『ハムレット』を原書で読む(第3回)

(テキスト5ページ、1行目~)

I.I

I(名)(ローマ数字の)I

Enter Francisco and Barnardo, two Sentinels

enter(自)(Enterで)(演劇)登場する(脚本のト書きではしばしば3人称命令法で用いる/⇔exit)・Enter Hamlet. ハムレット登場。
Francisco フランシスコ(男子名)
Barnardo バーナードー
two(形)(基数の2)2の、2個の、二人の
sentinel(名)歩哨、哨兵

BARNARDO Who’s there?

who's who isの短縮形

FRANCISCO Nay, answer me. Stand and unfold yourself.

nay(副)(古)否、いや(=no/⇔yea、aye)
answer(他)(人・質問・手紙などに)答える、答えて言う
stand(自)立ち止まる、停止する ・Stand and deliver! 止まれ、あり金を全部置いて行け(昔の追いはぎの言葉)
unfold(他)(考え・意図などを)明らかにする、表明する
yourself(代)(再帰的に用いて)あなた自身を(に)/(一般動詞の目的語に用いて) ・Know yourself. なんじ自身を知れ。

BARNARDO Long live the King!

long(副)長く、長い間、久しく
live(自)生き長らえる ・Long live the Queen! 女王陛下万歳!

FRANCISCO Barnardo?

BARNARDO He.

FRANCISCO
You come most carefully upon your hour.

most(副)(通例theを用いないで)はなはだ、非常に(この意味のmostが修飾する形容詞・副詞は話者の主観的感情・判断を表わす)
on(前)(関係を表わして)~について、~に関する
your(代)あなた(たち)の、君(ら)の
hour(名)(時計で示される)時刻

BARNARDO
'Tis now struck twelve. Get thee to bed, Francisco.

'tis(古)it isの短縮形
it(代)(非人称動詞(impersonal verb)の主語として)(特にさすものはなく、従って訳さないで文の形式的主語となる)(時間・日時を漠然とさして)
strike(他)(時計が)(時を)打つ、打って報じる ・The clock has struck three. 時計が3時を打った。
twelve(名)12時
get(他)(副詞句を伴って)(人・ものを)(ある場所・位置に(から))持って(連れて)いく、動かす、運ぶ(to)
thee(代)(古)なんじを(に)
to(前)(到達の意を含めて)~まで、~へ、~に

FRANCISCO
For this relief much thanks. 'Tis bitter cold,
And I am sick at heart.

for(前)(対象)(報償・返報を表わして)(好意・成果など)に対して、~の返報として ・thank A for B BについてAに感謝する
this(形)この/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)(⇔that)
relief(名)交替
thank(名)(複数形で)(間投詞的に)どうもありがとう ・Many thanks. どうもありがとう。
it(代)(非人称動詞(impersonal verb)の主語として)(特にさすものはなく、従って訳さないで文の形式的主語となる)(天候・寒暖を漠然とさして)
bitter(副)非常に、とても(=bitterly) ・The night was bitter cold. その夜は身を切るように寒かった。
sick at heart 失望して、悲観して

BARNARDO
Have you had quiet guard?

have(他)(~を)経験する、(事故などに)あう
guard(名)見張り、監視、警戒

FRANCISCO Not a mouse stirring.

not(副)(不定詞・分詞・動名詞の前に置いてそれを否定して)(~し)ない
mouse(名)ハツカネズミ、ネズミ、マウス
stir(自)(かすかに)動く

BARNARDO
Well, good night.
If you do meet Horatio and Marcellus,
The rivals of my watch, bid them make haste.

well(間)(安心・あきらめ・譲歩などを表わして)やれやれ、まあいいや
good night(間)(夜の別れ・就寝時のあいさつに用いて)さようなら!、お休みなさい
do(助動)(法律文の常套的表現や詩・詩的散文での虚辞として)
meet(他)(別方向から来た人・ものと)出会う
Horatio ホレイショー(Hamlet中のHamletの親友)
Marcellus マーセラス(男子名)
rival(名)(廃)同僚、仲間
my(代)私の
watch(名)(またa ~)見張り、監視、警備
bid(他)(人に)(~するように)命じる、勧める(+目+原形)
make haste(古)急ぐ、手早くする

Enter Horatio and Marcellus

FRANCISCO
I think I hear them. Stand, ho! Who is there?

think(他)(~と)思う、考える(+that)
ho(間)(呼び掛け・注意・称賛・あざけりなどを表わして)ほー!、ほーい!
【参考文献】
Hamlet』William Shakespeare・著(Penguin Classics)
新訳 ハムレット (角川文庫)河合祥一郎・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
新英和大辞典 第六版 ― 並装』(研究社)

『高慢と偏見』を原書で読む(第39回)

(テキスト42ページ、1行目〜)

“You may depend upon it, Madam,” said Miss Bingley, with cold civility, “that Miss Bennet shall receive every possible attention while she remains with us.”

may(助動)(許可を表わして)~してもよろしい、~してもさしつかえない
depend(自)(~ on(upon)で)(人が)(~を)当てにする、信頼する
on(前)(関係を表わして)~について、~に関する
it(代)(形式目的語としてあとにくる事実上の目的語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
madam(名)(またMadam)(通例既婚・未婚の別なく女性への丁寧な呼び掛けで)奥様、お嬢さま
say(他)(人に)(~と)言う、話す、述べる、(言葉を)言う(+引用)
with(前)(様態の副詞句を導いて)~を示して、~して
cold(形)冷淡な
civility(名)(不作法にならぬ程度の)礼儀正しさ
that(接)(名詞節を導いて)(~)ということ/(目的語節を導いて)/(主語節を導いて)
Bennet ベネット(Jane Austen, Pride and Prejudiceに登場する一家)
shall(助動)(意志未来を表わして)(2、3人称を主語とする平叙文または従属節に用い、話者の意志を表わして)~させてやる
receive(他)(教育・訓練・治療などを)受ける、経験する
every(形)(抽象名詞を伴って)可能な限りの、あらゆる、十分な
possible(形)(最上級、all、everyなどに伴ってその意味を強めて)できる限りの
attention(名)(人などの)世話、手当て
while(接)~する間、~するうち、~と同時に
remain(自)(通例副詞句を伴って)とどまる、滞在する

Mrs. Bennet was profuse in her acknowledgments.

profuse(形)(人が)(~に)大まかで、気前がよくて、おうようで ・be profuse in one's thanks 言いすぎるほどお礼を言う
in(前)(性質・能力・芸などの分野を限定して)~において、~が
her(代)彼女の
acknowledgment(名)感謝、謝礼、あいさつ

“I am sure,” she added, “if it was not for such good friends I do not know what would become of her, for she is very ill indeed, and suffers a vast deal, though with the greatest patience in the world, which is always the way with her, for she has, without exception, the sweetest temper I ever met with. I often tell my other girls they are nothing to her. You have a sweet room here, Mr. Bingley, and a charming prospect over that gravel walk. I do not know a place in the country that is equal to Netherfield. You will not think of quitting it in a hurry I hope, though you have but a short lease.”

sure(形)確信して(⇔unsure)(+that)
add(他)(言葉を)付け加える(+引用)
for(前)(賛成・支持・味方を表わして)~を支持して(した)、~のために、~に味方して(⇔against)
such(形)(程度を表わして)(形容詞+名詞の前で/副詞的に)あれほど(これほど)の、あんな(そんな)に、このように
good(形)仲の良い、親しい、親密な ・a good friend 親友、仲よし
know(他)(~を)知る、知っている、(~が)わか(ってい)る(+wh.)/(+that)
what(代)(疑問代名詞)(不定数量の選択に関して用いて)何、どんなもの(こと)、何もの、何事/(間接疑問の節や+to doの形で)
would(助動)(仮定法(叙想法)で用いて)(現在または未来の事柄について帰結節で無意志の仮定を表わして)~(する)だろう
become of ~(疑問詞whatを主語に)~が(どう)なる
for(接)(通例コンマ、セミコロンを前に置いて、前文の付加的説明・理由として)という訳は~だから(=as、since)
indeed(副)(強調に用いて)(very+形容詞または副詞の後に置き、それをさらに強調して)本当に、まったく、実に
suffer(他)(苦痛・不快な事を)経験する、こうむる、受ける
vast(形)(数量・程度など)非常に大きな、莫大な、多大の
deal(名)(a ~で)(副詞的に)かなり、ずっと、だいぶ
though(副)(文尾・文中に置いて)でも、もっとも、やっぱり
great(形)(痛みなど)激しい、強い、非常な
patience(名)忍耐、忍耐力、辛抱強さ
in the world(最上級を強めて)世界中で
which(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)(主格・目的格の場合)そしてそれは(を)
way(名)(個人的な)やり方、流儀、癖 ・It's always that way with him. それが彼のいつもの流儀である。
with(前)(関係・立場を表わして)~にとっては、~の場合は
have(他)(部分・属性として)(特徴・性質・能力などを)もっている
without exception 例外なく(のない)
sweet(形)優しい、親切な ・a sweet temper 優しい気質、気だてのよさ
temper(名)気質、気性
ever(副)(比較級の前後・最上級の後でそれらを強めて)これまで、今まで、ますます
meet with ~(人)に(人)に(偶然)出会う
tell(他)(人に)(~を)話す、告げる、語る、言う、述べる(+目+that)
my(代)私の
girl(名)(しばしばone's ~)(年齢に関係なく)娘
be nothing to ~ ~とは比べものにならない
sweet(形)きれいな、かわいらしい、すてきな(=cute)
here(副)(名詞の後に用いて)ここにいる(ある)
charming(形)(物事が)すてきな、とてもおもしろい(楽しい)
prospect(名)(通例単数形で)(特に高い所からの)眺望、見晴らし、景色
over(前)(海・川・通りなど)の向こう側に(の)(=across)
gravel(名)(集合的に)砂利、バラス
walk(名)小道
in(前)(全体との関係を表わして)~の中で、~のうちで
country(名)(ある広い)地域
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(~する(である))ところの/(主語として)/(他動詞・前置詞の目的語として)
equal(形)(数量・程度など)等しい、相等しい(to)
will(助動)(意志未来を表わして)(2人称を主語として命令を表わして)~しなさい
think of ~ ~を言い出す(+doing)
quit(他)(場所などを)去る、立ち退く
in a hurry あわてて、急いで
hope(他)(~したいと)思う、望む、(~であればよいと)思う(+that)
but(副)ただ、ほんの、~だけ
short(形)(時間・過程・行為など)短い
lease(名)借用(賃貸借)期間

“Whatever I do is done in a hurry,” replied he; “and therefore if I should resolve to quit Netherfield, I should probably be off in five minutes. At present, however, I consider myself as quite fixed here.”

whatever(代)(先行詞を含む不定関係代名詞として)(~する)もの(こと)は何でも、(~する)もの(こと)は皆
done(形)済んで、終了して
reply(他)(~と)答える(目的語には答える内容がくるので、人称代名詞やletterなどの名詞は用いられない)(+引用)
therefore(副)それゆえに、従って、それ(これ)によって(=consequently)
should(助動)(仮定法で)(条件節に用いて実現の可能性の少ない事柄に対する仮定・譲歩を表わして)万一(~ならば、~しても)、もしかして~ということでもあれば(あっても)
resolve(他)決意する、決心する(+to do)
should(助動)(仮定法で)(条件文の帰結節で、I ~で現在または未来の事柄についての想像を表わして)~だろうに
off(副)(移動・方向を表わして)離れて、去って、走り出て
in(前)(時間を表わして)~(のうち)に、~の間、~中
five(形)(基数の5)5の、5個の、5人の
at present 現在、今は、目下(=at the moment)
consider(他)(~を)(~だと)みなす、考える(+目+as 補)
myself(代)(再帰的に用いて)(一般動詞の目的語に用いて)私自身を(に)
as(前)(動詞の目的補語を導いて)~と、~だと
fixed(形)決まった、確固たる、不変の

“That is exactly what I should have supposed of you,” said Elizabeth.

that(代)(指示代名詞)(前に言及しているか、場面上了解されている物事をさして)そのこと
exactly(副)まさに、ちょうど(=just)
what(代)(関係代名詞)(~する)もの(こと)(which、who、thatなどと異なり、意味上先行詞を含む関係代名詞で名詞節を導く)
should(助動)(仮定法で)(条件文の帰結節で、I ~ have+過分で過去の事柄についての想像を表わして)~だろうに
suppose(他)(知っていることから)推測する、思う、考える
of(前)(関係・関連を表わして)~の点において、~に関して、~について
Elizabeth(名)エリザベス(女性名/愛称Bess、Bessie、Bessy、Beth、Betty、Eliza、Elsie、Lily、Lisa、Liz、Liza、Lizzie、Lizzy)

“You begin to comprehend me, do you?” cried he, turning towards her.

begin(他)(~し)始める、(~し)だす(+to do)
comprehend(他)(~を)理解する
do(助動)(be以外の動詞の疑問文に用いて)
cry(他)(~を)大声で叫ぶ、どなる(+引用)
turn(自)(通例副詞句を伴って)(~の方に)向く、振り向く、振り返る(toward)
towards(前)=toward

“Oh! yes—I understand you perfectly.”

perfectly(副)完全に、申し分なく

“I wish I might take this for a compliment; but to be so easily seen through I am afraid is pitiful.”

wish(他)(現在の実現不可能なことの願望を表わして)(~であればよいのにと)思う(+that)(thatは省略されるのが普通で、節内には(仮定法)過去形が用いられる)
might(助動)(仮定法過去)(条件節の内容を言外に含めた主節だけの文で)(現在の推量を表わして)~するかもしれない
take(他)(~を)(~だと)思う、みなす(for)
this(代)(指示代名詞)(すぐ前に言われたことをさして)こう、こういう、このこと
for(前)(資格・属性を表わして)~(だ)として、~と
compliment(名)賛辞、ほめ言葉 ・I take that as a ~. それはおほめの言葉と受け取っておきます。
so(副)(程度を表わして)それ(これ)ほど、そんな(こんな)に、これくらい
see through ~を見通す
afraid(形)(I'm ~、I am ~で、よくない事・心配な事を表現するとき、語気をやわらげるのに用いて)(主な文に並列的または挿入的に用いて)思う
pitiful(形)余りにもひどい(下手な、くだらない)

“That is as it happens. It does not follow that a deep, intricate character is more or less estimable than such a one as yours.”

as it happens たまたま
it(代)(指示代名詞)(形式主語としてあとにくる事実上の主語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
necessarily(副)(否定文で)必ずしも(~でない)(部分否定)
follow(自)(itを主語として)(~からすると)当然の結果として(~ということになる)(+that)
deep(形)理解しがたい、難しい ・a deep person 人柄の測りかねる人物
intricate(形)入り組んだ、複雑な(⇔simple)
character(名)(修飾語を伴って)(~な)人、人物
more or less 多少、いくぶん
estimate(形)(人・行動が)尊重(尊敬)すべき、敬意を表すべき
such(形)(such ~ asで)~のような
one(代)(既出の可算名詞の反復を避けて)(その)一つ、それ
as(代)(関係代名詞)(such、the sameまたはasを先行詞に含んで、制限的に用いて)~のような
yours(代)あなた(たち)のもの

“Lizzy,” cried her mother, “remember where you are, and do not run on in the wild manner that you are suffered to do at home.”

Lizzy(名)リジー(女性名/Elizabethの愛称)
remember(他)(~を)覚えておく、心に留めておく(+wh.)
where(副)(関係副詞)(先行詞を含む関係副詞用法で)~する所
do(助動)(否定の命令法を作って)
run on 続けざまに(べちゃくちゃ)しゃべる
in(前)(方法・形式を表わして)~で、~をもって ・in that manner そのやり方で
wild(形)(人・行為など)乱暴な、無法な、手に負えない、わがままな、放縦(ほうしょう)な
manner(名)(a ~、one's ~)態度、物腰、様子、挙動
suffer(他)(古)(人に)(~することを)許す、(黙って)(人に)(~)させる(+目+to do)
at home 自宅で

“I did not know before,” continued Bingley immediately, “that you were a studier of character. It must be an amusing study.”

before(副)(時を表わして)以前に、かつて、すでに
continue(他)(~と)(再び)話を続ける、引き続いて言う(+引用)
immediately(副)直ちに、即座に、早速
studier(名)研究家、研究者(of)
of(前)(目的格関係を表わして)(しばしば動作名詞または動名詞に伴って)~を、~の
must(助動)(当然の推定を表わして)~にちがいない、~に相違ない、きっと~だろう
amusing(形)人をおもしろくさせる、おもしろい、楽しい
study(名)(綿密な)研究、検討、調査

“Yes; but intricate characters are the most amusing. They have at least that advantage.”

yes(副)(相手の言葉に同意を表わして)そうだ、さよう、然り
most(副)(主に2音節以上の形容詞・副詞の最上級を作って)最も、いちばん
at least ともかく、それでも
that(形)(指示形容詞)(対話者同士がすでに知っているもの・人・量をさして)あの
advantage(名)有利な点、強み、長所

“The country,” said Darcy, “can in general supply but few subjects for such a study. In a country neighbourhood you move in a very confined and unvarying society.”

country(名)(the ~)(都市に対して)いなか
Darcy ダーシー
in(前)(範囲を表わして)~において、~内で
general(形)(特定の部門に限らない)一般的な(⇔special)
supply(名)供給、配給
subject(名)(研究・調査などの)対象
for(前)(用途・指定・適否を表わして)~向きに(の)、~用に(の)
country(形)いなか(風)の、いなか育ちの
neighbourhood(名)(英)=neighborhood(名)(単数形で/集合的に/単数または複数扱い)地域(近隣)の人々
move(自)(特定の社会(集団)で)活動する、交際する(in)
confined(形)(特定の場所・集団などに)限られて、制限(限定)されて
unvarying(形)変わらない、(一定)不変の
society(名)共同体
【参考文献】
Pride and Prejudice (Penguin Classics)』Jane Austen・著
自負と偏見 (新潮文庫)小山太一・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
リーダーズ・プラス』(研究社)

『ロビンソン・クルーソー』を原書で読む(第148回)

(テキスト150ページ、2行目〜)

And thus loading my self with every thing necessary, I went down to my boat, got the water out of her, and got her afloat, loaded all my cargo in her, and then went home again for more; my second cargo was a great bag full of rice, the umbrella to set up over my head for a shade; another large pot full of fresh water, and about two dozen of small loaves, or barley cakes, more than before, with a bottle of goat’s-milk, and a cheese; all which, with great labour and sweat, I brought to my boat; and praying to God to direct my voyage, I put out, and rowing or padling the canoe along the shore, I came at last to the utmost point of the island on that side, (viz.) N. E.

thus(副)このように、かように
load(他)(輸送物を)(車・船などに)積む(⇔unload) ・load a ship with coal 船に石炭を積み込む
myself(代)(再帰的に用いて)(一般動詞の目的語に用いて)私自身を(に)
with(前)(材料・中身を表わして)~で ・load a cart with timber 荷車に材木を積む
go down(~へ)下へ行く、下りていく(to)
to(前)(方向を表わして)(到達の意を含めて)~まで、~へ、~に
my(代)私の
out of(前)~の中から外へ、~の外へ(⇔into)
get(他)(~を)(~の状態に)する、至らせる(+目+補)
afloat(形)(水上・空中に)浮かんで
cargo(名)貨物、積荷、船荷
then(副)(しばしばandを伴って、前に続くことを示して)それから、その後で
go home 帰宅(帰国)する
for(前)(獲得・追求・期待の対象を表わして)~を得るために(の)、~を(求めて)
more(代)それ以上の事(もの)
of(前)(目的格関係を表わして)(形容詞に伴って)~を
set up(柱・像などを)立てる
for(前)(目的・意向を表わして)~のために、~を目的として
shade(名)(薄暗い)陰、日陰、木陰
pot(名)ポット(丸くて深い陶器・金属・ガラス製のつぼ・鉢・かめ・深なべなど/取っ手のあるものもないものもある/日本語で「魔法瓶」を「ポット」と言うが、その意味は英語にはない)
fresh(形)(水が)塩分のない ・fresh water 淡水、真水
about(副)(数詞を伴って)およそ、約~(aboutは示されている数・量に達しているかいないかは問題にせず、大体それに近い場合に用いられる)
two(形)(基数の2)2の、2個の、二人の
dozen(名)(数詞とmany、several(someを除く)などの後では単数形を用いる)ダース、12(個)
of(前)(分量・内容を表わして/数量・単位を表わす名詞を前に置いて)~の
loaves(名)loafの複数形
loaf(名)(一定の大きな型に焼いたパンの)ひとかたまり、ローフ
or(接)(訂正語句・コメントなどを導いて)いや~、あるいは(むしろ)
barley(名)大麦(の実)
cake(名)オートミール製固焼きビスケット(=oatcake)
more than ~ ~より多い、~を越える
before(副)(時を表わして)以前に、かつて、すでに
bottle(名)ひと瓶の量(of)
goat(名)ヤギ(ヤギは繁殖力が旺盛なので好色のイメージがある/罪や悪との連想が古くからあり、悪魔はよくヤギの姿で現われる)
cheese(名)チーズ
all(代)(単数扱い)(関係詞節を従えて)(~の)すべてのこと
which(代)(関係代名詞)(制限的用法で)~する(した)(もの、事)(通例「もの」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(目的格の場合)/(主格の場合)
with(前)(様態の副詞句を導いて)~を示して、~して
labour(名)(英)=labor(名)(肉体的・精神的な)骨折り、苦心、労苦、労力 ・with kabor 骨折って
sweat(名)懸命に働くこと、努力、苦心、奮闘
bring(他)(人に)(ものを)持ってくる(to)
to(前)(行為・作用の対象を表わして)(間接目的語に相当する句を導いて)~に
pray(他)(~を)祈る(+to do) ・pray to God to do ~してくださいと神に祈る
to(前)(行為・作用の対象を表わして)~に対して、~に
direct(他)(~を)指導する、指揮する、(会社などを)管理する
voyage(名)(船・飛行機・宇宙船による)旅、船旅、航海、航行、飛行
put out 出帆する
row(他)(ボートを)こぐ
padling→paddling
paddle(他)(ボート・カヌーを)パドル(かい)でこぐ
canoe(名)カヌー(paddleでこぐ小舟)
shore(名)(海・湖・川の)岸
come(自)(人・ものが)(ある場所に)到着する、やってくる(to)
at last 最後に、とうとう(=finally)
utmost(形)最も遠い、いちばん端の
point(名)突端、岬
on(前)(近接を表わして)~に接して、~に面して ・on both sides 両側に
that(形)(指示形容詞)(遠方の時・所をさして)あの、あちらの、その(⇔this)
viz.(副)すなわち(通例namelyと読む)
N.(略)north
E.(略)east

And now I was to launch out into the ocean, and either to venture, or not to venture.

now(副)(過去時制の動詞とともに)(物語の中で)今や、そのとき、それから、次に
launch(自)(事業・仕事などに)(勢いよく)乗り出す ・launch out into ~に乗り出す
out(副)(船など)陸を離れて、沖へ(出て)
ocean(名)(通例the ~)大洋、海洋
be(助動)(be+to doで)(予定を表わして)~することになっている、~する時点で(公式の予定に用いる)
either(副)(either ~ or ~で相関接続詞的に)~かまたは~か(どちらでも、いずれかを)
venture(自)危険を冒して(思い切って)行く
not(副)(不定詞・分詞・動名詞の前に置いてそれを否定して)(~し)ない

I look'd on the rapid currents which ran constantly on both sides of the island, at a distance, and which were very terrible to me, from the remembrance of the hazard I had been in before, and my heart began to fail me; for I foresaw that if I was driven into either of those currents, I should be carry'd a vast way out to sea, and perhaps out of my reach, or sight of the island again; and that then, as my boat was but small, if any little gale of wind should rise, I should be inevitably lost.

look'd→looked
look on ~ ~を見る
rapid(形)速い、急な、迅速な
current(名)潮流、海流
run(自)(しばしば副詞句を伴って)(液体・砂などが)流れる(=flow)
at a distance 遠くで
to(前)(行為・作用の対象を表わして)~にとっては、~には
from(前)(原因・理由)~のために、~の結果
remembrance(名)覚えていること、記憶(of)
of(前)(目的格関係を表わして)(しばしば動作名詞または動名詞に伴って)~を、~の
hazard(名)危険
in(前)(状態を表わして)~の状態に(で)
heart(名)(感情、特に優しい心・人情が宿ると考えられる)心、感情
begin(他)(~し)始める、(~し)だす(+to do)
fail(他)(いざという時に)(人の)役に立たない、(人を)見捨てる
for(接)(通例コンマ、セミコロンを前に置いて、前文の付加的説明・理由として)という訳は~だから(=as、since)
foresee(他)(~を)予知する、見越す(=predict)(+that)
that(接)(名詞節を導いて)(~)ということ/(目的語節を導いて)/(主語節を導いて)
drive(他)(副詞句を伴って)(風が)(~を)(~に)吹きやる、(水が)(~を)(~に)押し流す
either(代)(疑問・条件文で)(二者の)どちらか(of)
should(助動)(仮定法で)(条件文の帰結節で、I ~で現在または未来の事柄についての想像を表わして)~だろうに
carry'd→carried
carry(他)(~を)(他の場所へ)(持ち)運ぶ、運搬する(to)
vast(形)非常な
way(名)(単数形で)道のり、距離(しばしば副詞的にも用いる)
out of(前)~の範囲外に(⇔within)
reach(名)(力・理解などの)及ぶ範囲 ・out of my reach 私にはとてもわからない ・out of sight 見えない所に
sight(名)視界、視域
as(接)(原因・理由を表わして)~だから、~ゆえに
but(副)(強意に用いて)まったく、本当に
if(接)(譲歩を表わして)たとえ~としても
any(形)(疑問文・条件節で名詞の前に用いて)(可算の名詞の単数形につけて)何か(どれか)一つの、だれか一人の
gale(名)大風、疾風
should(助動)(仮定法で)(条件節に用いて実現の可能性の少ない事柄に対する仮定・譲歩を表わして)万一(~ならば、~しても)、もしかして~ということでもあれば(あっても)
rise(自)(風・あらしなどが)起こる、生じる(=get up)
inevitably(副)必然的に、必ず
lost(形)死んだ

These thoughts so oppress'd my mind, that I began to give over my enterprize, and having haled my boat into a little creek on the shore, I stept out, and sat me down upon a rising bit of ground, very pensive and anxious, between fear and desire about my voyage; when as I was musing, I could perceive that the tide was turn'd, and the flood came on, upon which my going was for so many hours impracticable; upon this presently it occurr'd to me, that I should go up to the highest piece of ground I could find, and observe, if I could, how the sets of the tide, or currents lay, when the flood came in, that I might judge whether if I was driven one way out, I might not expect to be driven another way home, with the same rapidness of the currents:

thought(名)(理性に訴えて心に浮かんだ)考え
so(副)(程度・結果を表わして)(so ~ that ~で)(順送りに訳して)非常に~なので~
oppress'd→oppressed
oppress(他)(人・心に)圧迫感(重苦しい感じ)を与える
that(接)(副詞節を導いて)(so ~ thatの形で程度・結果を表わして)(非常に)~なので、~(する)ほど
give over(~を)やめる
enterprise(名)(重要・困難な)企て
hale→haul(他)(副詞句を伴って)(~を)強く引く、引っぱる、たぐる
creek(名)(海・川・湖の)(小さな)入り江、~浦(=inlet)
stept→stepped
step out(ちょっと)家(部屋)を出る、外出する
sit(他)(副詞句を伴って)(~を)(~に)座らせる
down(副)座って(⇔up) ・sit down 座る
rising(形)高くなった ・rising ground 高台
bit(名)(~の)一部、部分(of)
pensive(形)憂いに沈む
anxious(形)心配して、案じて、気にして(=concerned)
between(前)(区別・選択を表わして)~の間で、~のどちらかを
fear(名)不安、心配
and(接)(等位接続詞)(between ~ and ~で)~と~(との間に)
desire(名)(~を求める)欲望、欲求
when(接)~する時に、~時(時を表わす副詞節をつくる)
as(接)(時を表わして)~している時、~したとたんに
musing(形)思いにふける
perceive(他)(~に)気づく
tide(名)潮流
turn'd→turned
turn(他)(副詞句を伴って)(回転させて)(~の)方向(位置)を帰る
flood(名)洪水、大水
come on(季節・夜などが)やってくる、近づく
on(前)(基礎・原因・理由・条件などを表わして)~に基づいて、~による
which(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)(先行する句・節・文またはその内容を受けて)
going(名)(one's ~)行くこと、去ること
for(前)(時間・距離を表わして)~の間(ずっと)
so many ~ そんなにたくさんの
impracticable(形)実行不可能な
on(前)(関係を表わして)~について、~に関する
this(代)(指示代名詞)(すぐ前に言われたことをさして)こう、こういう、このこと
presently(副)まもなく、やがて
it(代)(形式主語としてあとにくる事実上の主語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
occurr'd→occurred
occur(自)(しばしばIt occurs ~ to do、It occurs ~ that ~の形で)(人(の心)に)浮かぶ、思い出される
should(助動)(時制の一致で従節内に用いて/意志未来の場合)(話者の強い意向・決意を表わして)~するぞ
go up 昇る
high(形)(床・地上から離れて)高い所にある
piece(名)(土地などの)一区画、小区画、短い距離 ・a piece of land 一区画の土地
could(助動)(直説法(叙実法)で用いて)(過去形の主節の時制の一致により従属節中のcanが過去形に用いられて)~できる、~してよい
observe(他)(~を)(観察によって)認める、目撃する(=notice)
could(助動)(仮定法(叙想法)で用いて)(現在の事実に反対の条件節、または願望を表わす名詞節に用いて)~できる(なら)
how(副)(疑問詞)(状態を尋ねて)どんな状態(具合)で
set(名)(潮流・風の)流れ、方向
lie(自)(~の状態に)置かれてある(=remain)(+補)
flood(名)上げ潮(⇔ebb)
come in(潮が)さしてくる
that(接)(副詞節を導いて)(目的を表わして)~するように、~せんがために
might(助動)(直説法過去)(時制の一致により副詞節中で)~するために、~できるように
judge(他)(~を)判断する、見積もる(+wh。)
one(形)(another、the otherと対照的に)一方の、片方の
way(名)(単数形で)方向、方面(通例前置詞なしで副詞句になる)
might(助動)(仮定法過去)(現在の仮定や仮定の結果を表わす節で)(現在の推量を表わして)~するかもしれない(のだが)
expect(他)(きっと)(~(する)だろうと)思う(+to do)
another(形)(oneと対照的に)
home(副)わが家へ
rapidness(名)<rapid

This thought was no sooner in my head, but I cast my eye upon a little hill, which sufficiently over-look'd the sea both ways, and from whence I had a clear view of the currents, or sets of the tide, and which way I was to guide my self in my return; here I found, that as the current of the ebb set out close by the south point of the island, so the current of the flood set in close by the shore of the north side, and that I had nothing to do but to keep to the north of the island in my return, and I should do well enough.

no sooner ~ but ~するや否や
head(名)(知性・思考などの宿る所としての)頭
cast(他)(副詞句を伴って)(目を)(ある方向に)向ける
eye(名)注目、注視 ・fix one's eyes on ~に目を注ぐ、~をじっと見つめる
on(前)(動作の方向を表わして)~に向かって、~をめがけて
which(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)(主格・目的格の場合)そしてそれは(を)
sufficiently(副)十分に、足るだけ
over-look’d→over-looked
overlook(他)(人・場所などが)(~を)見渡す、見おろす(=look over)
both ways 両方に
from(前)(視点・観点を表わして)~から(見ると)
whence(副)(関係副詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)(そして)そこから、その点から
have(他)(通例動作・行為などを表わす不定冠詞付きの名詞を目的語として)(~)する、(~を)行なう
clear(形)(輪郭・映像などが)はっきり見える、くっきりした、見やすい
view(名)見える状態(範囲)、視界、視野
which(形)(疑問形容詞)どちらの、どの、いずれの
be(助動)(be+to doで)(義務・命令を表わして)~する義務がある、~しなければならない
in(前)(時間を表わして)~(のうち)に、~の間、~中
return(名)(単数形で)帰り、帰還、帰宅
here(副)(文頭に用いて)この点で、ここで
find(他)(研究・調査・計算などをして)(答えなどを)発見する、見出す(+that)
as ~ so ~ ~のように~、~と同じように~
current(名)(液体・気体などの)流れ、流動
ebb(名)(the ~)引き潮(⇔flood、flow)
set out(~を)出発する(=set off)
close(副)(空間的・時間的に)(~に)接して、すぐそばに、近くに、詰めて
by(前)(場所・位置を表わして)~のそばに(で)、のかたわらに(の)、の手元に
south(形)南の(にある)
set in(潮が)海岸に向かって流れる
north(形)北の、北にある
have nothing to do but do ~する以外やることがない
keep to(道・道路など)から離れない、~に沿って進む
should(助動)(可能性・期待を表わして)きっと~だろう、~のはずである
do well うまくいく、成功する
enough(副)(形容詞・副詞の後に置いて)十分に

Encourag'd with this observation, I resolv'd the next morning to set out with the first of the tide; and reposing myself for the night in the canoe, under the great watch-coat, I mentioned, I launch'd out:

Encourag'd→Encouraged
encourage(他)(人を)元気(勇気)づける、励ます(⇔discourage)
with(前)(原因を表わして)~のせいで、~のゆえに、~のために
this(形)(指示形容詞)この/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)
observation(名)観察、注目
resolv'd→resolved
resolve(他)決意する、決心する(+to do)
next(形)(通例the ~)(過去・未来の一定時を基準にして)その次の、翌~
morning(名)(副詞的に)朝に、午前中に
with(前)(同時・同程度・同方向などを表わして)~とともに、~と同時に
first(代)(通例the ~)(~する)最初の人(もの)(of)
of(前)(部分を表わして)~の中の
tide(名)潮、潮の干満
repose(他)(~oneselfで)(~に)横になる、休む(in)
myself(代)(再帰的に用いて)(再帰動詞の目的語に用いて)(再帰動詞とともに全体で自動詞的な意味になる)
for(前)(時間・距離を表わして)~の間(ずっと)
watch coat(名)(船員や兵士が張り番の時などに着用する)防寒コート
mention(他)(~のことを)(口頭または文書で話などのついでに)簡単に述べる、(~を)話に出す、(~に)言及する
launch'd→launched
【参考文献】
Robinson Crusoe (Penguin Classics)』Daniel Defoe・著
ロビンソン・クルーソー (河出文庫)』武田将明・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
リーダーズ・プラス』(研究社)

『みずうみ(湖畔、インメンゼー)』を原文で読む(第11回)

(テキスト20ページ、1行目〜)

Im Walde

in(前)(空間的に)(どこに)(3格と)~の中に、~の中で(英:in)
der Wald(男)森、林、森林(地帯)(英:woods、forest)(複:Wälder)

So lebten die Kinder zusammen; sie war ihm oft zu still, er war ihr oft zu heftig, aber sie ließen deshalb nicht voneinander, fast alle Freistunden teilten sie, winters in den beschränkten Zimmern ihrer Mütter, sommers in Busch und Feld.

so(副)(ふつう文中でのアクセントあり)そのように、このように(英:so)
zusammen|leben(自)いっしょに暮らす(完了:haben)
das Kind(中)子供(英:child)(複:Kinder)
oft(副)しばしば、たびたび(英:often)(比較:öfter)(最上:am öfsten)
zu(副)あまりに~すぎる(英:too)
still(形)(性格などが)物静かな、おとなしい(英:still)
heftig(形)怒りっぽい、気性の激しい
aber(接)(並列接続詞)(相反・対比)しかし、けれども、だが(英:but)
lassen(自)(von 人・事3格 ~)(人・事3格と)縁を切る(過去:ließ)(過分:gelassen)(完了:haben)
deshalb(副)(aber、dochとともに)だからといって
voneinander(副)お互いに、お互いのことについて
fast(副)ほとんど、ほぼ(英:nearly)
all(代)(不定代名詞/語尾変化はdieserと同じ、ただし無語尾でも用いられる)(付加語として)(複数名詞とともに)すべての、あらゆる、いっさいの(英:all)
die Freistunde(女)(学校・職業などの)休み時間、休憩時間
teilen(他)(考え・運命など4格を)共有する、共にする(過去:teilte)(過分:geteilt)(完了:haben)
winters(副)冬(の間)に
beschränkt(形)窮屈な、窮迫した
das Zimmer(中)部屋、室(英:room)(複:Zimmer/3格のみ:Zimmern)
die Mutter(中)母、母親、お母さん(英:mother)(複:Mütter)
sommers(副)夏に、夏場に、夏の間
der Busch(男)潅木(かんぼく)、(低木の)茂み、やぶ(英:bush)
das Feld(中)野、野原(英:field)(複:Felder)

―Als Elisabeth einmal in Reinhards Gegenwart von dem Schullehrer gescholten wurde, stieß er seine Tafel zornig auf den Tisch, um den Eifer des Mannes auf sich zu lenken.

als(接)(従属接続詞/動詞の人称変化形は文末)~したときに(英:when、as)
Elisabeth(女名)エリーザベト(複:なし)
einmal(副)1度、1回(英:once)
Reinhard(男名)ラインハルト(複:なし)
die Gegenwart(女)(その場に)居合わせること、出席(=presence)
von(前)(3格とともに)(受動文の行為者)~によって、~から
der Schullehrer(男)学校の先生、教師(複:Schullehrer)
schelten(他)(人・事4格を)しかる、たしなめる(英:scold)(過去:schalt)(過分:gescholten)(完了:haben) ・du schiltst、er schilt
werden(助動)(動作受動の助動詞)(過去分詞とともに受動態をつくる)~される(過去:wurde)(過分:worden)(完了:sein) ・du wirst、er wird
stoßen(他)(方向を表す語句とともに)(物4格を~へ)突き刺す、突っ込む(過去:stieß)(過分:gestoßen)(完了:haben) ・du stößt、er stößt
die Tafel(女)黒板、石盤、掲示(伝言)板、銘文版(複:Tafeln)
zornig(形)怒っている、立腹している(英:angry)
auf(前)(上面との接触)(どこへ)(4格と)~の上へ、~(の上)に
der Tisch(男)テーブル、机、食卓(英:table)(複:Tische)
um(接)(zu不定詞句とともに)(目的を表して)~するために
der Eifer(男)激情(複:なし)
der Mann(男)男性、男、(成年)男子(英:man)(複:Männer)
lenken(他)(方向などを表す語句とともに)(注意・話など4格を~へ)向ける、転じる(英:direct)(過去:lenkte)(過分:gelenkt)(完了:haben) ・die Aufmerksamkeit4格 auf 物4格 haben 物4格に注意を向ける

Es wurde nicht bemerkt.

bemerken(他)(4格とともに)(人・物4格に)気づく(英:notice)(過去:bemerkte)(過分:bemerkt)(完了:haben)

Aber Reinhard verlor alle Aufmerksamkeit an den geographischen Vorträgen; statt dessen verfaßte er ein langes Gedicht; darin vergIich er sich selbst mit einem jungen Adler, den Schulmeister mit einer grauen Krähe, Elisabeth war die weiße Taube; der Adler gelobte, an der grauen Krähe Rache zu nehmen, sobald ihm die Flügel gewachsen sein würden.

verlieren(他)(人・物4格を)失う(過去:verlor)(過分:verloren)(完了:haben)
all(代)(不定代名詞/語尾変化はdieserと同じ、ただし無語尾でも用いられる)(付加語として)(単数名詞とともに)いずれの~も、あらゆる
die Aufmerksamkeit(女)(複なし)注意(深さ)(英:attention)(複:Aufmerksamkeiten)
an(前)(関係)(3格と)~について(は)、~に関して(は)、~の点で(は)
geographisch=geografisch(形)地理学(上)の
der Vortrag(男)講演、演説、講義(複:Vorträgen)
statt(前)(2格とともに)~の代わりに(=anstatt)(英:instead of)
dessen(代)(指示代名詞/男性・中性単数の2格)それの
verfassen(他)(手紙・小説など4格を)執筆する、書く、(文書など4格を)作成する(英:write)(過去:verfasste)(過分:verfasst)(完了:haben) ・du verfasst、er verfasst
lang(形)(詳しくて)長い(英:long)(比較:länger)(最上:längst)
das Gedicht(中)詩(英:poem)(複:Gedichte)
darin(副)(前置詞inと事物を表す代名詞の融合形)その中で、その中に
vergleichen(他)(A4格 mit B3格)(A4格をB3格に)例える
selbst(代)(指示代名詞/無変化)(指示する語のあとに置かれて)(自分)自身、(それ)自体
mit(前)(3格とともに)(特定の動詞・形容詞とともに)
jung(形)若い(英:young)(比較:jünger)(最上:jüngst)
der Adler(男)(鳥)ワシ(鷲)(複:Adler
der Schulmeister(男)(古)教師
grau(形)白髪まじりの、老年の
die Krähe(女)(鳥)(中型の)カラス(英:crow)(複:Krähen
weiß(形)白い、白色の(英:white)(比較:weißer)(最上:weißest)
die Taube(女)(鳥)ハト(鳩)(英:pigeon)(複:Tauben)
geloben(他)((人3格に)事4格を)誓う、誓約する(完了:haben)
an(前)(所属する場所・あて先)(3格と)~で、~に
die Rache(女)復讐(ふくしゅう)、仕返し、報復(英:revenge)(複:なし) ・an 人3格 Rache4格 nehmen 人3格に仕返しする
nehmen(他)(特定の名詞とともに)行う、~する(過去:nahm)(過分:genommen)(完了:haben) ・du nimmst、er nimmt
sobald(接)(従属接続詞/動詞の人称変化形は文末)~するとすぐ、~するやいなや(英:as soon as)
der Flügel(男)(鳥の)翼、(昆虫の)羽(英:wing)(複:Flügel)
wachsen(自)(人間・動植物などが)成長する、伸びる(過去:wuchs)(過分:gewachsen)(完了:sein) ・du wächst、er wächst
rde(zuのない不定詞とともに)(間接話法で過去における未来を示す)
【参考文献】
みずうみ (対訳シリーズ)』中込忠三、佐藤正樹・編(同学社)
アポロン独和辞典』(同学社)
新コンサイス独和辞典』(三省堂
新現代独和辞典』(三修社

『星の王子さま』を原文で読む(第1回)

先日、フランス語の文法を一通り終えましたが、それだけでは忘れてしまいそうなので(実際、既にどんどん抜けて行っています)、文章を読むことにしました。
僕は、フランスに旅行をする予定もないので、会話には全く興味がありません。
しかし、たとえ実用会話のためであっても、語学学習において文章を読むことは必須です(昨今は、これが異常なほど軽視、いや、むしろ敵視さえされていますが)。
大学におけるフランス語講読の定番テキストである『コデックス』(駿河台出版社)の「まえがき」には、次のようにあります。

実用外国語の必要性が喧伝される昨今、初級フランス語を終えたあと実践的な会話でも作文でもない、文学中心の読本に移るという古典的ともいえる道を選んだことには、もうひとつ別の理由があります。たとえばフランス語で朝夕の挨拶ができ、基礎的な会話表現は一通り心得ていても、そのさきプツリと話題がとぎれてしまうのでは本当にフランス語を使いこなせたとは言えません。実はこれは、語学研修などで短期留学する学生がよく経験することなのです。つまり知識の積み重ねから生まれる教養が身に付いていなければ本来の会話は成り立ちません。話すためには読む必要がある、書くためにも読む必要がある。実用外国語といえども、総合的な学習なしには成り立たないのです。

僕は、文法学習を終えた後、最初に読む作品として、ドイツ語の時は『グリム童話』、ラテン語の時は『ガリア戦記』を選びました。
いきなり文学作品を読むのはハードルが高いようですが、「初級フランス語をひととおり学び終えた人のための中級読本」である上記の『コデックス』は、ルナール、モリエールカミュボードレールモーパッサン、アベ・プレヴォー、ユゴー、コンスタン、スタンダールランボーフローベール、ルソー、ゾラ、パスカルサルトルプルーストなどの、フランス文学史上で綺羅星のように輝く有名作家の作品で編まれています。
このテキストを使う東京医科歯科大学の「S・フランス語入門」(1年生・2年生対象)という授業のシラバスを見て下さい。

フランス語は文法構造のはっきりした言語ですので、有名な古典作品でも1年間の文法知識で読むことができます。大学にはいってから学習した内容で、有名な作品が読めるということを知っていただきたいと思います。

この言葉を信じれば、フランス語では、初級文法を終えれば、有名な文学作品を読めるということです。
さて、それでは、どの作品を選ぶのか。
僕は、サン・テグジュペリの『星の王子さま』を原文で読んでみることにしました。
高校時代、国語の教科書の巻末に載っていた世界文学史上の名作に選ばれていて、その名を知って以来、ずっと気になっていた作品です。
つい最近、文庫で出ている翻訳を一通り読みましたが、素晴らしい文学作品だと思いました。
この作品は元々、子供向けの作品として書かれたということで、優しいフランス語が使われているそうです。
『「星の王子さま」をフランス語で読む』(ちくま学芸文庫)には、次のようにあります。

星の王子さま』のフランス語は、全体的に見て、決して難しいものではありません。むしろ、やさしい、素直なフランス語と言ってもよいでしょう。

上智大学でフランス語を教えておられたベルナール・ジャッケル先生にうかがいましたところ、フランス人の子どもだとしたら、8歳か9歳で読めるだろうということです。それ以前にも読める子どもはいるだろうし、母親の朗読で耳にする子どももいるだろうけれど、独力で読んで意味を理解するのはそれくらいの年になってからだろうとのことでした。

もちろん、簡単ということではないでしょう。
星の王子さまの教科書』(武蔵野美術大学出版局)の「はじめに」から引用します。

星の王子さま』は、フランスでは9才から12才までの子どもに適した本として販売されておりますが、文章はけっして簡単ではなく、フランス語の書きことばの伝統に忠実にのっとった非常に美しい文章です。難易度からいいますと、初級から中級への橋渡し、これから本格的にフランス語の文章を読んで行こうと考えている学習者にちょうどいい素材だと思います。

そのため、大学などのフランス語講読入門のテキストとして、非常に多く使われているのです。
上述の『「星の王子さま」をフランス語で読む』の著者である加藤恭子氏(地域社会研究所理事)も、次のように言っています。

上智大学で、私は23年間フランス語を担当しました。その間、どれか一つのクラスのテキストには、必ずこの作品を選びました。

新潮文庫版『星の王子さま』の翻訳者・河野万里子氏は、上智大学1年の時、授業で本作を読んだそうです。
角川文庫版『星の王子さま』の翻訳を担当した管啓次郎氏(比較文学者・詩人)は大学生の時、フランス語の文法を学んで、すぐに本作を通読したとのこと。
また、『自分で訳す星の王子さま』(三修社)の注釈者・加藤晴久氏(東京大学恵泉女学園大学名誉教授)は、恵泉女学園大学公開講座で「『星の王子さま』をフランス語で読む」という講座を担当していたとありました。
僕が調べた範囲でも、大阪大谷大学福井大学武蔵大学、とよあけ市民大学「ひまわり」などで、『星の王子さま』を原文で読む授業が行なわれているようです。
サン・テグジュペリについて
それでは、『星の王子さま』の著者であるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(1900-44)とは、どのような人物だったのでしょうか。
『はじめて学ぶフランス文学史』(ミネルヴァ書房)から引用してみます。

●飛行士として作家として 1900年生まれのサン=テグジュペリは幼くして父を亡くしたが、母方の親族の下で比較的恵まれた幼年期を過ごした。海軍兵学校の入学には失敗するが兵役で空軍を志望し、その後事情が許さなかった期間を除き、44年のパリ解放直前に偵察飛行に出かけ行方不明になるまで、空軍や民間航空輸送のパイロットを続けた。29年にダカールカサブランカ路線の郵便飛行の中継基地、キャップ・ジュビーの所長をしながら執筆した『南方郵便機』Courrier Sudを出版。31年に、ヨーロッパ・アメリカ航空郵便路線で働く男たちを描いた『夜間飛行』Vol de nuitを出版し、ジッドが序文を寄せたこの本で、作家として広く認められることとなった。
●「人間」の尊厳を求めて 36年には、未完に終わることになる『城砦』Citadelleの原稿が書き始められた。39年に出版された『人間の大地』Terre des Hommesは物語形式をとらず、自身の体験とそれに基づく省察が非連続的に綴られている。その後第二次世界大戦のため召集され偵察部隊に所属、動員解除後アメリカに渡り、42年に『戦う操縦士』Pilote de guerreの英語版とフランス語版とを同時に出版した。サン=テグジュペリは終始その著作を通して、孤独を強いられた、あるいは仲間と連帯した「人間」の勇気、精神力、社会や自然をめぐる思索の深化に価値を見出し、自己犠牲もいとわぬその営みの中に、生きることの意味を問うた。ただ、飛行士という時代の草分け的職業を通じて行われた彼の思索には、体験に根ざすゆえの真摯さが感じられる一方で、彼の言う「人間」が、与えられた使命の遂行に建設的な意義を認める欧米人の成年男子と無反省に同一視される傾向があることも――リビア砂漠での遭難の体験などがその傾向を修正する機会となったにせよ――否定できない。
●『星の王子さま 著者の挿し絵入りのこの童話的書物は、原題を『小さな王子』Le Petit Princeといい、43年、彼が自らアルジェリアに渡って偵察部隊に復帰する直前にアメリカで英語版とフランス語版とを同時出版した、生前最後の著書である。私たちの社会を支配する価値観が奇異なものに映る王子のまなざしには、作者の悲観的な思いが感じられる。『人間の大地』の中の、サン=テグジュペリ自身の遭難の思い出と比べながら読んでみると、この物語をまた違った角度から味わえるだろう。

テキストについて
現在、日本で流通している『星の王子さま』の原文のテキストとしてポピュラーなものには、『対訳 フランス語で読もう「星の王子さま」』(第三書房)と、上述の『自分で訳す星の王子さま』(三修社)があります。
簡単に言うと、第三書房のものは文字通り、対訳本で、三修社のものは注釈書です。
フランス語に限らず、外国語で文学作品を読む時には、最初は対訳本がいいと思います。
これは、『伊藤和夫の英語学習法』(駿台文庫)の中で、伊藤和夫先生も薦めていらっしゃいました。
星の王子さま』には多数の翻訳が出版されていますが、何故対訳本がいいかと言うと、通常の翻訳は、あくまで日本語として読まれることを想定しており、必ずしも原文に忠実に訳されているとは限らないからです。
これに対し、対訳本では、『対訳 フランス語で読もう「星の王子さま」』の「はじめに」にもあるように、「逐語訳に近い訳文」が載っているからです。
未だフランス語の文法構造もあやふやな段階では、逐語訳でなければ、辞書を引いても、到底意味は取れないと思います。
ただし、対訳本では、訳文を載せるスペースが大きいため、注釈などは最低限になっていることが多いです。
そこで、メインとして使うのは対訳本にし、それで分からない箇所があれば、注釈書を参照するというのが良いでしょう。
以下に、この2冊のテキストを簡単に紹介します。
第三書房版

対訳 フランス語で読もう「星の王子さま」

対訳 フランス語で読もう「星の王子さま」

初版は2006年。
訳注は小島俊明氏(詩人、フランス文学者)。
左ページに原文、右ページに訳文を配した対訳本です。
上述のように、訳文は逐語訳に近いものとなっています。
さらに、70ページ近い「注解」、巻末付録として「訳し方の手引き」、動詞活用形や重要ポイントをまとめた「フランス語のおさらい」を収録。
「フランス語のおさらい」の例文は全て本作から引用されています。
「注解」は三段階に分かれており、第一部は「詳しくていねいに」、第二部は「既出項目の再確認」、第三部は「中・上級レベルへ向けて」。
また、同じ版元から、名優ベルナール・ジロドーの朗読による2枚組みのCD『朗読CD フランス語で聴こう「星の王子さま」』も出ているので、セットで使うと良いかも知れません。
三修社
自分で訳す星の王子さま

自分で訳す星の王子さま

初版は2006年。
注釈は加藤晴久氏(東京大学恵泉女学園大学名誉教授)。
左ページに原文、右ページに文法的、意味論的、語用論的、文体論的な注釈を配しています。
「まえがき」によると、原文の語句、表現の意味を理解する助けになるように辞書の説明、用例を挙げることを原則としたそうです。
ただし、仏和辞典を参照すればすぐに理解できるような語句は取り上げず、作品の中での用法が辞書のどこに載っているのか、すぐに分からないような語句、表現に的を絞っているとのこと。
巻末に、「«Le Petit Prince»における動詞の時制」を収録。
辞書・文法書など
上述の『「星の王子さま」をフランス語で読む』の「はじめに」には、次のようにあります。

ちょっと脇道へそれましたが、原書の他に、揃えていただきたいものが三つあります。仏和辞典、フランス語文法についての参考書、それに、フランス語動詞活用表です。

この本は、初版が2000年とやや古く(残念ながら絶版)、具体的な書名が挙げられていても、現在では入手出来ない物もあるのですが、アウトラインは正しいと思います。
まず、文学作品を原文で読むに際して、辞書は最大の伴侶です。
上述の『自分で訳す星の王子さま』の「まえがき」には、「この作品は学習用の仏和辞典があれば十分に読みこなせる作品です」とあり、具体的な書名として、『プチ・ロワイヤル仏和辞典』(旺文社)、『クラウン仏和辞典』(三省堂)、『プログレッシブ仏和辞典』(小学館)、『ディコ仏和辞典』(白水社)が挙げられています。
これに、『ジュネス仏和辞典』(大修館書店)を加えて、現在流通している五大学習用仏和辞典と言ってもいいでしょう。
ドイツ語で言えば、『クラウン独和辞典』(三省堂)、『アクセス独和辞典』(三修社)、『アポロン独和辞典』(同学社)などに当たります。
これらのうち、僕は、以前書いたように、一番伝統があるという理由で、『クラウン』を選びました。
『クラウン仏和辞典』(三省堂

クラウン仏和辞典 第7版

クラウン仏和辞典 第7版

初版は2015年(第7版)。
ただし、改訂前の初版が発行されたのは1978年で、日本で最初の学習仏和辞典です。
実際に使ってみると、例えば、カナ発音表記が重要語にしかないとか、該当英単語が一部にしか記されていないとか、不便な点はあります。
また、ドイツ語と比べて、フランス語は動詞の活用が複雑なので、結局、巻末の活用表や文法書を参考しなければなりません。
まあ、これは辞書のせいではないのでしょうが。
僕は初学者なので、メインとして使うのは学習用の辞書しかあり得ませんが、文学作品を原文で読んでいると、3万~5万語程度の学習辞典には載っていない単語に、当然出くわします。
そういう場合には、もっと大きい辞書に当たるしかありません。
中型の仏和辞典として、現在流通している主なものは、次の2冊です。
『ロワイヤル仏和中辞典』(旺文社)
ロワイヤル仏和中辞典

ロワイヤル仏和中辞典

初版発行は1985年。
第2版発行は2005年。
収録語彙数は約9万で、類書中最多です。
「はしがき」には、「古い語と語義を残したまま、過去20年来、フランス語内で増殖した新語と新語義とを積極的に採用した」とあります。
つまり、古典を読むのにも、現在の実用的なフランス語を調べるのにも、どちらにも役に立つということでしょう。
ドイツ語で言えば、『新現代独和辞典』(三修社)や『郁文堂 独和辞典』に当たります。
『新スタンダード仏和辞典』(大修館書店)
新スタンダード仏和辞典

新スタンダード仏和辞典

初版は1987年。
ただし、前身の『スタンダード佛和辭典』が刊行されたのは1957年。
「序」には、「ある時期以後の多少とも専門的なフランス語学習者で、『スタンダード佛和辭典』の恩恵に与らなかった者は皆無であろう」と、その伝統に対する自信の程が記されています。
収録語数は6万5000。
アマゾンのレビューを見ると、古典を読むには必須の辞書とあります。
昨今の出版事情や第二外国語を取り巻く状況から、なかなか改訂版が出せないのでしょうが、古典を読むには関係ありません。
ドイツ語で言えば、サイズは上述の『新現代独和辞典』や『郁文堂独和辞典』に相当するのでしょうが、伝統という点から鑑みると、むしろ『木村・相良独和辞典』(博友社)に匹敵するでしょう。
小学館ロベール仏和大辞典』
小学館ロベール仏和大辞典

小学館ロベール仏和大辞典

初版は1988年。
収録語数は12万。
現在、新刊で入手出来る唯一の仏和大辞典。
ただし、高価なので、僕はアマゾンの中古で購入しました。
何故か東京理科大学図書館の除籍図書が届きましたが、理科大では、もうフランス語は教えないのでしょうか。
「はじめに」には、「あらゆる分野の利用者の要望にこたえるべく」とあります。
要するに、「この辞書に載っていなかったら、諦めろ」ということです。
ドイツ語で言えば、『独和大辞典』(小学館)に当たります。
ところで、この記事を書いていて判ったことは、仏和辞典よりも独和辞典の方が刊行点数が多いということです。
昨今では、フランス語よりもドイツ語の方が人気がありそうな気がしますが。
フランス語はファッションで手を出す人が多いから、辞書など使わないということでしょうか。
と言っても、独和辞典も仏和辞典も、刊行点数は目糞鼻糞の類いで、英和辞典とは比べるべくもありません。
日本中を覆う、この英語狂騒曲は、何とかならないものでしょうか。
英語だけが外国語でないことを知るために、是非ともドイツ語やフランス語などの第二外国語を学ぶべきだと思うのですが。
今や、第二外国語が必修の大学は二割を切っているようです。
さて、続いては文法書です。
僕は、初級文法を学習するのに、次の本を使いました。
『新・リュミエール』(駿河台出版社
増補改訂版 新・リュミエール―フランス文法参考書

増補改訂版 新・リュミエール―フランス文法参考書

初版は2013年(増補改訂版)。
著者は、森本英夫氏(大阪市立大学甲南女子大学名誉教授)、三野博司氏(奈良女子大学名誉教授、放送大学特任教授)。
この参考書は、改訂される前の初版は1992年とのことで、伝統のある本です。
僕が大学で受けたフランス語のガイダンスでも、先生がこの本を薦めていました。
実際に使ってみると、少し章分けが細か過ぎたり、練習問題に、未だ習っていない文法事項が出て来たりもしますが。
それでも、初級文法の必要事項を網羅した、良い参考書だと思います。
語学学習の基本は、こうした定番的な文法書(英語で言えば、『フォレスト』のような)を、まずは一通り終えることだと思います。
僕は、昨年(2018年)の12月から今年(2019年)の2月中旬まで、2ヵ月強の間、毎日、仕事が終わった後に、会社の近くの喫茶店に寄って、本書に取り組みました。
リュミエール』は、初級文法を基礎から順に解説していますが、文学作品の原文を読むに当たって、もっとレファレンス向けの参考書はないかなと思い立ち、探してみたところ、次の本を発見したのです。
『ケータイ「万能」フランス語文法』(駿河台出版社
ケータイ「万能」フランス語文法

ケータイ「万能」フランス語文法

初版は2000年。
著者は久松健一氏(明治大学准教授)。
本書の「はじめに」には、次のようにあります。

《フランス語の必須文法を、いつでも、どこでも利用できるように見開きで簡明にマトメる。ただし、真摯な学習者のやる気をそぐようないたずらな簡略化はせず、少々難解な事項でも積極的にとりあげる。入門レベルから中級レベルまでをこぼれなく展望でき、今後の学習の進行をも見通せる全方位に気を配った1冊を書き下ろす。》

本書が意図したのは、こうしたいささか気負った目標を具体化することでした。

僕は当初、ドイツ語の『必携ドイツ文法総まとめ』(白水社)のフランス語版みたいな本かなと思いました。
『必携ドイツ文法総まとめ』は、大変便利な参考書で、ドイツ文学を原文で読む時に、分からない事柄を引けば、ほとんどが解決出来ます。
コンパクトなサイズですが、細かい活字がギッシリです。
初級でも中級でも、必要な文法事項が網羅されています。
ところが、『ケータイ「万能」フランス語文法』は、もう少しカジュアルな参考書のような印象を受けました。
実際に使ってみた訳ではないので、何とも言えませんが。
最後に、フランス語動詞活用表です。
フランス語は、規則的なドイツ語と比べて、動詞の活用が強烈なので、初級文法の中盤辺りから、既に辞書の巻末の活用表を見ながらでないと、にっちもさっちも行きません。
しかしながら、この活用表が、昨今ではよほど需要がないのか、新刊書店にはまず置かれていないのです(新宿の紀伊国屋にもありませんでした)。
例によって、アマゾンで調べてみると、仏検対策本などを除けば、現在流通しているのは、次のものしかありませんでした。
『フランス語動詞活用ハンドブック』(第三書房)

フランス語動詞活用ハンドブック

フランス語動詞活用ハンドブック

初版は1986年。
著者は窪川英水氏(東京都立大学名誉教授)。
例文として、『星の王子さま』も載っています。
活用表は、色刷りで、ゆったりと大きく組んであるので、見易いです。
ただ、どうなんでしょう。
実際に仏文に当たりながら使ってみた訳ではないので、何とも言えませんが、この内容なら、仏和辞典の巻末に載っている活用表で事足りるような気がします。
いや、それどころか、見出し語とリンクしている分、辞書の方が使い易いのではないでしょうか。
この辺が、動詞活用表の出版が衰退した要因かも知れません。
今後の予定
と言う訳で、フランス語の力を維持し、少しでも伸ばすために、僕も本作を読んでみたいと思います。
最近、手を広げ過ぎなので、どれくらい時間が掛かるか分かりませんが、挫折しないように頑張るつもりです。
次回以降は、僕の単語ノートをこのブログで公開します。
【参考文献】
コデックス―フランス語講読入門中央大学仏文学研究室・編著(駿河台出版社
http://www.tmd.ac.jp/artsci/10education/10sentaku/10p228.pdf
「星の王子さま」をフランス語で読む (ちくま学芸文庫)』加藤恭子・著(ちくま学芸文庫
星の王子さま (新潮文庫)』河野万里子・訳(新潮文庫
星の王子さま (角川文庫)管啓次郎・訳(角川文庫)
https://www.osaka-ohtani.ac.jp/student/classwork/archive_shirabasu/H18/src/pdf/1112.pdf
https://www.u-fukui.ac.jp/wp/wp-content/uploads/17.K0149J.pdf
フランス語で文学作品を読んでみる « 人文学部ゼミブログ
http://www.toyoake-himawari.sakura.ne.jp/27_kouza/27_kouza_kouki/65hosinooojisama.pdf
はじめて学ぶフランス文学史 (シリーズ・はじめて学ぶ文学史)』横山安由美、朝比奈美知子・編著(ミネルヴァ書房
伊藤和夫の英語学習法―大学入試 (駿台レクチャーシリーズ)伊藤和夫・著(駿台文庫)
朗読CD フランス語で聴こう「星の王子さま」ベルナール・ジロドー・朗読、小島俊明・訳(第三書房)
クラウン独和辞典 第5版 CD付き』(三省堂
アクセス独和辞典 第3版』(三修社
アポロン独和辞典』(同学社)
新現代独和辞典』(三修社
郁文堂独和辞典』(郁文堂)
木村・相良 独和辞典 (新訂)』(博友社)
独和大辞典コンパクト版 〔第2版〕』(小学館
必携ドイツ文法総まとめ』中島悠爾、平尾浩三、朝倉巧・著(白水社

日本近代文学を文庫で読む(第2回)『小説神髄』

「日本近代文学を文庫で読む」などと偉そうなタイトルで始めてしまった連載(?)ですが、最初は坪内逍遥の『小説神髄』を取り上げたいと思います。
前回、「読んで行く作品は、『詳説日本史』(山川出版社)に載っているものを基準にします」と書きました。
『詳説日本史』の近代の「おもな文学作品」には、『小説神髄』の上に、仮名垣魯文の『安愚楽鍋』、矢野龍渓の『経国美談』、東海散士の『佳人之奇遇』、末広鉄腸の『雪中梅』が挙げられています。
ただ、これらの作品は、文庫では、いずれも品切れか絶版になっていて、新刊書店で入手することは出来ません。
僕は、『安愚楽鍋』と『雪中梅』は読みましたが、これらは、数年前に岩波文庫の「リクエスト復刊」で復刊された時に、たまたま書店で見掛けて、買っておいたものです。
これらの作品は、戯作文学や政治小説と呼ばれています。
戯作文学・政治小説について、『詳説日本史』には、次のようにあります。

文学では、江戸時代以来の大衆文芸である戯作文学が、明治初期も引き続き人気を博した。また、自由民権論・国権論などの宣伝を目的に、政治運動家たちの手で政治小説が書かれた。

そして、注には、「戯作文学では文明開化の世相を描いた仮名垣魯文の『安愚楽鍋』などが、政治小説では立憲改進党系の政治家でもあった矢野龍渓の『経国美談』や東海散士の『佳人之奇遇』などがある」とあります。
これらについて、僕が大学入学後に再受験をしようと思って読んでいた代ゼミの田村秀行先生の『田村の[本音で迫る文学史]』(大和書房)では、次のようにスッパリと切り捨てているのです。

この文学史は、明治二十年前後から始める。
これよりも前に、近代文学史に載せるべきことがないわけではないが、特に重要なことではないから、その説明は第II部に回すことにする。

この参考書は、大学受験に特化しているのと、田村先生の個人的な主張が入っているので、国文学を真面目に研究しようとする学生が真に受けるのは危険な部分もありますが、明治二十年前後、つまり、坪内逍遥が『小説神髄』を発表した頃(明治18年)より前の文学(=戯作文学や政治小説)が、日本近代文学史にとって「特に重要なことではない」というのは、正しいでしょう。
同書には、次のようにあります。

明治十八年(一応このように書くが、無理に覚えなくてよい)、坪内逍遥が『小説神髄』を発表し、近代文学の目指すべき目的を示す。ここに「日本近代文学」は始まる。

要するに、『小説神髄』が日本近代文学のスタートだというのですね。
念のため、『詳説日本史』の記述も見ておきましょう。

戯作文学の勧善懲悪主義や政治小説の政治至上主義に対し、坪内逍遥は1885(明治18)年に評論『小説神髄』を発表して、西洋の文芸理論をもとに、人間の内面や世相を客観的・写実的に描くことを提唱した(写実主義)。

写実主義については、やはり『本音で迫る文学史』の説明が分かり易いので、次に引いておきます。

写実主義」とは、人間の心理や生活の有様などを、あるがままに描写しようという考え方である。こんなことは当たり前のようであるが、文芸では、古来、非現実的な夢の世界が多く描かれ、登場人物も現実には存在しないような人間や特殊な階級の者達が中心であり、普通の市民が描かれることは少なかった。従って、こうした「写実」という考え方は、近代になって生まれた特殊なものなのである。
絵画においても、人物や風景をそのままに描くという考え方は新しく、たとえば、中世では宗教的なテーマを表したり、王の権威を表すために絵を描いたのであって、世界のありのままの姿を写す“スケッチ”というものは、近代の産物なのである。文芸における「写実主義」は、この“スケッチ”という技法を取り入れたものである。これを、フランス語で「レアリスム」、英語で「リアリズム」という。

坪内逍遥は、僕が在籍していた大学の文学部の創設者です。
そのため、坪内博士記念演劇博物館という施設もありました。
シェイクスピア時代の「フォーチュン座」を模して作られた建物で、僕も学生時代に見学したことがあります。
その時は、「ゴジラ映画の歴史」みたいな展示をしていたような気がするのですが。
坪内逍遥については、『精選 日本文学史 改訂版』(明治書院)に、ごく簡単に略歴がまとめられているので、下に引きます。

坪内逍遥 安政六(一八五九)年―昭和十(一九三五)年。小説家・評論家・劇作家・英文学者・翻訳家。岐阜県生まれ。本名は勇蔵、後、雄蔵。東京専門学校(早大)の人となり、『早稲田文学』を創刊。戯曲『桐一葉』、シェイクスピア全訳などもある。

さて、『小説神髄』ですが、全編文語体で書かれているので、内容がスッと頭に入って来ません。
読むだけでも、通常の口語体の倍以上の時間が掛かります。
僕は時間をおいて、二度、読みました。
二度目の方が読み易かったような気はしますが、この難解な評論の内容を説明出来るかというと、難しいところです。
逍遥がこれを書いたのは23歳の時だとか。
恐るべき教養ですね。
という訳で、ロクに理解していない僕が下手なことを書くより、ちゃんとしたテキストに書かれていることを引用した方がいいと思うので、『はじめて学ぶ日本文学史』(ミネルヴァ書房)から引きます。

合本された上・下二巻本で言うと、上巻が原理論、下巻が作法論ということになり、原理論としては、小説は美術(芸術)であり、文学のなかで最も進んだ形態のものであるということ、小説は小説として固有の存在理由を内包した独立した芸術であるということ、そして小説は「人情」すなわち人間の内面を写して人生・人間社会を彫り上げるものであるということ、そうしたこれまでに見られなかった文学観を展開していた。
  小説の主脳は人情なり、世態風俗これに次ぐ。
と小説の目的を明らかにし、その描き方としては、旧来の「勧善懲悪」という道徳観から脱却し、合理的な心理学的認識に拠る「模写」、つまり写実に従うことがその主張の中心だった。下巻の文体論、脚色論、叙事法等にわたっての体系的な小説理論は、大きく時代を画するものとして、日本近代文学の黎明を告げ、逍遥の不滅の名を史上にとどめることになった。

逍遥が批判した「勧善懲悪」について、『本音で迫る文学史』は、もう少し分かり易く解説しているので、次に引きます。

一般に、新しい主義主張というのは、その前に流行っていた風潮に対する批判という面を持っているが、『小説神髄』が批判したのは、江戸時代の読み物の特徴であった「勧善懲悪」の考え方であった。「勧善懲悪」というのは、漢文の書き下し文にすれば「善を勧めて悪を懲らす」ということで、結局儒教の道徳を広めるものに過ぎないわけである。そして、そういう読み物では、人間が形式的に扱われ、善玉と悪玉、強者と弱者などがはっきりと区別されている。それに対して、『小説神髄』は、強者でも内面では弱気になることもあり、善玉でも悪いことを考えることもある、というように、人間心理の当然の有様をあるがままに描くのが文学の正しいあり方だと主張したわけである。
このときに、具体的に取り上げられて批判の対象になったのは、滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』である。
ここで気をつけることは、日本近代文学の端緒となった『小説神髄』は、ジャンルで言えば評論であって、小説ではなかったことである。坪内逍遥は、その理論に基づいて『当世書生気質』という小説を書いたが、これは失敗作で、「写実主義」の理念を十分に表したようなものではなかった。

ちなみに、僕は『当世書生気質』(岩波文庫)も読みましたが、当時の学生の風俗が克明に描かれていて、なかなか面白かったです。
まあ、これ位で、安直ですが、岩波文庫の解説に書かれている程度のことは要約出来たと思うので、最後に、同文庫の解説の中で、当時の研究環境がよく分かる、逍遥自身の興味深い回想があったので、次に引いておきます(一部に変換不能な漢字あり)。

東大の図書館も其頃のは甚だ貧弱で、シェークスピヤの註釈は、ロルフとやつと出はじめてゐたクラレンドン版ぐらゐのもの、小説もヂューマ、スコット、リットン、ヂッケンスなぞが主位であり、単行本の文学論や美術論は英書では皆無、修辞書もベインなぞが第一であつたらう。さういふ有様であつたから、私は性格解剖法の参考としては、主として近着の外国雑誌の文学評論の部を、或は英文学史類を手当たり放題に抜き読みして、解つた限りを抄訳したり何かした。後に『小説神髄』として○(でッ)ち上げた材料の大概は此間の○○(くんせき)で、それをともかく組織立てはしたものゝ出所が全く別々なのだから、後に二葉亭に其根○(てい)を叩かれた時に、「何も無い」と答へないわけに行かなかつたほどに、それは薄弱な基礎の上に築かれた小説論であつた。

現在とは比較になりませんね。
こんな劣悪な研究環境の中で、近代文学の扉を開いた訳ですから、逍遥はやはりスゴイ人だったのでしょう。
岩波文庫
小説神髄』の、今、新刊書店で入手可能な文庫は、次の岩波版しかありません。

小説神髄 (岩波文庫)

小説神髄 (岩波文庫)

初版は、何と1936年!
現在、流通しているのは、2010年発行の改版です。
新しいので、オフセット印刷で、活字は読み易くなっています。
小説神髄』(上巻・下巻)の他に、初期の評論5篇を収録。
本編の後に、40ページ弱に及ぶ「注」、それから、「初版との主な異同」「解説」があります。
注・解説は宗像和重氏。
到底、読み易いとは言えない文語体の古典評論ですが、日本近代文学の黎明期の作品として、敬意を払って読みましょう。
【参考文献】
詳説日本史B 改訂版 [日B309] 文部科学省検定済教科書 【81山川/日B309】笹山晴生佐藤信五味文彦・著(山川出版社
田村の〈本音で迫る文学史〉 (受験面白参考書)』田村秀行・著(大和書房)
精選日本文学史』(明治書院
はじめて学ぶ日本文学史 (シリーズ・日本の文学史)』榎本隆司・編著(ミネルヴァ書房
当世書生気質 (岩波文庫)坪内逍遥・作(岩波文庫

『英国式庭園殺人事件』

この週末は、ブルーレイで『英国式庭園殺人事件』を見た。

英国式庭園殺人事件 Blu-ray

英国式庭園殺人事件 Blu-ray

1982年のイギリス映画。
監督はピーター・グリーナウェイ
僕が学生の頃、「グリーナウェイ・ブーム」があったような気がする。
何か、「彼の作品を知らないヤツはモグリだ」と言わんばかりの。
僕は大学1年の時、少しだけ顔を出していた映画研究会の先輩に「ピーター・グリーナウェイって有名なんですか?」と何の気なしに尋ねたら、「有名だよ」と、「知らないの?」というようなトーンで返された記憶がある。
当時、多分、渋谷のシネマライズ辺りではないかと思うのだが、よくグリーナウェイの特集上映があった。
僕は、その頃、ミニシアター系の映画ばかり、やたらとありがたがって観ていたので、グリーナウェイ作品の予告編もさんざん観たのだが、どうもピンと来なかった。
「ヘンな映画だな」という印象しかない。
後に、『プロスペローの本』だけは、シェイクスピアの『テンペスト』を題材にしているということで、少しだけ興味を惹かれたことはあったが(未見)。
という訳で、これまで1本もグリーナウェイの作品を観たことはなかった。
今回、初めて作品を見た訳だが、やはり、最初の印象通り、変わった映画であった。
主演はアンソニー・ヒギンズ
グリーナウェイの長編第1作である。
カラー、ワイド。
画質は、ブルーレイにしては甘い。
カウンター・テナーのテーマ曲。
ろうそくの灯りの下でボソボソと話す男。
何だか、『バリー・リンドン』のようだ。
舞台は名誉革命後の1694年のイングランド
高校時代、世界史の偏差値が29しかなかった僕には、時代背景がよく分からないが。
ここは貴族の邸宅。
持ち主のハーバート氏は不在だが、奥さんよりも庭(すもも園)作りが好き。
夫人のヴァージニア(ジャネット・スーズマン)も、「アムステルダムから来た客人がウチの屋敷を見てビックリした」などと自慢する。
貴族というのは、嫌味な人種だ。
そして、延々と同じような階級の人達の会話が繰り広げられるが、噂話ばかりで、実に下らん。
まあ、我が家はマンションだから庭なんかないが。
悪かったな!
で、どうもハーバート家では貴族ばかり13人ほど集まって、パーティーの真っ最中らしい。
全員、大地主。
話題は庭の話し(!)
で、主人のハーバート氏は、サウサンプトンに出掛けていて、少なくとも12日間は館を留守にするとか。
ここに呼ばれた画家のネヴィル(アンソニー・ヒギンズ)は、その間に、屋敷の絵を12枚完成させ、報酬は1枚8ポンドに寝食の保証、更に、夫人のセックスの相手をするという契約を結ぶ。
翌日から、ネヴィルの仕事が始まる。
四角い木枠の中を糸で16のマス目に分割した器具を使って、鉛筆で精密に描く。
2時間ごとに場所を移動。
羊の群れがいれば、追っ払う。
ヒマを持て余した貴族が立っていれば、移動を願い出る。
本作のセリフは本当に無内容。
貴族達の会話はつまらんし、好きな場所にいて、絵のジャマになる。
イギリスなので、晴れの日ばかりではない。
霧のけぶる日もある。
そして、合間に夫人の相手をする。
夫人は気まぐれで、「契約破棄を。あなたとはもう会いません」などと言い出す。
ネヴィルは、「何よりの喜びはあなたと過ごす束の間。それを失くせと?」などとのたまって、契約をつなぎ止める。
たらし者だな。
翌日、昨日の続きを描こうとしたら、洗濯物の位置が昨日と違う。
写真のなかった時代は、こうやって記録を残したんだなということが分かる。
大変そうだ。
そして、毎日、午後4時に夫人と密会。
時折、屋敷の随所に、彫刻のフリをした謎の全裸男が登場する。
もちろん、ペニスまで無修正である。
昨今の傾向として、芸術作品だから、おいそれと修正出来ないのだろう。
しかし、芸術作品かどうかは誰が決めるのか?
国家権力である。
その証拠に、日本製のアダルト・ビデオは局部を修正しなければ違法である。
アダルト・ビデオは芸術作品ではないのか?
もし、「グリーナウェイは芸術作品だが、アダルト・ビデオは芸術作品ではない」などとしたり顔で答える輩がいたら、そいつはクソ野郎だ!
芸術が何かなんて、全く分かっていない。
ただ、「芸術っぽいモノ」をありがたがっているだけの俗物である。
まあ、いいや。
話しを元に戻そう。
その、局部を露出した彫刻のフリをする男を、子供が眺めていたりする。
今の日本なら、「児童虐待だ!」と、一発で問題になるシーンだ。
で、この男は、屋敷の到る所に彫刻があるのをいいことに、色んな彫刻のフリをして、うろついている。
時には、本当に放尿して、小便小僧のフリもする。
シュールな映像である。
で、ヴァージニア夫人の娘サラ(アン・ルイーズ・ランバート)は、絵に描かれているシャツやマントや裂かれた上着などから、父であるハーバート氏の死体があるのではないかと推理する。
犯罪の香りがする。
父は、外出しているのではなく、失踪したのだと。
で、サラはネヴィルに「母と結んだ契約と同じ契約を私とも結ぶのよ。私の書斎へ」と告げる。
サラの要求に応えて快楽を共にする。
後の方で、サラの夫タルマン(ヒュー・フレイザー)が、実はインポであることが判るのだが。
当時は、現代と違って、性的なことはオープンでなかっただろうし、貴族なら、尚のこと、様々な制約があっただろうから、性欲の処理は大変だっただろう。
だから、こういう密通は、色んなところで行われていたに違いない。
それにしても、ネヴィルはタフだなあ。
毎日、二人のお相手をするなんて。
で、サラから耳打ちされたネヴィルは、ヴァージニア夫人に、ハーバート氏の所有している絵から謎解きをしてみせたりする。
そんな折、サウサンプトンに向かう道に、ハーバート氏の馬が残されていたという情報が入る。
タルマン氏は、サラに「ネヴィル氏と話し過ぎるぞ」と注意する。
いよいよ12枚の絵が完成。
ネヴィルは、ハーバート氏が館に戻るのを待って、ここを後にしようとするが。
完成した絵の中には、以前、サラが示唆したように、意外な物が隠されていた。
そして、屋敷の水路から、ハーバート氏の死体が発見される。
さあ、これからどうなる?
登場する貴族達の話す英語が、ものすごく格好つけのイギリス英語である。
まあ、階級によってアクセントが違うのがイギリスだから、貴族には、これ見よがしの自負があるのだろう。
こんなところに、平民の画家が入り込むのは、さぞかし大変なことだろう。
「客の分際で」なんていうセリフをぶつけられるのだから。
普通は、客人に対して、「分際」なんて言葉は使わんだろう。
そうして、最後は予想外の結末を迎える。
これはちょっと驚いた。
まあ、本作は全編を通して、貴族の欺瞞性を皮肉っていると思うのだが。
僕は貴族制度には反対だ。
でも、大したストーリーではない。
どうだろう。
面白い映画でもないし、スゴイ映画でもない。
ただ、変わっている。
これが好きな人が、一定数いるということか。

The Draughtsman's Contract - trailer

『嵐が丘』を原書で読む(第23回)

(テキスト24ページ、1行目〜)

I was condemned to hear all out — finally, he reached the ‘First of the Seventy-First.’

condemn(他)(人に)刑を宣言する(=sentence)(通例受見)(+目+to do)
hear out(人の)話を最後まで聞く
all(代)(単数扱い)すべて(のもの)、万事
reach(他)(物やある状態・結果・結論などに)達する、届く
first(代)(~する)最初の人(もの)(of)
of(前)(部分を表わして)~の中の
seventy(形)(基数の70)70の、70個の、70人の
first(名)(通例the ~)第1(番目)

At that crisis, a sudden inspiration descended on me; I was moved to rise and denounce Jabes Branderham as the sinner of the sin that no Christian need pardon.

at(前)(時の一点を表わして)~に
that(形)(指示形容詞)(対話者同士がすでに知っていることもの・人・量をさして)あの(⇔this)
crisis(名)危機、決定的段階、重大局面
inspiration(名)霊感、インスピレーション
descend(自)(怒りなどが)(人などを)見舞う(=fall on)(0n)
on(前)(動作の対象を表わして)~に対して、~に当てて
move(他)(人を)動かして(~)させる、(人に)(~する)気を起こさせる(=prompt)(+目+to do)
rise(自)(横になっていたり、座っていたりする状態から)立ち上がる
denounce(他)(~を)(公然と攻撃し)非難する、弾劾する(+目+as 補)
Jabes→Jabez ジェーベズ(男子名)
as(前)(動詞の目的補語を導いて)~と、~だと
sinner(名)(宗教・道徳上の)罪人(つみびと)、罪深い者
sin(名)(宗教・道徳上の)罪、罪業
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(~する(である))ところの/(他動詞・前置詞の目的語として)
Christian(名)キリスト教徒、キリスト(教)信者、クリスチャン
need(助動)~する必要がある
pardon(他)容赦する、許す、大目に見る

‘Sir,’ I exclaimed, ‘sitting here, within these four walls, at one stretch, I have endured and forgiven the four hundred and ninety heads of your discourse. Seventy times seven times have I plucked up my hat, and been about to depart — Seventy times seven times have you preposterously forced me to resume my seat. The four hundred and ninety first is too much. Fellow martyrs, have at him! Drag him down, and crush him to atoms, that the place which knows him may know him no more!’

sir(名)(意見などをする時または皮肉に)君!、おい!
exclaim(他)(~と)声高に言う(+引用)
within(前)~の内に、~の中に ・within the castle walls 城壁の内に
four(形)(基数の4)4の、4個の、4人の
at a stretch 一気に、休まずに
endure(他)(辛抱強くじっと)我慢する
forgive(他)(人・罪などを)許す、大目に見る
hundred(形)100の、100個の、100人の(通例a、anまたはone、fourなどの数詞がつく)
ninety(形)(基数の90)90の、90個の、90人の
head(名)(単数形で/通例the ~)(問題の)題目、項目(of)
your(代)あなた(たち)の、君(ら)の
discourse(名)談話、対話
time(名)(複数形で)倍
seven(形)(基数の7)7の、7個の、7人の
time(名)(頻度を表わし、通例副詞句をなして)回、度
preposterously<preposterous(形)途方もない、ばかげた、非常識な
force(他)(人に)強いて(~)させる、(人に)(~することを)余儀なくさせる(+目+to do)
resume(他)(~を)再び取る(占める)(=return to) ・Please resume your seats. どうぞまたご着席くささい。
my(代)私の
seat(名)席、座席
too(副)(形容詞・副詞の前に置いて)~すぎる
fellow(形)仲間の、同輩の、同業の
martyr(名)(信仰・主義などに)殉ずる人、殉難者、犠牲者
have at ~ ~をを攻撃する、~に取りかかる
drag down(~を)引きずり下ろす
crash(他)ガラガラ(ドシン、ガチャン)と壊す
to(前)(限度・程度・結果などを表わして)~に至るまでに、~するほどに
atom(名)原子
that(接)(副詞節を導いて)(目的を表わして)~するように、~せんがために(that節の中でmayを用いるのは形式ばった表現)
place(名)(通例単数形で)家、住まい
which(代)(関係代名詞)(制限的用法で)~する(した)(もの、事)(通例「もの」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(主格の場合)
may(助動)(目的・結果を表わす副詞節において)~するために、~できるように
no more それ以上(もはや、二度と)~しない

Thou art the Man!’ cried Jabes, after a solemn pause, leaning over his cushion.

thou(代)(2人称単数主格)なんじは、そなたは(これに伴う動詞はareがart、haveがhastとなるほかは-st、-estの語尾をつける)
art(動)(古)beの主語が2人称・単数thouの時の直説法現在形 ・thou art=you rae
cry(他)(~を)大声で叫ぶ、どなる(+引用)
solemn(形)厳粛な、まじめな、重々しい、荘重な、荘厳な、謹厳な
pause(名)絶え間、とぎれ、ポーズ
lean(自)もたれる、寄り(もたれ)かかる
over(前)(ものが)(おおいかぶさるように)~の上へ
his(代)彼の
cushion(名)クッション、座ぶとん

‘Seventy times seven times didst thou gapingly contort thy visage — seventy times seven did I take counsel with my soul — Lo, this is human weakness; this also may be absolved! The First of the Seventy First is come. Brethren, execute upon him the judgment written! Such honour have all His saints!’

didst(動)(古)doの2人称単数(thou)doestの過去形 ・thou didst=you did
gapingly(副)口をあんぐりあけて、あきれて
contort(他)(~を)ねじ曲げる、ゆがめる
thy(形)(古)なんじの、そなたの
visage(名)顔、顔だち、容貌(ようぼう)
do(助動)(肯定文を強調して)
take(他)(動作名詞を目的語として)(ある行動を)する ・take counsel 相談する
counsel(名)助言、忠告 ・take counsel 助言を受ける
with(前)(処置・関係の対象を導いて)~に対して、~について、~にとっては
soul(名)霊魂、魂
lo(間)(古)見よ!、そら!、それ!
this(代)(指示代名詞)(すぐ前に言われたことをさして)こう、こういう、このこと
human(形)人間の(⇔divine、nonhuman)
weakness(名)弱いこと、弱さ
may(助動)(祈願・願望・のろいを表わして)願わくは~ならんことを、~させたまえ
absolve(他)(人の)(罪を)許す
brethren(名)(複)信者仲間
execute(他)(法律・判決・遺言などを)実施する、執行する、施行する
judgment(名)判決
written(形)書いた、書面にした
honour(名)(英)=honor(名)名誉、栄誉
have(他)(部分・属性として)(特徴・性質・能力などを)もっている
all(形)(複数名詞の前に置いて)あらゆる、すべての、みな
saint(名)聖人、聖徒、聖者(生前高徳であったため死後聖人の列に加えられた人、または殉教者などを呼ぶ尊称)

With that concluding word, the whole assembly, exalting their pilgrim’s staves, rushed round me in a body, and I, having no weapon to raise in self-defence, commenced grappling with Joseph, my nearest and most ferocious assailant, for his.

concluding(形)終結の、結びの
word(名)(口で言う)言葉
assembly(名)(社交・宗教などの特別の目的の)集会、会合、会議
exalt(他)高く上げる
their(代)彼ら(彼女ら)の
pilgrim(名)巡礼者、霊場参拝者
stave(名)棒、さお
rush(自)(通例副詞句を伴って)(ある方向に)突進する、殺到する(=hurry)
round(前)~の周りに(を)、~の四方に
in a body 一団となって
weapon(名)武器、兵器、凶器
in(前)(目的を表わして)~の目的で ・in self-defense 自衛のために
commence(他)開始する、始める
grapple(自)取っ組み合いをする(=wrestle)(with)
with(前)(敵対を表わして)~を相手に、~と
Joseph(名)ジョーゼフ(男性名/愛称Jo、Joe)
near(形)(場所・時間など)近い、手近の(=close/⇔far)
most(副)(主に2音節以上の形容詞・副詞の最上級を作って)最も、いちばん
ferocious(形)獰猛(どうもう)な、凶暴な
assailant(名)攻撃者
for(前)(目的・意向を表わして)~のために、~を目的として
his(代)彼のもの

In the confluence of the multitude, several clubs crossed; blows, aimed at me, fell on other sconces.

in(前)(状態を表わして)~の状態に(で)
confluence(名)(二つ以上のものの)合流、集合(of)
multitude(名)(the ~)群衆、人込み
club(名)(武器用の頭が太くて重い)こん棒
cross(自)(二線が)交差する
blow(名)強打、殴打
aim(他)(通例受身で)(~を)ねらい(目標・目的)とする(at)
at(前)(方向・目標・目的を表わして)~を(ねらって)、~に(向かって) ・aim at ~をめざす
on(前)(動作の方向を表わして)~に向かって、~をめがけて
sconce(名)脳天(=head)

Presently the whole chapel resounded with rappings and counter rappings.

presently(副)まもなく、やがて
chapel(名)(キリスト教の)礼拝堂、チャペル(教会の礼拝堂のほか、学校・病院・大邸宅などに設けられたものを言う)
resound(自)(場所が)(音で)反響する(with)
with(前)(材料・中身を表わして)~で
rap(自)(ドア・机などを)トントン(コツコツ、ドンドン)たたく
counter(接頭)「敵対、報復/反、逆/対応、副」の意で、自由に動詞・名詞・形容詞・副詞につける

Every man’s hand was against his neighbour; and Branderham, unwilling to remain idle, poured forth his zeal in a shower of loud taps on the boards of the pulpit, which responded so smartly that, at last, to my unspeakable relief, they woke me.

man(名)(男女を問わず一般に)人、人間
against(前)~にぶつかって
neighbor(名)隣席の人
unwilling(形)(~するのを)好まなくて、(~し)たがらなくて(+to do)
remain(自)(~の)ままである、相変わらず(~)である(+補)
idle(形)(人が)怠惰な、なまけている
pour(他)(金・精力などを)(~に)つぎ込む
forth(副)(通例動詞に伴って)前へ、見える所へ
zeal(名)熱心、熱中
shower(名)(弾丸・手紙などの)雨、洪水(of)
loud(形)騒々しい
tap(名)トントン打つこと、コツコツたたく音(on)
board(名)板(boardは専門的には厚さ2インチ半以下で幅が6-12インチの板)
pulpit(名)説教壇
which(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)(主格・目的格の場合)そしてそれは(を)
respond(自)(刺激などに)反応する
so(副)(程度・結果を表わして)(so ~ that ~で)(順送りに訳して)非常に~なので~
smartly(副)すばやく
that(接)(副詞節を導いて)(so ~ thatの形で程度・結果を表わして)(非常に)~なので、~(する)ほど
at last 最後に、とうとう(=finally)
to(前)(結果・効果を表わして)(通例to a person'sに感情を表わす名詞を伴って)~したことには、~にも
unspeakable(形)言い表わせない、言語に絶する
relief(名)(またa ~)ほっとすること、安心、安堵(あんど)
wake(他)(人を)(眠りなどから)目覚めさせる、起こす

And what was it that had suggested the tremendous tumult, what had played Jabes' part in the row?

that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(~する(である))ところの/(主語として)
suggest(他)(~を)暗示する、示唆する
tremendous(形)(大きさ・量・程度など)ものすごい、巨大な、とても大変な
tumult(名)騒動、暴動
play one's part 本分を尽くす、役目を果たす
row(名)(単数形で)騒々しさ、騒音(=din)

Merely, the branch of a fir-tree that touched my lattice, as the blast wailed by, and rattled its dry cones against the panes!

merely(副)単に(~にすぎない)
branch(名)(木の)枝
fir(名)モミ(クリスマスツリーとして用いる)
touch(他)(ものが)(ものと)接触する(している)
lattice(名)格子(こうし)
as(接)(原因・理由を表わして)~だから、~ゆえに
blast(名)一陣の風、突風
wail(自)(風が)むせぶ
by(副)(位置を表わして)そばに、かたわらに、付近に
rattle(他)(~を)ガタガタ(ガラガラ)鳴らす、ガタガタと動かす
its(代)それの、あれの、その
cone(名)球果、まつかさ
pane(名)窓ガラス(の1枚)

I listened doubtingly an instant; detected the disturber, then turned and dozed, and dreamt again: if possible, still more disagreeably than before.

listen(自)(予期して)(~に)聞き耳を立てる
doubtingly(副)疑わしそうに、不安そうに
instant(名)瞬間、瞬時(=moment)
detect(他)(器具などを用いて)(隠れているもの・病気などを)見つける、発見する
disturber<disturb(自)じゃまをする
then(副)それから、その後で
turn(自)ころがる、寝返りを打つ
doze(自)ちょっと眠る、居眠り(うたた寝)する、まどろむ(=nap)
dreamt(動)dreamの過去形・過去分詞
dream(自)夢を見る
if possible もしできるなら
still(副)(比較級を強めて)なお(いっそう)、もっと、なおさら(=even)
more(副)(主に2音節以上の形容詞・副詞の比較級をつくって)(~より)もっと
disagreeably(副)<disagreeable(形)不愉快な、いやな、性に合わない(=unpleasant)
before(副)(時を表わして)以前に、かつて、すでに

This time, I remembered I was lying in the oak closet, and I heard distinctly the gusty wind, and the driving of the snow; I heard, also, the fir-bough repeat its teasing sound, and ascribed it to the right cause: but, it annoyed me so much, that I resolved to silence it, if possible; and, I thought, I rose and endeavoured to unhasp the casement.

this(形)(指示形容詞)(たった)今の、現在の、今~、当~(しばしば時を示す名詞を伴って副詞句をなす)
time(名)(特定の)時、時期
remember(他)(~を)覚えている、記憶している(+that)
oak(名)オーク材
closet(名)(接見・勉強などのための)私室、小室
distinctly(副)明白に、はっきりと
gusty(形)(風が)突風性の ・a gusty wind 突風
drive(自)(雨が)(~に)激しく降りつける
of(前)(主格関係を表わして)(動作の行為者、作品の作者を表わして)~が、~の
hear(他)(~が)聞こえる、(~を)聞く(+目+原形)
bough(名)(木の)大枝
teasing(形)<tease(自)からかう、悩ます
ascribe(他)(結果などを)(~の)せいにする(=attribute)(to)
to(前)(行為・作用の対象を表わして)~に対して、~に
right(形)間違いのない、正しい
cause(名)原因、もと(⇔effect)
annoy(他)(人などを)(いやなことで)うるさがらせる、いらだたせる、怒らせる、悩ます
much(副)(動詞を修飾して)おおいに、たいそう、非常に
resolve(他)決意する、決心する(+to do)
silence(他)(~を)沈黙させる、静まらせる
think(他)(通例I ~を文頭に用いて)(~しようと)思う、(~する)つもりである(+that)
endeavour(自)(~しようと)努力する(+to do)
unhasp(他)(~の)掛け金をはずす、開ける
casement(名)窓
【参考文献】
Wuthering Heights (Penguin Classics)』Emily Brontë・著
嵐が丘(上) (光文社古典新訳文庫)小野寺健・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)

『スキーピオーの夢』を原文で読む(第21回)

(テキスト18ページ、10行目〜)

(28) Cum pateat igitur aeternum id esse quod sē ipsum moveat, quis est quī hanc nātūram animīs esse tribūtam neget?

cum(接)(+接続法)(理由)~の故に、~であるから
pateō -ēre patuī(自)はっきり見える、明らかである(+対格+不定法)
igitur(接)それゆえに、従って
aeternus -a -um(形)永遠の
is ea id(代)(指示詞)彼、彼女、それ
quī quae quod(代)(関係代名詞)(+直説法)(事実関係)~するところの(人・もの)
suī再帰代名詞)(属格)(対格:sē)彼(彼女、彼ら)の一族(友人、部下)
ipse -a -um(強意代名詞)自ら、自身
moveō -ēre mōvī mōtum(他)動かす
quis quis quid(代)(疑問)だれ、何、どれ
quī quae quod(代)(関係代名詞)(傾向・結果)~のような
hic haec hoc(形)(指示詞)この、ここの、ここにある
nātūra -ae(女)特徴、性質
animus -ī(男)(corpus 肉体に対する)精神
tribuō -ere -buī -būtum(他)与える、授ける
negō -āre -āvī -āつm(他)否定(否認)する(+対格+不定法)

Inanimum est enim omne quod pulsū agitātur externō;

inanimus -a -um(形)呼吸しない、生命のない
enim(接)なぜならば、というのも
omnis -is -e(形)(単数)全体の
pulsus -ūs(男)刺激、衝撃
agitō -āre -āvī -ātum(他)(反復)(あちこちへ)追いたてる
externus -a -um(形)外の、外部の

quod autem est animal, id mōtū ciētur interiōre et suō;

autem(接)しかし、これに反して、他方では
animal -ālis(中)(人間も含めて)生き物、生物
mōtus -ūs(男)運動、動き
cieō -ēre cīvī citum(他)動かす、運動させる
interior -ius(形)(比較級)内側の、内部の
et(接)~と(そして)~
suus -a -um(形)(所有)(再帰)自分(たち)の、彼(彼女、それ、彼ら、それら)(自身)の

nam haec est propria nātūra animī atque vīs.

nam(接)というのも、なぜなら
hic haec hoc(指示代名詞)これ、この人
proprius -a -um(形)独自の、固有の
atque(接)~と、そして
vīs(女)(人・動物・自然の物理的な)力、強さ、勢い

quae sī est ūna ex omnibus quae sē ipsa moveat, neque nāta certē est et aeterna est.

quī quae quod(代)(関係代名詞)(連結詞として)=et is、sed isなど
(接)もし~ならば/(+接続法)(2人称単数の定動詞と用いられて一般的条件を表わす)
ūnus -a -um(形)唯一の
ex(前)(+奪格)(母音の前では常にex)(範囲)~の中の
omnis -is -e(形)(複数)すべての、あらゆる
neque(副)~でない(=non)
nascor -scī nātus sum(自)(形式受動相)生ずる、起こる、発生する
certē(副)疑いなく、確かに
【参考文献】
ラテン語を読む キケロ―「スキーピオーの夢」』山下太郎・著(ベレ出版)
羅和辞典 <改訂版> LEXICON LATINO-JAPONICUM Editio Emendata水谷智洋・編(研究社)

『カンタベリー物語』を原文で読む(第5回)

(テキスト5ページ、19行目~)

(The Yeoman)

yeoman(名)(昔、王家・貴族に仕えた高位の)従者

A Yeman he hadde and servantz namo
At that tyme, for hym liste ryde so,
And he was clad in coote and hood of greene.

Yeman→Yeoman
hadde→had
have(他)(使用人などを)置いている、(動物を)飼っている
servantz→servants
servant(名)召し使い、使用人(=domestic)
namo→no more それ以上(もはや、二度と)~しない
at(前)(時の一点を表わして)~に ・at that time あの時は
tyme→time(名)(特定の)時、時期 ・at this time この時に
for(接)(通例コンマ、セミコロンを前に置いて、前文の付加的説明・理由として)という訳は~だから(=as、since)
hym→him
liste→list(他)(人が)(~することを)望む、欲する(to do)
ryde→ride
clad(形)(また連結形で)着た ・She was clad in white. 彼女は白い服を着ていた。
in(前)(着用を表わして)~を着て、身につけて
coote→coat(名)上着、ジャケット
hood(名)(コートなどの)フード、ずきん
of(前)(of+名詞で形容詞句をなして)~の
green(名)緑色

A sheef of pecok arwes, bright and keene,
Under his belt he bar ful thriftily
Wel koude he dresse his takel yemanly
His arwes drowped noght with fetheres lowe,
And in his hand he bar a myghty bowe.

sheef→sheaf(名)(書類などの)束(of)
of(前)(分量・内容を表わして/数量・単位を表わす名詞を前に置いて)~の
pecok→peacock(名)(特に雄の)クジャク(美しい大きな羽を広げることで知られ、見えを張ることのイメージを持つ)
arwes→arrows
arrow(名)矢
keenekeen(形)(先端・刃物など)鋭い、鋭利な(⇔dull、blunt)
his(代)彼の
belt(名)(通例腰の周りにつける)ベルト、帯
bar→bore
bear(他)(武器・マーク・痕跡(こんせき)などを)身につける、帯びる
ful→full(副)(形容詞・副詞を修飾して)まったく、非常に
thriftily→properly(副)適当に、適切に、ほどよく
Wel→Well
well(副)上手に、うまく
koude→could
dresse→dress(他)~の衣裳を整える(デザインする、調達する)
takel→tackle(名)弓矢の道具
yemanly→yeomanly(副)ヨーマンらしく
drowped→drooped
droop(自)(頭・肩などが)うなだれる、たれる
noght→not
with(前)(付帯状況を表わす句を導いて)~して、~したまま、~しながら(名詞の後に前置詞付きの句・副詞・形容詞・分詞などの補足的要素を従える)
fetheres→feathers
feather(名)矢羽根、矢はず
lowe→low(形)(地上・床から)遠く離れていない、低い
myghty→mighty(形)(人・ものが)力強い、強力な、強大な
bowe→bow(名)弓

A not heed hadde he, with a broun visage.

not(形)(廃)髪を短く刈った(=close-cropped)
heed→head
have(他)(部分・属性として)(特徴・性質・能力などを)もっている
with(前)(所持・所有を表わして)~を持って(た)、~のある
broun→brown(形)(皮膚が)浅黒い
visage(名)顔、顔だち、容貌(ようぼう)

Of wodecraft koude he wel al the usage.

of(前)(関係・関連を表わして)~の点において、~に関して、~について
wodecraft→woodcraft(名)森林(山)の知識、山林技術(山林での狩猟・野営・通過・生活法など)
al→all
usage(名)使用法、用い方、取り扱い(方)

Upon his arm he bar a gay bracer,
And by his syde a swerd and a bokeler
And on that oother syde a gay daggere
Harneysed wel and sharpe as poynt of spere;
A Cristofre on his brest of silver sheene.

on(前)(付着・所持を表わして)~にくっつけて、~の身につけて
gay(形)(色彩・服装など)派手な、華やかな、きらびやかな
bracer(名)(アーチェリーの)腕甲
syde→side
by a person's side ~のそばに、~の近くに
swerd→sword(名)剣、刀
bokeler→buckler(名)(左手に持つ小型の)円盾(まるたて)
on(前)(近接を表わして)~に接して、~に面して ・on ~ side ~側に
that(形)(指示形容詞)(対話者同士がすでに知っているもの・人・量をさして)あの(⇔this)
oother→other(形)(the ~)反対の ・the other side of ~の反対側
daggere→dagger(名)短剣、短刀
Harneysed→Harnessed
harness(他)(古)~によろいを着せる
sharpesharp(形)(先の)とがった、かどばった
as(接)(様態・状態を表わして)~のように
poynt→point(名)(武器・道具などのとがった)先端、先 ・the point of sword 剣の先
spere→spear(名)槍(やり)、投げ槍
Cristofre→Christopher
Christopher, Saint(名)聖クリストフォロス(?-?250/小アジアの殉教者/旅人の守護聖人で、祝日7月25日)
brest→breast(名)胸
of(前)(材料を表わして)~で(作った)、~から(成る)
sheene→sheen(古)(形)輝く、きらびやかな

An horn he bar, the bawdryk was of grene;
A forster was he, soothly, as I gesse.

An→A
horn(名)角らっぱ、角ぶえ
bawdryk→baldric(名)(昔の)飾り帯(肩から斜めに腰へかけて剣をつる革帯)
forster→forester(名)森林官、林務官、森林管理者、森林警備(監視)員
soothly(副)(古)まことに、確かに
as(代)(関係代名詞)(前後の主節全体を先行詞として、非制限的に用いて)それは~だが
gesse→guess(他)(なんとなく)(~だと)思う(+that)
【参考文献】
原文対訳「カンタベリィ物語・総序歌」』苅部恒徳、笹川寿昭、小山良一、田中芳晴・編・訳・注(松柏社
カンタベリー・テールズ市河三喜、松浪有・編注(研究社)
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
リーダーズ・プラス』(研究社)
新英和大辞典 第六版 ― 並装』(研究社)