『フランケンシュタイン』(1931)

今日は、ブルーレイで『フランケンシュタイン』を再見した。

フランケンシュタイン [Blu-ray]

フランケンシュタイン [Blu-ray]

  • 発売日: 2016/08/24
  • メディア: Blu-ray
1931年のアメリカ映画。
数々の続編やらリメイクやらが作られたフランケンシュタイン映画のオリジナルである。
リメイクの中には、あのケネス・ブラナーが監督し、ロバート・デ・ニーロが怪物(!)を演じた1994年版もある。
僕は小学生の頃、テレビでフランケンシュタインを見た記憶があるが、それはおそらく、ピーター・カッシングクリストファー・リーが主演の『フランケンシュタインの逆襲』(テレンス・フィッシャー監督、1957年)だろう。
監督はジェイムズ・ホエール。
原作はメアリー・シェリー。
ゴシック小説の元祖として英文学史の教科書にも載っている。
主演(怪物)はボリス・カーロフ
ただし、オープニングでは「?」とクレジットされている。
『魔人ドラキュラ』のベラ・ルゴシと並んで、怪物映画の大スターである。
ユニバーサル映画。
モノクロ、スタンダード・サイズ。
最初に、製作者からの「忠告」がある。
それから、勇ましいテーマ音楽と共に始まる。
墓場で葬式が行われている。
棺が埋められた。
夜になって、墓場荒らしが現れる。
二人組の男。
若き科学者ヘンリー・フランケンシュタイン(コリン・クライヴ)と、その助手フリッツ(ドワイト・フライ)だ。
ちなみに、よく誤解されるが、フランケンシュタインとは、怪物を生み出した博士の名である。
二人は墓を掘り始め、棺を取り出す。
ハムレット』か。
続いて、磔になっている死体を発見。
だが、この死体は、首の骨が折れているので、脳みそは使えないという。
場面変わって、医大で脳のホルマリン漬け標本を前に講義をするウォルドマン教授(エドワード・ヴァン・スローン)。
犯罪者の脳は、健常者の脳とは違うらしい。
その夜、研究室に忍び込むフリッツ。
健常者の脳を盗み出そうとするが、物音に驚いて、容器を落として割ってしまう。
仕方がないので、隣に置いてあった犯罪者の脳を盗み出す。
マンガ的とも言えるほど分かり易い伏線だ。
一方、ヘンリーは婚約者であるエリザベス(メイ・クラーク)に手紙を送った。
ヘンリーにとって、今は実験が一番大事で、結婚のことは考えられないというのであった。
彼の恩師でもあるウォルドマン博士は、「フランケンシュタイン君は大学を辞めて、一人で研究に没頭している」と話す。
嵐の夜、ヘンリーが正にスイッチを入れようとしたその時、人が訪ねて来る。
エリザベスとその友人ヴィクター、それにウォルドマン博士の3人であった。
実験の途中なので追い返そうとするが、嵐なので、仕方なく中に入れる。
ヘンリーは、彼らに実験を見せる。
それは、死体を集めて作った人造人間に生命を与えるという、倫理的に狂った実験であった。
ヘンリーがスイッチを入れると、実験室内の謎の機器どもが怪しく放電し、点滅し、光を放つ。
この時代に、ここまでの描写が出来る技術があることに驚いた。
そして、動き出す人造人間の手。
「生きているぞ!私は神になった!」と叫ぶヘンリー。
かなり迫真の演技である。
まあ、実際にこんな実験が成功したら、誰だってそう叫ぶだろう。
場面変わって、ヘンリーの父親(実は男爵)は、息子のことを心配している。
そこへ、「息子さんの結婚式のことで」と、市長が訪ねて来る。
父親は「結婚式は延期だ」と告げざるを得ない。
またまた場面変わって、ヘンリーの家。
ウォルドマン博士は「あの生き物は危険だ」と強く主張する。
しかし、ヘンリーは「危険を恐れていては、新たな発見は出来ない」と取り合わない。
ここまで、未だ怪物は全身を見せていない。
ついに怪物(ボリス・カーロフ)が姿を現す。
すごいメイクである。
それに、目つきが恐ろしい。
彼は人間の言葉を理解する。
何故かフリッツは、この怪物を邪険に扱う。
怪物の前で松明を振り回す。
火を恐れて、暴れる怪物。
この「火がコワイ」というのも、ラストへの重要な伏線になる。
怪物は鎖につながれ、地下室に監禁された。
フリッツは、まるでいじめっ子のように、怪物をムチ打ちして楽しむ。
まあ、これまで博士にアゴでこき使われて来たので、自分より立場が下の者に、そのうっぷんをぶつけているのであろう。
怪物は暴れ出した。
邸内に悲鳴が響き渡る。
ヘンリーとウォルドマン博士が駆け付けると、フリッツが首吊り状態になって死んでいた。
そして、怪物はいよいよ大暴れする。
二人は、かろうじて怪物を地下室に閉じ込めるが、ウォルドマン博士は「あれは怪物だから殺せ」と言う。
強烈な薬品が注射され、怪物は倒れる。
さあ、これからどうなる?
有名なシーンだから見覚えがあるのだが、湖のほとりで遊ぶ女の子を、フランケンシュタインの怪物が水の中へ投げ入れるシーンがある。
あれは、今なら「児童虐待」で問題になりそうだ。
クライマックス・シーンは、今見てもよく出来ている。
巨大な風車のセットを燃やして、一発撮り。
黒澤映画か。
結末は分かり切っているから書くが、残酷でかわいそうだ。
人間が勝手に生み出しておいて、人間の都合で。
その無念さが伝わって来るような場面だ。
いずれにしても、この1本の映画の印象で、フランケンシュタインの怪物というのは誰もが知っているキャラクターになったのだから、スゴイことである。

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