがあるが、これは本物のチキンを使ったらしい。
もったいない。
もう、後半はカネの掛かった『西部警察』だな。
アメリカ映画はスケールが違う。
ラストの爆破シーンもスゴイ。
あと、マルコム・マクダウェルの悪役が素晴らしい。
悪役はこうでなければ。
さすがアレックスだ。
もちろん、ロイ・シャイダーがいい。
彼は警察官が似合う。
役者が皆、一流だと、ドラマに説得力が生まれる。
特別、人間ドラマに重点を当てた映画ではないが、アクションが幾らすごくても、役者がちゃんとしていないと、A級の映画とは言えない。
アクション映画の鑑だ。
西部警察』だって、渡哲也や石原裕次郎が出ていなければ、ドラマ史上に残る作品にはならなかっただろう。
僕は芸術映画と娯楽映画を差別しない。
映画は面白いか否かが全て。
久々に、なかなか映画らしい映画を見たという気がした。

Blue Thunder (Original) Movie Trailer HQ