『カンタベリー物語』を原文で読む(第12回)

(テキスト13ページ、20行目~)

(The Franklin)

franklin(名)(14-15世紀ごろの)自由保有地主、郷士

A Frankeleyn was in his compaignye.

Frankeleyn→Franklin
in(前)(範囲を表わして)~において、~内で
his(代)彼の
compaignye→company(名)(時に複数扱い)仲間、連れ、一緒に過ごす人

Whit was his berd as is a dayesye;
Of his complexcion he was sangwyn.

Whit→White
berd→beard(名)あごひげ
as(接)(様態・状態を表わして)~のように
dayesyedaisy(名)ヒナギク
of(前)(関係・関連を表わして)~の点において、~に関して、~について
complexcion→complexion(名)気質
sangwyn→sanguine(形)(気質など)陽気な、自身のある、楽観的な(=optimisitic)(古代生理学の四つのhumorのうちの「多血質の」の意からで、この体質の人は血色がよく快活とされた)

Wel loved he by the morwe a sope in wyn;
To lyven in delyt was evere his wone,
For he was Epicurus owene sone,
That heeld opynyoun that pleyn delit
Was verray felicitee parfit.

Wel→Well
by(前)(時・期間を表わして)(時の経過を表わして)~のうちに、~の間は(byの後の名詞は無冠詞)
morwe→morning
sope→sop(名)ソップ(牛乳・スープ・ぶどう酒などに浸して食べる物、(特に)パン切れ)
wyn→wine(名)ワイン、ぶどう酒
lyven→live(自)(様態の副詞句を伴って)(~に)生活する、暮らす(in)
in(前)(状態を表わして)~の状態に(で)
delyt→delight(名)大喜び、うれしさ、歓喜 ・in delight 喜んで
evere→ever(副)いつも、常に、始終/(肯定文で)
wone→wont(名)(通例one's ~で)習慣
for(接)(通例コンマ、セミコロンを前に置いて、前文の付加的説明・理由として)という訳は~だから(=as、since)
Epicurus(名)エピクロス(342?-270 B.C./ギリシアの哲学者/エピクロス派の祖)
owene→own
sone→son
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(~する(である))ところの(先行詞がもの・人を表わす場合で、最上級の形容詞、all、the、the only、the same、the veryなどの制限的語句を含む時、および、先行詞が疑問代名詞やall、much、little、everything、nothingなどの時に多く用いられる傾向があるが、絶対的なものではない)/(主語として)/(他動詞・前置詞の目的語として)
heeld→held
hold(他)(信念・意見などを)(心に)持つ、抱く ・hold an opinion 意見を抱く
opynyoun→opinion(名)意見、見解(+that)
that(接)(名詞節を導いて)(~)ということ/(同格節を導いて)(thatを略すことはない)
pleyn→plain(形)まったくの、徹底した
verray→very(形)(古)真の、まさしく~といわれるに足る
felicitee→felicity(名)非常な幸福、至福
parfit→perfect(形)完全な、完璧な

An housholdere, and that a greet, was hee;
Seint Julyan was he in his contree.

housholdere→householder(名)家長、世帯主
that(代)(指示代名詞)(前に言及しているか、場面上了解されている物事をさして)そのこと
greet→great
hee→he
Seint→Saint
saint(名)聖人、聖徒、聖者(生前高徳であったため死後聖人の列に加えられた人、または殉教者などを呼ぶ尊称/しばしばまたは慣用的にSt.と略して名に冠しSt. Peter(聖ペテロ)、St. Thomas(聖トマス)のように用いる)
Julyan→Julian(名)ジュリアン(男性名)
in(前)(場所・位置・方向などを表わして)~において、~で ・in London ロンドンで(に)
contree→country(名)(通例one's ~)本国、祖国、故国

His breed, his ale, was alweys after oon;
A bettre envyned man was nevere noon.

breed→bread
ale(名)エール(麦芽醸造酒のことでbeerと同義だが古風)
alweys→always
after(前)(模倣を表わして)~に従って、にならって、にちなんで、~の流儀の
oon→one(代)(既出の可算名詞の反復を避けて)(その)一つ、それ
bettre→better(副)(wellの比較級)(~より)いっそうよく
envyned→stored with wine
store(他)(~に)(通例役立つものを)供給する、用意する、備えさせる(with)
with(前)(材料・中身を表わして)~で ・fill a glass with water コップに水を満たす
nevere→never(副)(notよりも強い否定を表わして)決して~ない
noon→none(代)だれも~ない

Withouten bake mete was nevere his hous,
Of fressh fissh and flessh, and that so plentevous,
It snewed in his hous of mete and drynke,
Of alle deyntees that men koude bithynke.

Withouten→Without
bake→baked(形)焼いた
mete→meat/pie(名)パイ(肉または果物などを小麦粉の生地に入れて焼く/パイは米国の主婦が誇りとする料理で、特にapple pieはデザートとして人気がある/感謝祭のpumpkin pie、クリスマスのmince pieなど種類は豊富/英国のパイは主に食事用)
hous→house
of(前)(関係・関連を表わして)~の点において、~に関して、~について
fressh→fresh
fissh→fish
flessh→flesh(名)(人間・動物の)肉
and that(前文全体を受けて)しかも
so(副)(程度・結果を表わして)(so ~ that ~で)(順送りに訳して)非常に~なので~(口語ではしばしばthatが略される)
plentevous→plenteous(形)=plentiful(形)たくさんの、豊富な
it(代)(非人称動詞(impersonal verb)の主語として)(特にさすものはなく、従って訳さないで文の形式的主語となる)(天候・寒暖を漠然とさして)
snewed→snowed
snow(自)雪のように降る、流れ込む
meat(名)(古)(飲み物と区別して)食べ物
drynke→drink(名)飲み物、飲料
alle→all(形)(複数名詞の前に置いて)あらゆる、すべての、みな
deyntees→dainties
dainty(名)うまいもの、珍味
man(名)(無冠詞で総称的に)(動物と区別して)人、人間
koude→could(助動)(直説法(叙実法)で用いて)(過去形の主節の時制の一致により従属節中のcanが過去形に用いられる)~できる、~してよい
bithynke(他)思い出す、思いつく

After the sondry sesons of the yeer,
So chaunged he his mete and his soper.

sondry→sundry(形)種々様々の、雑多な
sesons→seasons
of(前)(部分を表わして)~の中の
yeer→year
chaunged→changed
change(他)(~を)変える、変化させる
meat(名)(古)食事(=meal)、(特に)晩餐(=dinner)
soper→supper

Ful many a fat partrych hadde he in muwe,
And many a breem and many a luce in stuwe.

Ful→Full
full(副)(形容詞・副詞を修飾して)まったく、非常に ・full many a ~ あまた(数々)の~
many(形)(many aに単数形の名詞・動詞を伴って/単数扱い)数々の、多数の
fat(形)(食肉用動物が)(市場用に)特に太らせた
partrych→partridge(名)ヤマウズラ、イワシャコ
hadde→had
have(他)(使用人などを)置いている、(動物を)飼っている
muwemew(名)(家禽を太らせるための)小屋
breem→bream(名)ブリーム(ヨーロッパ産のコイ科の淡水魚/うろこは模造真珠の塗料になる)
luce(名)カワカマス(の成魚)
stuwe→stew(名)生簀(いけす)

Wo was his cook but if his sauce weere
Poynaunt and sharpe, and redy al his geere.

Wo→Woe
woe(名)悲哀、悲痛、悩み、苦悩
cook(名)料理人、コック、板前(=chef)
but if ~(廃)~でなければ(=unless、if ~ not)
sauce(名)ソース
weere→were
Poynaunt→Poignant
poignant(形)(におい・味など)つんと鼻にくる、ぴりっと辛い
sharpesharp(形)(味・においなど)刺激の強い ・a sharp taste ぴりっとする味
redy→ready
al→all
geere→gear(名)(通例修飾語を伴って)(通例修飾語を伴って)(特定の用途に用いる)用具(一式)、道具(ひとそろい)、装備

Hys table dormaunt in his halle alway
Stood redy covered al the longe day.

Hys→His
dormaunt→dormant(形)(古)固定された、不動の ・a dormant table 据え付けのテーブル
halle→hall
alway→always
stand(自)(~の状態に)ある(+補) ・stand ready 準備ができている
covered(形)おおい(屋根)のついた、ふた付きの
longe→long(形)(通例数量を示す名詞群に伴って)(長さ・距離・時間など)(~の)長さで、長さが(~で)
day(名)(副詞的に)~日

At sessiouns ther was he lord and sire;
Ful ofte tyme he was knyght of the shire.

at(前)(時の一点を表わして)~に
session(名)会議、会合
ther→there
lord(名)主人、支配者、首長
sire(名)(古)支配者、君主、領主(かつて呼びかけ語として用いた)
ofte→often(形)(古)たびたびの
tyme→time(名)(特定の)時、時期
knyght→knight(名)州選出代議士(=knight of the shire)
shire(名)州(正式な呼称はcountryで、shireは今は州名の語尾として用いる)

An anlaas and a gipser al of sylk
Heeng at his girdel, whit as morne mylk.

anlaas→anlace(名)(中世の)両刃の短剣
gipser→pouch(名)(革製の)小袋(パイプ用の刻みたばこ入れなど)
of(前)(材料を表わして)~で(作った)、~から(成る)
sylk→silk(名)絹、絹糸、生糸
Heeng→Hung
at(前)(出入りの点などを表わして)~から
girdel→girdle(名)帯、腰ひも、ベルト
morne→morning(形)朝の、朝に行なわれる
mylk→milk

A shirreve hadde he been, and a countour.

shirreve→sheriff(名)州長官(country(またはshire)の執政長官で今は正式にはhigh sheriffとよび、任期1年の名誉職)
countour→counter(名)計算する人、計算係

Was nowheer swich a worthy vavasour.

nowheer→nowhere(副)どこにも~ない
swich→such(形)(程度を表わして)(形容詞+名詞の前で/副詞的に)あれほど(これほど)の、あんな(そんな)に、このように
worthy(形)尊敬すべき、りっぱな
vavasour(名)(封建制の)陪臣(王の直臣(baron)に次ぐ両目)
【参考文献】
原文対訳「カンタベリィ物語・総序歌」』苅部恒徳、笹川寿昭、小山良一、田中芳晴・編・訳・注(松柏社
カンタベリー・テールズ市河三喜、松浪有・編注(研究社)
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
リーダーズ・プラス』(研究社)
新英和大辞典 第六版 ― 並装』(研究社)